このブログをお読みいただいている皆さんは「イタリア自動車雑貨店」というお店をご存知の方が多いのではないかと思います。
実際に店舗を訪れる機会がない方であっても、そのWebサイトに所狭しと掲載されている様々な商品に思わず、「ポチっと」された方も多いのではないかと思うのですが、この「自動車雑貨」という商品ジャンルを初めて世に知らしめたのは、このイタリア自動車雑貨店の社長である太田一義氏ではなかったかと思います。
それまではディーラーの店先の片隅に置かれていたノベルティグッズであったり、みやげ物屋に無造作に並べられているような自動車に関連した雑貨を一同に集めて販売するという業態を考えたときに、それが果たして商売として成立するのか、また商品として継続して仕入れができるのか・・・といった様々な不安の中でイタリア自動車雑貨店は走り始めました。そして、当初の路地裏の駄菓子屋のような店舗から、四谷の表通りに面したひときわ人目を惹く現在の店舗に至るまで、多くのイタリア車を愛する人々にその夢とささやかな癒しを届け続けて来ました。
新しいクルマを買って真っ先に訪れるのはこの雑貨店で、キーホルダーを新しく購入し、レアもののステッカーを似合うかどうか悩みながら購入したり、自分の愛車と同じミニチュアカーを一生懸命探したり・・・と単にクルマをドライブするだけでなく、そのクルマと「一緒に暮らす」ためのモチベーションをこの店からもらいました。
様々な事情から、クルマを手放さざるを得なくなったときにも、いつかまた・・・と手許に残したのは、この店で買ったお気に入りのキーホルダーだった方もいらっしゃるでしょう。
新車に浮気しそうになったときに拗ねてしまった愛車のご機嫌を取るために、フロアマットを新調したり、シフトノブを交換したりした方もいらっしゃるでしょう。
仕事帰りに、また出張で上京した際に、特に何を買うでもなく、この店を覗いた方もいらっしゃるでしょう。
今では当たり前のようにあるイタリア自動車雑貨店がこうして続いて来れたのは、イタリア中を探し回り、時には警察の尋問を受けながら、日本とはかけ離れた商習慣に、ときには怒り、ときには肩をすくめながらも私たちがニヤリとするような掘り出し物を探し続けて来た太田社長と、その商品を慈しむように手入れをして店に並べてきたスタッフの皆さんの努力と苦労があったからだろうと思います。
その太田社長が天国に召されました。
享年60歳とそれはあまりに早すぎることで、店先でタバコをくゆらせ、ニコニコと笑いながら話をしたことを昨日のことのように思い出します。
きっと天国にはイタリア自動車雑貨店のような店がなかったのでしょう。すでに鬼籍に入ったイタリア車を愛する先達の皆さんが、
「太田社長。こっちでも店を開いてよ」
とラブコールを送ってきたに違いありません。
どうやらイタリア自動車雑貨店はこの世だけでなく、天国にも新しく支店ができたようです。
きっと今頃は太田社長は、かつて私にそうしてくれたように、満面の笑みをたたえながら、
「こんな珍しいものを見つけたんだよね~」とちょっと自慢そうに、天国の皆さんに見せびらかしているのでしょう。
イタリア自動車雑貨店と太田社長のことをもっとお知らせしたいと思ったのですが、まだ私がかつて書いた記事以上の文章を書くことができません。
よろしければ今一度お読みいただければと思います。
この記事を書いたときに、太田社長はとても喜んでくださったことを思い出しています。
太田さん。お疲れ様でした。そしてありがとうございました。
でも天国でまた新しいお店を開店するのですから、私が行ったときにもまた面白い掘り出し物を見せてくださいね。
(追記)
本日、10月30日、しめやかに告別式が行われました。焼香台には愛車のポルシェの写真、そして棺には太田社長が愛用していた帽子が添えられ、太田社長と一緒に旅立ちました。
太田社長のご冥福をお祈りいたします。
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