走ってナンボ

アルファ・ロメオを始めとする「ちょっと旧いイタ車」を一生懸命維持する中での天国と地獄をご紹介します。

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戦場の宅配便

東日本大震災での救援活動で自衛隊がどれほど貢献したかはもはや議論の余地はないと思います。
その中で自衛隊の持つ装備が活躍したことは大きく報じられましたが、それ以上に一般の人々に驚かれたのが自衛隊の救援物資の配布方法ではなかったかと思います。
それは実際に救援物資を受け取った被災者からも聞かれた感謝で、午前中に被災した地域を自衛隊員が廻り、細かく必要な物資の情報を聞き取り、それが翌日には届けられたことに対する驚きと感謝は被災者だけでなく、その様子をTVなどが取り上げることにより、多くの国民がそのキメ細かい対応に驚いたのではないかと思います。

しかし、考えて見れば自衛隊に限らず軍隊が持つ機能の最も重要なものがこの兵站機能で、必要なときに必要な部隊に必要な物資が届けられることが戦闘を継続することができる最大の要素で、これがなければどんな最新鋭の装備も役に立たなくなってしまいます。
彼らが実際にそうして各戸を廻り、聞き取ってきた情報は、トイレットペーパーからハエ取り紙に至るまで様々な物資の要求なのですが、それがコンピュータにインプットされ実際の救援物資の集積場所から必要な場所に移送される手順は、扱うモノこそ違え、自衛隊がどの部隊であっても日常から訓練している戦闘時の補給訓練の延長線上にある作業だったのです。

この戦時のロジスティクスが最も優れていたのが米軍で、第二次世界大戦時にその基本的なシステムが確立されたと言われています。

SS_John_W_Brown.jpg

米軍は基本的に自国内での戦闘を想定しておらず、それは現在も変っていないのですが、彼らが考える戦争は常に海外でのものでした。そのためにはいかに迅速に大量の物資を運ぶかという点が重要で、戦時に建造されたリバティ型と呼ばれる戦時標準輸送船は2700隻以上にのぼりました。

C47Dakota.jpg

そしてそれらの輸送船で港まで運ばれた物資は、あるときはC-47型輸送機(DC-3型旅客機の軍用型)で空輸され、またあるときはGMCの大型トラックで前線近くまで輸送されました。米軍の取る戦術はこれらの物資輸送ルートが確保されることが前提で、日本もドイツも米軍との補給戦争に敗れたと言っても過言ではないのです。

ドイツが開戦初頭に実施した電撃戦(ブリッツ・クリーク)は補給を考えずに最初の装備のみで相手に反撃する間を与えずに一気に侵攻するという作戦で、長期戦となってしまった対ロシア戦では、結局補給が間に合わずに敗退を余儀なくされてしまいました。
日本に至ってはガダルカナルやビルマ戦線を例に取るまでもなく、全ての戦闘地域において戦略的な補給という考えなく部隊をただただ送り込み、米軍は日本海軍の軍艦よりも輸送船を重点的に攻撃して来るのに対して、その輸送船をまず守るという戦術はなく、敵の輸送船よりも戦闘艦艇を攻撃することのみに終始した結果、前線への補給が途絶え、全ての戦線において戦闘で戦死した兵隊よりも戦病死や餓死した兵士の方が多いという悲惨な結末でした。
「お国のために」戦った兵士と言えば全くその通りですが、その実態は日本軍の兵站に関する戦略の欠如から兵士を殺してしまったので、日本の戦没兵士の半数以上は敵に殺されたのではなく、軍部の指導者に殺されたのが実際なのです。

ハリウッドのデタラメ戦争映画で描かれていた、敵と対峙するタコツボの中の兵士にちゃんと手紙が届いたり、クリスマスに最前線で戦う兵士に七面鳥が配給されたりしたのは決してデタラメではなく、米軍の兵站機能の為せる技であり、実際にガダルカナルで日本軍が餓死寸前でトカゲやミミズを食べているときに、米軍兵士は野戦用キッチンで調理された料理を食べ、冷えたビールを飲んでアイスクリームを食べていたのです。

WC52.jpg

そしてその末端の物資輸送を支えたのがこのDUDGE 3/4ton Weapon Career 四輪駆動トラックで、Jeepに負けず劣らず米軍を戦勝に導いた貢献車なのです。Jeepがその軽量さと機動力を生かして活躍したことに対して、このトラックはもう少し大きいサイズで、ちょうど一個分隊(8名)が乗車して移動できるサイズでした。また四輪駆動であることから泥濘地での走破性も良く、幹線道路を外れて前線近くまで物資を運ぶには最適なサイズのトラックでした。

DUDGE Weapon Careerは大別するとWC51と呼ばれるフロントにウインチのないものと、WC52と呼ばれるウインチが装備されているものに分かれます。またその構造は様々なボディを架装することが可能であったことも特徴で、Jeepと大きく異なる汎用性を持っていました。

WC50001.jpg

WC50002.jpg

こちらはWC54と呼ばれる野戦救急車です。隣のJeepと比べるとその大きさが分かるかと思います。

WC54.jpg

これはWC57というCommand Carです。ジープよりも大型であるために居住性が良く、猛将と言われたパットン将軍が移動用に愛用したことからパットン・カーとも呼ばれています。

WC56.jpg

Weapon Careerと言うだけあってこのWC55型は37mm対戦車砲を装備したタイプです。これは標準タイプとして生産されたものですが、戦場で応急的に改造されたものは数多く、M2機関銃をハリネズミのように装備したりしたものも存在しています。

WC55.jpg

基本設計が優秀であったこのDUDGE Weapon Careerはそのラダーフレームを延長し、後輪を二軸として六輪駆動にしたタイプも生産されました。これはWC62、63型と呼ばれているのですが、基本設計がさらに積載量を増やす余力があったことが分かります。

WC62.jpg

物資は戦闘に必要な場所に行き渡ってこその物資で、輸送船、輸送機、大型トラックに加えてこうした小回りの効く小型の輸送トラックがあってこそ、最前線へ物資が補給できるので、これらの輸送手段を全て揃えていた米軍は、個々の戦闘で負けることはあっても総合的な戦争に勝つことができたのです。
そして、その戦場でのロジスティクスのノウハウは戦後に民間のロジスティクスに転用され、それが日本人の緻密さによって進化したのが現在の宅配便のシステムなのです。

私達が軍事と無関係だと思っている日常の様々なシステムが実は戦争によって生まれ、そして進歩してきたことは意外に知られていませんが、JeepやWeapon Careerはこうした日米の兵站戦略の差だけでなく、現在の宅配システムのことまで考えさせてくれるのです。

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コメント

このような

軍物っていうのか戦争物に疎くよくわからない私ですが、興味深く読ませていただき「へぇ~」っと感心してました。

  • 2012/07/16(月) 21:23:38 |
  • URL |
  • おかんの頭の頭 #a2H6GHBU
  • [ 編集]

>おかんの頭の頭さん
ご無沙汰です。あまりこういったことに詳しくない方に読んでいただきたいと思い、なるべく面白く書いたつもりなので、そう言っていただけると本当に嬉しいです。
軍用車両は一般の車以上に、想定される使用環境やそれを使用する兵士のことを考え抜いて設計されていますので、各国の車両は同じように見えて大きく異なっています。またそのうち、そういった違いについてもお話したいと思っていますのでご期待?ください。

  • 2012/07/16(月) 21:56:01 |
  • URL |
  • 510190 #-
  • [ 編集]

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