走ってナンボ

アルファ・ロメオを始めとする「ちょっと旧いイタ車」を一生懸命維持する中での天国と地獄をご紹介します。

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饒舌な親友 ~LANCIA Delta Integrare 16V Evoluzione Ⅱ試乗記 その参~

辰巳PAでは休憩と共に、それまでのテストの感想をメモしたり、新たな疑問点を頭の中で整理してからまた出発です。

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そして9号線を箱崎JCTに向かって走っているときに例のアンダーステアの謎がようやく解けました。
それは何台かのクルマを追い抜いたときで、交通マナーとしてはいささか良くないことですが、走行車線と追い越し車線の両方をジグザグに走行せざるを得なかったときに、明らかに今まで感じていたアンダーステアを感じなかったのです。
それは電動パワステか・・・?と思うほどの豹変振りで、それまでのゆっくりしたステアリング操作のときに感じていたアンダーステアが、クイックなステアリング操作を行うとニュートラルステアに変わり、思ったとおりにクルマの向きを変えることができたのです。

面白くなった私は道路が空いた場所で高速レーンチェンジを試してみました。
すると、4WDの安定したトラクションと高いシャーシ剛性に加えて、素晴らしいサスセッティングの全てがバランスされていることを感じることができ、水平移動しているのか?と思うほどにクルマは右へ左へとボディの揺り返し、所謂「お釣り」がなくレーンチェンジをすることができるのです。

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そして極め付きは箱崎JCTから環状線(C1)への合流路でした。首都高を走ったことのある方はご存知だと思いますが、首都高環状線はJCTの合流路だけでなく逆バンクのカーブが多く、雨の日などにオーバーズピードで突っ込むと随分と怖い思いをすることがあります。そもそもどうしてこのうような設計をしたのか・・・と思うのですが、考えて見れば首都高環状線は東京オリンピックを目指して造られた道で、当時のクルマの性能を基準としたのであれば、カーブにバンクをつけて設計する必要はなかったのでしょう。それを抜本的に改修せずに、スリップ防止のためかザラザラした高μ舗装を施したりするので、余計にタイヤグリップが変化してしまい、雨の日などは余程路面のことを知っていないとかえって危険な道路なのですが、その逆バンクの合流路を結構なスピードで走り抜けることができたのです。ゴムも硬化して山は5分山程度のBS Playzは、この路面では相当なロードノイズを発生させますが、クルマそのものは物理の法則に抗いながらも全く破綻の兆しはなく、切り込んで行った舵角はそのままで、アクセルコントロールでクルマの挙動を安定させることができました。

では、今までのステアリング操作とは何が違ったのでしょう・・・。それはどうやらステアリングの切り始めのスピードで、アクセル開度を一定にして少しづつ切り増しをして行くようなステアリング操作をしたときのデルタは安定志向で、反対に一気に舵角を与えるようなステアリング操作をしたときにはまさに、「人馬一体」の動きをするのです。
それはあたかも「人感センサー」でも仕込んであるのかと思えるほどで、のんびり走りたいと思っているときにはゆっくりとした挙動を示し、「やる気」になっているときにはそれに応えてくれるのです。

さらにそれを確かめるべく、合流した環状線(C1)の銀座から新橋までの入り組んだ細かいカーブを「やる気モード」で走って見ました。すると、やはりこれがデルタだよなぁ・・・という気分を味わうことができました。
これは高速のS字カーブを抜けるときに顕著で、荷重移動がスムーズに行われるために安心して踏んで行くことができます。特にデルタはアクセルオン時の挙動がナチュラルで、ステアリング操作に加えてアクセル開度を組み合わせることにより、アンダーステアからニュートラルステア(弱オーバーステア?)までを自由にコントロールできることが分かりました。
これは病み付きになる楽しさですが、ドライバーの快楽のためと言うよりもラリーマシンには必要不可欠なセッティングなのかも知れません。

では、ブレーキは?と言うと、これまた現代のクルマに慣れている方にはちょっと頼りないと感じるかもしれません。
デルタのブレーキは踏力でガツンと効くタイプではなく、ブレーキペダルのストロークに応じて効くタイプのセッティングです。すなわち止めるためのブレーキと言うより、スピードコントロールのためのブレーキと言うことができます。決して制動距離が長いという意味ではなく、ラリーにおいてはそちらの方が重要であるための合目的なセッティングですので、アクセルのオンオフに加えてブレーキを使うとさらに面白いようにクルマの挙動をコントロールすることができるのです。

この二面性は実に有難いセッティングで、日常使いのクルマがいつもシビアな挙動をするものだと、疲れていたり気持ちが盛り上がっていないときなどは、その運転で余計に疲れてしまうのですが、デルタはそのドライバーの両方の状態に最適の挙動で応えてくれるのです。
技術的にどうしたらそれが可能なのかは良く分かりませんが、昨今の電子デバイスを一切使わずにそれが実現できていることは本当に驚くべきことだと思います。

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そして、個人的なオススメなのですが、デルタを初めて手に入れる方は、最初はタイヤを新調せずにまずはデルタに慣れることをオススメします。デルタのシャーシーは充分な余力がありますので、タイヤグリップがなくなってもまだステアリング操作でクルマの体勢を維持することができます。低い速度領域で充分デルタの挙動を理解してからタイヤを新調すると、どこまでがタイヤのお陰か・・・が分かると思います。

繰り返しになりますが、デルタにはABS以外のアクティブうんにゃら・・・や可変制御ダンパーなどの電子デバイスは一切ありません。それはすなわち、自分自身のドライビングミスを助けてくれるのは、デルタのメカニカルなシャーシーダイナミクスしかないということです。大切なデルタで事故を起こさないためにも、まずは自分のドライビングスキルとデルタの限界との関係を見極めるために、ボロいタイヤでわざと限界領域を下げてチェックしてみてはいかがでしょうか。

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汐留のチッタナポリに行こうと思ったのは、寺島社長のところに送られてくるイタリアのデルタオーナーの写真に影響されたからで、イタリアの街並みとデルタとのコンビネーションが実に素晴らしかったからに他なりません。
早朝のチッタナポリは私だけでなく、雑誌の取材か他にもクルマの撮影をしているグループがいましたが、お互いに撮影場所を譲り合いながら無事に様々な写真を撮ることができました。相手は機材も立派なプロカメラマンであることに対して、こちらはシロートのコンクパクトカメラによる撮影ですので、写真の出来栄えは比べるべくもありませんが、モデル(被写体)はこちらの方が上手であったと自負しています(笑)。

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ここまでのテストドライブでデルタの本質が少し分かって来ましたので、ここから第三京浜の都筑PAまでは少しお楽しみドライブとすることにしました。札の辻交差点から下道でレインボーブリッジを渡り、湾岸線に乗ったらK3-K2経由で第三京浜の目的地までは、今までの環状線と違って高速でのデルタの挙動を楽しむことができるルートです。

都筑PAでのミーティングの後は少しワインディングを試すために、横浜横須賀道路を走って湘南国際村周辺のワインディングを経由して逗葉新道を使って都内に戻って来ることにしました。
テストドライブという意味ではこのルートは最早余計だったかも知れません。今までのルートでデルタが懐の深い、真のドライバーズカーであることは充分分かりましたので、それを再確認するために走っただけのことになってしまいましたが、お陰でこのルートを走りながら、何故、デルタが走って楽しいのか・・・。他の走って楽しいクルマと何が同じで何が違うのか・・・について考えることができました。

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私達のようなクルマ好きにとってクルマは人間のようなところがあります。ですので、人間同士に相性があるように好きなクルマも人それぞれだと思います。

「かしこまりました。ご主人様。」という家政婦のように、御願いしたことをちゃんとやってくれるクルマが好きな方もいるでしょう。

現代のクルマはさしずめ優秀な執事のようなもので、「旦那様のことは私が一番存じ上げております」と、こちらが黙っていても必要なことを見越してやってくれることを心地良いと感じる方もいるでしょう。

反対に全く言うことを聞かず、わざとじゃないか・・・と思うほどこちらを裏切り続けるのですが、ふとした時に最高の表情を見せてくれるツンデレの恋人のようなクルマが好きな方もいるでしょう。

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じゃあデルタは何だろう・・・と考えたのですが、その結論は「饒舌な親友」でした。
デルタはこちらの気分をちゃんと察してくれますが、決して黙って見ていてはくれません。いつもちゃんと話しかけてくれ、こちらもその話を聞く耳を持つ必要があります。そしてお互いのその会話がかみ合うと、その時間は親友とバーのカウンターで交わす人生についての話のように、実に芳醇で含蓄に富み、後味の良い時間を過ごすことができるのです。

恐らくデルタのオーナーは乗るたびにデルタとのその芳醇な会話を楽しんでいるのでしょう。ラリーウェポンとしてのデルタは単なる一面でしかなく、オーナーカーとしてのデルタはその爪も牙も単に喧嘩の強い友人の武器であり、一番楽しいのはその友人との会話なのだと思います。

今まで何人ものデルタオーナーにお話をお伺いしたのですが、皆さんが購入のきっかけとして挙げていた「WRCの活躍」は単なるきっかけで、手に入れてからのこの濃密な関係についてあまり語られなかったのは、親友の素晴らしさを他人に語るのが気恥ずかしかったのか、どうせ話しても分からないだろうと思ったのかも知れません。
もし、私自身がデルタのオーナーであったなら、気恥ずかしくて話さなかったでしょう。

デルタは一生の親友となり得るクルマです。もちろんあなた自身もその親友にとって「語るに足る」友である必要もあるのですが・・・。

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テーマ:イタリア車 - ジャンル:車・バイク

コメント

丁寧なインプレッションのおかげで、デルタが今なお絶滅せずに多く
生きながらえている根拠がわかるような気がしました。

さて汐留のイタリア街、以前Spiderで撮影に行ったことがあります。
すばらしいシチュエーションでテンション上がりましたが、夜の撮影のため
カンジンの写真はブレブレの結果で、それが唯一悔やまれます 苦笑

  • 2012/06/18(月) 20:20:41 |
  • URL |
  • chifurinn #UwkW36/E
  • [ 編集]

P-D号の幹事長どぇす!
ベタボメですね!アタシはとってもいい気分です。確かにヤル気になって踏んだときはその加速に遅れないクイックなステアリングはレーンの轍を感じさせません!とは言っても何でも自動で動いてセンサーだらけのクルマに乗っている人達に自分が何のクルマに乗っているか話す気にもなれません。現代は寂しいですな!?

  • 2012/06/18(月) 20:22:02 |
  • URL |
  • P-幹事長 #-
  • [ 編集]

>chifurinnさん
チッタナポリはどこからでも画になりますね。ただし早朝で人がいないという前提ですが・・・(苦笑)。
実際に結構、雑誌やカタログなどの撮影に使われているようですね。
今回はユーノスロードスターが2台でしたが相当イジってましたので、中古車雑誌かショップの撮影だと思います。

  • 2012/06/18(月) 21:34:59 |
  • URL |
  • 510190 #-
  • [ 編集]

>P-幹事長さま
別にベタ褒めしたつもりはないんですよ。でも、乗って見て、オーナーの方がこんな楽しみを味わっていたのか・・・と思いました。
これほどハンドリングの奥が深いクルマは珍しいですね。
きっとデルタS4からグループAデルタに乗り換えたワークスドライバーはその乗り易さに感激したんじゃないでしょうか。きっと彼らも単に勝つためだけでなく、ドライビングを楽しんでいたんじゃないかと思います。

  • 2012/06/18(月) 21:51:13 |
  • URL |
  • 510190 #-
  • [ 編集]

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