走ってナンボ

アルファ・ロメオを始めとする「ちょっと旧いイタ車」を一生懸命維持する中での天国と地獄をご紹介します。

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隠された爪 ~LANCIA Delta Integrare 16V Evoluzione Ⅱ試乗記 その弐~

今回のデルタ試乗(名前が長いのでこの記事でのデルタとはDelta Integrale 16V Evoluzione Ⅱのことです)はいつもの初期化のためのテストドライブと異なり、そのクルマがどういうクルマなのかを感じるための試乗ですので、自分のアタマの中のチェックリストを一旦白紙にして、クルマの状態を把握するのではなく、様々なシチュエーションでのクルマの挙動を重点的にテストすることにしました。
しかし、今や新車の試乗車がない以上、このデルタの魔力の謎を探るためには、リセットデルタのような限りなく新車に近い個体でなければ、私のようなシロートドライバーではそれがそのクルマの味なのか個体差によるものなのかが分からないため、今回の機会は願ってもないことで、中古車であることから逆算してそのクルマの新車の状態を想像するという必要がないことは本当に有難いことです。

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借り出したリセットデルタは、エヴォルツィオーネⅡという最終モデルの中でもジアラ(黄色)という220台限定で製造されたモデルでした。
今回の試乗のメニューの中には「白金台アルファロメオクラブ」が主催する「朝カフェ」という日曜日の朝のミーティングで皆さんに見ていただくという目的もありましたので、その前日の夕方に借り出すことにし、自宅の駐車場に戻るまでの間、ちょい乗りで街中を少し走って見ることにしました。

RDELTA002.jpg

私の体格は身長180cm、体重75kgと大柄で、手足の長さはこれまた標準的なアジア人の長さ(つまり白人に比べて短い)だと思います。
そんな私が今まで乗り継いできたイタリア車の多くはドライビングポジションが自然に決まらず、どこか無理やり身体を合わせなければならなかったのですが、デルタの運転席に乗り込み、シートポジションを合わせるとそこにステアリングがあれば・・・と思うところにステアリングがあり、このくらい膝を伸ばしてペダルに届けば・・・と思うところにABCペダルがあるという理想的なポジションを取ることができます。

RDELTA006.jpg

シートはレカロ製のもので、サイドサポートがしっかりしており、自然に腰が固定されるために少々ハードなドライビングをしても身体が持っていかれることもないでしょう。

私がドライビングポジションを合わせた状態でのリアシートです。

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新車をショールームなどで検分する際に、私が真っ先にテストするのがこれで、カタログで車内寸法を見ても良く分かりませんので、自分のドラポジで合わせたフロントシートの後ろのリアシートに同じく私がどのような姿勢で座ることができるかが、私にとってその4シーターキャビンの良否を判断する材料となります。

膝には余裕がありませんが、短い足のおかげで(苦笑)、膝を斜めにせずに後席にも座ることができます。ヘッドルームもちゃんと余裕があり、このサイズの4drHBとしてデルタはなかなか優秀なキャビンルームを有していると思います。

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室内の造りはこの時代のイタリア車としては標準で、現代のクルマのような立体的なダッシュボードの造型や、クレジットカードも入らないほどの各パネルの合わせなどは望むべくもありませんが、反対に現代のクルマにはないプリミティブなスポーツセダン(4drHBですが・・・)特有の空間があります。インパネのデザインはともかく、その照明は時代を感じさせるもので、現代であれば当たり前の各メーターの透過照明がなく、メーターパネル全体を照らすランプがついているだけです。これでは真っ暗な夜道を走るのであればともかく、都会の明るい夜道ではインパネの照明は無いに等しく感じます。

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左右に配置されたスピードメーターとタコメーターは各々の針が向かい合って見えるように配置されています。つまり左のスピードメーターの針は9時が始点で時計回りに上がって行き、一方で右のタコメーターの針は3時を始点として上がって行きます。これは演出と言うよりデルタのようなスポーツマシンのドライブには必然的な装備で、互いに始点が水平に配置されているために、ドライバーは最も有効なトルクバンド上の回転数とスピードの両方を一瞥しただけで見ることができます。そしてパネル正面にはブースト計が鎮座しており、常に視界に納めることができるのも、このクルマが常に最も効率よくパワーを出し続けねばならないラリーマシンであることを感じさせてくれます。
デルタのメーターは「適当に」配置されているのではなく、その種類と配置はドライバーにとって必要なものを優先的に配置した結果であることが分かります。

ちなみに、クイック・トレーディングではこのデモカーにもリセットオプションの一つであるLED照明を組み込む予定とのことですので、この照明の暗さは随分と改善されると思います。

RDELTA004.jpg

走り出してすぐに感じる点はシフトの剛性感です。アルファ・ロメオのシフトフィールはお世辞にも良いとは言えず、どちらかと言うと「ぐにゃぐにゃ」な感触で、唯一コクッコクッとしたシフトフィールだったのがゲトラグ製のMTを装備したアルファ164Q4でした。
しかし、デルタのシフトフィールはそのゲトラグを凌ぐ剛性感で、シフトゲートも短く、確実に各ギアにエンゲージすることができます。思わずクイックシフターでも入っているのかと聞いたほどのショートストロークなのですが、人間の感覚にマッチしており、とても気持ちの良いシフトでした。

次に感じたのは残念ながらボディからの軋み音でした。しかし、街中のチョイ乗りではこれがシャーシーを含めたモノコック全体の問題なのかが分かりませんので、次の日の本格試乗のチェックポイントにすることにし、この日は早々に駐車場にクルマを納めることにしました。
それにしても、私の駐車スペースには様々なクルマが入れ替わりで駐まるために、ご近所の方は私がクルマ関係の仕事をしていると思っているようです(苦笑)。

翌日は夜明けと同時に駐車場をスタートして「朝カフェ」の会場である第三京浜の都筑PAに向かうまでの間とその後にテストドライブをすることにしました。
その最初のルートは首都高5号線中台入口から板橋JCTを経由して中央環状線(C2)で南下。葛西JCTから湾岸線を経由して辰巳PAで一旦休憩。9号線で都心に戻り、箱崎JCTを経由して環状線(C1)に入り、新橋ランプを降りて汐留のチッタイタリアで車両撮影をこなすというルートで、休日の早朝でクルマが少ない場合には、ここまでの間でも結構様々なテストをすることができます。

RDELTA009.jpg

まずはガソリンスタンドに立ち寄り、テストドライブの大前提となるタイヤの空気圧のチェックと、自分の朝食の買出しです(笑)

そして首都高に乗って少し走ると昨晩の疑問が氷解しました。
デルタのボディはフルモノコックとは思えないほど、シャーシーと上モノが別の仕立てです。すなわち、ストラットを含むシャーシーの剛性は高く、フロアが変にグニャっとしたりする感覚は一切ありません。しかし、一方でドアから上のボディは結構ユルく、現代のクルマのモノコック全体の高剛性とは全く違うものでした。

カタログデータを見るとデルタの車重は1,340kgで、現代の基準で見ると充分に軽いのですが、聞けばワークスデルタはホワイトボディを酸漬けしてさらに鉄板を薄くして軽量化し、最終的にはトータルで200kg以上減量したそうです。ワークスデルタは車内にロールケージを張り巡らせるのですから、大切なのはシャーシー(フロアパン)の剛性で、上モノはどーでも良いのでしょう。
車内は結構ガタピシ言いますが、それがボディ全体が緩いことによる音ではなく、この辺りからまずこのクルマがホモロゲーションモデルを出自にしていることが窺われます。

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フロントストラットには標準のタワーバーが装着されているのに加えて、リアにはクイック・トレーディングのオプションパーツであったタワーバーが装着されています。この2本のタワーバーがシャーシーの剛性に大きく寄与していることは言うまでもないでしょう。

次のチェックポイントは板橋JCTの緩い下りの合流カーブです。
ここでデルタの意外な面を見ることになりました。それはステアリングで、ゆっくりとステアリングを切り増ししながらコーナーを曲がっているときに鈍重?と思えるほどのアンダーステアを感じたのです。
切っても切っても曲がっていかない・・・というか、途中で切り増しをしないとラインをトレースできないほどだったのですが、最初はアルファ164Q4のヴィスコマチックのような電子制御が一切ないフルタイム4WDなのでこんなもんか・・・と思ってしまいました。

ちなみにタイヤサイズはノーマルの205/45/16で、BSのPlayzというすでに賞味期限の終わったタイヤが装着されていました。しかし、このボロタイヤ(苦笑)のお陰でかえってクルマの特性が際立ち、さらにテストドライブを安全に行わせてくれることをこの後に知ることになります。

中央環状(C2)に入るとアップダウンの続く緩いワインディングで、サスの追随性をチェックすることができます。ノーマルのデルタの足回りは決してガチガチなセッティングではなく、こうしたアップダウンのカーブでもトラクションが抜けたりすることはありません。むしろ安心して踏んでいける足回りだと思います。ある程度の乗り心地を確保しながらのこのサスの仕事は流石で、ストラダーレとして絶妙のセッティングだと思いました。しかし、緩いワインディングでのアンダーステアは相変わらずです。

江北JCTからのC2は殆ど直線で、チェックするポイントは高速走行時の走行安定性くらいしかありませんが、ホイールベースがたった2,480mmしかないデルタは安定して真っ直ぐに走ることができます。特筆すべきはエンジンの特性で、シフトダウンして加速をしても過激なターボラグは一切ありません。最初はターボが死んでいるのかと思ったほどナニゴトも感じないので、思わずブーストメーターを見たほどです。
ターボチャージャーの過給を感じることができるという点では、私のテーマの方が遥かに過激なのですが、一方でスピードはちゃんと出ていますので、どうやらこのデルタのターボはマイルドなセッティングをされているようです。

これも後から聞いたのですが、エヴォルツィオーネⅠはもっと過激なセッティングとのことですから、ランチアはWRCから引退した後のモデルであるこのエボルツィオーネⅡには、一般ユーザーの乗り易さ重視のセッティングをしたのでしょう。それでもエンジンの最高出力はこのエボルツィオーネⅡの方が高いのですから、おそらくターボチャージャーの耐久性に関してはこのエボルツィオーネⅡの方が優れているのではないかと思います。
しかし、それは遅いという意味ではなく、ターボチャージャーの過給を感じながらの加速ではなく、「いつの間にか」ちゃんとスピードは出ていますので、ランチアのその「お気持ち」は有難いのですが、これでは却って免許が危ないかも知れません(笑)。

そしてこの後のテストで、それまでずっと感じていたアンダーステアが単に「隠された爪」であったことが分かりました。

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テーマ:イタリア車 - ジャンル:車・バイク

コメント

こんばんわ。
次回、語られると思いますが、デルタは踏めば、ちゃんとフロントが気持ちよく巻き込みますよね~。あと、シフトですが、写真をみるとコレッツィ用のショートストロークシフトが入っているように見えますが、シフトカバーだけなのかしら。元デルタ乗りをあんまり刺激しないような内容でお願いします。また欲しくなっちゃいますから(笑)

  • 2012/06/15(金) 00:34:48 |
  • URL |
  • 謎のイタリア野郎 #-
  • [ 編集]

なかなか興味深く読ませて頂きました。
私の場合、足のチェックはC1&4号下りを(大きな声では言えませんが攻めてみて)ちゃんと走れるか?が基準になっていたのを思い出しました(笑)

次回が楽しみ~♪

  • 2012/06/15(金) 08:22:51 |
  • URL |
  • こ~んず #JalddpaA
  • [ 編集]

>謎のイタリア野郎さま
確かに過去のオーナーの方には辛い?記事かも知れませんね(笑)。
むしろ懐かしく思い出していただくのが健全な読み方?ではと思います。
ハンドリングのハナシは後編に記しますので是非ご意見をお寄せください。
シフトの件はもう一度確認しますが、聞いたときにはノーマルだとのことでした。

  • 2012/06/15(金) 12:20:35 |
  • URL |
  • 510190 #-
  • [ 編集]

>こ~んずさん
おそらく皆さんのテストコースってあると思いますね。さしずめ、こ~んずさんなら農道-林道-あぜ道-農道でしょうか(爆)ってグラベルばっかり・・・。

  • 2012/06/15(金) 12:23:07 |
  • URL |
  • 510190 #-
  • [ 編集]

先週、お見かけしたのはこの回のためだったのですね!P-D号の幹事長ダス!確かにEVO1はドッカンTURBOです。しかしアタシのはサブコンAFC+BMC毒キノコ+EVCでかなりの過激ぶりです。工場長チューンはスゴイの一言!一度乗り比べてはいかがでしょう?

  • 2012/06/15(金) 21:56:42 |
  • URL |
  • P-幹事長 #-
  • [ 編集]

>P-幹事長さま
ありがとうございます。続編でお知らせしますが、Deltaは奥深いですね。
まずはノーマルのEvo1に乗ってみないと・・・(笑)。

  • 2012/06/15(金) 22:57:14 |
  • URL |
  • 510190 #-
  • [ 編集]

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今回のデルタ試乗(名前が長いのでこの記事でのデルタとはDelta Integrale 16V Evoluzione Ⅱのことです)はいつもの初期化のためのテストドライブと異なり、そのクルマがどういうクルマなのかを感じるための試乗ですので、自分のアタマの中のチェックリストを一旦白紙に?...

  • 2012/06/19(火) 06:56:04 |
  • まとめwoネタ速neo

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