走ってナンボ

アルファ・ロメオを始めとする「ちょっと旧いイタ車」を一生懸命維持する中での天国と地獄をご紹介します。

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貴族の矜持

日本で暮らしていると「階級」を意識することはまずありません。特にその貧富ではなく、出自に基づく「階級」という考え方は現代の日本においては一般的ではなく、唯一あるのが皇室と皇族と呼ばれる方々で、それ以外は例え旧華族や士族であってもそれは「階級」ではなく、単なる「良家」程度のものでしょう。

しかし、ヨーロッパにおいてはこの「階級」が根強く残っており、それを垣間見ることができるものの一つがクルマではないかと思います。ご存知のように、ヨーロッパで発明された自動車は「馬車」の代わりとして発達し、自由の国「アメリカ」のヘンリー・フォードによって大量生産されるまでは、限られた「階級」の人々の乗り物でした。それは馬車に替わる高貴な「乗り物」として発達し、物資の輸送にトラックが使われるようになるのはずっと後のことでした。

現在も自動車を生産しているヨーロッパの歴史の古いメーカーは皆、第二次世界大戦前はベアシャーシーとエンジンを供給することがメインで、そのボディ製造はコーチビルダーやカロッツェリアに任されていたのです。これらの「工房」はもともとは馬車を作ってきた職人の集団で、王族や貴族の乗る馬車を作っていたのですから、結果としてクルマは馬車と同様にオーナーの注文に応じて一台一台が別々に仕立てられてきたのです。

第二次大戦後にこれらの富裕層に以前のように自動車を購入する資金力がなくなり、皮肉なことに戦争により自動車が一般的になったことから、ヨーロッパで貴族を相手に自動車を作っていたメーカーはその路線を転換し、大衆のための自動車を製造することにより生き残りを模索するようになります。また従来のベアシャーシーに後からボディを架装するという製造工程から、シャーシーとボディが一体となって製造されるモノコックボディとなったことも、同種のボディ形式のクルマを大量に生産するという作り方を一般的にしました。

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この革命的な自動車の製造方法の変更は、ヨーロッパの自動車メーカーに大きな方向転換を迫ることになります。この流れに乗らなかった(乗れなかった)メーカーはその名前を残せればまだ良いほうで、多くのメーカーが吸収されたり倒産することになりました。
そんな少量生産の高級車メーカーから「見事に」量産車メーカーへの路線変更に成功したのがアルファ・ロメオで、一方で失敗したのがマゼラーティだったと言えます。アルファ・ロメオもマゼラーティも戦前はGPマシーンや高性能スポーツカーを生産し、そのエンジンとシャーシーを売ることによって名を馳せたメーカーでした。

アルファ・ロメオが戦後になって中産階級をターゲットにした量産メーカーに転進したのに対して、マゼラーティはあくまで高級GTカーの生産を続けます。結果としてマゼラーティ兄弟は経営権をオルシファミリーに譲り、後にO.S.C.A.社を設立するのですが、そのO.S.C.A.が生産したのも少量生産のスポーツカーでしたので、マゼラーティ兄弟が本当に造りたかったのはやはりスポーツカーで、高級GTカーなどではなかったのでしょう。

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しかし、マゼラーティ社は大衆車メーカーのフィアット、中産階級向けのアルファ・ロメオなどで占められた市場の「隙間」である「高級GTカー」というジャンルに自らの市場を絞り続けることになります。それは狙ったのか、それともそこしか生き残る道がなかったのかは定かではありませんが、後のマゼラーティのブランドイメージを決定することになります。
すなわち、マゼラーティは最初から高級GTメーカーであったワケではなく、ある意味「仕方なく」そうなったとも言えるのですが、そのマゼラーティのブランドイメージを引き継いだのは後に経営を引き継いだシトロエンであり、デ・トマソであり、現在のフィアットなのですからこの路線は決して間違ってはいなかったのでしょう。

このブランド毎に自動車市場の中で「棲み分け」を行うことは、ヨーロッパに残る「階級」と密接に結びついています。イタリアにおいてマゼラーティを選ぶオーナーは決して単なる成り上がりの「金持ち」ではなく、そうした単なる金持ちは「フェラーリ」を買えば良いと思われています。その出自と財力の両方を兼ね備えたヒトこそがマゼラーティのオーナーに相応しく、またマゼラーティに乗っているとそう思われるのです。
このブランドイメージこそが幾多の経営的な試練からマゼラーティを救ってきたもので、部品の品質や製造品質がどんなに悪く、性能的に他車に劣っていたとしても、マゼラーティであり続けることこそがマゼラーティを倒産の危機から救い続けて来たのです。

従ってマゼラーティが最も注力したのは、決してフェラーリとの最高速レースに勝つことでも、アルファ・ロメオのように「手頃なお値段」で買えるスポーツカーで市場競争をすることでもなく、必要にして充分なパワーを持つエンジンを載せたシャーシーに最高級の空間を組み合わせるという独自のスタイルで、後席に乗ることを好むオーナーではなく、自らステアリングを握るオーナーのための最上質なドライビングプレジャーを提供することにあります。

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マゼラーティのビトゥルボ系エンジンの持つ暴力的なツインターボによるパワーも、それはアクセルを踏み込んだときのある種の「非常用」で、日常領域においてはトルクでボディを押し出すタイプのエンジンは、発進から中間速度域までは実にジェントルな味付けがされています。
そしてやはり白眉なのはその内装で、それは一見すると「派手な成金趣味」と捉えられてしまいがちですが、贅沢なレザーの使い方や一枚板から加工されたウッドパネル。そして樹脂をそのまま見せるのは裸を見せるようなもので下品と言わんばかりのアルカンターラで全てが覆われたダッシュボードなど、そこには本当の「高級」とは何かを感じさせてくれる空間が設えられています。
これこそまさに「貴族の矜持」で、陽に当たるとダシュボードに張られたアルカンターラが剥がれてしまおうと、風合いを最優先したたためにジーンズを履いて乗降を繰り返しているとすぐに擦れてしまうほどの柔らかなレザーであっても、真夏の炎天下に晒し続けると艶がなくなり反ってしまうウッドパネルであっても、それがマゼラーティであり、その顧客である貴族たるものはそのような些細なことを気にしてはいけないのです。

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そんなマゼラーティを「白金台アルファロメオクラブ」の世話役であるZAGATORさんが新たに購入しました。そのお披露目が先日の「朝カフェ」だったのですが、クルマの詳細は氏のブログで詳細に説明されていますので、そちらをご覧いただければと思いますが、きっと氏であればこのマゼラーティを乗りこなして行くだろうと思います。
当日はかねてから約束していたZAGATORさんのもう一台の愛車であるアルファRZのミニチュアモデルを差し上げることができました。ちゃんとナンバープレートも愛車のものを再現しましたので喜んでいただけたのではないかと思います。

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そして私にとってもう一台のお披露目がこのクラブの世話役の一人であるK氏のALFAROMEO 939Spiderでした。定期的に「オープン病」に罹患するという氏も、これまでの愛車であったアルファ147GTAからの乗換えで、同じく納車記念としてミニチュアモデルを差し上げることができました。

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いつの時代でもアルファ・ロメオにとってSpiderというモデルは特別で、その乗り味は他社のオープンモデルとは一線を画しています。
アルファ・ロメオほどオープンカーを分かっているメーカーはないのではと思うのですが、そもそもSpiderのようなオープンモデルの場合は、どれだけ季節を感じながら気持ちよくドライブができるかが重要で、高速巡航性能や快適な空調の効いた室内空間が必要であれば、そもそもSpiderである必要はないでしょう。

Spiderのドライビングスタイルは自分の感覚とクルマの挙動をシンクロさせることにあります。そこには暴力的な加速も、どこまでも路面をグリップし続けるハードなサスペンスションも必要なく、風や季節の香りを感じながら、ヒラヒラと舞い落ちる花びらや落ち葉のようなドライビングができたときに初めてSpiderに乗っている喜びを感じることができるのです。

私を含めて仲間にこの「オープン病」が多いのは、どんなにインドア派であってもたまにはピクニックに出かけたくなるようなもので、それがいつの時代のアルファ・ロメオのSpiderであっても一度でもそれを感じたことがあれば、必ず禁断症状が出るものなのだろうと思います。

私たちにとってのクルマは単なる移動の道具ではないことはもちろん、そのクルマの持つ価格や性能による自己顕示でもありません。そのクルマとどう付き合い、どのようなセンスで乗りこなすことができるか・・・こそ重要で、そこには何かと比べたり、誰かと競ったりする相対的な「優劣」ではなく、自分の感性と向き合う絶対的な「価値観」こそが重要なのだと思います。

マゼラーティが持つ「貴族の矜持」と同様に、私たちはこの「クルマ好きの矜持」を持ち続けていたいと思います。

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コメント

有難うございました

マイナンバー付きのスパイダー有難うございました。
マセラティもアルファロメオも複数乗りましたが、①ハンドリング、②速さ、③非日常的な佇まいの優先順位で選ぶと結局アルファロメオに戻ってきちゃいました。②③は正直マセラティの方が魅力に溢れてますが、①はなぜかアルファロメオの方がしっくりくるんですよね。でも、ZAGATORさんの英断に触発されて、再び泥沼に嵌りたくなりました。

  • 2012/04/25(水) 01:15:07 |
  • URL |
  • 赤丹。@939Spider #D2os1cdk
  • [ 編集]

御礼

510さん
早々と赤丹。さんがコメントしているので消灯中ですが、慌てて(笑)
RZ、特注品をありがとうございました!しっかり飾らせて頂いております。良家、ましてや貴族では無い身分で、この様なQP嬢を維持出来るかは未知数ですが、何とか頑張ります!でも、現在RZもQPちゃんも、主人を真似てか既に入院中です(笑)
で、それにしても510さんのLancia、40-60kmからのレインボーブリッジ登りのスゥ~という加速、気持ち良かったなあ!ありがとうございました。
愛機共々、社会復帰しましたら、是非またご一緒下さい。 楽しみにしております。
本当にありがとうございました!

PS
赤丹。さんのようにQuattroporteを燃やさないように精進します!

  • 2012/04/25(水) 01:36:56 |
  • URL |
  • ZAGATOR #jhHw6g8s
  • [ 編集]

>赤丹さん
喜んでいただけたようで嬉しいです。
アルファ・ロメオに嵌るのは単にクルマを気に入るということではなく、アルファ・ロメオと共に暮らすライフスタイルが気に入っているからだと思います。恐らく、アルファ・ロメオは「癒し」であり「活力の源」であり・・・「回春剤」なのかもしれませんね(笑)。

  • 2012/04/25(水) 07:15:58 |
  • URL |
  • 510190 #-
  • [ 編集]

>ZAGATORさん
どうぞお大事になさってください。私たちもそろそろOHが必要な時期ですから(笑)。
階級のない日本でマゼラーティに乗るということは、その気概を持つことを求められると思うのです。アルファ・ロメオもマゼラーティもオーナーに媚びてくるクルマではなく、「乗るんだったらこう乗れ!」と主張して来ますから、こちらからクルマに合わせなければならない面があると思います。ですので、正直言ってマゼラーティに乗るには、「似合う、似合わない」があると思うんです。ZAGATORさんはちゃんと似合ってましたよ。

  • 2012/04/25(水) 07:22:19 |
  • URL |
  • 510190 #-
  • [ 編集]

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