走ってナンボ

アルファ・ロメオを始めとする「ちょっと旧いイタ車」を一生懸命維持する中での天国と地獄をご紹介します。

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悲劇のDelta ~メカニカルリセット 2~

このように「わたびき自動車」でボディリセットを行っている間に並行して、クイック・トレーディングではメカニカルリセットが行われているのですが、ボディは最終塗装前にクイック・トレーディングに一度戻され、リセットが完了したメカニカルパーツの搭載が行われます。
その際に足回りのリセットも行い、ボディに取り付けられることになるのですが、他のパーツと同様に足回りのパーツも殆ど全てがリセットされます。特に、足回りは経年劣化と走行距離によって最も消耗している部分ですし、またリセットの効果を実感できる部分でもあります。

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足回りもアームやリンクロッドまで全て分解し、部品のチェックを行いますが、特にブッシュやラバーブーツなどのゴム関係の部品はその殆どが交換されることになります。こうしたゴム類は経年劣化で必ずダメになる部品で、走行距離がいかに少なくても確実に消耗劣化します。

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中古車市場においては走行距離がクルマの程度の目安とされ、
走行が少ない個体=程度の良い個体=メンテナンス不要
と語られることが多いのですが、それらが全く当てはまらないのがこのゴム類で、製造から年数が経てば基本的には交換すべきパーツです。

中古並行のアルファ164Q4に8年間で15万キロ乗った感想ですが、クルマの消耗劣化は走ったことにより劣化するものと、走らなかったことにより劣化するものがあると思います。走って劣化する部分はクルマの設計段階で交換を前提に設計され、さらに補修部品も手に入れやすいのですが、走らなかったことより(走行に関係なく)劣化する部品は、劣化しないように設計段階で一体化されていたり密封されていたりしており、それを交換するとなるとASSY交換となってしまったり、部品が手に入らないといった思わぬ障害が立ちはだかることがあります。
一番良いのはコンスタントに適度に走っている個体で、初期化メンテナンスを前提とした場合では、製造年数X5000kmあたりが最もコンディションの良い個体ではないかと思います。

走行距離に全く関係なく劣化する部品の一例がこのエンジンマウントです。走行しなくてもエンジンはマウントに載っていますので、年数が経てばマウントのゴムは劣化し潰れてしまいます。マウントが潰れるとエンジンの高さが下がり、エンジンの振動が大きくなったりミッションリンケージの角度が変わりシフトフィールが悪くなったりします。Deltaの場合はラジエーターファンはラジエーターハウジングに取り付けられていますが、Giulia系の場合はファンがエンジン側に付いているために、エンジンの位置が下がるとファンの位置も下がり、最悪はハウジングにファンの羽が当たり、砕け散ってしまうこともあるそうです。

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そしてもう一つの例が配線部品です。イタリア車の配線は日本車と比較してその部品品質も製造品質も劣っており、新車のときからもトラブルの元となっていることはご存知のとおりですが、Deltaのようなエンジンルームの熱が抜けにくいクルマの場合は、その劣化がさらに進行しやすくトラブルの元凶となっています。

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リセットに際してはこれらの配線も全てチェックし、トラブルの元であるコネクターを極力、耐熱耐久性の高い国産部品に置き換えて行きます。
電気系統のトラブルはその追求が面倒で、配線を順番にチェックして行くという推理ゲームとなってしまい時間がかかるのが常なのですが、こうしてリセットの際にその問題を事前に対処しておくことにより安心して乗ることができるようになるとのことです。

金属パーツは全てチェックされた後にブラスト処理され再塗装され、ブッシュ類を全て交換します。

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またハブベアリングも基本的には交換されることになります。このベアリングも走行距離に関係なく劣化していく部品で、シーリングされたベアリング内のグリスは回転することにより潤滑性を保っていますが、一方で動かないままでいるとグリスは写真のように硬化してしまいます。

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Deltaのショックアブソーバーは入手難の部品ですが、KONI製、BILSTEIN製ともにオーバーホールが可能です。またクイック・トレーディングは秘蔵の?ストックパーツも持っているそうです。

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アッパーマウントは基本的にはウレタン製のブッシュでリプレイスするのですが、オーナーの希望でピロボール化することも可能だそうです。

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コイルスプリングは余程のことがない限り交換の必要はないとのことですが、乗り心地に影響するストラットブッシュなどは全て交換することにより新車の乗り味が戻ってくるそうです。

エンジンリセットの記事で書き漏らしたのですが、こうした部品は全てブラスト処理の後に再塗装されるのですが、オーナーの希望により保護メッキ処理も可能とのことです。実はこうしたメッキ処理は協力工場を見つけるのが難しく、持込部品のメッキはメッキ槽を部品から出る不純物で汚してしまうためにメッキ屋に断られるケースが多いのですが、クイック・トレーディングでは持ち込み部品を徹底的に洗浄し脱脂することにより(それでもメッキ屋にダメ出しされるそうですが・・・)、こうしたメッキ処理も可能とのことです。

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クラッチやブレーキの油圧シリンダーも経年劣化する部品です。これらもその後のトラブルを未然に防ぐために、交換されるかオーバーホールされ初期の機能を回復します。

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近代化のモディファイとしてはインパネ照明のLED化が挙げられます。イタリア車の場合はインパネ照明が経年劣化で(新車からとも言えますが・・・)暗くなってしまい、製造年数によってはそろそろ球切れの連鎖に見舞われる時期です。これはオプションだそうですが、基盤の配線を作り直してLED化をしているそうです。

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LEDの光色も選べますし、ちゃんと照度の調整も可能とのことですので、今後はリセットに際しては多くのオーナーがLED化するのではないかと思います。

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ブレーキパーツも全てオーバーホールされるのですが、Deltaのリアブレーキキャリパーは欠品となっています。クイック・トレーディングでは独自のルートでこのキャリパーを確保しているそうです。重要保安部品ですので、不安を抱えたままでは安心して乗ることはできませんので、こうした部品を安定して確保していることはリセット作業を継続して行うことができる前提となっています。

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そしていよいよボディにリセットしたエンジンやミッションなどのメカニカルパーツを取り付けて行きます。
殆ど全てのパーツを再度取り付けるのですから、それは製造工場の最終アッセンブリー工程のようなものなのですが、それが個々に分業化されたライン作業ではなく、原則として一人のメカニックにより行われるのですから、要求される技術はワンオフでクルマを製作するようなものでしょう。

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こうしてエンジンや足回りが再度搭載されたボディはわたびき自動車に戻されて、最終塗装の仕上げ工程に移ることになります。

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テーマ:イタリア車 - ジャンル:車・バイク

コメント

510さん、
勉強になります。ご承知の通り、10数年前まではQuickさんにお世話になっており、その後ご無沙汰なのですが、(都営三田線の橋脚耐震工事か何かでお店のショールームが模様替えになった時期でしょうかね。。)その後、友人から”リセットカー”のDELTAを購入したいのだがと相談され、金額を聞いて「高っ!」と唸ってしまったのですが、このような内容を拝見してしまいますと、納得というか本来、幾らお金を出しても買えない”ノウハウ”や愛情、そして執念(笑)があってのことで、お金ではなく”時間”という資源を費やした賜物であり、これは素敵なプログラムですね。次回からは勧めます!(尚、その友人は結局、象さんから蠍さんになりました。)
メカニカルセンスZEROの私にとってはLED化が「!」と来ました。余談ですが、ES30のパワーウインドウスイッチは常時”点灯”でして、熱くて触れない程になることもあり、LED化されたこのが購入できます。私は現在は球を抜き、予備でLED化されたスイッチを購入しているのですが、LEDをインパネにあしらうとは、素敵ですね。特にこのブルー、カッコイイです。
このような主治医の愛情溢れる施しを受けたクルマを所有できるオーナーもまた、羨ましい限りです。

続編を期待しています!

  • 2012/03/11(日) 16:51:00 |
  • URL |
  • ZAGATOR #jhHw6g8s
  • [ 編集]

>ZAGATORさん
そのクルマにどれだけコストをかけるか・・・はそのかけ方を含めて、私たちクルマ道楽?の志にとっては最大の悩みですよね。リセットDeltaのValue for Costについては今回の一連の記事でご理解いただけたかと思うのですが、一方で「Deltaそこまで・・・」という方もいらっしゃるでしょう。その辺りの考え方については最終回で考察して見たいと思っています。
LEDはまだまだ進歩すると思いますが消費電力、発熱、耐久性などこうした手の届きにくい箇所の照明にはもってこいですね。恐らく基盤の加工でどのインパネ照明にも対応できるかと思いますので、主治医のメカの方にご相談されてはいかがでしょうか?レインボーカラーなんてのも可能ですよ(笑)

  • 2012/03/11(日) 20:27:44 |
  • URL |
  • 510190 #-
  • [ 編集]

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