走ってナンボ

アルファ・ロメオを始めとする「ちょっと旧いイタ車」を一生懸命維持する中での天国と地獄をご紹介します。

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悲劇のDelta ~エンジンのリセット~

わたびき自動車でボディリセットを行っている間に、クイック・トレーディングではメカニカルリセットが行われます。メカニカルリセットはエンジンだけでなく、ターボチャージャー、ミッション、デフに至るまで全て分解され、さらにラジエーターからエアコンやヒーターコアなどの補器類も全て取り外してチェックされるために、当に「バラバラ」の状態となります。
メカニカルリセットの考え方はあくまでメカニカルパーツを設計時の品質基準に近づけるというもので、オーナーの希望によるチューンアップはあくまでオプションというのが基本です。

まずはエンジンのリセットですが、イタリア車に限らず量産エンジンには製造公差があり、必ず部品のバラツキが存在します。エンジンのリセットに当たっては、部品を分解洗浄して単にリフレッシュするだけでなく、これらの製造公差を極小化し、再度規定値で組み上げることにより、エンジンがファインチューンされることになります。これだけでも効果絶大で、私自身もアルファ164Q4のエンジンをクイック・トレーディングでヘッドオーバーホールしてもらった際にそれを実感することができました。今でも覚えていますが、オーバーホール後に最初に試運転をして近所を一周して帰ったときの私の第一声が・・・、

「何かやったでしょ?」

でした(苦笑)。

寺島社長によると、このファインチューニングの効果が高いのがイタリア車のエンジンで、言い換えればそれだけ製造公差が大きいと言え、ポルシェのエンジンに同様のファインチューニングを施しても、もともとの公差が少ないためにイタリア車ほどの効果は出ないそうです。寺島社長はさらに、

「吊るしのフェラーリ328のエンジンと同じ排気量のアルファ156GTAの3.2L V6エンジンとを比べると、このファインチューニングを行えば、確実にアルファ・ロメオのV6エンジンの方が性能もフィーリングも良くなる」

とのことですので、おそらく私たちは今まで新車であろうと中古車であろうと、本当のエンジンの実力を知らずに過ごして来たのかも知れません。

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ボディから下ろされたエンジンはまずヘッドとシリンダーブロックに分離され、ミッションケース、オイルパンを始め補器類が取り外されます。

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エンジンパーツはさらに分解され、クランクシャフト、メタル、ピストン、コンロッドと部品毎に洗浄され、測定チェックされて引き続き使用できる部品と交換しなければならない部品に分類されます。

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どんなにオイル管理を行っていても、シリンダーブロックの内部やバルブ周辺はカーボンが付着しドロドロに汚れています。

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ピストンの洗浄前と洗浄後です。

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付着したカーボンは単に汚れているという問題だけでなく、異常燃焼の原因にもなりますので、洗浄だけでも効果があるのですが、さらに傷や磨耗のチェックを行い、必要であれば交換を行うこととなります。

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クランクシャフトも同様に洗浄して計測チェックを行います。クランクシャフトそのものはまず磨耗することはありませんが、クランクシャフトが磨耗するとメタルとのクリアランスが大きくなり、エンジンの異常振動を起こします。またオイル管理が悪かったり、高回転でオイル切れを起こすとメタルが消耗しているケースがあります。エンジンリセットに際しては、メタルは消耗品と考えて全て交換します。

またピストンやコンロッドも同様に測定チェックを行いますが、ピストンリングは全て交換します。

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測定チェックに当たっては傷だけでなく、その重量もチェックしてメーカー基準値内であるかどうかを確認します。

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WRCワークスカーのエンジンはその基準が更に厳しく、所謂、「バランス取り」されており、部品レベルから全くの別物と言えるのですが、オーナーの要望があればメーカー基準値以上の精度でのバランシングも可能とのことです。

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仮にシリンダー内部に傷があったりした場合にはボーリングによりその傷を取り除くことになるのですが、そうした場合は、最悪シリンダー径が大きくなってしまい、ピストンクリアランスが大きくなり過ぎるような場合は全てのピストンをビッグボアのタイプに交換することになってしまいます。

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この写真は違うDeltaのシリンダーですが、螺旋状のスジはピストンリングのガイドで問題ないのですが、赤丸で囲った縦の傷は圧縮が抜ける可能性がありますので研磨する必要があります。

また走行の多少に関わらず、製造から年数が経てば必ず劣化する部分の例が下の写真の例です。

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この部分はエンジンを取り外してミッションケースを外さなければ見えない部分で、ご覧いただいた通り冷却水が漏れ出し、バランサーシャフトのシールはグリスが硬化しています。

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これらはリセットでミッションケースを外すことにより、初めて交換できる部分です。

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このように最初に分解してチェックをすることにより、リセットの全体の工期とその費用を早期に見積り、それを基にオーナーと打ち合わせをするために、ボディリセットと同様に「どこまでやるか・・・」を明確にしてからの作業となります。

一方で、エンジンヘッドはカムシャフト、バルブなどの部品を取り外されて、表面研磨「面研」という作業を外注である金属加工の工場で行われます。

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バルブも同様に洗浄してその重量を計測しチェックします。

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Deltaのエンジンの問題はバルブガイドで、純正品の材質はあまり良いものではなく、現在供給されている部品も同様に品質に問題があるために、クイック・トレーディングは独自に製造した合金製のバルブガイドに交換するそうです。

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こうした部品は単に新品に交換すれば良い(それでもしないよりマシですが)ものではなく、Deltaのエンジンを知り尽くしているとそのウィークポイントが分かっているために、こうした対策を施せるのだと思います。

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面研されたヘッドにバルブをすり合わせながら組み付けて行きます。

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さらにカムシャフトを組み込んで、タペットのシムを交換し調整して行きます。

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当然のことながら通常のタイミングベルトの交換作業で行われる、テンショナープーリーやウォーターポンプも交換します。

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Deltaのエンジンで外観上の問題はこのヘッドカバーで、熱で塗料が剥げてしまい、すいぶんとみすぼらしくなってしまいます。折角、リセットするのですから外観上も美しく戻したいものです。

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まずはヘッドカバーの耐熱塗料を剥離します。

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改めて、耐熱塗料の下地を塗装し、

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ちゃんと元通りにマスキングして塗り分けて仕上げます。耐熱塗料はオリジナルよりも現代のものの方が品質が優れていますので、リセット後は以前のようにすぐに剥げることはありません。また、オーナーの希望により色を変えることも可能で、打ち合わせ時に相談に応じるとのことです。

メカニカルリセットはこのように全てを分解して行われるのですが、再度組み上げる技術がなければ分解することはできません。また単に消耗した部品を交換するだけでは、元々の弱点を克服することにはならないために、リセット作業に当たっては、エンジンに限らず全てのユニットが、
分解→洗浄→点検/計測→部品交換/対策→規定値で組付
というサイクルで行われます。

さらにこのサイクルで、「ここまでやるの?」というレベルでメカニカルパーツのリセットは続きます。

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テーマ:イタリア車 - ジャンル:車・バイク

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  • 2012/02/27(月) 10:13:40 |
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