走ってナンボ

アルファ・ロメオを始めとする「ちょっと旧いイタ車」を一生懸命維持する中での天国と地獄をご紹介します。

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悲劇のDelta ~事故修復の後始末~

リセット作業はまずクイック・トレーディングで全体のチェックから始まります。そしてエンジン、ミッション、デフといったメカニカルパーツとジェネレーター、スターターモーター、エアコンユニット、パワステポンプ、ラジエーターなどの補器類をボディから取り外し、さらに内装のリペアを行う場合はそれも取り外してから板金塗装工場にボディを送ります。

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最終的には足回りもリセットするために取り外すのですが、それでは移動ができなくなってしまいますので、最低限クルマを移動させることができるだけのパーツを残しておきます。
板金塗装工場はこれからのボディ修復に備えて、ガラスウインドウ(専門の業者が別途行います)、スポイラーやウインドウモール類、ライトユニット、ドアノブなどの樹脂パーツ、エンブレムなどを全て取り外します。
さらにボディの歪みをチェックし、今回のように修正が必要な場合は修正機に載せるために、ここで足回りも取り外してしまいます。足回りの取り外しはクイック・トレーデンングのスタッフが板金塗装工場に出向いて行います。

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外した足回りはオーバーホールされボディ完成後に再び取り付けられることになります。

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マフラーもこのように腐食が進行していましたので、交換しなければなりません。

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今回のボディ修正に当たってはリアセクションの腐食が酷く、とても修正で引っ張ることができませんでしたので、その腐食した部分を切り取らねばなりませんでした。
これは明らかに最初の事故修復の二次災害で、防錆処理をせずに取り付けられたリアメンバーがまず腐食し、その腐食がパネルに進行したものと思われました。新品のリアメンバーもこのようにグサグサになっていました。

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そしてさらに腐食が進行して、最終的にはリアエンドのアンダーパネルに及んでいました。
こうなると最早、リペアは不可能ですので、リアエンドのパネルから後ろ部分を移植するしかありません。

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モノコック構造のボディは構造上、車体の剛性に影響しますので、単に腐食した部分のみをリペアすれば良いというものではなく、場合によってはその応力を担っている部分全体を補修しなければなりません。
今回、切り取ったリアエンドのパネル部分は剛性に影響を与えている部分ではなかったのですが、切り取らざるを得なかったために、クイック・トレーディングは在庫していたDeltaをドナーにすることを決断します。そうするとこのドナーは廃車にするしかないのですが、そのクルマからパネル以後を切り取って移植することとなりました。

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単に移植と言っても、切り取った部分をそのまま溶接することはできません。移植する部分はあくまで一部であり、ドナーのパネルも全く腐食がないものではありませんので、当然ドナーパネルの補修を行う必要がありました。

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この作業はこれからのボディリペアの基本作業となる工程です。まずは腐食している部分をブラスト処理して腐食部分を露出させます。

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この段階で、鉄板を残すか切り取るかを決定するのですが、このパネルは腐食が進行していたために部分的に切り取るしかありませんでした。

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切り取った部分は別の鉄板で新たに作成し、溶接して再生します。

このような平板な部分はまだ良いのですが、腐食している部分は平板ばかりではありません。リアエンドのサイド部分も同様に腐食が進行していたのですが、ここは移植することができませんので、再生処理を行うことになります。

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いかに繊細な作業であるかがお分かりいただけると思います。常に原形に忠実に、元々はプレス成型されたパネルを手作業により再生して行きます。

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一方でアンダーボディを縦に走るメンバーはボディ剛性を担う重要な部分です。幸いなことにここには大きな問題はありませんでしたが、リアからの腐食がエンドの部分に及んでいましたので、同様に再生処理を行います。

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これでようやくリアパネルを移植することが可能になります。

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手作業で再生されたパネルは、このように原形に忠実であるが故にフィッティングには何の問題もありません。
しかし、一旦塗装してしまえばこれらの作業の結果を見ることはなく、こうして過程を撮影していなければ陽の目を見ることのない作業です。ボディのリセットはこうした「見えない作業」の積み重ねであり、そこに板金塗装工場の知られざる作業品質があるのです。

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さらにトーイングフックのあるリアエンドを溶接して取り付けてリアセクションの補修は完了です。

しかし、追突のダメージはボディの歪みだけではありませんでした。リアのタワーポストやタイヤハウスにクラックが入っていたのですが、水が溜まりやすい場所であるため、ここを放置すると腐食の原因となりますので、同様に補修を行います。

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普通の事故修復であれば亀裂にコーキング剤を塗りこんで塗装するでしょう。それだけでも立派な事故修復と言えるのですが、表面にクラックが入っているということは袋状になっている内側にもクラックが入っているはずです。しかし、その部分は外から見ることができないのです。
わたびき自動車ではわざわざ外板を切り取ってその内部にも防錆処理を施します。

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切り取った外板は同様の鉄板を切り出して補修します。

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さらにつじつま合わせのために曲げられてしまったリアゲートも元に戻す作業が加わります。

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写真は作業の内容が分かりやすいように工程を前後させていますので、リアセクションのパネル修復前の状態ですが、ボディを修正すると、当たり前ですがリアゲートのチリも全く問題なく合います。

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ボディ表面は最終的に全塗装を行いますが、ここでリアセクションに防錆処理を施します。

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サーフェイサーを塗り、下回りは上塗り塗装を行います。

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ドナーのDeltaの塗色はレッドで、Collezioneのレッドはダークレッドですので、どの部分を移植したかが分かるかと思います。

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この後に全体のボディ修復を行ってから表面塗装に移るのですが、事故のダメージを修復するのであれば、ここまでやって初めて「現状に復した」と言えるので、この作業のコストは相手方に請求できる作業です。もちろん保険会社に対しての説明は必要ですし、保険会社の査定部門の見解が異なっていたり、クルマの残存価値との修復コストの比較をした上での妥協はあるかも知れませんが、私たちユーザーからするとブツけられた愛車を修復するに際して、この作業を要求することはちっとも不当だとは思えません。しかし一方で、ここまでの作業ができる板金塗装工場は限られてしまうのも現状だと思います。

この作業ができるのは、この作業品質を常に維持することができる技術力と、その資金的な裏づけを保証することができるメンテナンス・ガレージとの連携が必要不可欠で、綿引自動車においてはこの作業は「当たり前」で、特別に手をかけたわけではなく、日常の修復作業なのです。
板金塗装作業の実態があまり表に出ることがなかったのは、この作業者側の「当たり前」という認識も関係しており、「当たり前」のことを声高に語る必要はないと考えて来たからではないかと思いますが、一方で私たちオーナー側からするとその、「当たり前」がちっとも「当たり前」ではなく、板金塗装作業の実態は当に「当たり前」が工場によって異なる、「ピンキリ」の状態であることが今回の取材でよく分かりました。

さらにボディリセット作業は続きますが、この品質基準で行われるボディのリセット作業は、一般の板金塗装工場とは明らかに異なる手間と技術を必要とする作業です。

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テーマ:イタリア車 - ジャンル:車・バイク

コメント

板金作業の工程を見たことがなかったのですが、大変な職人技を求められるんですね、ちゃんとした修復を行おうとすると。一度自分もスパイダーSr.4のフロント部分を大破して、永久ボディにお願いしたところ、凄い値段を求められましたが、エンジンルームから板金の跡が見られぬ見事な仕事っぷり、綺麗な叩き出しの処理にビックリしました。

  • 2012/02/19(日) 00:13:30 |
  • URL |
  • 赤丹。@ALFA147GTA #D2os1cdk
  • [ 編集]

>赤丹さん
板金作業は殆ど表に出ることがなく、こうして写真を撮られることも稀ですので貴重だと思います。業界の方もあまりご存じないかも知れませんね。
まだまだ超絶の職人芸をご紹介して行きますのでお楽しみに・・・。

  • 2012/02/19(日) 12:48:02 |
  • URL |
  • 510190 #-
  • [ 編集]

徹底的にやるんですね~
きっと料金は目ん玉飛び出まん円なんでしょうね。
それにしてもこのデルタは幸せもんですね、これだけ手間かけてもらえるのだから。
完成までのレポート、楽しみにしております。

  • 2012/02/20(月) 10:19:51 |
  • URL |
  • なごやまる #-
  • [ 編集]

>なごやまるさん
確かにお値段の絶対額は結構な金額ですが、作業の内容と時間で割り返せば随分とリーズナブルだなと言うのが実感です。ホンキで一生モノと考えるのであればこうしたボディリセットは「アリ」だと思いました。

  • 2012/02/20(月) 20:35:33 |
  • URL |
  • 510190 #-
  • [ 編集]

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