走ってナンボ

アルファ・ロメオを始めとする「ちょっと旧いイタ車」を一生懸命維持する中での天国と地獄をご紹介します。

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悲劇のDelta ~ボディリセットの神技~

さらにボディリセット作業は続きますが、この品質基準で行われるボディのリセット作業は、一般の板金塗装工場とは明らかに異なる手間と技術を必要とする作業です。

事故とは無関係だと思われましたが、サイドシルに小さな腐食が発見されました。ここもサイドスポイラーを取り付けたままだと見えない部分で、腐食を見逃しやすい箇所だと思います。

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このような小さな腐食もそのままにしておくとすぐに進行してしまいますので、補修をしておきます。

そしていよいよフロント部分とフロアパネルのリセットに取り掛かることになります。
ボディチェックの際に判明していたのですが、フロントの錆はフロントフェンダーの前内側とストラットタワーケースに集中していました。これらの箇所は走行中に跳ね上げた雨水が溜まりやすく、抜けにくい場所ですのである程度の腐食は仕方ない箇所でもあるのですが、一方で構造が複雑で、剛性を損なわないようにしながらの補修には、どこまで切り取って新しく鉄板を製作するかが微妙な部位でもあります。

まずはフロントのエンジンルーム周辺です。

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これらの腐食箇所はリアセクションと同様に、「丁寧に」、「原形に忠実に」複製され、溶接されていきます。
膨大な資料写真がありますので、能書きは置いて写真でその作業をご覧に入れたいと思います。

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ボディを構造体と考えて、見栄えのためだけでなく、その剛性を回復させるためにリセットをする例の一つが以下の作業だと思います。

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この腐食の穴は表面上はこの程度で、通常であれば上から鉄板で補強し溶接することにより補修されるものですし、それでも充分丁寧な作業だと言えるでしょう。

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しかし構造体であるが故に、この部分に穴が開くほど腐食しているとすればその内部にも腐食が及んでいることが想像できます。そしてこの部分はエンジンを支えるマウントに繋がる部分で、ここが腐食しているということはエンジンを保持する剛性に大きく影響していることが分かります。

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案の定、内部のブラケットは腐食によりその役目を果たしていませんでした。

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ブラケットの強度を保つために、鉄板の切り継ぎを行います。

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その強度を維持することを考慮して、この部分の溶接はスポット溶接ではなく完全に繋げるよう行います。

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このように鉄板を使って腐食した箇所を忠実に手作業で複製します。そしてその部分を溶接でボディに取り付けて行きます。

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ストラットタワーケースの腐食の修復完了です。複雑な形状であることと内部の腐食のために実に細かい作業となってしまいました。さらにボディ下部のリップ部分の腐食も修復して行きます。

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続いてフロアパネルです。その修復のためには内装を全て取り払う必要があります。自分自身でやられた方もいらっしゃるかと思いますが、こうした樹脂パーツを外すのはコツを必要とし、破損させないように外すのも一苦労です。

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ジャッキポイントも潰れてしまっていました。ここも新たに作成して修復します。

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フロアの水抜き穴は腐食しやすい部分ですが、ここもちゃんとキャップを複製します。しかも、爪まで忠実に複製していることがお分かりいただけるかと思います。

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防錆塗装を行った後はさらに防水シールを腐食しやすい箇所に施します。再び腐食することがないように万全の対策を施しておくことにより、リセットされたボディは単なる復元ではなく、こうした新しい対策が施された「新車以上」のボディに生まれ変わるのです。

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アンダーコートはここで行います。

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ボディの補修箇所は最後の全体塗装に備えて前もってサーフェイサーを塗装しておきます。

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ボディのリセット作業は地道な作業の積み重ねであることがご理解いただけたかと思いますが、それらは決して手間をかければ出来るものではなく、材料である鉄を知り尽くし、経験から見えない部分の腐食を予想し、ボディ構造とその各部の役割を理解するとともに、様々な溶接技術を用いて強度剛性を損なわずにボディを修復することができる板金技術を持つ工場だけが行うことができる作業なのです。

こうして出来上がったボディはいよいよ塗装に移るのですが、その模様は改めてお知らせしたいと思います。

尚、今までの記事で「綿引自動車」と書かせていただいていましたが、正しくは「わたびき自動車工業株式会社」の間違いでした。社名を間違えるのは大変失礼なことで、関係者の皆様にはお詫びの言葉もありません。ここに謹んで訂正させていただくとともに、過去の記事の表記も訂正させていただきました。

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テーマ:イタリア車 - ジャンル:車・バイク

コメント

この手間はすごいですね。
「今回だけやってください。」なら、引き受けるところはありそうですが、
これを商売としてやろうと、わたびきさんの協力をとりつけられるところがすごいと思います。

  • 2012/02/23(木) 07:40:06 |
  • URL |
  • S氏 #-
  • [ 編集]

ス・ゴ・イですねぇ~

このような作業中の写真を拝見すると、気が遠くなるような気がしてきます。
でも、これだけ丁寧に仕上げてもらって、しかも、その内容を知ることができたオーナーさんがうらやましいです!

  • 2012/02/23(木) 12:44:30 |
  • URL |
  • No.12 #-
  • [ 編集]

>Sさん
そうなんですよ。これが日常の「当たり前」として行われる作業であるところが本当に凄いことだと思います。
費用と時間は別にしても、「治せないものはない」というのも頷けますね。

  • 2012/02/23(木) 20:28:43 |
  • URL |
  • 510190 #-
  • [ 編集]

>No.12さん
確かに、板金塗装作業は「出来ました」と言われて、「ありがとう」で終わってしまうことが多いように思います。外装の塗装に関してはイロイロと一家言ある方も、中味は・・・というともはや確認できませんから信用するしかないというのが実態ではないかと思います。しかし、記事に書きましたように、「ちゃんと治す」という基準が分からなければ、私たちにとってはどこまで修復したのかが分からないんですよね。

  • 2012/02/23(木) 20:34:08 |
  • URL |
  • 510190 #-
  • [ 編集]

いつかは旧車、と考えている者にとっても身につまされるシリーズでした。
いいショップ、ひいてはいい人に巡り会わないと車の維持(リセッティング含)ってむつかしいですね。

  • 2012/02/24(金) 12:27:49 |
  • URL |
  • pekepeke #-
  • [ 編集]

>pekepekeさん
旧車はもっと楽だと思いますよ。一番難しいのが80年~90年代のクルマでしょう。この取材はまだまだ続き、これからメカニカルリセットのお話をお届けしますのでお楽しみに~。

  • 2012/02/24(金) 22:39:08 |
  • URL |
  • 510190 #-
  • [ 編集]

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