走ってナンボ

アルファ・ロメオを始めとする「ちょっと旧いイタ車」を一生懸命維持する中での天国と地獄をご紹介します。

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筆塗りだけでの模型造り ~その伍~

いよいよ最終仕上げですが、1/72スケールの大戦機製作上の最大の問題が風防(キャノピー)の塗装ではないかと思います。
現代と違って昔はプレキシガラス(アクリル)の素材や成型技術が発達しておらず、キャノピーは平面に近い状態のガラスをフレームで組み上げた状態でした。戦闘機にとって、敵よりも先に相手を見つけるためには、コクピットからの視界は重要ですので、このフレームは視界の妨げになり実に邪魔なものなのです。
第一次世界大戦で活躍した複葉機からよりスピードの出る単葉機の時代になっても、パイロットはその視界の悪さを嫌い、例え風雨に晒されたとしても風防のないコクピットを好んでいましたし、現代のようにレーダーで敵を捕捉するジェット戦闘機でさえ、目視による会敵は重要で、その視界を確保するためにフレームのないドーム型のキャノピーにパイロットは半身を晒すほどの姿勢で乗り込んでいます。

実例をご紹介しましょう。第二次世界大戦の戦闘機の中でも最良の中の一機である米軍のP-51 マスタングですが、その初期型であるB/C型までは写真のように風防はフレームで囲われており、さらにファストバックと呼ばれる後方視界が限られてしまうタイプのスタイルでした。

P-51B.jpg

当然、この風防はパイロットには不評で、機体を供与されたイギリス空軍は、独自にその中央部をバブル型のタイプに改良しました。これは設計したロバート・マルコム技師の名前を取って「マルコム・フード」と名付けられたのですが、パイロットにも好評であったために米軍も配備済の機体を含めてこのタイプに改造しました。

P51BMalcom.jpg

そして後の発展型であるD型では完全にバブルタイプのキャノピーに改良され、パイロットの視界は劇的に改善されることになりました。日本では最後まで対応できるアクリル材料とその加工の技術がなく、このバブル型のキャノピーを採用することができなかったのです。

P-51D.jpg

さて、零戦のキャノピーのフレームは機体色で塗られていましたので、モデルではそれを塗り分ける必要があります。
これにも幾つかの方法がありますが、基本的には細かくマスキングするかフリーハンドで塗るかに大別されます。マスキングも当然、この零戦のような細かいフレームで構成されている場合は面倒で、特に1/72スケールともなるとあまりに細かくなりすぎてしまい、マスキングテープをカットする際に傷をつけてしまったりする失敗の可能性も大きくなります。

Zero042.jpg

幸いなことに・・・というか、きっと意図的なのだと思いますが、このキットのキャノピーはフレームのモールドが凸型で再現されていますので、今回はマスキングをせずにフリーハンドで筆塗りしてみようと思います。
面相筆でフレームを塗る場合はまず下部周辺のフレームを塗ってから、前部、中央部、後部とブロック毎に塗るようにします。

Zero043.jpg

少々はみ出しても塗料が乾燥した後に、爪楊枝の先をデザインナイフで斜めに削って極細のヘラを作り、それにシンナーを含ませて削れば、ハミ出した塗料を剥がすことができますので、あまり怖がらずにむしろエッジが波打たないように心がけながら塗装します。

Zero044.jpg

クリアパーツですので接着には充分注意して、サラサラタイプではない普通の接着剤をチョンチョンと点付けして接着します。もちろん一番良いのは、前回ご紹介した水性の速乾クリアの接着剤を使うことですが、わざわざ購入しなくても、通常のプラモデル用の接着剤でも問題はありません。

Zero045.jpg

曲がってしまっていたプロペラは瞬間接着剤で矯正して組み立てます。プラスチック樹脂の材質もメーカーによって個性があり、このAIRFIXのプラスチックは適度な柔らかさを持っているのですが、それが仇になっているのが細かいパーツで、今回のケースの様に曲がってしまったり、エッジなどのモールドが少しダルな成型になっています。この辺りもメーカーの個性が反映される部分でしょうが、昔からAIRFIXのプラスチックはヤスリやペーパーなどで整形しやすかったのに対して、当時の国産のキットのプラスチック樹脂は硬く、部品をランナーから切り離す際に細かな部品はすぐに折れてしまったりしたので、そんなところでも「舶来上等」を実感したものでした。

最後に翼端灯を塗装して、後は主脚、尾脚、着艦フック、アンテナ、ピトー管などの小物パーツを取り付ければ完成なのですが、ナンと説明図に主脚の取り付け角度が指示されています。

Zero046.jpg

こんな注意書きがあるキットは初めてですが、考えてみると、そこまで厳密に角度を調整しなくとも、出来上がったモデルを着陸姿勢でディスプレイする場合に、この角度が狂っていると随分とイメージを悪くしてしまいますので、参考値としてでもこうして表示されているのは有難いことだと思います。しかし、分度器で角度を測ってまで取り付けるヒトはいるのでしょうか・・・(笑)

キットには「増槽」と呼ばれる落下式の外部燃料タンクも付属していますが、内地の練習機ですので今回は取り付けないことにしました。
そしてようやく完成です。
今までの製作中の写真では1/72スケールの大きさが実感できなかった方もいらっしゃると思いますので、参考までに横に缶コーヒーを置いて見ました。これでどの位の大きさか分かっていただけるのでは?と思います。

Zero047.jpg

1/72スケールはこうしてお気楽に造ってコレクションをするには最適なサイズですが、やはり小さいために細部の再現には限界があり、それを気にし始めると追加加工をして見たり、別売りのエッチングパーツやレジンパーツなどを使ってみたくなるのも人情だと思います。今回は筆塗りで塗装し、最小限の工具で組み立てるということをテーマにして製作しましたので、一切の加工はせずに、全てキットのパーツをそのまま使って組み上げました。危うくピトー管は金属パイプと金属線を使って置き換えたくなりましたがぐっと堪えました(笑)

そして造り上げて見た感想ですが、私のような老眼モデラーが(苦笑)、1/72スケールの飛行機を造るのであれば、一機をあまり深追いして追加工作をせずに、むしろ様々な機種を数多く作って楽しむ方が精神的にも健全ではないかと思います。
その意味でも、AIRFIX社からこれから発売されるであろう新金型のキットは、パーツの精度も良くストレスなく組みあがりますし、筆塗りに適した適度な深さのスジ彫りと上質なカルトグラフのデカールに加えて、爆安価格ですのでオススメできるキットだと思います。

Zero048.jpg

Zero049.jpg

Zero050.jpg

筆塗りの塗装でも、機体表面に様々な技法を使って「使用感」を表現することにより、このような小さなキットでもオモチャっぽくなるのを避けられたのではないかと思います。

Zero051.jpg

Zero052.jpg

写真では分かりにくいのですが、零戦の特徴でもある主翼の「捩り下げ」と呼ばれる微妙な角度もちゃんと再現されています。正直言って、これには本当に驚きました。AIRFIX恐るべし・・・です(笑)。

Zero053.jpg

Zero054.jpg

しかしながら、こうして書くのは簡単ですが、やはり筆による塗装は塗料の濃度調整や筆運びなど、多くの部分に「手の慣れ」が必要で、しばらくプラモデルを造っていないとこうした手先の感覚が鈍ってしまい、再び思い出すまでには失敗を繰り返すこととなってしまいます。
様々な分野の職人の手先が超人的な技を生み出しているのは、決して才能や訓練だけではなく、毎日の作業でその手が慣れているからで、ブランクが開いてしまうと職人もやはりその手先の感覚を戻すのに苦労するそうです。

久しぶりに筆塗りをやって見ましたが、やはりプラモデル造りの原点は筆塗りだと思います。私たちの年代のモデラーは皆、お小遣いをためて塗料を買って、はみ出た接着剤でベトベトになったプラモデルに、学校で使う図工用の丸筆一本で塗料をベタベタと塗るところから始めたのです。

よく、「昔はよく造ったけどなぁ・・・」と嘆いている「引退モデラー」の方がいらっしゃいますが、昔と比べるとキットも工具も確実に進歩しています。不思議なもので、自転車のように一度身体が覚えたその感覚は、僅かのリハビリ?と練習で取り戻せますので、その「手の感覚」さえ戻れば確実に昔よりも上手く造ることができるはずだと思います。

今回のAIRFIXのキットと基本的な工具や塗料を買い揃えても、総額で3,000円もあれば充分でしょう。
老眼だから・・・とアキラメずに、良く出来たこのような簡単なキットからまた造り始めてはいかがでしょうか?

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コメント

視界の話を聞くと黙ってられません。
私の好きな雷電なんか最悪だったと思います。

ところで筆塗りうまいですね。
私も中学生のころ1/700のスクラッチ戦闘機は筆で塗ってたんですが、
そのせいか大面積は筆で塗れなくなってしまいました。
基本にのっとって縦塗り→乾燥→横塗り重ねってやるんですが
塗り重ねの時に先に塗った縦塗り部分を溶かしてしまって
ああっ!ってなります。それ以来エアブラシに頼りっきりです。
尤も一番最近で色塗ったのは5~6年前ですが・・・。

  • 2012/02/08(水) 09:16:47 |
  • URL |
  • S氏 #-
  • [ 編集]

>Sさん
「雷電」に限らず、ファストバックの機体は後方視界は悪いでしょうね。イギリス機やアメリカ機にはバックミラーがついていますが、そんなものでは視界が限られたでしょう。だからこそ、無線で僚機と編隊戦闘を行ってお互いに後方をカバーする戦法が発達したのだと思いますが、当時の日本の航空無線は、エンジンからの電気的なノイズを拾ってしまい(コンデンサーがボロ?)、地上のテストではなんとかOKでも、空中戦のさなかで全速飛行をしたり、アクロバット飛行をしているときには殆ど役に立たなかったと言われています。
筆塗りは少しの練習で上手くなると思いますので是非チャレンジしてください。

  • 2012/02/08(水) 20:32:48 |
  • URL |
  • 510190 #-
  • [ 編集]

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