走ってナンボ

アルファ・ロメオを始めとする「ちょっと旧いイタ車」を一生懸命維持する中での天国と地獄をご紹介します。

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ストラトスの苦難3 ~復活への路~

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クイック・トレーディングで詳細にチェックして見ると、そのダメージは思ったよりも深刻なものでした。
リアカウルは大破し、その衝撃は一部コクピット部分のある中間セクションにまで及んでいました。しかし、幾つかの不幸中の幸いによりそのダメージを減じていたことも分かりました。

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その一つ目の不幸中の幸いは、意外にストラトスのボディ構成だったのです。それはリアカウルの強度がそれほどなく、FRPでできたカウルごと上に跳ね上げる形式であったために、ぶつかった衝撃でカウルが上にめくれ上がり、結果として衝撃を逃がしていたということです。これがもしスチール製のモノコックボディであったなら、ボディ全体でこの衝撃を受け止めることとなり、おそらく修復不能なダメージを受けていただろうと思われます。見かけは悲惨な状態ですが、FRPボディが車体の応力を担う一部ではなく単なる外板であったことが一つ目の不幸中の幸いです。

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二つ目の不幸中の幸いは、ストラトスがミッドシップ形式であったことです。リアセクションはボックスフレームとなっており、かなりの強度があったことも幸運で、フレームは受けた衝撃で曲がっていたものの、それは単純な構造のために充分修復できるものであったことです。

そして三つ目の不幸中の幸いは甘かったサイドブレーキです。S氏のレポートにあるように衝突の衝撃でクルマが吹っ飛んだことからも、追突のエネルギーの全てを車体で吸収したのではなかったことが想像できます。これが登り坂であったり、しっかりとサイドブレーキを引いていたのであればダメージはもっと深刻であったろうと思われます。

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仔細な検分の末にようやく修復のポイントは判明したのですが、やはり最大の問題はボディ修復でした。Gr.4仕様のストラトスのリアカウル・・・は注文して翌日届く部品ではありません。考えられる修復方法は三通りあり、それぞれを検討することとなりました。
まずは、今あるダメージを受けたカウルを修復することです。繰り返しになりますがFRPボディは車体剛性とは関係がなく、仮に破片であってもそれを繋ぎ合せて接着することによりその修復は可能です。もしなかなか入手できないFRP製のスポイラーなどをヒットしてしまったら、可能な限りその破片を拾い集めておくことがその後の修理には重要です。
しかし、大きな部品であるために仮に割れていない部分であっても歪が出ているために、補修したとしても元の形状に戻すことは困難に思われました。

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次に同様のリアカウルを入手する方法です。これは私もお手伝いをしたのですが、世界中を探してやっと見つけたのがイタリアの業者が売りに出していたGr.4用のリアカウルでした。しかも中古品ではなくちゃんと塗装前の新品です。そしてお値段も日本に送る送料を加えて考えても充分安かったのですが、問題もありました。その一つはカウルの形状で、この個体よりもフレアが大きいタイプのものであったのです。さらに海外の業者ということもあり本当に写真の通りのものが届くのかどうかという不安もありました。

そして最後の選択肢はこの壊れたカウルを型にして一から新しいカウルを造るというものです。コストとその時間は前の選択肢よりも遥かにかかってしまいますが、この方法は一番安心できる方法です。

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さらにこれらの選択肢のどれを取るか・・・に際して重要な要素はその資金です。
今回の事故の場合、事故相手は対物保険に入っていることに加えて、S氏も自分の車両保険に加入していました。しかし、経験された方はご存知のように、保険会社はその事故査定によりクルマの価値以上の修理費は払ってくれません。
しかもS氏が最初に連絡した自身の加入する保険会社はその初期対応先である事故受付センターの応対はあまり良いものではありませんでした。
相手が飲酒運転であったことを説明すると、相手の保険が下りない可能性があると言われたとのことですが、近年の飲酒運転による悲惨な事故から、保険会社の社会的責任が重視されるようになり、現在は被害者救済という立場から、例え保険契約者が飲酒運転をしていても事故相手の被害弁済のための保険項目はちゃんと支払われるようになっています。
その後の担当者の対応はちゃんとしており、その辺りの説明もきちんとされたそうですが、CMで通販型の保険会社がアピールしている事故受付センターでの初期対応が、実際にはどれだけ難しいことかを考えさせられるエピソードでした。

そしてようやく相手方の保険会社と連絡を取ることができました。今回の場合は相手が飲酒で警察に拘留されているために、まずはS氏から事故の経緯を含めて説明するしかなかったのですが、そこで一番の問題はこのC.A.Eストラトスというクルマについてでした。
通常の事故の場合はトヨタの○○で年式は・・・という説明で済むのでしょうが、ストラトスというクルマについてはおろか、それがC.A.Eというレプリカモデルになるとクルマ好きの方でも知っているヒトは稀で、ましてや保険会社の社員という立場で、職業としてクルマに関わっているヒトであれば知らなくて当然で、むしろ知っている方が異常と言って良いでしょう。
幸いなことに相手が加入していた保険は「対物無制限」という条件でした。しかし、前述のように無制限といってもそのクルマの価値以上の修理費は保険では下りません。ということは、査定に当たって最大の課題はこのクルマの価値が幾らかという問題となります。これまた経験されている方は多いのではないかと思いますが、保険会社は再調達価格をベースに査定します。すなわち今、そのクルマを買うと幾らか・・・であって、そもそもそのクルマを幾らで買ったかではありません。変態旧車(笑)に乗っているオーナーの最大の悩みがこの査定方法で、市場価値のないクルマをどんなに費用をかけて維持していたとしても、一旦事故の査定となると二束三文の全損査定しかされないのです。

しかし、S氏のC.A.Eストラトスは中古車として流通しているクルマではありません。また仮にあったとしてもそれは「相場」を形成する台数ではないために、一般的な査定方法が適用できるクルマではありませんでした。このようなケースでは一般的な判断とは異なり、保険会社の担当者の理解と判断によって大きく左右されるケースなのだそうですが、S氏にとって幸運であったのはこの相手方の保険会社とクイック・トレーディングとの信頼関係が深かったことでした。

メンテナンスガレージは事故修理で様々な保険会社と関係があるのですが、中には保険金詐欺まがいの法外な修理見積もりを出したりして保険会社のブラックリストに載るメンテナンスガレージもあるようです。クイック・トレーディングが特に今回の保険会社との間に信頼関係を築いていたことは、このC.A.Eストラトスというクルマに関しての情報と、その修理費の概算見積もりに関する信憑性について保険会社側を納得させるに充分だったのです。
一方でS氏は補完資料として当初の購入費に加えてこれまでの修理費などの書類を整え、晴れて保険会社から修理OKの判断を得ることができました。そしてこれ以降はむしろ、「頑張って修復しましょう」と逆に励まされるほどになったのです。この修理の後にS氏はその当時の保険会社から、今回の事故の莫大な修理費を払う側であった相手方の保険会社に自身の保険契約を移しました。以前の記事でコストを負う側の論理云々と書きましたが、目先の利益を最優先に考えるのではなく、問題に真摯に向き合い、相手の立場に立って論理的に問題解決を図ることが如何に重要であるかを考えさせてくれるエピソードです。

こうして修理費について心配する必要がなくなり、後はどのように修復するかという方針を決めるだけとなりました。最終的に取られた選択肢は最後の現状のカウルをベースに新しくパーツを造るというものでした。しかし、この選択をするためにはそれだけの技術力をもったFRP製作業者がいなければなりません。
ここでもクイック・トレーディングのネットワーク力が発揮されることとなります。

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テーマ:イタリア車 - ジャンル:車・バイク

コメント

結構私の認識と違うところがあって新鮮な気分で読ませてもらってます。

>一つ目の不幸中の幸いは、意外にストラトスのボディ構成だった
の補記。
あんななりでもストラトスはトランクが付いてます。これも緩衝材になってくれました。
ただ、積んでた荷物は全滅でしたが・・・。

  • 2012/01/11(水) 07:52:07 |
  • URL |
  • S氏 #-
  • [ 編集]

> 現在は被害者救済という立場から
なるほど。勉強になりました。
保険会社の選定は、万が一の時にしか善し悪しの判断ができないのでいつも悩みます。

  • 2012/01/11(水) 12:30:04 |
  • URL |
  • pekepeke #-
  • [ 編集]

>Sさん
確かに自分のクルマではありませんので冷静に見てしまうのかも知れませんね。でもFRPボディのミッドシップ車であったことは確実に幸いであったと思いますよ。事故そのものはとんでもない不運であることは言うまでもないですが・・・。

  • 2012/01/11(水) 21:32:42 |
  • URL |
  • 510190 #-
  • [ 編集]

>pekepekeさん
確かに保険会社のパフォーマンスは使う段になって初めて分かるものですね。担当者の人間性もあるかも知れませんが、実際の支払いや査定はそんなレベルではなく保険会社そのものの姿勢が大きく影響していると思います。旧車に理解のある保険会社があれば良いのですがねぇ(苦笑)

  • 2012/01/11(水) 21:39:16 |
  • URL |
  • 510190 #-
  • [ 編集]

今シリーズの成層圏の記事、涙なくして読めません。
でもやっと今回で安堵が...

本日Access Awardの記念品が届きました。記念として大切に保管させていただきます。
どうもありがとうございました。

  • 2012/01/12(木) 21:01:02 |
  • URL |
  • ぽちょ #-
  • [ 編集]

>ぽちょさん
遅くなってしまいすいませんでした。
成層圏の復活にはまだまだ苦難が続きますので、ハンカチのご用意を・・・(笑)

  • 2012/01/12(木) 21:23:03 |
  • URL |
  • 510190 #-
  • [ 編集]

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