走ってナンボ

アルファ・ロメオを始めとする「ちょっと旧いイタ車」を一生懸命維持する中での天国と地獄をご紹介します。

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Alfa RZの里帰りと初期化チェック ~その弐~

Alfetta系のトランスアクスルはその重量配分において優れたレイアウトなのですが、メンテナンスの側面からすると実にやっかいなシステムだと言えます。

75-16.jpg
アルファ75のトランスアクスル。リアセクションにクラッチ、ギアボックス、デファレンシャルギアボックスがまとめられていることが分かります。さらにリアブレーキはインボード形式で、車体の中心線上に全ての重量物を集中させることにより運動性能を向上させています。

通常のFRレイアウトですと、エンジン直後にギアボックスが配置されており、動力はそのギアボックスを介して減速されてプロペラシャフトでリアのデファレンシャルギアボックスに伝達されます。しかし、このトランスアクスル形式は重いギアボックスをエンジンと切り離してリアに配置していますので、エンジンの回転は減速されることなくリアまでダイレクトに伝達されるのです。
すなわち、プロペラシャフトは常にエンジン回転と同じ回転数で回っていることになるのですが、これだけ長い距離をシャフトで繋ごうとすると、僅かなシャフトの偏心が回転で増幅され、振動やノイズを発生させるのです。それを防ぐためにシャフトの中間にはカップリングというゴム部品が挟み込まれており、振動を吸収させているのですが、このカップリングにはエンジンパワーがあればある程、相当の負荷がかかってしまうのです。
Alfettaという名前の由来にもなったこのレイアウトを採用して活躍したGPマシーンでは1レースだけ保てば良い部品でも、量産車ではそうは行きません。
この凝ったレイアウトがその運動性能と室内空間を広くすることに有効であっても一般的にならなかったのは、偏にその製造コストとメンテナンスの問題で、それを量産車に平気で採用したアルファ・ロメオは、Alfettaからアルファ75に至るまでのモデルに採用し続けたこのトランスアクスル形式故に、その製造コストに苦しむこととなってしまいました。そして自動車評論家にその運動性能を絶賛される一方で、ユーザーはそのメンテナンスコストに苦しむこととなるのです。

RZShaft.jpg

アルファ75をアシで使うオーナーに言わせると、このカップリングは消耗品!と考えるべきパーツだそうですが、SZ/RZはそのパワー故に強化カップリングが採用されています。アルファ75TSのオーナーはこの強化パーツを好んで取り付けていますが、残念なことに逆は真ならずで、比較的容易に入手できるアルファ75TS用のカップリングはそのサイズ故にSZ/RZに装着することはできないのです。一方でこの強化カップリングは入手難となっていますので、いざ交換するとなると探すのが大変な部品です。

SRZ008.jpg
SRZ009.jpg

チェックしてみたところカップリングはまだまだ大丈夫なようでした。以前初期化した115Spiderのカップリングは目視でも分かるほど表面にヒビが入っており、外した途端にバラバラに砕けてしまうほど劣化していましたが、このカップリングはヒビもなく、まだまだ賞味期限が残っているようでした。とりあえずは安心して良いでしょう。

最後はエンジンルームのチェックです。

SRZ017.jpg

初代オーナーのZAGATORさんが改良した熱害対策用のドライバッテリーは通常のものに戻されていました。どこかで以前のオーナーが他のクルマに移設してしまったのでしょう。

SRZ018.jpg

しかし、イグニッションコイルには遮熱板が取り付けられていました。これだけでも随分と効果があるはずで、アルファ75TSですらエンジンからの熱でウインドウォッシャータンクが溶けてしまうために、ディーラーからは冷却のためにウォッシャー液を常に2/3以上に保つよう指示されていたほどです。後にエキゾーストマニフォールドの上にアルミ製の遮熱板を取り付けるようになりましたが、とにかくこの時代のアルファ・ロメオはエンジンが4気筒であろうが6気筒であろうが熱対策は重要です。

SRZ019.jpg

ラジエーターホース類は痛みもなくゴムも硬化していませんでしたので、いきなりリークというお漏らし地獄は心配しなくて済みそうですが、一方で必ず交換しておきたいのがタイミングベルトです。
ご存知の通り、アルファ・ロメオのV6エンジンは世界一官能的なV6エンジンと言われていますが、その最大の問題がタイミングベルトです。それまではチェーン駆動が主流であったのですが、ちょうどこの時期から振動と静音対策として他社のエンジンもカムシャフトの駆動はゴムベルトに移って行きました。しかし、アルファ・ロメオを始めとするイタリア車の問題はゴムの耐久性で、国産車では10万キロは無交換と言われているゴム製のタイミングベルトがアルファ・ロメオのV6エンジンの場合は、3万キロ~5万キロで交換を必要としているのです。しかも万が一タイミングベルトが切れるとバルブクラッシュを起こしてエンジンのオーバーホールを必要とする大事故となってしまうために、切れてから交換…と言うわけには行かないのです。もちろんチェックをすることは可能で、ギアの歯に当たる部分の色が変色したり、ベルトを曲げたときに細かいヒビ傷が入ってきたら交換時期と言われていますが、突然切れることもあるために保険として交換しておくのが安心です。

164TimingBelt.jpg
写真はアルファ164Q4のタイミングベルトで、約70,000km走行時のものです。ギアの歯に当たる部分が変色しているのが分かります。

さらにこのV6エンジンはそのベルトテンショナーが油圧により制御されているため、テンショナーからオイル漏れを起こし易く、オイルが漏れてベルトに付着するとベルトがカムシャフトギアの歯からずれてコマ飛びを起こすという欠点があるのです。
一時期はこの欠点のあるオイルテンショナーを嫌って、後の24Vで採用されたメカニカルテンショナーにコンバートすることが流行したのですが、近年は耐熱シリコンシーラントの性能が良くなったために以前のようにオイル漏れを起こすことがなくなり、さらにオイルテンショナーが再生産され流通するようになったために、12Vエンジンオリジナルのオイルテンショナーを使っても問題がなくなりました。

タイミングベルトを交換する際にはこのテンショナーに加えてウォーターポンプも交換するのが一般的ですが、実はSZ/RZのメンテナンス上での最大の問題がこのウォーターポンプなのです。
そもそもSZ/RZはアルファ75のV6エンジン搭載モデルをベースに作られており、またこのエンジンはアルファ164Quadrifoglioに採用されたノーマルのV6エンジンをチューンした210hpバージョンが搭載されています。ですので、エンジンの基本パーツはこれらのモデルと共通であり、特にSZ/RZ専用パーツはないと思われているのですが、このウォーターポンプは別物で、前記の2つのモデルのウォーターポンプと共通部品ではありません。
その理由はSZ/RZに採用されたオイルクーラーのパイプで、その配管を逃がすためにウォーターポンプのヘッド形状が異なっているのです。

SRZ021.jpg

ご覧のようにパイプに干渉しないようにウオーターポンプのヘッド部分が円錐形になっています。

SRZ020.jpg

残念ながらこのウォーターポンプは欠品となっています。ガスケットやウォーターポンプ本体は他のモデルと共通ですが、プーリーの位置がアルファ164用とは全く異なっています。おそらくアルファ164は横置きエンジンであるが故にベルトの取り回しが異なっているのでしょう。プーリーそのものの位置関係を見ると、縦置きエンジンであるアルファ75やGTV6などのウォーターポンプは加工してこのヘッドと交換すれば使えそうですし、配管そのものを迂回させてそのまま付けられるようにするなど何らかの工夫が必要となるでしょう。

エンジン全体を見れば交換すべき部分はこのタイミングベルト周りしか見当たらず、それ以外の状態は何の問題もありませんでした。

さて、正式な見立てはクイック・トレーディングのレポートを待たねばなりませんが、R君と一緒に初期化の方針を決めて作業に入りたいと思っています。


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テーマ:AlfaRomeo - ジャンル:車・バイク

コメント

RZの初期化大変興味があります。
これからのレポート、楽しみにしております。
ところでドライブシャフトのラバーブーツ(ホイール側)は大丈夫だったでしょうか?
わりと簡単にダメになります。
しかも入手困難な専用品。

  • 2011/11/10(木) 10:00:28 |
  • URL |
  • なごやまる #-
  • [ 編集]

私は75の下回りを見たことがあるんですが、
この時初めてインボードブレーキの存在を知り驚愕したものです。
まず、見た目がまるでグラインダーをむき出しで振り回しているようで怖い。
あとブレーキディスクから実際の停止対象物であるタイヤまでが
シャフトを介しているため遠いレイアウトですが、
捩れによる応答遅れとか発振とか発生しないんでしょうか?

今回は機構解説っぽい記事なので突っ込んでみました。

  • 2011/11/10(木) 10:43:49 |
  • URL |
  • S氏 #-
  • [ 編集]

>なごやまるさん
このRZにはどっぷり関わることになりそうなのでご期待?ください。
ドライブシャフトのホイール側ブーツはカメラが入らなかったので目視でチェックしましたがまだまだ大丈夫でした。この部分は動かしていなければテンションがかからないのでゴムの劣化さえ気をつければ保つようですね。この個体は保管場所が良かったのでゴム類の経年劣化は驚くほど少なかったです。

  • 2011/11/10(木) 20:21:41 |
  • URL |
  • 510190 #-
  • [ 編集]

>Sさん
インボード方式のブレーキを採用しているクルマは結構あります。先日紹介したQuattroporteも写真を見ていただければ分かると思いますが、リアはインボードブレーキです。
インボード方式はブレーキの効きそのものには特に効果はありませんが、バネ下の重量軽減には効果的ですので、レーシングマシンやスポーツカーに採用される傾向が多いと思います。確かにドライブシャフトの根元で止めていますが、ドライブシャフトそのものの強度は高く、そんな程度では捩れたりしませんので偏心や振動といったネガは特にないと思いますよ。

  • 2011/11/10(木) 20:30:00 |
  • URL |
  • 510190 #-
  • [ 編集]

何時か行く道

510さん

全てのド・ドゥオン系が通らねばいけない修行の数々ですね。メカニカルセンスのない私にはとても勉強になります。そうなんですよね。ウォーターポンプのプーリー先端の形状がES30の場合は、164とは違い、床下に設置されたオイルクーラーの配管ホースの取り回しの関係で違っているんですよね。困ったものです。。
でも、ペラ周りが大丈夫そうですので良かったです。再会を楽しみにしております。そうそう、12月4日は本RZのオーナーともご一緒することになりました!是非、再度Lantiaで如何でしょうか(笑)!
続編、楽しみにしております。

  • 2011/11/12(土) 08:25:39 |
  • URL |
  • ZAGATOR #jhHw6g8s
  • [ 編集]

>ZAGATORさん
歴代のオーナーのお陰で久しぶりに上物の中古車を見ました。
これならそんなに手をかけなくても乗り出せるのではないかと思います。
新オーナーも一安心でしょう(笑)

  • 2011/11/12(土) 10:25:49 |
  • URL |
  • 510190 #-
  • [ 編集]

ウオーターポンプ

確か岐阜のキヨラオートパーツが75の3Lのウオポンを持っており、それを加工して装着しました。ラジエータもなくて、町工場のおじさんに図面引いてもらい、真鍮で作ってもらいました。パーツ屋さんも町工場もリーズナブルな料金で済みました。

  • 2011/11/12(土) 10:45:42 |
  • URL |
  • 赤丹。@147GTA #D2os1cdk
  • [ 編集]

>赤丹さん
そうですか。キヨラさんはなんでこんなものを・・・と思うような部品を持っていますので心強いですね。
ラジエーターはアルミ製のものが最近アメリカから手に入るようになりました。ただし、加工が必要ですが、ワンオフよりも安いので助かります。

  • 2011/11/12(土) 10:55:39 |
  • URL |
  • 510190 #-
  • [ 編集]

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