走ってナンボ

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自衛隊の真価

今回の東日本大震災に際して様々な機関が行った救援活動の中で自衛隊の活躍を評価しない方はいないでしょう。
阪神・淡路大震災以降、大規模災害時における自衛隊の有用性が広く国民に認識されたのはご存知の通りです。

自衛隊のような組織はその即応性、自己完結性に加えて、その装備が災害時の一次的な救援活動に有効なのですが、では「軍隊」であればどこの国でも同じことができるかと言うとそんなことはなく、自衛隊の今までの災害派遣の経験の中で蓄積された様々なノウハウが、世界でも屈指の災害救援能力を持つ「軍隊」として海外からも高く評価されているのです。
特にアメリカでは今回の東日本大震災における自衛隊の救援活動の報道を見て、米国民から「わが国の軍隊はなぜ災害時に日本のような救援活動をしないのか」と非難の声が上がったそうです。
しかし、海外で「軍隊」が災害時に派遣されるのは専らそれは治安維持のためで、日本では災害時でも大規模な略奪や暴動が起こらないため、自衛隊が銃器を持たず、「丸腰」で災害救援に特化した活動を行っていることも、海外からすると驚くべきことなのです。

即応性とはどれだけ短時間で災害地に到着し活動を開始できるかという点で、自衛隊という組織はその緊急展開能力に優れていることが今回の東日本大震災の際には証明されたのではないかと思います。しかしそれは単に自衛隊の組織能力によるものだけでなく、自衛隊に対して災害派遣要請を出す行政とのシステムの連携が確立されたからに他なりません。

このシステムは阪神・淡路大震災の教訓から得られた結果なのですが、あの当時は自衛隊の災害派遣は都道府県知事の要請を必要としており、その都道府県知事は各市区町村からの要請がなければ要請できないという、今から考えると笑い話のようなルールだったのです。
当時の記録を調べて見ると、地震が発生したのが平成7年1月17日午前5時46分で、最初に自衛隊に派遣要請がなされたのが午前6時30分。この事実だけを見るとまあまあのスピードと言えるのですが、これは大規模災害による派遣要請ではなく、ナンと伊丹警察署長名で倒壊した阪急伊丹駅での人命救助要請だったのです。
その後も各市区町村から救援要請は自衛隊に届きましたが、これはあくまで警察や消防が手一杯で手に負えなくなったことによる限定的な救援要請で、兵庫県知事より正式に派遣要請が自衛隊に対して為されたのは明けて18日の昼頃であったと記録にあります。

一方で自衛隊は徐々に入り始める情報から派遣要請を待たずに、午前7時14分に大阪府八尾の中部方面航空隊より「訓練」の名目でヘリコプターが神戸と淡路の被災状況を偵察するために出動しています。また、姫路の第三特科連隊は逆に兵庫県に派遣要請を出すように促したのですが明確な派遣要請は得られず、この電話連絡をもって派遣要請と見なす…と半ば「押し切る」形で出動しています。このように行政側の判断の遅れ(判断できないときの自動発動システムの不備)により折角の自衛隊の即応能力は充分発揮されませんでした。
災害地の首長がそれどころではない大混乱に陥り、行政側が思考停止状態になっているのですから、被災していない中央から要請すればと思うのですが、当時は社会党の村山首相の時代で、そもそも社会党は自衛隊は違憲という立場だったので自衛隊の派遣には消極的であったとも言われています。しかしもしそれが本当ならば、国家元首として「国民の生命と財産を守る」という第一命題とイデオロギーのどちらを優先すべきなのかすら分からなかったのかと情けなくなってしまいます。
また、出動した後も自衛隊は警察や消防との間で連携がうまく行かず、中には自衛隊員に対して心無い中傷や誹謗をする者もいたそうで、現在の状況からすると考えられないのですが、これらはたった15年前のことだったのです。

いずれにせよ、自衛隊の災害時での活動能力が広く国民に認知されたのがこの阪神・淡路大震災であったことは確かで、その教訓からこのあまりに非現実的な災害派遣要請ルールは見直されることとなります。
そして今回の東日本大震災の際には、その即応能力がいかんなく発揮されることになります。地震発生が3月11日の14時46分で、その4分後には防衛省災害対策本部が設置され、独自で情報収集を行うとともに、18時30分には防衛大臣より発せられた大規模災害派遣命令を受け、地震発生当日に自衛隊員8,400名を動員し、人命救助をスタートすることができたのです。そして意外に報道をされていないのですが、自衛隊は全救助者の約70%に当たる約19,000名の被災者を救出しました。

そしてさらに長期に亘る災害地での活動を支えるのが自衛隊の持つ自己完結性です。自衛隊は自分たちの野営装備で隊員を災害地に駐屯させることができるために、災害地の物資や資源を自分たちの活動のために消費する必要がなく、大規模な人員を災害地に投入することができるのです。そしてご存知の通り、その装備は同時に被災者への給食支援から給水、はては入浴に至るまで被災後の一次支援にも役立つのです。

JGSDF_Yagaisuigu1kai_02.jpg

自衛隊の装備品であるため「野外炊具1型改」という立派な名前がついています。その能力はハンパではなく、このトレーラーを牽引して移動中でも600人分の米飯を炊き上げることが可能であり、併載する万能調理器具と、車両後部のかまどの使用で惣菜の調理も可能(煮物程度、焦げやすいので推奨は出来ない)とのことです。その場合約200名分の食事(主食と副菜)が調理可能で、仮に味噌汁のみを6釜全てで調理すると1500名分調理が出来る(参考値、1釜あたり最大250名分の味噌汁の調理が可能)のです。


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浄水セットは川の水など飲用に適さない水でも逆浸透型の濾過システムで飲用水として利用することが可能となります。

800px-JGSDF_bath.jpg

これまた「野外入浴セット2型」という名称が与えられています。写真は浴槽ですが、これにボイラー、揚水ポンプ、発電機が付属しユニットとなります。上記の浄水セットと併用することにより例えそれが泥水であっても水さえあれば入浴することができます。

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御馴染みの自衛隊のCH-47J大型輸送ヘリコプター。最大積載量は11.2tで55人を運ぶことができます。

自衛隊の装備の中で災害救援に役立つのはこうした野営装備だけではありません。大型輸送ヘリコプターや救難ヘリコプターのような御馴染み?の装備とは別に、今回の支援に活躍した装備で一般国民が驚いたのではないかと思うものをご紹介しましょう。

まずは、LCACと呼ばれるホバークラフト型の大型上陸用舟艇です。このホバークラフトは戦車と強襲部隊を同時に揚陸するためのもので、60tもの搭載能力を持っています。
今回の地震と津波により港湾設備が破壊された地域では、この砂浜であればどこでも上陸することができるLCACは実に有用で、陸路でたどり着けない被災地に救援物資や車両を輸送し揚陸させるだけでなく、被災者の輸送にも活躍しました。

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そしてこのLCACを搭載するおおすみ型輸送艦(米軍流に呼ぶと強襲揚陸艦)も物資や車両の輸送と揚陸だけでなく、海上のヘリポートとしても大活躍しました。

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写真は「くにさき」。艦尾に大型ハッチがありLCACがそのまま発進(収納)することができます。

そして各国の軍隊の殆どが装備しているのですが、意外と知られていないのがこの架橋システムではないでしょうか。

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もちろんこれは橋が破壊された戦場で、戦闘車両や補給トラックを渡河させるための装備ですが、被災地は戦場と同じで、これらの装備を使用すれば応急的に橋をかけることができるワケです。

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しかし、自衛隊の災害救援活動で最も優秀な装備は自衛隊員そのもので、その対応と士気の高さは素晴らしいものがあったと思います。今回の東日本大震災に際して派遣された自衛隊員は予備自衛官を含めて最大時で人員約10万7,000名にものぼり、これはもちろん過去最大の災害投入人員となりました。
今回の東日本大震災で、自衛隊が災害時において素早い命令のもとに活動を開始さえすることができれば、世界中のどの組織よりも最も効果的に人命を救助し、一次救援活動を行うことができることが証明されたのではと思います。言い換えれば、自衛隊は世界中で最も災害救援活動に関して訓練され、その運用ノウハウを持っている「軍隊」であると言えるのです。

自衛隊の「国民の生命と財産を守る」という使命からするともちろん災害救援活動も重要な任務の一つではありますが、本来の任務は国防であり、昨今の日本を取り巻く情勢を考えると、災害時における自衛隊の活躍を喜んでばかりはいられないと思います。
阪神・淡路大震災以前は、武器ヲタクの集団、無駄飯食い(それはそれで素晴らしいことですが)、違憲団体などと陰口を言われた自衛隊が、ようやく国民にその存在を認知されその活動を評価されるようになったのですが、前記したように自衛隊という組織を効果的に運用するためには、政治家による命令システムが必要不可欠なのです。

次回は自衛隊の生殺与奪の鍵となるこのシビリアン・コントロールについて考えて見たいと思います。

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テーマ:軍事・平和 - ジャンル:政治・経済

コメント

>自衛隊は全救助者の約70%に当たる約19,000名の被災者を救出
こういうのもっとマスコミが報道してもいいと思いますね。
日本人的には成果を自らアピールしない美学みたいなのもあるかもしれませんが
以前の韓国船との衝突事件の報道も結論の方はうやむやで消えていったし、
きっと国外への?な配慮なんでしょう。

政治的に矛盾をかかえていようが、実際に存在し、
命がけで成果をあげているこの人達が不当なまでに
評価されないのはどうみてもおかしい。

  • 2011/09/18(日) 06:34:14 |
  • URL |
  • S氏 #-
  • [ 編集]

>Sさん
まだまだ被災地で自衛隊にお世話になった人とそうでない人との間に、自衛隊に対する捕らえ方に隔たりがあるような気がします。
その隔たりを埋めるのがマスコミの役割だと思うのですが、一部のマスコミは自衛隊の活動を黙殺しているとしか思えないないのが残念でなりませんね。

  • 2011/09/18(日) 10:15:59 |
  • URL |
  • 510190 #-
  • [ 編集]

私も妻も宮城の出身ですので今回の震災はより身近なものに感じております。その中で帰省の折東北道で多くの自衛隊の車両を目にしました。
地元の方は言っていました。たくさんの政治家は被災地を訪れたが何も変わらない、自衛隊の提供する暖かい食事や入浴は非常にありがたいと・・・それにもまして現地の自衛隊員は食事はレトルトや乾パンで一日2食、入浴も駐屯地に帰ったときのみ、自分たちを極限においてまずは被災者をと本当に頭が下がる思いです。

>わんこS木さん
確かにこのフィールドキッチンは本来は自衛隊員の野営のための装備なんですが、当初は自分たちは食べずに全て被災者に提供したと言われています。
阪神・淡路大震災のときもそうでしたが、暖かい食事やお風呂がどれだけ被災者の心を癒すかは計り知れないものがありますね。

  • 2011/09/20(火) 20:06:25 |
  • URL |
  • 510190 #-
  • [ 編集]

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