走ってナンボ

アルファ・ロメオを始めとする「ちょっと旧いイタ車」を一生懸命維持する中での天国と地獄をご紹介します。

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エンジンストール団の組織壊滅

地道な捜査はまだまだ続きました(苦笑)
それは未だに主犯格の容疑者に到達していなかったからで、随分と症状が改善されたものの、ウインカーの問題とは別にアイドリングのハンチングは収まってはいなかったのです。

そしてついに主犯格の一つに捜査の手をつけることになってしまいました。この容疑者は大物で、仮にコイツが主犯だとすると捜査陣にも相当な覚悟が必要となります。
その容疑者の名前は…

「デジプレックス」

で、コイツはこの年代のフィアット系列車の数々を廃車に追い込んだ犯罪歴のある超大物の容疑者です。

digi_1.jpg

写真はデジプレックスⅡ

当時のフィアットは電子制御の実験段階で、現在では当たり前のエンジンマネージメントを一つのコンピュータで行う方式に対して、点火系の制御のみをこのデジプレックスというコンピュータで制御していました。これには諸説あり、BOSCHの燃料噴射ユニットとマレリのデジプレックスを組み合わせることにより部品購買先のバランスを取った(マレリへの配慮?)という説や、危険分散で別々にした説などイロイロですが、特に後者は説得力がなく、仮にどちらか一方でもトラブルを起こすと結局エンジン不調になるのですから、危険が分散されたと言うより倍増したと言う方が現実的でしょう。

デジプレックスとは負圧進角トランジスター点火システムで、要は圧縮工程に入ったシリンダー内のピストンの位置を感知してプラグに点火させる制御システムです。現在はクランクポジションセンサーやカムポジションセンサーからの信号で、燃料制御とともに集中して一つのコンピュータで制御されているのですが、キャブレターを使用していた時代はディストリビューター内部のシャフトに取り付けられたガバナーとインテークマニホールド負圧を利用した真空進角装置(ダイヤフラム)を用いていました。
時代がキャブレターから燃料噴射形式に移行し、さらにそれをコンピュータで制御するようになる過渡期に生まれたのがこのデジプレックスで、乱暴に言えばそれは単にその点火制御を従来の機械式から電気信号化しただけのものです。ところがこのデジプレックスなるユニットはその信頼性においては機械式に及ばず、初期の半導体や基盤の耐熱性の問題から70℃がその作動限界と言われていました。しかも機械式に比べて修理がきかないため、トラブルを起こすと交換するしかなく、さらにそのお値段は5万とも8万とも言われるため、デジプレックスを採用している中古イタリア車にとってこれが逝くと致命傷となっているのです。

しかし、今回のトラブルは複合要因であり、主犯格の容疑者であってもいきなり逮捕して交換するのはリスクが多すぎます。そこでオトリ捜査を行うことにしました。それは解体車からデジプレックスを借りて一旦交換して見るという方法で、仮に症状が改善されなければこの容疑者を無罪放免するというものでした。
幸いなことに知り合いの解体業者は私のThemaと同じ形式のデジプレックスを在庫してくれていました。購入を前提としてお願いして借り受けることにしたのですが、中古品と言えどもその部品は結構なお値段しますので、仮にこれが主犯であれば逮捕を諦めることになるかも知れません。
手許に届いたデジプレックスを交換して見たのですが、幸いなことに?全く症状に変化はありませんでした。と言うことは、今回のストール団にこの極悪人デジプレックス氏は関与していないということで、オトリの大役を果たしてくれたデジプレックスは晴れて無罪放免とすることができました。

それでは主犯は一体誰なのでしょうか…。引き続き従犯を含めて主治医の地道な捜査は続きました。
そして次の従犯として検挙されたのが「ブローオフバルブ」でした。
私自身、今までターボチャージャーを装備したクルマに乗った経験は、父親が所有していたギャランΣGSR Turboと初めて新車で購入したいすゞジェミニ・イルムシャーTurboのニ車種しかありませんし、その当時は単に運転するだけでメンテナンスに関しては全くシロートで知識もありませんでしたので、最初に主治医からブローオフバルブと聞いてもすぐにはどのようなものかは分かりませんでした。
ブローオフバルブとは、ターボチャージャー付きのエンジンでスロットルバルブの開閉時にターボチャージャーとスロットルバルブ間の余剰圧力を逃がすためのものです。

ターボチャージャーの過給圧が掛かった状態で急にスロットルを閉じると、ターボチャージャーで圧縮された吸入空気はスロットルに遮られてしまい、この際に圧縮された空気はターボチャージャーまで逆流し回転しているコンプレッサーに逆回転方向の圧力を与えてしまいます。これがサージングという現象で、これによりターボチャージャーの回転速度が急激に失われて過給圧も低下してしまいます。その結果、再加速時にスロットルレスポンスの悪化を招いたり、最悪の場合にはタービンブレードやタービンのメインシャフトが変形・破損してしまうのですが、その圧力を逃がす役割を果たしているのがこのブローオフバルブなのです。
しかしこのブローオフバルブが正しく作動していないと「吹き戻し」によりエンジンに悪影響を与える可能性があり、エアフロメーターで計算された吸入空気量によるもの以上に燃料を供給してしまい、プラグがカブったり、エンジンの息継ぎやストールの原因となることがあるのです。

調べて見ると幸いなことにタービンの破損はなかったのですが、やはりブローオフバルブはちゃんと作動していませんでした。これを疑ったのは主治医の永年の経験からで、暫く預けた私のThemaを試乗した際にターボチャージャーが作動するハズの高回転域での頭打ち現象に気がついたからでした。
常日頃から同じクルマを運転しているとこうした徐々に訪れる劣化には気がつきにくいものです。主治医のように様々なクルマに乗っていると、その感覚が常にリセットされるために気がつくことができるのでしょう。オーナーズクラブなどで仲間のクルマに試乗したり、こうして主治医に試乗してもらうことにより、徐々に劣化する箇所を発見することができるのでこうした機会は実に有難いものです。
ブローオフバルブは結局交換することとなったのですが、吹き戻しによりエアフローメーターのフラップが随分と叩かれており、これもハンチングの原因となっていました。今回は見逃すことにしましたが、いずれ近いうちにこ奴も逮捕しなければならないでしょう。

そしていよいよ残るは主犯のみとなりました。主治医の地道な捜査は、主犯を除いてその構成員の殆どを壊滅させていたのですが、この主犯はなかなか姿を現しません。相変わらずウインカーとストールとの関連性は見つかりませんでした。しかし残る接点はアースしかありませんので、配線図とは異なるアースが施されているのでしょう。
そしてやっと見つかったのがリアウインカーのアースで、ナンと燃料ポンプのアースと同じ接点で接続されていたのです。そのアースが接点の緩みにより不充分となり、ウインカーを出すと燃料ポンプに充分な電流が供給されず、燃料の供給が少なくなりエンジンがストールしていたのです。この回路図にないアースが工場で製造段階で間違って施されたのか、後のメンテナンスの際に施されたのかは定かではありませんが、通常では考えられないことだけは確かです。

かくしてエンジンストール団という犯罪者集団はその主犯であったアースを含めて全員が逮捕されました。まだ一部泳がせているヤツ(エアフローメーター)はいますが、犯人は特定されていますので逮捕は時間(資金)の問題です(苦笑)
この成果はいきなり主犯を逮捕して終わりにしなかった主治医の捜査手法によるもので、こうした地道な捜査がメンテナンスガレージの評判を支えているのではないかと思います。
複合要因によるトラブルの場合は、その主な原因のみを取り除いても完治しないために、オーナーからすると「あそこはちゃんと治せない(治してくれない)」という印象を持たれてしまうのではないかと思います。充分な説明をせずに早く出庫しようとするガレージ側にも問題があるとは思いますが、お手軽に問題を済ませてしまおうとするオーナー側にも問題があるのではと思います。もちろん最大の問題はその費用で、こうした地道な調査の後でも交換する部品はアース接点の部品のみといった結果もあり得るのです。

旧いクルマのトラブルメンテナンスは犯罪の構図に似ており、ヤクの売人ばかり捕まえても供給源を断たないと犯罪はなくならず、供給源だけ逮捕しても売人は新しい供給源を見つけて再犯してしまうという例と同じではないかと思います。
地道な捜査が必要なのは警察もメカニックも同じなのでしょう。

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テーマ:イタリア車 - ジャンル:車・バイク

コメント

解決おめでとうございます。

”今回は”他人事なのでおもしろおかしく解決編を読ませていただきました。
仕組みの解説が非常にわかりやすくて読んでいて楽しいです。

ウインカー作動がトリガーになってるなら
主原因は電気系のハズで実際GND不良だったわけですが、
他の不良もあぶりだしてくれるのはいいですね。
しかも主原因でない部分の修理の取捨選択をしながら
進められたのであれば最良と思います。

こういう進め方は修理担当とオーナーの連絡が密でないとできないし、
修理担当の立場とすれば一々オーナーの返答待ちに
時間を割けない場合が多いんじゃないでしょうか。
オーナーがどの程度知識を持っているかによっても
修理担当の負担は変わってきますから、
こういう修理の方法が採れるのは
お互いの事を良く知ってるということのあらわれですよね。

一点質問ですが、デジプレックスが死んだ場合、
もっと安く済むシステムに変更という手は無いんでしょうか?

  • 2011/09/07(水) 09:28:31 |
  • URL |
  • S氏 #-
  • [ 編集]

いよいよ510さんのブログらしく地獄巡りな内容にワクワクいたします!

  • 2011/09/07(水) 13:34:07 |
  • URL |
  • でぽ #eOmU3R2Q
  • [ 編集]

捜査陣に安堵の表情が浮かんだ。こうやって犯人は検挙され、一件落着かと思われた。しかし、これは次に起る大事件の単なる序章にすぎなかったのです.............

てな感じで続いていくといいですね(笑)
故障ネタはやっぱいいっすねぇ~。

  • 2011/09/07(水) 17:24:20 |
  • URL |
  • なごやまる #-
  • [ 編集]

>Sさん
確かに主治医とのコミュニケーションは重要だと思いますが、私がこまめというより、あまりに皆さんが任せっきりのような気がします。
もし、家族が入院したら・・・と考えるとその治療方針と経過を確かめるのは当然だと思います。私の場合は最低でも二日に一度は連絡をして状況を教えてもらっています。
さて、お問い合わせのデジプレックスですが、ECUを全く別物に交換することになりますので、難しいと思いますよ。

  • 2011/09/07(水) 21:35:04 |
  • URL |
  • 510190 #-
  • [ 編集]

>でぽさん
でぽさんにワクワクされても・・・(笑)
しかもユーザーの地獄巡りなんてプロの立場からすると地獄でもナンでもないのではと思いますが。

  • 2011/09/07(水) 21:36:50 |
  • URL |
  • 510190 #-
  • [ 編集]

>なごやまるさん
勝手に続編を書かれても・・・(爆)
今回は2時間特番なんで、また来シーズンにしてください。

  • 2011/09/07(水) 21:38:58 |
  • URL |
  • 510190 #-
  • [ 編集]

完治おめでとうございます!
ECUですが優れもののモーテックなんか如何ですダンナ(笑)
高いけど使いまわせるし。

510さんも密売で逮捕されないでくださいよ(爆)

  • 2011/09/07(水) 22:36:11 |
  • URL |
  • こ〜んず #JalddpaA
  • [ 編集]

>こ~んずさん
何せ相手はThemaですからねぇ(笑)

  • 2011/09/07(水) 22:54:39 |
  • URL |
  • 510190 #-
  • [ 編集]

複合要因。。。
エンジンストール!さすがはテーマ!とばかりも言ってられない匂いがします。
これは続編決定ですね?レギュラーシーズンにならないことだけお祈りしておきます(^^ゞ。

  • 2011/09/08(木) 13:57:35 |
  • URL |
  • pekepeke #-
  • [ 編集]

事件解決おめでとうございます。
今回のサスペンスドラマは最高でした。
ハリウッドで映画化して欲しいですね~

>pekepekeさん
まだ泳がしているヤツがいますから続編もあると思いますが、コイツはチンピラですから大したコトはできないと思いますよ。

  • 2011/09/08(木) 20:48:39 |
  • URL |
  • 510190 #-
  • [ 編集]

>burumanさん
デジプレックス氏はさしずめ、ニューヨークマフィアの親玉のようにクルマからオートバイまで数多くの市民を地獄に送っていますので、彼を主人公にすると充分映画として成立するでしょうね(笑)

  • 2011/09/08(木) 20:51:08 |
  • URL |
  • 510190 #-
  • [ 編集]

確かにアースは重要ですよね。
色々後付のパーツをつける際のアースは結構適当なところと共締めしたりするので要注意ですね。
いい勉強になりました!

まるでQ4のヴィスコマチックの警告灯の犯人探しみたいですね。

  • 2011/09/08(木) 21:03:05 |
  • URL |
  • masaking #-
  • [ 編集]

>masakingさん
お久しぶりですね。ブログを拝見しているとQ4との苦闘ぶりが生々しく描かれておりとてもヒトゴトとは思えません(苦笑)
イタリア車に限らず、製造から10年を経過したモデルのトラブルは複合要因であることが多いので、一つ治してもまた次が・・・という連鎖も含めて完治するまでに結構時間が(費用も)かかるものだと思います。でも、考えて見れば人間も一緒で、ある程度の年齢になれば日常の健康管理をベースにしなければ、どんな病気もすぐに再発してしまうのでしょうね。
Q4のご健勝をお祈りしています。

  • 2011/09/08(木) 21:09:24 |
  • URL |
  • 510190 #-
  • [ 編集]

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