走ってナンボ

アルファ・ロメオを始めとする「ちょっと旧いイタ車」を一生懸命維持する中での天国と地獄をご紹介します。

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腐っても鯛

「腐っても鯛」というのは高級なものはどんな状態でも何らかの価値があるという意味ですが、もう一説には鯛は外観がちゃんとしていても内臓が痛んでいる場合があることから、外観だけで判断してはいけないという戒めの意味があるそうです。クルマ趣味の世界では「腐ってもベンツ」とか「腐ってもポルシェ」とか言われ、これらのクルマは例えその程度が悪くても価値があるという意味で使われていますが、クルマももう一つの説の戒めのほうが説得力があるのではないでしょうか(苦笑)。

Khamsin001.jpg

最初にこのクルマを見かけたときには本当にびっくりしました。それは幹線道路の路肩のジャンクヤードで反対車線を走っている際にナニゲなく目をやって見つけたのです。我ながらその動体視力にもびっくりしてしまったのですが、実際にその一瞬でもこのクルマから放たれるオーラを感じることができたのです。
後日、今度はじっくり見るために改めて訪れたのですが、やはりそれはマゼラーティカムシンでした。

カムシンは1972年のトリノショーでそのデザインスタディが発表され、翌1973年のパリショーで発表されたマゼラーティの4シーターGTです。発表当時のマゼラーティはその経営がオルシファミリーからシトロエンに移り、新たな時代を迎えようとしていましたが財政的には苦しく、ようやく初代キブリの後継モデルとしてこのカムシンを発表することができたのです。カムシンのデザインはBertoneのチーフデザイナーであったマルチェロ・ガンディーニで、彼の油の乗った時代のガンディーニ節?が炸裂しています。それはナイフで切り取ったようなシャープなボディラインとスリークな造形で、後のガンディーニデザインの特徴を備えたものでした。

Khamsin002.jpg

ボディは鋼管サブフレームにスチールパネルを組み合わせたもので量産性は決して良くはなかったのですが、もとよりカムシンのマーケットを考えたときにそれほど量販が望めるはずもなく、このクラスのクルマとしては至極マトモな?構造でした。エンジンはマゼラーティオリジナルの排気量4930ccV8エンジンで、このエンジンをフロントに搭載するコンベンショナルなFRレイアウトのために、同時期に販売されたメラクやボーラのようなミッドシップレイアウトのスーパーカーとは異なり、あまり脚光を浴びることはありませんでした。

最大の特徴は親会社シトロエンのハイドロシステムを採用したことで、この油圧システムでブレーキ、クラッチ、リトラクタブルヘッドライト、パワーステアリング、シート・ヘッドレストリクライニングを作動させていました。一見すると最先端のシステムとも言えるのですが、これらは全て機械式で充分で、サスペンスションのように油圧で制御する必然性はなく、このハイドロの油圧がなくなると全てダメになるために、著しく信頼性のないクルマになってしまいました。事実、新車でもハイドロのオイル漏れを起こしていたそうですので、ただでさえ売れないクルマが更に売れないという悲劇的な末路を辿ることになります。カムシンの設計段階で親会社であったシトロエンは早々に経営から撤退し、実際に製造販売していた時代にはその経営はデ・トマソに引き継がれていたのですが、デ・トマソこそ良い迷惑で、いくら売るタマがないとは言え、こんな厄介なモデルを押し付けられたのではたまったものではなかったでしょう。

Khamsin003.jpg

このようにカムシンはそのデザインは素晴らしかったにも関わらず、FRというレイアウト故にスーパーカーブームに乗れず、第一次オイルショックのためにそのマーケットは縮小してしまい、ハイドロシステム故にクルマとしての信頼性を保てないという、いかにもマゼラーティらしい悲劇が凝縮されたモデルなのですが、そのデザインは今でも全く色あせておらず、こうしてジャンクヤードにあってもオーラを放ち続けているのです。
この世に430台しか生を受けなかったカムシンの一台がどういった経緯で日本のジャンクヤードにこうして屍を晒すことになってしまったのかは定かではありませんが、そのボディフォルムは充分「腐ってもカムシン」と言って良いでしょう。

でも…こうなってしまうとやっぱり「腐ったら鉄屑」でしょうね(苦笑)

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テーマ:イタリア車 - ジャンル:車・バイク

コメント

なんとなく

切ないですね(笑)
それにしても何故サスペンション以外をハイドロにしたのかまったく理解出来ません。
ハイドロのブレーキはまるでスイッチのようなタッチで微妙な力加減が難しいのでこういったクルマにはまったく合わないのにねぇ?
LHMの漏れる所って決まっているのでそこを対策すれば生き返りそうな気もしますが、510さんいっちょどうですか?(爆)

  • 2011/08/21(日) 07:13:16 |
  • URL |
  • こ~んず #JalddpaA
  • [ 編集]

>こ~んずさん
この個体はすでにグズグズでエンジンもないんですよね。オブジェにしかならないでしょう。

  • 2011/08/21(日) 11:34:16 |
  • URL |
  • 510190 #-
  • [ 編集]

> エンジンもない

それは残念ですね。ではとりあえず510さんがうっかりカムシンを手に入れてしまった時用(爆)にドナーとしてどうでしょうか?

  • 2011/08/22(月) 12:47:02 |
  • URL |
  • pekepeke #-
  • [ 編集]

>pekepekeさん
カムシンは決して決して決してうっかり手には入りません(爆)
それに世の中の全てのカムシンは全てがドナーで健康体?は皆無ではないでしょうか・・・。

  • 2011/08/23(火) 00:23:29 |
  • URL |
  • 510190 #-
  • [ 編集]

私もこれを先週見かけてビックリしました(笑)
以前は無かったので尚更でした。

ブログ復活おめでとうございます。

  • 2011/08/30(火) 01:02:30 |
  • URL |
  • そうし #-
  • [ 編集]

>そうしさん
ありがとうございます。
路肩に通りすがりでこれを見つけると本当にビックリしますよね。
でもあの置き方はますで「さらし首」みたいでちょっと悲しいです。

  • 2011/08/30(火) 05:05:58 |
  • URL |
  • 510190 #-
  • [ 編集]

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