走ってナンボ

アルファ・ロメオを始めとする「ちょっと旧いイタ車」を一生懸命維持する中での天国と地獄をご紹介します。

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遅すぎた梟(ふくろう)

前回の手のリハビリアイテムであった1/144スケールのF15Jの出来栄えに気を良くして、過去にコソコソと買っていたブラインドボックス形式の1/144スケールの飛行機モデルを漁ってみました。
その中で見つけたのがF-toys Confectという会社が企画した双発機コレクション2の一箱でした。このシリーズは双発夜戦がテーマで第二次世界大戦時の各国の夜間戦闘機をモデル化しています。そのラインアップは日本海軍の月光、陸軍の屠竜、米軍のF-82ツインムスタングに加えて、ドイツのハインケルHe219ウーフーです。そして私はその中から本命のこのHe219ウーフーをゲットしていました。

He217001.jpg

そもそも第二次世界大戦における夜間戦闘機というジャンルは特殊で、現代では進歩したレーダーや赤外線センサーと航法設備により航空機は昼夜を問わず飛ぶことができるのに対して、当時は昼間の有視界飛行を大前提としており、殆どの作戦は昼間に行われていました。その常識を覆したのが英国空軍で、ドイツを爆撃する際に当初昼間爆撃を行ったものの迎撃戦闘機と高射砲によるあまりの犠牲の大きさのために、止むを得ず夜間爆撃に切り替えたのですが、もちろんその爆撃精度は昼間爆撃とは比べものにならず、その成果は多分に心理的な圧迫と火災による延焼効果しか期待できませんでした。

後に参戦した米国が夜間爆撃の爆撃精度と不慣れな土地の航法の問題からB-17による昼間爆撃を主張した際に、最後まで反対したのがこの英国空軍で、その理由は前記のようにあまりに犠牲が多いからというものでした。
その後に決定された作戦はご存知の通り、米国陸軍航空隊が重武装のB-17の大編隊による集団防御に加えて、後に護衛戦闘機を同行させることによりあくまで当初の主張どおり昼間爆撃を行い、夜間爆撃は引き続き英国空軍が担当するという昼夜分担作戦を行うことにより、結果としてそれは昼夜を問わずドイツを爆撃することとなりその継戦能力を削いでいったのですが、一方で爆撃されるほうのドイツも黙ってやられていたわけではありませんでした。
特に夜間爆撃に対してはそれがドイツにとって初めての経験だったこともあり、当初は地上からの強力なサーチライトにより爆撃機を照らし、それを戦闘機で迎撃するといった原始的なものでしたが、そもそもパイロットも戦闘機も夜間飛行には向いていなかったため、会敵するだけでも一苦労で事故による損害が多く、戦術的には効率的ではありませんでした。

勝手な印象ですが、第二次世界大戦におけるドイツは、レーダーの開発とその運用で英国に後れを取ったことからも、目的が明確な場合と要素技術の開発が先行した場合は、その目的に対してわき目もふらずに一直線に突き進むのですが、その技術的な先進性に固執しすぎるあまり、結果として革新的な技術開発を行いながら、その全てを無分別に実用化しようとするために選択と集中ができず、また何とか実用化に漕ぎ着けても今度はそれを適切に運用できず、戦局に生かしきれなかったのではないかと思います。
世界で初めてジェット機やロケットを実用化しながら戦局を逆転できなかったのは、当時のヒトラーを始めとするドイツ軍首脳部の技術ヲタクのせいであり、技術的に可能だと言われれば何でも開発させてしまったのは、それを主張した技術者の問題ではなく、合目的選択をせずに何でも許してしまった指導者の問題だったのでしょう。

ハナシを元に戻しましょう。英国空軍の夜間爆撃に悩まされたドイツは早速、その夜間迎撃法の開発に取り掛かります。遅ればせながらドイツ全土にレーダー網を張り巡らせ、進入してくる敵機の目標を早期に特定し、効果的に迎撃機を誘導し配置するようにしました。そしてさらにコンパクトで性能の良い機上レーダーを開発し、暗闇の中でも敵機を見つけられるようにしました。この現代では当たり前の電子装備でも当時は革新的で、ランカスターやハリファックスなど英国空軍の大型四発爆撃機を撃墜するための重武装と機上レーダーを装備するために、メッサーシュミットBf110やユンカースJu88といった双発機を改造し夜間戦闘機として運用を始めました。これらはもともとは昼間に運用されていた機体で敵戦闘機との空中戦には不向きでしたが、夜間に相手をするのは敵の爆撃機でしたから空戦性能など必要はなく、むしろスピード(上昇力)と飛行安定性に加えて重武装のほうが重要な要素でした。

ところが前記のように目的(夜間迎撃)と要素技術(レーダー)が明確になると技術者の悪い癖が出てしまい、それを専門とする機体を開発しようとしたのです。実は各国の当時の夜間戦闘機はその殆どが中型爆撃機からの改造機で、運用上で多少の不満はあったとしても基本的にはレーダーを装備するスペースがあれば良いワケで、各国は夜間戦闘機は改造機で必要にして充分と判断していました。
結果として夜間戦闘に特化した機体をわざわざ開発して運用するなどという贅沢なことをしたのは、米国(P-61ブラックウィドウ)とドイツだけであったことを見ると、いかにドイツが無謀であったかが分かります。

このハインケルHe219ウーフーは夜間戦闘機として当初から開発された機体で、その独特なフォルムは夜間飛行に特化したことによるものです。とにかく視界を確保するためにコクピットを極力機体の前面に置き、同じく離着陸時の視界を確保するために当時としては先進的な前輪式の降着装置とし、さらに被弾した際の脱出方法として世界初の射出座席まで開発し装備していたのです。装備するレーダーも最先端で機首にはFuG220リヒテンシュタインSN-2レーダー、機体上面にPeliG6圧縮方向探知アンテナ、そして機体後部にはFuG220リヒテンシュタインSN-2d後方警戒レーダーまで備えていたのです。この後方警戒レーダーはドイツの夜間戦闘機を撃墜するために爆撃機に随行してくる英国空軍のモスキート夜間戦闘機を発見するためで、敵機を振り切ることができるよう最高速度も585km/hと素晴らしい性能を持っていました。
しかし、その製造コストも膨大で、高価な機体と爆撃により疲弊したドイツの航空機製造能力の低下から、たった268機しか製造できず、パイロットから絶大な支持を受けたにも関わらず、このHe219ウーフーは夜間戦闘機パイロットの憧れの機体で終わってしまったのです。

He217002.jpg

キットは塗装済みの各パーツを組み立てて最低限のデカールを貼れば完成するようになっています。その塗装も手が込んでおり、ちゃんと脚室内も機体内部色で塗装されています。
指示通り組み立てて完成!ではあんまりですので当初はレーダーアンテナを真鋳線で作り直して…とか考えていたのですが、その小ささと強度を考えるとメゲてしまい(苦笑)、例によって最低限のスミ入れのみに止めました。まぁ1/144スケールですし、リハビリですからそれで良しとしましょう。

He217004.jpg

スミ入れはお気に入りのガンダムマーカーを使って組み立て前に行います。この機体はグレーを基調とした塗装ですのであまりスミ入れが目立たないようにリアルタッチグレー2というダークグレーのマーカーを使うことにしました。

He217005.jpg

まずはシャープにモールドされた機体のパネルラインに沿ってマーカーで塗って行きます。この際にはきっちりと塗ろうとせずに大まかにラインの上にマーカーを走らせます。その後に綿棒を使って機体を擦ることにより余分な部分を拭き取るのですが、このマーカーはアルコール系ですのですぐに乾燥することはありません。しかしイッキに全部を塗るのではなく、少しずつ塗っては綿棒で拭くようにするとバランス良く仕上げることができます。
綿棒は機体の進行方向に沿って擦るのがコツで、そうすることによりスミ入れと全体の汚しを一度に行うことができます。

He217006.jpg

スミ入れ前とスミ入れ後の主翼です。モールドが強調され精密感が増すと同時に、汚し効果により塗装が落ち着いた印象になったのがお分かりいただけるでしょうか。

He217007.jpg

デカールを貼って各部のスミ入れが終わったら機体を組み立てます。レーダーアンテナも塗装されているのですが、できる限りバリを取ってアンテナを細く削ってから再度塗装して仕上げます。

He217008.jpg

しかしそのまま元の塗装の通り黒く塗って終わりでは面白くありません。実はこのHe219ウーフーには決定版とも言えるタミヤ製の1/48スケールのキットが存在します。その説明書を見ると機首のレーダーの下を向いている左右4本のアンテナは白と赤に塗り分けられています。理由は定かではありませんが、良いアクセントになるのでこの1/144スケールでもそれを再現して見ました。

He219010.jpg

1/144という小スケールながらHe219ウーフーの特徴あるフォルムが再現されています。またこうして少し手を加えることにより随分とその実感が増したのではないかと思います。

He219012.jpg

ちなみにこのマーキングは第一夜間戦闘航空団第一飛行隊第一中隊の所属で、その部隊名が示すとおりHe219を配備されたのはエリート部隊であったからなのでしょう。

He219013.jpg

このテの1/144スケールの塗装済キットは本格的な模型製作の前の手慣らしには最適ではないかと思います。コレクションをするにもそれほどスペースも取りませんし、何よりスプレー塗装で部屋中が臭くなることもありません(苦笑)。

He219014.jpg

調子に乗っていつものアガチス材の飾り台を作成してディスプレイして見ました。総額にして1,000円程度ですが、とてもそうは見えないと思うのは自己満足でしょうか(笑)

He219018.jpg
He219017.jpg

まだまだこのブラインドボックスの1/144スケールシリーズはストックがありますので、機会があればもう少し作ってみたいと思います。

(追補)
ディテールのアップをというご希望をいただきましたので写真を追加させていただきます。

He219020.jpg

詳細なモールドとスミ入れの効果をお分かりいただけると思います。主翼付け根のリベットの細かさなどは感涙ものです。こんな上質な塗装済みキットが500円程度で売っているのですから幸せな時代です(笑)

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テーマ:模型・プラモデル・フィギュア製作日記 - ジャンル:趣味・実用

コメント

今回のキットも素晴らしい出来栄えですね。
墨入れの拡大写真、気になります。
次回の1/144記事、高解像のアップお願いします。

>Bilginさん
ありがとうございます。塗装済みのキットですから私のテクニックではないんですよね(苦笑)
リクエストにお応えして拡大写真を追加しましたのでご覧ください。

  • 2011/08/28(日) 09:57:44 |
  • URL |
  • 510190 #-
  • [ 編集]

お~!

ブログ復活されたのですね!
今日気が付きました。

以前と変わりない読み応えのある文章とディープな内容は、愛読者として嬉しいかぎりです。

ご自身の負担になりませんよう、お気軽なスタンスで更新なさってくださいませ。

気長に楽しみにしております!

  • 2011/08/29(月) 22:51:15 |
  • URL |
  • でぽ #eOmU3R2Q
  • [ 編集]

>でぽさん
こっそりと復活させていただきました。でもそんなに何回も・・・(爆)
引き続きディープなヲタクネタも書き連ねて行きますのでよろしくご愛読をお願いしますね。

  • 2011/08/29(月) 23:01:30 |
  • URL |
  • 510190 #-
  • [ 編集]

すいません、寝ぼけて何回もクリックしてしまったようでした。

重複したもの削除しました(汗)

  • 2011/08/30(火) 20:55:07 |
  • URL |
  • でぽ #eOmU3R2Q
  • [ 編集]

>でぽさん
恐縮です。
面白いので残しておこうと思ったのですが(笑)

  • 2011/08/30(火) 21:25:04 |
  • URL |
  • 510190 #-
  • [ 編集]

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