走ってナンボ

アルファ・ロメオを始めとする「ちょっと旧いイタ車」を一生懸命維持する中での天国と地獄をご紹介します。

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Modern Furniture

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前回のブログ記事にお問い合わせいただきましたので、余談ですがオートザムでランチアを販売することになった経緯をご説明しておきたいと思います。そもそもオートザムとはマツダが1990年前後に展開した多店舗ブランドの一つです。今から思えばよくもまあ…と思うのですが、バブル期の上げ潮に乗って従来のマツダ販売に加えて、ユーノス、アンフィニ、オートラマ、オートザムという5種類もの販売系列を立ち上げ、それぞれに独自の販売車種を供給したのですから、いくらフォードと提携していたとはいえマツダ程度の生産規模ではいずれ破綻するのは必至でした。

その中でもオートザムはどちらかと言うと軽自動車中心のラインアップを販売していたのですが、それだけでは商売にならず、かといってマツダの他のモデルを売りたくても他のディーラー網との関係で売ることができないため、急遽考え付いたのが本業であるマツダ車の販売にさほど影響しない外車の並行販売で、ちょうど代理権が宙に浮いていたLANCIAとAUTOBIANCHIの販売権を取得し、これらを販売することにしたのです。かくして主力の軽自動車と並んでTHEMA、DELTA、Y10などがオートザムで販売されることになったのですが、同時期にLANCIAを販売していたガレージ伊太利亜と比べても店舗数が圧倒的に多かったことと、オートザムで売っているんだから…という敷居の低さ?から意外に販売実績があったと言われています。もちろんオートザムで買ったからといって国産車並みの製造品質があるワケはなく、イタリア車は初めて…というユーザーにイタリア車を触るのが初めて…というオートザムのサービス工場との間の悲喜劇は推挙に暇がなかったと言われています(苦笑)
しかしその悲喜劇とは別に、店頭ではあのLANCIAが日本の軽自動車と並んで販売されたのですから、そのクルマとしての信頼性はともかく、デザインセンスの差は歴然としており、もともとLANCIAを買う気なぞなかった顧客が一目ぼれしてつい買ってしまったというハナシを聞きますので、こうして人目に触れる機会を増やすことが意外に販売に貢献するのかも知れません。

LANCIAブランドのクルマはそれが小型車であってもこのTHEMAのようなアッパーミドルサルーンであってもそのインテリアに共通のテイストを持っています。それは一言で言うと「上質」というもので、「高級」とは少しニュアンスが異なっていると思います。
前回ご紹介できなかったので、このTHEMAの内装をご紹介しましょう。実はシートがレザーでなかったこともこの個体を気に入った点でした。中古車のレザーシートの場合はどうしても経年劣化で痛んでしまっている場合が多いのです。確かに大切に使い込まれたレザーはその風合いも含めて素晴らしいと思いますが、一方で高温多湿な日本の気候で放置されたレザーの痛み具合は使い込まれたそれとは明らかに異なっており、かえってみすぼらしく見えてしまうものです。

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このTHEMAの内装にはエルメネジルド・ゼニアのクロスが使われています。
エルメネジルド・ゼニアはアルファ・ロメオ設立と同じ1910年に北イタリアでテキスタイルメーカーとして創業した老舗です。会社を興した初代のアンジェロ・ゼニアから20歳で会社を受け継ぎ、現在のゼニアの礎を築いたのが二代目のエルメネジルド・ゼニアで、彼は1930年に最新の英国製紡績機械を導入し高品質な毛織物の生産を開始し、それを単に服地として顧客に販売するだけでなく、ファッシンデザイナーにも積極的に供給しゼニアのブランドとしての知名度を高めて行きました。後に彼の息子たちが経営に参画し、服地の生産から完成服(プレタポルテ)の分野にも進出し、スーツ、ジャケットからスポーツウェアまで幅広く手がけることにより、ゼニアのブランドを世界で確立することに成功します。素材の開発から縫製まで一貫して自社のファクトリーで手がけ、原毛の買い付けから、紡績、染色加工、製品化までトリヴェロの工場では一貫した自社生産が行われており、それがゼニアの高品質を維持する鍵となっています。そのゼニアが自動車の内装材を初めててがけたのがこのLANCIA THEMA向けで、その上品なブルーはシート、天井、フロアカーペットに至るまでカラーコーディネートされており、その室内空間を特別なものとしています。

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残念ながら室内の広さはアルファ164と比較してTHEMAに軍配が上がります。私がベルリーナをテストするときの基準は、自分自身のドライビングポジションで前席を固定したときに後席にどの程度の余裕があるかで、その過酷な?テストに合格したアルファ75とアルファ155に対して、その後継モデルであったアルファ156は不合格となってしまったため購入しなったのですが、このTHEMAでは合格どころか後席に私が座ってもひざ前にこぶしが二個入るほどの広さがあったのです。

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残念ながらこの年代のイタリア車のプラスチック部品はその材質も成型技術も日本の当時の標準にすら遠く及びませんが、一方でそのデザインは現代の日本車もまだまだ及ばないほど個性に溢れています。
エンリコ・フミアさんがデザインしたアルファ164も、巨匠ジゥジアーロがデザインしたこのTHEMAも、ダッシュボードやインパネを単なる機能部品としてだけではなく、一種のアーキテクチャーとして造形していることが良く分かります。もちろんあくまでも工業デザインですから、そのデザインは当時の工業技術やコストの制約を受けるのは当然なのですが、それを割り引いて見てもデザインとして素晴らしいと思います。

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例えば室内のルーバーダクトにこれほどまでに凝ったデザインをし、製造にコストと手間をかける例が日本車にあるでしょうか?

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MASSERATIの内装が誰もが理解できる伝統的な高級テイストに基づいているとすれば、LANCIAの内装はカッシーナ製の家具のようなモダンなテイストに基づいています。
フェイクウッドではなくちゃんと本物のウッド製のトリムも鏡面ニスで仕上げられたものではなく、ウッドの質感を大切にした仕上げが施されています。
もしMASSERATIの内装に落ち着かなさを感じる方でも、このLANCIAの内装にはきっと心地良さを感じるのではないでしょうか。

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LANCIAが目指す「上質」とはまさにこの落ち着きではないかと思います。その上質を追求するために、LANCIAは世界で初めて人工スゥエードであるアルカンターラやこのゼニアのような服地を内装材として採用したりして来たのですが、そのチャレンジの成果は着実に実を結んでいると思います。

このTHEMAは保管状態が良かったため、内装は20年という歳月を感じさせないほど程度の良い状態だったのですが、やはり樹脂パーツの白濁劣化があるために、初期化として手入れをして行きたいと思っています。その模様と作業のポイントはまた別の機会にお知らせすることにします。

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テーマ:イタ車 - ジャンル:車・バイク

コメント

オートザム...........

オートザムの小さなショールームに軽自動車を押しのけテーマがデ~ンと置いてあり、「無茶しよるなぁ~」と思ったものでした。たしかにガレ伊太よりずいぶん敷居が低かったですね。カタログをもらった記憶あります。売れ残りを社員が強制的に買わされていたのでしょうか、マツダの従業員駐車場には必ずテーマ(8.32を含む)が何台かありました。

  • 2010/06/11(金) 10:45:32 |
  • URL |
  • なごやまる #-
  • [ 編集]

Lancia

ランチアを取り上げているブログは少ないので、楽しみです。
ランチアの見方は仰る通りだと思います。上質なコンセプトと上質なデザイン、上質な性能で他車とは異なる良さがありますね。
アプリリア、フラミニア、フルビア、最近でもイプシロン、テージス、デルタなど独特の雰囲気が好きです。

  • 2010/06/11(金) 10:46:41 |
  • URL |
  • 832 #-
  • [ 編集]

>なごやまるさん
確かにあの光景は異様でしたね。キャロルとかAZ-1とかが販売の主力だったと記憶していますが、ランチアは全くそれらとはコンセプトもテイストも違いましたからね(笑)

  • 2010/06/11(金) 12:57:51 |
  • URL |
  • 510190 #-
  • [ 編集]

>832さん
ありがとうございます。私もランチアはこれからお勉強・・・ですので楽しみです。
ただこれ以上は先祖帰りしないように自制しなければと思っています(苦笑)

  • 2010/06/11(金) 12:59:18 |
  • URL |
  • 510190 #-
  • [ 編集]

納車おめでとうございます

ゼニアのシートと内張り、それに合わせたカーペットの色合いが何とも上品でイイですね!
窓枠のメッキの使い方なんかも巧いですね!

早く見てみたいな
そしてtipo4の4台を並べて見てみたい・・・とはいえ、無理か?クロマなんてどこ探したってみつからないかも

  • 2010/06/11(金) 18:19:04 |
  • URL |
  • 笹本隆太郎 #-
  • [ 編集]

>笹本さん
ありがとうございます。Tipo4のうち、SAAB9000とクロマは死滅に近いですよね。せめて164とテーマだけでも並べますか・・・(笑)

オートザムとLANCIAの関係につき、ご教示有難うございました。当時マツダユーザーだったので、興味深かったです。低い着座・ガルウイングドア・小さな窓・ミドシップ…AZ-1には一度乗ってみたいです!

  • 2010/06/12(土) 22:16:58 |
  • URL |
  • mamezo #-
  • [ 編集]

164と出合った当時から、テーマはカッコイイと思ってたんですが、もっとオッサンになってから・・・
で、今オッサンだから似合いますよ、お互いにね!
シートのどっかに、ゼニアのタグありましたか?

  • 2010/06/13(日) 15:15:40 |
  • URL |
  • BUSSO #-
  • [ 編集]

>mamezoさん
こちらこそネタにさせていただきました(笑)
AZ-1ですが、カプチーノと共にABARTH風のボディを被せたりしてオジサンがニヤッとするモデルも出ていたんですよね。

>BUSSOさん
確かに、昔はあまりにコンサバなそのスタイリングに気後れしていましたが、ようやく似合うようになったのかも知れませんね。
ゼニアのタグは探してるんですが・・・(苦笑)

私は懲りずに3台目のテーマフェーズⅡを所有している者ですが、ゼニアはフェーズⅠ(初期型)のみで、このフェーズⅡのものはゼニアではありませんよ。私はちなみにフェーズⅢアルカンタラを移植して楽しんでます。ランチア・テーマオーナーズクラブHPに詳しく解説されています。

  • 2010/07/03(土) 10:13:16 |
  • URL |
  • m_cyo #-
  • [ 編集]

>m_cyoさん
始めまして。テーマを三台ですか・・・(苦笑)
某クラブにもいらっしゃいますが、好きになってしまうと代わりがないんですよね。
ゼニアについてご教示ありがとうございます。どうりで一生懸命タグを探しても見つからないはずですね(笑)
でも、このフェーズ2の内装、特にクロスの感触も色使いもとても気に入っています。
テーマに関しては初心者なので是非これからもイロイロと教えてください。

  • 2010/07/03(土) 12:31:30 |
  • URL |
  • 510190 #-
  • [ 編集]

Ermenegildo Zegnaは

Trevi、Prisma、Delta、Themaの初期モデルに使われていましたよ。
しかしながら、Phase2、Phase3のテーマにはZegnaは使われていません。
クルマに使うには、強度が足りないのと、高価すぎるからではないでしょうか?
スーツを作ると45万位しますから、安い生地だとしてもクルマのシート1台分だと、ちょっと(~~;

  • 2010/07/31(土) 00:50:44 |
  • URL |
  • kuzuya4 #-
  • [ 編集]

>kuzuya4さん
アルカンタラといいゼニアといい、ランチアは内装に関しては革新的なチャレンジをしてきましたね。
ゼニアでないのは残念ですが、一方で日本車では絶対に有り得ないこのカラーコーディネートを気に入っています。

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