走ってナンボ

アルファ・ロメオを始めとする「ちょっと旧いイタ車」を一生懸命維持する中での天国と地獄をご紹介します。

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LANCIA THEMA Turbo16V

次のクルマについては謎を残して引っ張ろうと思っていたのですが、意外にあっさりとバレてしまいました(苦笑)
それにしてもあの写真ですぐに分かってしまうのですから、このブログの読者の皆さんも相当なヲタクではないかと思います。

THEMA001.jpg

ご推察の通り次のアシクルマはLANCIA THEMAです。そもそもTHEMAがアシクルマになるのかどうか…という点では出発点から甚だ不安ではあります。本来のアシクルマは手がかからず、使い勝手が良く快適で、加えて望むならば多少はFun to Driveなクルマであるべきなのですが、最初の条件以外はクリアーしているにもかかわらず、その最初の「手がかからない」という点で相当アヤシイのがこのTHEMAではないかと思います。

LANCIAはアルファ・ロメオよりも一足先に100周年を迎えたほどの歴史ある自動車メーカーで、その設立は1906年にまで遡ります。設立者であるヴィンチェンツォ・ランチアは缶詰スープ会社の御曹司として生まれ、若い頃からモータースポーツに親しみ、一時期はFIATのワークスドライバーとして活躍するまでになったのですが、その地位に飽き足らず自らが自動車を製造するべく会社を設立したのです。初期のLANCIAで最も有名なモデルが1922年に発表されたラムダで、モノコック構造のボディに前輪独立サスペンションを持ち、先進的なオーバーヘッドカムシャフトタイプのエンジンを搭載したラムダは、現在の自動車が当たり前に採用しているこれらのメカニズムの先駆けとなったモデルでした。
後に会社を継承した息子のジャンニ・ランチアも相当なクルマ好きで、レーシングモデルを開発するために、こともあろうにアルファ・ロメオからあのヴィットリオ・ヤーノを引き抜き、V6エンジンにデファレンシャルギアとミッションが一体化したトランスアクスル方式を持つアウレリアを開発しレースに打って出るのですが、それに伴い経営は悪化し、ついに1955年に会社は倒産してしまいます。

そんなLANCIA社再建のために一肌脱いだのは建設業で成功していたカルロ・ベゼンティだったのですが、彼自身もLANCIAの一ファンで、経営的に建て直すと言うよりLANCIAを復活させることに重点を置いたために、彼の時代に「フラミニア」、「フラヴィア」、「フルヴィア」という先進的なモデルを開発したにもかかわらず、再び経営は悪化し、1969年にはついにFIATの傘下に入って再び経営を建て直すこととなってしまいます。
本来ならばこの時点でLANCIAという社名は消えてしまい、せいぜいモデル名として残るのが関の山なのでしょうが、FIATにとってもLANCIAというブランドは特別で、FIAT傘下に入ってからもストラトスや037ラリーに代表されるホモロゲーションモデルでWRCに参戦するなど、LANCIAの持つ先進的なメカニズムとスポーツイメージを継承しながらも、一方で上質な内装と乗り味を持つ高級ブランドとしての地位も確立することに成功し、FIATファミリーの中でLANCIAというブランドの「立ち位置」をうまく保つことに成功していました。

そんな中にあってTHEMAは当時のアッパーミドルクラスを受け持っていたベータとガンマの後継車種として企画され、Tipo4 プロジェクトの一車種として1984年に発表されました。
このTipo4プロジェクトと呼ばれた各メーカーが資金を出し合って、最もコストのかかる新シャーシーを開発しようというプロジェクトは、今でこそ資本提携が国際的な規模で起こっている自動車メーカーにとって当たり前のことですが、当時としては画期的な試みで、シャーシーを共有するためにホイールベースが同じになっても各社が搭載するエンジンやボディデザインで、どこまで差別化することができるかが注目されたプロジェクトでした。

THEMA003.jpg

デザインしたのはイタルデザインのジゥジアーロで、Tipo4プロジェクトの内、アルファ164を除く3車種は彼のデザインによるものです。後に彼は、「全てのモデルのうち、最初にデザインしたのはTHEMAだった」と述懐しており、このTHEMAのデザインが他の二車種であるFIAT CROMAとSAAB 9000に影響を与えたのは言うまでもありませんが、もともと小型車のデザインを得意としていたジゥジアーロにとってもアッパーミドルサルーンのデザインは新しいチャレンジだったのではないでしょうか。
彼がLANCIAのためにデザインしたサルーンは何の変哲もないセダンで、その何の変哲もないところが実に理詰めに考えられたクルマでした。ドライバーを含め人がちゃんと5人乗ることができ、その5人が等しく快適で、しかも相応な荷物も積むことが出来るTHEMAは、機能美と言ってよい美しさを持つ理想的なフォルムです。
事実、市場には大好評で「紳士のクルマ」と呼ばれ、特に公用車や社用車などフォーマルな用途に用いられたと言われています。

このように外見はフォーマルなセダンですが、内装もそれに見合った仕立てで、LANCIAという高級イメージから服地で有名なエルメデジルド・ゼニアの生地を初めてシートやトリムの材料として採用するなど、その凝ったデザインと相まって独特な空間を演出していました。
また同時にLANCIAのスポーティイメージもちゃんと守られており、中味は意外にスポーティで、軽い車体に高出力エンジンを組み合わせることにより、その外観に似合わないドライビングを楽しむことができるクルマで、その最たるものが後にバリエーションに加えられた8・32で、その名前の通りフェラーリ製のV8 32Valveエンジンをフロントに搭載したモデルでした。

THEMA002.jpg

私のところにやって来たのは1990年式のTurbo 16Vというグレードで、このモデルは後にDELTA INTEGRALEに搭載された2.0L DOHC 16V Turboエンジンが搭載され、しかもミッションは5MTというスポーティなグレードです。
当時の日本はバブル期であったこともあり、日本の正規ディーラーであったオートザムを通じてTHEMAは多く販売されたのですが、さすがにこのフォーマルなボディをATではなく敢えてMTで乗ろうというオーナーは少なく、殆ど残っていないのではと思われるモデルです。まあ仮にどんなグレードであってもTHEMAそのものが今や絶滅危惧種ですので希少と言えるのですが…(苦笑)

THEMA004.jpg

現在はまだ初期化とダメ出しの最中ですので、ドライビングインプレッションを書くのは控えたいと思いますが、THEMAを理解する鍵の一つは間違いなくその車重ではないかと思います。
Tipo4プロジェクトの時代はまだ衝突安全基準が緩く、後に義務化されるサイドインパクトバーなどは未装備の時代でした。従ってこのTHEMA Turbo 16Vはその車重は何と1300kgに抑えられています。同じTipo4シャーシーを共有しているアルファ164も後期型になるとサイドインパクトバーが加えられ、3LのV6エンジンを搭載したSuperが1500kgを超えていたことからも、この軽さはやはり画期的でしょう。しかし一方でボディ剛性もその軽さ故に現代の同じサイズのセダンとは比べ物にならず、工場を出てから20年が経ったこの個体にも多くを望んではいけないだろうと思っていたのですが、実際に運転してみるとお世辞にも強いとは言えないまでも、916Spiderからの乗り換えのため弱いとも思えず、私にとってこの緩いボディ剛性はネガにはなりませんでした。
一方でエンジンはなかなか元気で、3000rpmを超えたあたりからブーストが効き始めるターボチャージャーは、現代の燃費重視のマイルドターボとは一線を画すパワーのためのターボで、ついついアクセルを踏み込んでしまうため、燃費には良くない結果になるとは思いますが、意思の弱い私にはやめられそうにありません(苦笑)

この個体は主治医の下でかなり整備されていたもので、乗り出しに際して徹底的な初期化が必要ではなかったのが有難く、それも手許に引き取るきっかけとなったのですが、やはりそれでも実際に乗り出して見ると気になるポイントが出てくるものです。今後はそれらのチェックと対策に加えて、引き取ってから…と思っていた内外装の仕上げを行って行きたいと考えています。

これからは周囲にある様々なアルファ・ロメオ達のことに加えて、20年オチのLANCIA THEMAはアシクルマとして機能するのか…という壮大なテーマでこのブログ記事をお届けすることになります。果たして地獄巡りが再び始まるのでしょうか…?

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テーマ:イタ車 - ジャンル:車・バイク

コメント

上品な色ですね。ランチアブルーっでしたっけ。ホィールは社外品でしょうか?遠目からでもその素性のよさが伝わってくるような気がします。次回は内装の紹介でしょうか?今後のレポート楽しみです。北米で販売のなかった車種ですので部品供給は欧州ルートがメインになるのでは、その辺が人事ながら心配です。ネタは恐らく無尽蔵でしょうし(笑)。

  • 2010/06/08(火) 11:23:26 |
  • URL |
  • なごやまる #-
  • [ 編集]

164との差異、ランチアらしさ。ジュジャーロらしさ。
インプレ楽しみにしております。

  • 2010/06/08(火) 12:44:58 |
  • URL |
  • pekepeke #-
  • [ 編集]

>なごやまるさん
この上品さは私に似合わないかも知れませんね(苦笑)
ご推察の通りホイールはSpeedlineのCorseを履いています。部品に関してはヨーロッパのネットワークで手配することになると思いますが、ヨーロッパでは売れたクルマですのでそれほど心配はしていないんですよ。

  • 2010/06/08(火) 12:51:16 |
  • URL |
  • 510190 #-
  • [ 編集]

>pekepekeさん
確かに同じシャーシを使って開発されたテーマと164の比較は興味深いですよね。
ランチアとアルファ・ロメオのクルマ作りの違いとエンリコ・フミアとジョルジェット・ジゥジアーロというデザイナーの違いはどのように顕れているのかをお伝えできればと思っています。

  • 2010/06/08(火) 12:53:57 |
  • URL |
  • 510190 #-
  • [ 編集]

ボディ・内装・カラー、そしてなんといってもLANCIAのエンブレム!どれをとっても優雅なのに…
この先どんな展開が待っているのか楽しみですッ!(失礼) またちょくちょく覗かせて頂きます。
ところで、オートザムはどんな経緯でLANCIAの輸入権を取得することになったのでしょうか?

  • 2010/06/08(火) 23:42:45 |
  • URL |
  • mamezo #-
  • [ 編集]

>mamezoさん
実に真っ当なクルマですよ(笑)
でも、一方で実に怪しいクルマでもあります。
オートザムというかバブル期の日本のディーラーは何でもアリでしたからねぇ。

はじめまして。いつも、どこまでもディープな内容に唸らされながら拝見しております。
THAMA懐かしいです。私も10年落ちのいわゆるフェイズ2に乗っておりました。いえ、乗らせていただいておりました。
初期化にかなりの手をかけ、幾多のトラブルにも見舞われましたが、本当に楽しいカーライフを送らせていただきました。まだまだお伝えしたいことは多々ございますが…
今は128rallyに乗っていますが、これがまた…言葉では伝えられません。 「全身鳥肌モノです!!」とでも申しましょうか。
これからもディープなブログ、たのしみにしております。

  • 2010/06/09(水) 09:03:14 |
  • URL |
  • 128rally #-
  • [ 編集]

はじめまして。
いつも楽しく大変勉強になるブログを、有り難うございます。毎回たのしみに拝読させて頂いております。
アルファとランチアが大好きで、以前は156SW現在はテージスを所有しております。
LANCIA THEMA Turbo16Vの文章を読み、迷走を繰り返しながらも、今日まで生き残ってきたランチアというブランドの伝統と格式を再確認いたしました。
今後のブログの展開に心が湧き踊り、コメントを投稿させて頂きました。
日々の元気の源となる、イタリア車好きには大変素敵なブログをこれからも楽しみにしております。

  • 2010/06/09(水) 11:31:24 |
  • URL |
  • KEN #-
  • [ 編集]

地獄めぐりを楽しく過ごすため、8.32を選択してほしかった・・・。
by 一読者

  • 2010/06/09(水) 12:05:39 |
  • URL |
  • keno #-
  • [ 編集]

>8.32を選択してほしかった・・・。

きっと510さんの事ですから”セカンドカー”に8.32も購入してあると思います。
だってそうじゃないとドMらしくないじゃないですか?(爆)

  • 2010/06/09(水) 18:05:12 |
  • URL |
  • こ~んず #JalddpaA
  • [ 編集]

>128Rallyさん
初めまして。いつもご愛読いただきありがとうございます。THEMAのオーナーであった方であればきっと様々なご経験(笑)をされたでしょうから、私も心強いです。是非これからもよろしくお願いします。
それにしても128Rallyですか・・・。個人的にはシムカ・ラリーとかR5ゴルディーニとかのハコが大好きですので、刺さりますね(笑)

>KENさん
初めまして。いつもご愛読いただきありがとうございます。テージスですか・・・確かギャラリーアバルトの小坂さんもお持ちだったと思いますが、あのクルマほど日本人の感性では理解できないデザインのクルマは珍しいですよね。素晴らしい見識だと思います。
皆さんが「アホやなぁ」と笑って読んでいただくのが一番平和で健康的だと思っていますので、くれぐれも良い子はマネをしないようにお願いします(爆)

>kenoさん
あまりに無責任な・・・(爆)
だったらまだ412あたりに逝くでしょう。

>こ~んずさん
kenoさんが無責任ならあなたは無節操ですっ!
そこまで言うなら自分が買いなさいっ!

もしかして・・・

『やっちまったなぁーっ』
てな感じ?

でも、THEMA。オイラは好きです。
飽きたら是非ウチの1/1コレクションに追加を(笑)

  • 2010/06/09(水) 22:57:44 |
  • URL |
  • yossuie #qbIq4rIg
  • [ 編集]

>yossuieさん
まだやっちまった感はないですね。どちらかと言うと、「意外にマトモ」感の方が強いです(苦笑)
たぶん感覚が麻痺してるのでしょう。

納車おめでとうございます。
やっぱりランチアには紺色が似合いますね~。この色ランチアブルー?ブルーブリザード?そんな名前でしたよねたしか。

同じプラットフォームながら164よりテーマに乗っておられる方のほうがよりオーナーも紳士な感じがします。(爆)
以前メンテしてもらっていた店では、意外に壊れないクルマとは言われました。

  • 2010/06/10(木) 08:22:56 |
  • URL |
  • masaking #-
  • [ 編集]

アルチャ、アルラン

190さんそうきましたか。セダンの良さは、わかります。一人で運転していても、優雅です。私も御存じジャガーのときは皆様からジャガイモと言われましたので、190さんは何にしますか。野菜系で考えているのです、
無いので、アルチャか、アルラン号と
言うのはいかがですか。今度車見せてください。

  • 2010/06/10(木) 09:13:03 |
  • URL |
  • 青ガエル #-
  • [ 編集]

>masakingさん
カラーラベルによると「BLEU LORD」という色のようですね。まぁ所謂ランチア・ブルーでしょう(笑)
意外に壊れないかどうかはまだ分かりませんが、同年代の164Lよりはちゃんとしているような気がします(苦笑)

>青ガエルさん
かつてのジャガ芋とは違って一応は正統派のイタ車ですから・・・(笑)
現在初期化中ですので一段落したらお披露目しますね。

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