走ってナンボ

アルファ・ロメオを始めとする「ちょっと旧いイタ車」を一生懸命維持する中での天国と地獄をご紹介します。

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未来への提言

私はデザイナーでもアーティストでもありませんから、このようなデザイン論を語る資格はないのかも知れません。しかしそれを承知でシロートなりのデザイン論を語らずにはいられなくなってしまいました。
それは最近やたら目に付くクルマのデザインにおけるノスタルジックリバイバル路線についてです。

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クルマのスタイリングに関して言えば、まずパッケージングが最初にあり、それを最も効率良く最適化することがデザインであろうと思うのですが、どうも最近のデザイントレンドは過去の成功したモデルのイメージを安易に使いすぎているような気がしてなりません。特に最近の欧米のメーカーにはそれが顕著で、その先鞭がNew Beetleではないかと思います。そもそもBeetleのあのデザインはRRエンジンだったからこそで、その前提でパッケージングを煮詰めた末のスタイリングでした。自動車は機能が最優先される工業デザインであるが故に、「機能的なものは美しい」と考えられたからこそ、決して格好良くはなかったBeetleがこれほどまで長く愛されたのだと思うのですが、FFとなったゴルフをベースにしたNew Beetleはあのスタイルである必要はまったくなく、FF形式により確保された広々としたグリーンハウス(キャビン)があのデザインのおかげでかえって狭くなってしまいました。

しかしそれでもNew Beetleはそのスタイリングが初代Beetleを真似たものであったが故に売れたのです。そしてそれが各メーカーのノスタルジックリバイバル路線に火をつけることになってしまいました。往々にしてクルマが売れなくなったり、次のデザイントレンドが不確かな時代は、安全策でこうした過去のデザインをモチーフにしてそのイメージにあやかろうとするものですが、一つのデザインとして見ればそこには過去への賞賛や愛着はあっても未来への提言は何も感じられません。

売れれば勝ちと言われればそれまでなのですが、続くNew Mini、Fiat500は確信犯として過去のデザインを模倣して、それなりに成功を収めました。
その中でもまだマシなのがNew Miniで、個人的にはパッケージングが優れているので、あのスタイリングである必要なないものの、スタイリングをかつてのMiniに似せることが決して何かを犠牲にはしていないところがまだ評価できます。
このトレンドはアメリカのメーカーにも波及し、マスタング、カマロ、チャレンジャーと過去の名車のイメージをそのまま流用したクルマが続々と登場し、これまたそれなりに成功していることから考えると、引き続きこの路線は続くのではないかと思います。

何か特定のモデルを模倣することと、過去のデザインモチーフを引き継ぐことは似てはいても全く別の行為だと思います。例えば8C Competizioneは過去のアルファ・ロメオの名車のデザインをモチーフにしていますが、どれか特定のモデルを模倣しているわけではありません。
そのスタイリングに関して言えば、私たちアルファ・ロメオファンが考える過去のアルファ・ロメオの格好良い部分をうまく纏め上げて作り上げたもので、確かに未来への提言はあまり感じることはできませんが、そのデザインの目的であるアルファ・ロメオに求める格好良さは見事に達成されています。

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その8C Competizioneと全く異なるアプローチでデザインされているのが先日ご紹介したBertoneのコンセプトモデルで、それはこのスタイリングについての好き嫌いは別にして未来への提言に満ち溢れていました。
一方でPininfarinaのコンセプトモデルは過去をモチーフにしながらも、そのデザイン力でちゃんと新しい未来志向のスタイリングとして纏めあげていました。

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ところが…、今年の伝統あるConcorso d'Eleganza Villa d'Esteに出品されたZAGATO TZ3には正直びっくりしてしまいました。確かにそのスタイリングはかつてのアルファ・ロメオの名車TZ2をモチーフにしているとは思うのですが、それはデザインモチーフというレベルを超えて、前述したNew BeetleやMiniのような「あざとさ」を感じてしまうのです。

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このコンクールはイタリアの高級リゾート地であるコモ湖の湖畔に建つホテル、ヴィラ・デステで開催されるクラッシックカーのコンクールなのですが、もともとは貴族や大金持ちがワンオフでカロッツェリアに作らせた自慢の愛車を見せびらかす?のが目的で開催されたものですので、その名残として個人の所有する美しくレストアされたクラッシックカーのコンテストだけでなく、コンセプトカー&プロトタイプ部門というワンオフのクルマのコンテストも同時に開催されています。

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今回出品されたZAGATO TZ3はアルファ・ロメオの歴代のレースシーンにおいて活躍したZAGATOがアルファ・ロメオ100周年を記念する意味も込めてデザインしたもので、その車名はもちろん1960年代に大活躍したGiulia TZに由来しています。Giulia TZはGiulia SZの空力に優れた軽量アルミボディを更に発展させ、Tuborale ZAGATOとして文字通り鋼管チューブラーフレームを採用し、さらに軽量化したモデルとして開発されたもので、それを発展させたTZ2はアルファ・ロメオの歴史に輝く名車として人気の高いモデルです。もともと航空機の設計が出自であるZAGATOはアルミボディを使った軽量化技術と空気力学に重点を置いたボディデザインを得意とするカロッツェリアでしたから、このSZ/TZがその軽量故にレースシーンで活躍し、そのスタイリング故に美しい名車として人気があるのは当然のことと思います。

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このTZ3は、8C Competizioneと同じく、マゼラーティの4.2L V8エンジンをモノシェル構造のカーボンファイバー製チューブラーシャシーにチューブラーフレームを組み合わせたオリジナル軽量アルミ製ボディに搭載したもので、その車重はわずか850kgとのことです。TZ3は0-100km/h加速は3.5秒、最高時速は300km/h以上と言われているコンペティションモデルです。

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聞けば、このTZ3はあくまで個人オーナーがレースに出走するためにZAGATOにオーダーしたものだそうで、そのオーナーの意向がこのデザインコンセプトであったとすれば、ZAGATOにとってはあくまでビジネスであり、あまり選択の余地はなかったのかも知れません。
確かに個人的には格好良いと思いますし、こうしたワンオフのクルマをオーダーできる身分に憧れることも確かです。
しかし、コンクールで最優秀賞を受賞したとなるとハナシは別で、審査員の見識としてはいかがなものか…と思ってしまいます。

過去のデザインを焼き直しただけのクルマが喝采を浴びるようでは、後世から見るとデザイン不毛の時代と呼ばれても仕方ないでしょう。

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テーマ:AlfaRomeo - ジャンル:車・バイク

コメント

リバイバル

お久しぶりです。
最近のリバイバル(焼き直し?)傾向ってクルマに限った話ではないですよね。映画なんかもそうだと思います。
クルマに関して言えば、日産の一連のパイクカーを思い出しましたが、プラットフォームの共通化は同じでもデザイン的には(懐古的ではあるけど)模倣ではありませんね。
リバイバルが増えているのは、TZ3がいい例だと思いますが、デザイナーの問題ではなく、もっと上の企画者の問題かと思います。
私が高級オーディオの開発に携わっていた時も、”理にかなった設計から来る外観”はTOPに受け入れられないことがよくありました。
(でも個人的にはマスタングとかカマロはいいと思います。なんとなくですが、今になって昔求めていたデザイナーの意匠に近づけたような感じを受けます。)

  • 2010/05/03(月) 08:07:45 |
  • URL |
  • S氏 #-
  • [ 編集]

>Sさん
お久しぶりですね。
確かに不景気になるとあらゆる分野で安全策からかリバイバルが蔓延るようですね(笑)
冒険とは経済的にも精神的にも余裕が無ければできないのかも知れません。
個人でやる分にはこのテのクルマは全然アリだと思います。町工場のオッサンが勝手に作ったのであれば拍手喝さいなのですが、ZAGATOが過去の自分たちの作品をネタにこれを作り、それをコンクールが賞賛するという風潮がナンとも不毛だと思います。
他人がやれば犯罪的盗作でしょうが、自分たちがやったとしてももやはり過去の自分たちから盗作していることには変わりないと思うのですが・・・。

個人的にはコレ好きですよw
明らかなセルフパクリの感は否めませんが、ZAGATOがAlfaを作ったという久しい明るいニュース!
コーダトロンカに若干のふくらみがあることやリアウィンドウが付いてることに空力的な新しい考えや視認性が見て取れたり、懐古趣味が災いしない850kgであったり、オーナーモデルとはいえZAGATOの意気が伝わる気がします。

まぁ、コンクールはとっちゃダメですね。未来のデザインが育たない。
ZAGATOにはランボみたいにガンディーニの幻影を追い求めるようなメーカーにはなって欲しくないです。

  • 2010/05/04(火) 09:39:22 |
  • URL |
  • pekepeke #-
  • [ 編集]

>pekepekeさん
実は私も好きです(笑)
でも、こうしたパトロンが資金を出して自由にデザインさせるのことによってそもそも芸術を発展させて来たと思うんですよね。ヨーロッパの音楽も絵画もそうして発展して来たのですから、クルマもそうありたいと思うのは贅沢なんでしょうね。
もし私だったらもっと口を出すかも(爆)

初めまして!
いつもROMしています。
私も個人的にTZ3が気に入りました。
ニューチンクやBMWミニと比べても旧TZをモチーフにしながら、新しい主張も盛り込まれていると思いました。
これで本当にレースに復帰してくれたらすばらしい事と思います。

  • 2010/05/05(水) 19:32:23 |
  • URL |
  • hirshiy #N0fGSRtA
  • [ 編集]

>hirshiyさん
初コメントありがとうございます。
私もTZ3は格好よいと思います。ZAGATOもデザイン力が錆付いていないのも嬉しい限りなのですが、TZ2と同じ尺度で見たときに今から40年後にTZ3は語り継がれるかを考えると、ZAGATOに新しいコンセプトで自由にデザインさせることができれば・・・と思ってしまうのも事実ですね。
じゃあお前が頼めよっ!と言われればごめんなさいなのですが(苦笑)

サイドビューは?
というお問い合わせをいただきましたので写真を追加しました。

初めまして!
いつも的を得た論評と膨大な量の取材と掲載に頭が下がります。

今回のデザイン論に激しく同意します。
75なんてとても褒められたデザインではないと思いますが、過去の車歴の中でも忘れられないデザインです。ES30なんてイタリアでしか生まれないデザインですよね。
現在の足クルマ159も薄味ではあるもののデザインでは満足してます。

  • 2010/05/06(木) 09:58:49 |
  • URL |
  • kat​*le​t*2​*02​j* #JNLRptjE
  • [ 編集]

>kat​*le​t*2​*02​j* #JNLRptjE さん
というか、これがお名前ではないと思いますが・・・(苦笑)
初コメントありがとうございます。
アルファ・ロメオのデザインは過去の歴史の延長線上にありながら過去のどのモデルにも似ていないところが最大の魅力だと思います。それはデザインの基本であり、デザイナーの才能そのものだと思いますが、その意味ではTZ3はデザイナーも苦労したのではないかと思いますね。

  • 2010/05/06(木) 10:27:07 |
  • URL |
  • 510190 #-
  • [ 編集]

> もし私だったらもっと口を出すかも(爆)

僕でももっと口を出すと思いますw。ZAGATOの力、信じてますから!

  • 2010/05/06(木) 12:37:28 |
  • URL |
  • pekepeke #-
  • [ 編集]

>pekepekeさん
真のパトロンは金だけ出して口は出さないものなんですが・・・(爆)

  • 2010/05/06(木) 13:38:08 |
  • URL |
  • 510190 #-
  • [ 編集]

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