走ってナンボ

アルファ・ロメオを始めとする「ちょっと旧いイタ車」を一生懸命維持する中での天国と地獄をご紹介します。

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自衛隊という軍隊

最近自衛隊に関するニュースが増えているように思います。海上自衛隊によるインド洋での給油活動の終了とともに、今度はハイチの地震復興支援に陸上自衛隊が派遣されることとなりました。
自衛隊の災害派遣が一般的となり、その活動を国民が当たり前のように受け入れられるようになったのは阪神淡路大震災以降ではないかと思います。それまでは最も緊急時での即応能力に優れていても、自衛隊アレルギーから出動要請はなかなか出されず、ようやく要請が出されても情報の不足や警察や消防との縄張り争いなど、おおよそ緊急時では有り得ないような原因から効果的な自衛隊の利用がなされませんでした。
何故自衛隊が…と思われるのですが、災害地で現地のインフラに頼ることなく自力で活動することのできる装備を持っているのは自衛隊を含めた軍隊しかありませんし、その装備は災害時に被災者にも有用であることが証明されるにつれ、それまで災害に際して出動要請をためらっていた自治体も積極的に自衛隊を頼るようになったのではないでしょうか。そして蓄積されたこうした災害援助の経験と自衛隊の持つ装備が、災害対応能力を持つ世界で有数の集団となり、国際的にも期待される存在になりました。

しかしどんなに災害時の対応能力で期待されるようになったとしても、自衛隊は災害救助隊ではなく戦争をするための装備を持ったれっきとした軍隊であることには変わりなく、ハイチに派遣されるのも施設部隊と呼ばれている工兵隊で、その本来の任務は戦場での補給路を確保したり、自分たちの宿営地を整備したり、戦闘で破壊された建物を排除したりすることなのです。

自衛隊が軍隊として日本の防衛を担うのがその主たる任務であることを思い出させてくれたのが、最近問題となった自衛官の発言です。そのニュースとは…

「陸上自衛隊の第44普通科連隊長中沢剛1等陸佐が日米共同訓練の開始式で「同盟関係は『信頼してくれ』などという言葉で維持されるものではない」と発言したことについて、北沢俊美防衛相は12日の閣議後会見で「現場の指揮官が政治や外交という高度な国家意思に言及している。その規律の問題をシビリアンコントロール(文民統制)の観点から整理する必要がある」と述べ、発言は不適切だったとの認識を示した。
北沢防衛相は同日、中沢1佐を内規に基づく注意処分とした。中沢1佐の発言が、政治や外交を軽視しているととられかねないと判断した。」
(朝日新聞より、ただし下線は筆者)



というものでした。私自身は中沢1等陸佐の発言は何も間違っているとは思えず、なぜこの発言により処分されるのかが分かりませんでした。
個人的な見解ですが、日米安保条約が軍事同盟である以上、その日米共同訓練の目的は有事の際に米軍と自衛隊が一つの軍隊として機能するための訓練であることは自明で、同盟とはこうした訓練の積み重ねによりお互いの実力を認め、信頼し合うことにより生まれるもので、その同盟関係の究極は兵士がお互いの命を預けるのですから、その訓練の現場責任者として訓練の開始式で行った上記の訓示は、全く正当だと思います。

自衛隊が違憲であるかどうかはともかく、余程の純粋平和主義者でない限り、自衛隊が不要だと考える人はいないでしょう。そして軍隊である以上、同盟国であろうと仮想敵国であろうと相手にナメられてはいけないのも当然で、日本の紛争抑止力は米軍の緊急展開能力と、専守防衛を原理原則としそのための装備と高度に訓練された自衛隊とセットで初めて成り立っているのです。
すなわちどんなに奇麗事を言おうが、現在の自衛隊の能力では極東米軍の存在なくして日本周辺の軍事的安全を保つことは不可能で、台湾がどんなに望んでもその導入が適わない、もはや旧式と言ってよいF-16戦闘機を、技術供与によりとっとと国産でライセンス生産できるのが日米安全保障条約であることをマスコミも文化人もなかなか認めようとしないのは私には理解できません。
だからこそ、自衛のための軍隊と標榜し、海外展開力を持たず、ハイチに派遣される際にはその同盟国である米軍のC-5ではなく、民間のチャーター機、しかも旧ソ連のAn-225を「堂々と」チャーターして派遣される自衛隊を日本は誇りに思うべきでしょう。あれこそ日本の軍隊が海外を侵略する能力なぞなく、日米軍事同盟が何でもアリではなく一定の制約の中でのみ機能していることの立派な証明ではないでしょうか。
普天間基地問題も政治問題である前に、極東の安全保障という軍事問題であることをもっと真剣に考えるべきでしょう。

しかし一方で私たちは自衛官という軍人のことをあまりに知りません。これほどまで日陰者扱いされ、職業として尊敬されず、自分たちを否定する憲法を誰よりも遵守することを求められながら、戦わない軍隊として過酷な訓練を続ける彼らは一体どんな人間なのだろうと思っていたのですが、この本を読んで彼らが決して兵器ヲタクでも国粋主義者でもなく、私たちと同様にそれぞれ違う「顔」を持つ個人であることが分かりました。

著者の杉山隆男氏は新聞社の社会部記者を経て作家になられた方ですので、その緻密な取材とイデオロギーにとらわれない中立であろうとする姿勢から自衛隊と自衛官の姿を冷静に捉えていると思います。
杉山氏はご自身でも書かれていますが、決して兵器のこともあまり詳しくありませんし、軍隊としての作戦や用兵に関して強い興味を持たれているわけではありません。
ですので、この作品ではそれらの側面に囚われずに一人一人の自衛官に取材で肉薄しています。

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いまだかつてこれほどまで長期に亘り、詳細に自衛隊と自衛官の姿を取材した文献はないでしょう。
自衛隊に興味もなければ兵器にも何の興味もない方でも、人間に興味がある方ならば一読する価値はあると思います。

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テーマ:ひとりごと - ジャンル:車・バイク

コメント

私の後輩も大学を出、周囲の反対を押し切り自衛隊に入隊、現在陸曹長の立場で非番の時はよく自衛隊の話を聞かせてもらっています。
彼は穏やかな二児の父親であり、国粋主義でも軍事オタクでもありませんが、「国を守る」と言う信念は穏やかに
持っている好漢です。

私も軍事オタクでも国粋主義でもございませんが、彼には立派な仕事だと常に伝えております。
私と話す時の彼は、ほとばしるように訴えるように話しをしてくれますが、逆に世間一般に認められない悲しさも彼から感じる時があります。

510190様が今回この記事を書かれた事に大変うれしく思います。
長々とすいません。







  • 2010/02/25(木) 12:38:27 |
  • URL |
  • きょき #-
  • [ 編集]

>きょきさん
身近に自衛官の方がいらっしゃると普通に感じられると思うのですが、私自身を含め自衛官をTVの中でしか知らないと観念的に捉えてしまうんですよね。
自衛隊の装備をあげつらって茶化したり、有事の際の戦闘をシュミレートしたりする作品は数多くあるのですが、日常の訓練の中で彼らが何を感じ、考え、何をモチベーションにしているのかがこの本を読むと少し分かりました。

どの世界も現場の方が物事を正確に認識していると言う好例ですね。

今日の記事の認識は正しいと思います。

  • 2010/02/25(木) 23:23:23 |
  • URL |
  • なべ #-
  • [ 編集]

>なべさん
>今日の記事の認識は正しいと思います。

そう言っていただけると励みになります(笑)

同感です!

クルマ趣味のブログでこういう話題を取り上げたことに最大の賛辞を送ります。
普天間問題、安全保障については日本人として本当に真剣に考えないといけないと思っています。
(イタ車に乗ってチャラチャラしている私が言うのもおかしいのですが。。。)

私は十数年前に当時の職場の関係で信太山の駐屯地に体験入隊しました。
他の社員はヘベレケでしたが、私は楽しくてしかたありませんでした。(笑)
その後も某駐屯地のスキークラブにお誘いいただき妙高でのスキー合宿にも参加しました。もちろん宿泊は演習場です。東千歳の部隊から教官を招いてのそりゃもうメチャハードなスキー合宿でしたが、それ以上に人間味のあふれる楽しい合宿でしたし、おかげでスキーが一気に上達しました。

紹介いただいた本も読んでみたいと思います。

  • 2010/03/01(月) 23:27:51 |
  • URL |
  • 同級生 N #AVChMHfA
  • [ 編集]

>同級生Nさん
ありがとうございます。確かにクルマのブログのテーマとしてはどうかな・・・という逡巡はあったのですが、この本をご紹介したかったのと、法律の矛盾を一身に背負っている自衛官が何か発言するとさらに叩かれるのは理不尽だと感じたので取り上げさせていただきました。もちろん戦前のような軍部の独断専行を望んでいるワケはありませんが、物事には順序と程度があると思うんですよね。

自衛官という普通の人々

いつも楽しく面白く拝見しております。なんだか私と趣味・嗜好のベクトルが似ていらっしゃるので親近感を感じています。知り合いに予備を含め何人か自衛官がおりますが至って普通の人々です。スピルバーグのバンド・オブ・ブラザーズの話をしたらそれは研修で散々見せられたと聞いていろんな意味で驚きました。その日は私の147で目的地までの峠越えのドライブを楽しみながら自衛隊という仕事について語らえた忘れがたい一日となったのを鮮明に思い出しました。

  • 2010/03/14(日) 11:20:56 |
  • URL |
  • ブラックジャケット #-
  • [ 編集]

>ブラックジャケットさん
始めまして。アルファ・ロメオをはじめとする変態クルマに飛行機、プラモデル、カメラに時計好きであれば、充分ハナシが合うかと思います(爆)
これからもどうぞご愛読よろしくお願いします。

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