走ってナンボ

アルファ・ロメオを始めとする「ちょっと旧いイタ車」を一生懸命維持する中での天国と地獄をご紹介します。

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鋼鉄の騎士

昨年は様々なヒストリックイベントに出かけたので、ブガッティを多く見ることができました。
現在のブガッティはその名前が残るのみでブガッティが最も輝いていた戦前とは全く無縁であることが残念なのですが、その最も輝かしい時代であった戦前のブガッティを描いた作品が、本日ご紹介する藤田宜永氏の「鋼鉄の騎士」です。

鋼鉄の騎士

作品そのものは日本推理作家協会賞を受賞していることからもお分かりのように、あくまでフィクションであり推理小説に分類されるものです。ところがその内容はカテゴリーを超えて当時の自動車レースを見事なまでに描いており、レース小説と言っても良い作品となっています。
原稿ベースで2500枚という超大作で読み応えも十分なのですが、簡単にそのあらすじをご紹介しましょう。

舞台は1936年から1939年という第二次世界大戦前夜のフランスと日本で、歴史的にはナチス・ドイツの台頭と共産主義革命が成功したソ連との間で、フランスに戦争の影が忍び寄る時代です。
子爵である千代延宗平の次男として生まれた主人公の千代延義正は華族でありながら、すでに革命活動家の兄に感化され、共産党の革命思想に憧れを抱き自らも活動に身を投じるようになります。
ところが、ある事件をきっかけに兄を失うこととなり、自身も心に大きな傷を負ってしまいます。
息子の行動を危ぶむ父は、自らがフランス駐在武官となったことを幸いに、義正をフランスに帯同し、義正を日本から離そうとします。
一方の義正はそのフランスで見たグランプリレースに魅了されてしまいます。当時のグランプリレースはメルセデスとアウトウニオンが台頭し、アルファ・ロメオがかろうじて健闘しているもののブガッティはその性能からとても勝ち目のない状態となっていました。しかもドイツ勢はヒットラーの国策としてレースに勝つことに力を入れており、もはやメーカーやドライバーのレベルでの戦いではなくなっていました。
義正は自らがグランプリに出場することを熱望するようになりますが、父親はそんなことを許すはずもなく、家出同然で自動車整備工場に職を得た義正は、そこで自動車の構造と整備技術を学びながらレースに出場する機会を窺います。
そんな義正に手を差し伸べたのが父親の友人であるシャルル・トゥルニエ男爵で、彼の亡くなった息子のために購入したブガッティT59を義正のために惜しげもなく提供し、彼のレース出場を応援します。
一方の義正はレースにのめり込む一方で、フランス、ドイツ、ソ連、そして日本のスパイ戦争に巻き込まれてしまいます。

この物語は縦軸にこのスパイミステリー、そして横軸にグランプリレースという全く異なるテーマが見事に融合されており、クライマックスではその両軸が絡み合い白熱したレース描写と手に汗握るスパイ戦争。そして解き明かされる謎と読み手を全く飽きさせない作品となっています。
登場するドライバーは全て架空の人物ですが、誰かしらモチーフにした実在のドライバーがおり、またメルセデスやアウトウニオン、そしてアルファ・ロメオなどの描写も実に的確で、作者のリサーチの確かさが窺い知れます。

私たちのようなクルマ好きにしてみれば、どんなにストーリーが優れていても、クルマの記述や描写が間違っていると興ざめしてしまうものですが、この作品では当時のグランプリレースの模様やドライバーの心理などに加えて、何よりもクルマの描写が素晴らしく、主人公の駆るブガッティの当時の劣勢を見事に描いています。

BUGATTI T59

主人公が乗るブガッティT59は1933年から1935年にかけて製造されたグランプリレーサーですので、この小説の舞台である1939年ではライバルには性能的には劣っており、3257ccの8気筒エンジンからの250hpという出力では勝負にはならなかったのですが、文中ではブガッティにこだわる主人公にこのT59をさらにチューンアップさせることにより何とか互角に戦えるようにします。さらにレースの天候を雨にすることによりライバルとの性能差を縮め、そのレース展開に信憑性を持たせているところなどは流石としか言い様がありません。

さて主人公はブガッティでレースに勝つことができるのか。そして一方の謎のスパイ事件の真相は…。
是非、お読みいただきたい作品です。

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テーマ:ひとりごと - ジャンル:車・バイク

コメント

実は一度は手に取ったものの、あまりの大作ぶりに気後れしてしまい、思わず西風の漫画にしてしまいました(笑)

  • 2010/01/08(金) 00:00:23 |
  • URL |
  • きゃつお #-
  • [ 編集]

>きゃつおさん
確かに分厚いですからね(笑)
でも、どんどん引き込まれて一気に読めますよ。

こんにちは。同じ本の感想記事を
トラックバックさせていただきました。
この記事にトラックバックいただけたらうれしいです。
お気軽にどうぞ。

  • 2010/05/14(金) 01:41:08 |
  • URL |
  • 藍色 #-
  • [ 編集]

>藍色さま
ありがとうございます。基本的に当方からのトラックバックは遠慮させていただいております。ごめんなさい。

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鋼鉄の騎士 藤田宜永

1935年、千代延子爵家の次男・義正は、 左翼運動に挫折し、父の宗平とともにパリへ渡った。 翌年、トリポリでのグラン・プリ・レースに...

  • 2010/05/14(金) 01:39:39 |
  • 粋な提案

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