走ってナンボ

アルファ・ロメオを始めとする「ちょっと旧いイタ車」を一生懸命維持する中での天国と地獄をご紹介します。

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擬似家族

前回のアストン・マーチンV8の記事でも少し触れたのですが、外観上でどのブランドのクルマであるかを識別させることは重要で、永年に亙りそのデザインアイコンを使用し続けることにより、そのブランドのアイデンティティは形成されるのだと思います。

916Scudet.jpg

ご存知のようにアルファ・ロメオの歴代のモデルに共通してデザインされてきたのが、スクデットと呼ばれる盾とその上部中心にあるアルファ・ロメオのエンブレムです。
ヨーロッパの各メーカーは伝統的にこのブランドアイデンティティを大切にして来ました。ロールス・ロイスのパルテノン神殿を模したと言われる特徴あるラジエーターグリル、メルセデス・ベンツのスリーポインテッド・スターやBMWのキドニーグリルと呼ばれるブタ鼻(笑)は有名ですが、これらはひと目でそのクルマがどこのメーカーのものであるかを識別させるためのデザインアイコンです。

以前にエンリコ・フミアさんとこのデザインアイコンについて話し合ったことがあります。彼はこれらを「ファミリーフェイス」と呼んでいるのですが、そのクルマをデザインするときに、このファミリーフェイスは自由なデザインを阻害する制約になるのでは・・・と尋ねたところ、クルマにとってこのファミリーフェイスはとても重要で、そのファミリーフェイスを用いることによりひと目でそのブランドのクルマだと言うことが分かるために、かえって他の部分を自由にデザインすることができると言っていたのが印象的でした。

さらに、続けて日本車にこの明確なファミリーフェイスというコンセプトが根付かないのは何故か・・・というハナシになりました。確かに日本のメーカーのクルマはひと目ではどこのクルマか分からないものが殆どですし、個々のモデルとしての連続性も、かつてのスカイラインの富士山型のキャビンスペースやサーフィンラインと呼ばれるサイドのプレスラインが各年代のモデルで継続して使われた例があるくらいで、おおよそこういったブランドアイデンティティについては希薄と言わざるを得ないでしょう。
しかし、エンリコ・フミアさんは日本車にヨーロッパ車のような明確なファミリーフェイスがないのには理由があると言います。

日本人は漢字という膨大な数の表意文字を持っていることに対して、欧米は表音文字としてたった26種類のアルファベットしか持たず、その少ない文字数故に各文字の違いを明確にデザインすることができたのに対して、漢字はその数の多さから、形のちょっとの差で意味が全く異なってしまうために、元来小さい差異に対する感性が研ぎ澄まされているのだと言うのです。

例えば・・・、

「大」「太」「犬」といった漢字はその「、」の位置がどこにあるかを瞬時に識別し、理解しなければ全く違う意味になってしまいますし、「糸」「系」「往」「住」といった漢字のように、その僅かな形の差に対して鈍感であったなら、その文字を読むことなぞできないハズだと言うのです。

このように小さな違いを識別することに慣れている日本人には、ヨーロッパ車のような「あからさまな違い」は必要なく、欧米ではデザイナーでなければ気にも留めないような小さな違いによって、あれは「○○社の○○」、こっちは「○○」という風にちゃんと見分けているので、日本車にはファミリーフェイスのニーズそのものが無かったのだと言い、さらにその強いデザインアイコンのないところが、各メーカーを超えた「日本車」というファミリーフェイスを形成しているのでは?と、ちょっと皮肉っぽく自らの考察を説明してくれました。

私のような凡庸な人間は、漢字を「読む」ことはあっても、「見る」ことはありませんので、確かにその文字の細かな違いをどのように認識しているのかを考えたことはありませんでした。
この漢字をデザインとして見ている例が、外国人が着ている意味不明の漢字がプリントされたTシャツで、彼らはその漢字の意味は分からず、単に「形」が気に入って着ているのでしょうから、その漢字を「読んでしまう」私たちからすると、「???」なものがあるのも仕方ないのかも知れません。「魂」とか「愛」とかであれば、まだ意味からしてもOKですが、先日「患」という文字のTシャツを着ている外国人を見かけました。おそらく日本人は近寄らないでしょう(笑)

ハナシを元に戻しましょう。
エンリコ・フミアさんの持論をそのまま賛成することはできないのですが、確かにヨーロッパ車は日本車と比較すると強烈とも言える共通のファミリーフェイスを持っていることは確かですし、個人的にはそれは漢字文化によるものではなく、他人と違うことをアピールする文化と、周囲と同じであることに安心を見出す文化の違いではないかと思います。

ARF12.jpg

その強烈なファミリーフェイスを逆に利用すれば、「なりすます」ことも可能で、アルファ・ロメオを例にすれば、どんなクルマにもこのスクデットとエンブレムを付ければ、「アルファ・ロメオ」になることができます(笑)
この写真はMOTEGIの耐久レースのパドックで撮影したものですが、軽ワゴンにアルファ・ロメオのスクデットを取り付けてアルファ・ロメオの商用車であるF-11を気取っているものです。しかもわざとF-12と書くあたりのセンスがタダモノではありません。

AR660-01.jpg

そしてこのクルマは先日のアルファ164オーナーズクラブの都筑ミーティングにメンバーが乗ってきた「セカンドカー」です。

AR660-02.jpg

ベースの軽自動車の車名は聞いたのですが忘れてしまいました(苦笑)。取り付けられたスクデットはアルファ145のもので、うまく改造してスリットの奥がちゃんと「抜けている」ように見えます。
これらの「なりすまし」が微笑ましく好感が持てるのは、その意図がアルファ・ロメオに対する憧憬と洒落っ気に満ちているからで、ホンキでなりすまそうとしたなら、仮に販売目的でなくとも意匠侵害の危険性が出てくるでしょう。
しかし、同じファミリーフェイスでもそのブランドにより、こうしたイタズラをしたときに、すごく貧乏臭く見えるのと、洒落っ気たっぷりで楽しく見えるのは何故なのでしょうか。
今度、この写真を見せてエンリコ・フミアさんに意見を聞いてみましょうか・・・。

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テーマ:アルファロメオ - ジャンル:車・バイク

コメント

> ベースの軽自動車の車名
ダイハツESSEですね。実は私のセカンドカーでもあります。
この車、リアハッチの角度がルノー5を意識していて、さらにウエストのプレスラインがFiat500を意識しているので、ディーラーオプションにアバルト風赤ストライプとかルノー5風ストライプとか設定されてます(笑)。145は思いつかなかったなぁ。
因みにESSEを買う際の対抗馬がスズキアルトラパンSS(赤)でこれに「盾」を付けたらジュリアジャルディネッタ!とか妄想してました(笑)。ちょっとだけ似てるんですよ。

  • 2009/08/04(火) 12:32:13 |
  • URL |
  • pekepeke #-
  • [ 編集]

>pekepekeさん
情報ありがとうございます。軽自動車の名前には疎いもので・・・(笑)
ダイハツは昔からイタリアのカロッツェリアと関係が深いですね。
シャレード・デ・トマソターボなんて懐かしいです。

このESSE、私は好きです。
違和感無く収まってますね。
センス良い~。

>おてつさん
思わず笑みが浮かぶようなモディファイですよね。私も最初に見たときは思わず笑ってしまいました。

大衆車

かなり興味深い記事でした。

確かにアルファロメオは、あの三角形の盾があるクルマというイメージがあります。

>日本車にこの明確なファミリーフェイスというコンセプトが根付かない
強いていえば、トヨタが車種別にエンブレムをデザインして取り付けることでしょうかね。自分はバカげたことと思いますが。

ただ、欧州のメーカーでも大衆車になると日本車同様に明確なデザイン・イコンと云うようなものは無いように思えます。

たとえば、自分はフィアット500に乗っていますが、フィアット車で誰が見てもフィアットという記号はエンブレムしかありません。
それはルノーしかりVWもオペルも欧州フォードもそうです。

個人的には好きではないのですが、プジョーがネコバスのようなツリ目と口が裂けて釣り上ったようなアンダー・グリルを共通のものとして採用し定着していますね。

  • 2009/08/06(木) 16:26:13 |
  • URL |
  • ジャンニ #90LdKUd6
  • [ 編集]

>ジャンニさん
確かにファミリーフェイスという点ではヨーロッパの小型車は主張が薄いかも知れませんね。でも、一方でそのモデルには連綿と共通のデザインイメージが引き継がれていますので、見ただけで、「あのモデルの新型ね」と分かります。FIAT500もそうですし、VWゴルフもそうでした。そういった意味ではファミリーフェイスになっていたのかも知れません。でも最近のプジョーとかAUDIのファミリーフェイスはちょっとクド過ぎるような気がします・・・(苦笑)

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