走ってナンボ

アルファ・ロメオを始めとする「ちょっと旧いイタ車」を一生懸命維持する中での天国と地獄をご紹介します。

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善意のリレー

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前回のブログでご紹介したように、放置状態であったA112は不思議な縁でALFA・DEPOTの坂野さんの手許にやってくることになったのですが、坂野さんも実際に引き取る際にその実車を見たときには、「これは部品取りか・・・」としか思えないほど汚れきっていました。
確かに不動で青空駐車場に放置されればその状態は無理からぬことなのですが、引き取ってまず最初に行うのは洗車で、坂野さんもまずは洗車からスタートしたそうです。
洗車と聞くと通常はシャンプーでボディを洗い・・・ということになるのですが、いざ始めてみるとそんな生易しいものではなく、バンパーやウインカーなどの外せる外装パーツは全部外し、樹脂パーツは洗って、磨いて・・・と、殆どクルマを分解清掃するレベルで洗車をした結果、あの汚れたA112はここまで蘇りました。

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さすがにボディの艶出しはその下地へのダメージを考えるとこの辺りが限界だったとのことですが、個人的にはこれでも充分すぎる出来栄えです。

驚くべきことに放置されていたにも係らず、ボディの状態はとても良く、A112に良く見られる錆の名所?には全くと言って良いほど錆が見当たりませんでした。

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黒の樹脂が経年劣化で白っぽくなってしまい困っていらっしゃる方もいるかと思います。自分の愛車ですと徐々に白濁して行くために意外に気がつかないものなのですが、こういった樹脂パーツが本来の黒色と艶を取り戻すとクルマ全体が引き締まって見えるものです。

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それでもきっとどこかに錆があるハズ・・・(苦笑)と探してみるとありました。

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まずは、フロントスクリーンの付け根部分です。ここはA112に出る錆の「お約束」の部分だそうですが、それでも随分と少ないのだそうです。むしろリアゲートの鉄板の折り曲げ部分や後部サイドウインドウの周囲などに浮き錆がないことのほうが、「驚くべきこと」だと思います。

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ここはちょっと意外な部分ですが、恐らくエンブレムをリペアするときにちゃんと養生しなかったために水が入ったのではと思います。ボンネット上の浮き錆ですが、この2箇所は補修しておかないと錆が進行するのではと思います。

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錆が最も出易いのがリアゲートです。排水の関係から水が溜まりやすく、ゴムシールの劣化によりラゲッジスペースに雨漏りし、それがまた錆の原因となるのですが、ご覧のとおりリアゲートにもラゲッジスペースにも何の問題もありませんでした。

もちろん外観を見ただけですので、ボディ内部で進行している錆については全く分かりませんが、そういう錆がある場合は必ず表面もそれなりにヤレていますので、やはりこのボディは「当たり」だと思います。

それにしてもここまで磨かれると、もうそれだけでデッドストック?と思えるほどなのですが、坂野さんは不動であるエンジンを点検するために、更にエンジンルームも掃除することとなりました。

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色んな虫が出てきた・・・そうですが(苦笑)、坂野さんはひょっとしたら洗車ヲタクなのかも知れません。仕事の合間の作業で、引き取ってから僅か一週間でここまで仕上げるとは本当に恐れ入ります。

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このエンジンルームも極めてオリジナル度が高いのでは?と思います。弁当箱と呼ばれるスポーツエアクリーナーなどに交換されていないところに好感が持てます。しかも純正オリジナルのエアクリーナーケースにはちゃんとABARTHのプレス文字が輝いているのです。

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ヘッドカバーにも「ABARTH」の刻印が刻まれています。後のUnoやTipoのように名前だけのABARTHではなく、ちゃんとABARTHによりチューニングされた証です。
結局、エンジン不動の原因は単なるアース不良で、アースの接点を磨いて締め直し、キャブレターを調整するとエンジンは問題なく始動するようになりました。

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私が一見して「終わってる」と思ったマフラーも問題なく、しかもオリジナルの「マルミッタ・アバルト」でした。この純正マフラーの特徴は、一見するとデュアルマフラーなのですが、片方はダミーで実際の排気は片側1本のみというABARTHらしからぬ「なんちゃって」なのですが、そこがまたご愛嬌だと思います。しかし、職人ABARTHが見かけはともかく、排気をデュアルにしなかったのはきっと何か理由があるハズです。どなたかご存知の方がいらっしゃれば是非教えてください。

純正のホイールですが、これまた磨いてみるとガリ傷も少なく素晴らしい程度でした。

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残念ながら空気が抜けてしまったタイヤは不動のため変形しており、交換することになりました。

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当然のことながら室内も素晴らしいコンディションでした。ご覧のとおりオリジナルのABARTHのブーメラン型のステアリングも貴重です。

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運転席のシートは擦り切れてしまっていましたが、これは張り直せばすぐにリペアできる部分です。
実際に天井は張り替えた形跡がありましたし、リアの座席は年式違いですが交換されたようです。
これらのことからも、痛んだ内装に手を入れながら大切に乗られて来たことが窺えます。

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何より素晴らしいのはダッシュボードにクラックがないことで、補修に一番手間がかかる部分が問題ないということは本当に有難いことです。放置してあったとは言え、その場所が木の下であったことが幸いしたのでしょう。

この個体の素性が良いことは、たった1週間の整備と清掃でここまで蘇ったことで明らかだと思います。私の「佇まい評論家」の面目も立ったと言うものです(笑)
さらに、歴代のオーナーによって大切にされてきたことを確信した証拠が、貴重なオーナーズマニュアルが残されていたことです。

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このスリ切れてボロボロになったオーナーズマニュアルは当時の輸入代理店であったJAXにより用意されていたものです。

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しかもその内容は詳細に亙って記載されており、私も思わず見入ってしまいました。きっとオーナーであった方の中には懐かしい方も多いのではと思います。
得てしてこうしたオーナーズマニュアルは売却を繰り返すうちに散逸してしまい、クルマと一緒に受け継がれて行く例は少ないのですが、この個体に関しては次のオーナーのためにちゃんとクルマと共に受け渡されて来たのでしょう。それだけでも歴代のオーナーが大切にしてきたことが分かります。

このように、この個体の素性と程度に関しては素晴らしいことが分かったのですが、そうすると新たな悩みが出てきました。それはどこまで仕上げるか・・・というもので、フツーに乗るのであれば内装のリペアと錆の補修程度で充分で、それでも生き残っている他のA112と比較しても素晴らしいコンディションの個体でしょう。しかし、更なる高みを求めるとすると・・・ボディの全補修に手をつける事になるでしょう。
坂野さんの悩みは尽きることがないようですが、それも楽しみのウチで、今はちょうどプラモデルを買ってきて箱を開けた状態で、これからどう組み上げるか考えるのも楽しいものだと思います。

このブログがきっかけで、わざわざオーナーを探してくれたN君、その情報を提供してくださったYさん、そして快く譲っていただいた前オーナーさん、そして新しいオーナーである坂野さんという、関係する皆さんがこのA112を遺したいと思ったからこそ成立したハナシで、誰か一人でも「どーでもいいや」と考えたときに、この出会いはなかっただろうと思います。

皆さんの善意のリレーでこのA112が蘇り、そのお手伝いをできたことを本当に嬉しく思っています。

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テーマ:イタ車 - ジャンル:車・バイク

コメント

あのクルマがこんなコンディションだったなんてビックリです。「佇まい評論家」に脱帽です…。
ウチのGiuliaもこのブログが縁で我が家にやってきたのですが、このA112の「善意のリレー」は本当に素晴らしいと思いました。是非、実物を見てみたいです(^^)

  • 2009/07/30(木) 01:34:21 |
  • URL |
  • mamezo #-
  • [ 編集]

A112が本来の自動車の姿に戻ってなぜかうれしくなりました。
135の細タイヤでインリフトしながら、まだまだ元気に走り回ってほしいものです。

  • 2009/07/30(木) 02:35:50 |
  • URL |
  • keno #kp2NMCH.
  • [ 編集]

>mamezoさん
ブログは拝見していますよ。Giuliaはご家族にも好評なようで良かったですね。
「佇まい評論家」としてはさらに精進を重ね、不良箇所を一発で見抜けるようになれば・・・と思っていますが(爆)、それができれば超能力者でしょうね。

>kenoさん
アバルトフェチとしては一台でも多くのアバルトが元気に走っていて欲しいですものね。
それにしても昔、友人が持っていたA1121で下りの六甲山を攻めたときは怖かったです(苦笑)
死んだ・・・と思いました(謎)

510さま

先日は大変お世話になりました。
『過去に犯した大罪の罪滅ぼし』を慣行すべくイバラの道を歩んでおります。

このA112を引き取ってきた時は、正直『やっちまった!』と思っていましたが、
作業を進めていくうちに素性の良さが判ってきました。

引き取ってからの1週間は連日深夜までの作業となりましたが、なぜか楽しい毎日なのです。
しかし分解作業は樹脂パーツの破損と隣り合わせですので、相当気遣いが必用でした。
エンジンルーム内のパーツも外せるものは極力外して作業しましたが、ヒーターダクトから浸入した
葉っぱやら泥やらが壮絶で結局ヒーターコア部までの分解です。

壮絶といえば、オーバーフェンダーの裏側が蟻の巣になっていて無数の蟻と卵がバラバラと落ちてきた時は思わず後ずさりしてしまいました。(笑)

今後はブレーキ廻りの蘇生作業となりますが、何とか先が見えてくる段階ですね。

でも510さんのおっしゃる通り自分の中では大きな葛藤があるのも事実です。
それは『どこまで仕上げるか』なのですが、自分が納得するまで突き進むと二度と手放せなくなる「一生もの」になりかねない事です。

私の本業のクルマ販売とは前のオーナー様から、次にそのクルマを可愛がって下さる方への橋渡しだと思うのです。
ですから、このA112も縁あって私の手元に来て蘇りつつありますので、今までのオーナー様の愛情を引き継いで下さる方がいらっしゃるのであれば喜んでお譲りするつもりです。

手をかけすぎて高額商品にならぬよう、適度なところで一段落させて安価にてご提供できるようにいたしましょう。

とりあえず車検も取得して元気に走れる状態までもっていきますので、出来上がったら乗りに来て下さいね!






  • 2009/07/30(木) 11:32:06 |
  • URL |
  • でぽ #eOmU3R2Q
  • [ 編集]

>でぽさん
先日はお邪魔しました。とても楽しいひと時を過ごさせていただきありがとうございました。
個人的にはでぽさんにどっぷり浸かっていただき、乗りたいときに借り出す・・・というのが一番なのですが(笑)、バトンを次の方に渡すのも必要なことだと思います。
でも・・・このクルマの経緯が理解できるオーナーさんに引き継いでくださいね!
出来上がったらまた試乗させてください。峠は攻めませんのでご安心を(笑)

以前のブログ拝見させて頂きました。素晴らしい個体だったのですね!A112大切に残したい車ですね。

>centrostileさん
こういったネオヒストリックはその過去のオーナーの手入れと思い入れでその程度が決まると思います。
前オーナーが・・・と言われないように引き継いで行きたいものですね。

以前、510さんから貰った?A112のプラモデルを組み立て始めました。
僕が貰ってのではなく、嫁が貰って物ですが・・・
510さんのプラモデルがうちにたくさんあるのですが、全部組み立てていいのでしょうか?(笑)

  • 2009/07/31(金) 01:16:45 |
  • URL |
  • スッド #-
  • [ 編集]

>スッドさん
そ・それは・・・フリーマーケットの売れ残りじゃないですかっ!
年々希少になって行きますので、相対的に商品価値は上がると思いますよ(笑)
邪魔なら今度取りに行きますね。でもすっかり忘れてました(汗)

新カテゴリーの予感?

いやあ、見事によみがえりましたね。これからの仕上がりが楽しみです。罪滅ぼしとしてもこの再生スピードは尋常じゃないです。さすがプロ。それにしてもこれほどオリジナル度の高い個体だったとは。今回のアウトビアンキの一連の記事はとても見応えがあったと思います。いっそのことこれからは某さび取り雑誌の「廃車街道を行く」みたいな野ざらしになっているイタ車を探し出すものをシリーズ化していったらどうでしょう?今回のように最終的に新しいオーナーのもとで走り出すというオチがあれば最高です。最近地獄ネタが少ないように思うので地獄ファンにはこういうのはたまらないですネ。

  • 2009/07/31(金) 11:01:54 |
  • URL |
  • なごやまる #-
  • [ 編集]

>なごやまるさん
確かに実車を坂野さんのところで見たときには本当にビックリしました。ボディなんかおそらくツヤ消しで色ボケもしてるんだろうな・・・と思ってましたので、本当に同じクルマとは思えなかったのです。
もう一台の坂野さんがレストアしてる個体だろうと一瞬思いました。
「廃車街道を行く」は164だらけになっても困りますし・・・ねぇ(爆)

>510190 さん
 佇まいの見立てはバッチリですね、流石は510190さん!しかし見れば見るほど欲しくなりそうです(笑) 少し前に会社の近くでA112が止っていたのですが、それはもうAピラーの付け根は勿論、ドアのサッシやスポイラーまで錆まくっていて、墓地の脇に止めてあったので一見捨てられているように見えたのですが、1時間後に其処にはなかったので、乗られているんだ!と安心した事があります。そんなA112が多い中この個体は510190さんによりちょっとだけ奇跡を起こしたようで、とても嬉しいです。

  • 2009/08/01(土) 15:52:05 |
  • URL |
  • kobu #-
  • [ 編集]

>kobuさん
お褒めいただきありがとうございます。
こういうクルマってつい目に付いてしまうんですよね。
実は、もう一台見つけてしまいました。
いすゞのピアッツァなんですが・・・(笑)

このクルマの持ち主でした。

ブログを拝見いたしました。
標題のA112に乗っていた者です。
ラピュタのロボット衛兵のように朽ちていたクルマが、
見違える姿になっていますね。
想像を絶するご苦労だったと思います。

当日は出張間際で立ち会うこともできず、たいへん失礼なことをしましたが、
週末に帰国してブログを拝見させていただいたときは、
驚きと感動と感謝でいっぱいでした。

名義人である自分が現状維持に努められず、
恥ずかしさ全開ですが、
再生の一歩を踏み出したのは自分のクルマのように
うれしく思います。

きっかけとなったこのブログや、
仲介となってくださったみなさまに、
あらためてお礼を申し上げます。

ありがとうございました。


かしこ

  • 2009/08/09(日) 20:37:30 |
  • URL |
  • kujiang #-
  • [ 編集]

>kujiangさん
初めまして。不思議なご縁でこのA112と係わることになってしまいましたが、ぞれまでの手入れが行き届いていたために、このような素晴らしい素性のクルマであったのではと思います。
アルファ・デポでこのクルマに再会したときは、まるで田舎でアイドルの卵を発掘したモデルエージェントの気分でした(爆)。

これからもこのA112の「その後」を追って行きたいと思っていますので、また覗いてやってください。

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