走ってナンボ

アルファ・ロメオを始めとする「ちょっと旧いイタ車」を一生懸命維持する中での天国と地獄をご紹介します。

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艱難辛苦の果て

「地獄クルマを訪ねて」というシリーズは取材対象車がなければ記事の書きようがなく、開店休業状態となってしまうのですが、ここ最近は取材対象が目白押しで、前回のC.A.E.ストラトスに続いて見つけてしまったのが、本日ご紹介するFIAT X1/9です。

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前回の記事でPrototipoをご紹介したのですが、そのベースとなったクルマがこのFIAT X1/9で発表は1972年と、今から35年以上前のクルマです。
しかし、このX1/9のスタイリングが色あせることなくエバーグリーンなのは、デザインしたBertoneのチーフデザイナーであったガンディーニの才能によるところ大で、当時の彼はミウラ、ストラトスと立て続けにヒット作を飛ばしてノリにノッていたのです。

X199.jpg

日本では発売当時はスーパーカーブームで、当時はパカパカライト(リトラクタブル)にウエッジシェイプのボディでリア(ミッドシップ)にエンジンがあれば何でもスーパーカーで(笑)、このX1/9もそういった扱いを受けていたことを覚えています。
しかし、このクルマの最大の特徴はそのエンジニアリングでFIAT128のFFパワートレインを180度回転させミッドに移すことにより「お手軽」にミッドシップレイアウトを実現したことにあります。これはコペルニクス的発想で、確かに横置きFFのトランスミッションと一体化されたパワーモジュールは理論的には「どこにでも」配置できることになります。後にこの「お手軽ミッドシップ」はトヨタのMR2やポンティアック・フィエロでも実践されるのですが、このテのクルマのマーケットそのものが縮小してしまったこともあり、現在は同じ形式のモデルを見ることはなくなってしまいました。

「お手軽」は「爆安」を意味しており、コストのかかるスーパーカーの象徴であったミッドシップレイアウトを量産ユニットをそのまま利用することにより実現したX1/9は、それが居住性を犠牲にし、横置きエンジンのためZ軸モーメントが増大し、ミッドシップの利点を必ずしも生かせていなかったとしても、そのお値段と「見栄え」により大人気となるのです。
折りしも北米で保安基準が見直され、それまでの量産車の販売が難しくなっている矢先、それに対応し設計されたX1/9は北米で好調な販売をキープし、ミッドシップ2シーターでは異例の6万台という製造台数を記録しています。

X196.jpg

しかし製造品質は決して誉められたものではなく、「爆安」故の安普請に加えて当時のイタリア品質?により・・・、
「とれる」「もげる」は当たり前で、「落ちる」「抜ける」に加えて「燃える」に至るまで、おおよそあらゆる艱難辛苦がユーザーを襲い、現存する個体は激減しているのが現状です。そして日本では不幸なことに水難車がマーケットに流れたこともあり、X1/9の評判は地に落ちてしまっているのですが、現代において生き残っているX1/9はこれらの人災天災を乗り越えて来た猛者たちで、その設計上の問題はともかく、製造上の不良は淘汰されたと言って良いでしょう。

X192.jpg

今回の取材対象車はさらにオーナーの執念を感じる個体でした。それはクイック・トレーディングが企画し、限定で発売したQuick Abarth X1/9を「再現した」個体だったのです。
「再現した」と書いたのにはワケがあります。これは本来のQuick Abarth X1/9ではありません。オーナーがその姿に惚れこんで後にワンオフで部品を作って自らが作り上げたクルマなのです。
そしてそのクルマが里帰りよろしくクイック・トレーディングに整備のために預けられたのですから、その運命は皮肉なものです。オリジナルのQuick Abarth X1/9は恐らく現存する個体は片手?に満たないと思われますし、その程度はオリジナルのX1/9の現状から考えると推して知るべしでしょう。

X194.jpg

ところがこの個体はそれがオリジナルのX1/9であったとしてもバリもので、私自身もこれほど美しい個体を見たことはありませんでした。敢えて言うなら「新車以上」と言っても良いかもしれません。
クイックで企画された特徴あるバンパーやPrototipoを模して製造されたシュノーケルも見事に再現されています。

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X193.jpg

ボディは再塗装され、後のアルファ・ロメオのディーラー限定車「Linea Rosso」の魁とも言える赤いストライプも美しく再現されており、もはや外観は完璧です。
ホイールもカンパニョーロ製で当時の定番であったデザインです。

X195.jpg

リアマフラーも今となっては貴重なANSAの4本出しです。

X198.jpg

ここまでにするのに一体どれだけの労力が費やされたのかは推し量る術もありませんが、ABARTHによって作られたモデルならともかく、極東の一ショップが企画した限定車をわざわざ再現する・・・というその気骨には本当にアタマが下がります。
しかもそれは、ノーマルで維持するだけでも充分大変なX1/9なのです。
もはや、開いた口が塞がらない・・・というのが本音ですが、敢えてオーナーの方に申し上げるとすれば、

「いよっ!変態っ!」(失礼)

という賛辞でしかありません。どうか末永くこの変態道を突き進んでいただきたいと思います。

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テーマ:旧車 - ジャンル:車・バイク

コメント

泣きましたw
懐かし過ぎます・・・あ~、あの頃に帰りたい。
ここまで再現したオーナーは相当な変態ですね。
僕は実車よりプラモ(1/20)から入ったのですから完全にカタチから入ったクチです。免許を取った頃はかなり値が落ち着いていたので十分射程距離にありました。カーマガジンの売買欄を毎月チェックしてましたよ。

  • 2009/05/08(金) 00:32:42 |
  • URL |
  • IKEA #-
  • [ 編集]

X1/9良いですね~~、やっぱり僕はガンディーニ好きのようです、勿論先代クワトロポルテやXMも大好きです(笑)

  • 2009/05/08(金) 00:36:27 |
  • URL |
  • kobu #-
  • [ 編集]

X1/9

私も昔は欲しかったクルマですね~。
このクルマがなかったらレイアウトをパクッたMR2もなかったでしょう(笑)

ガンディーニ好きは基本的に変態が多いんですよね~(爆)

  • 2009/05/08(金) 07:19:32 |
  • URL |
  • こ~んず #JalddpaA
  • [ 編集]

毎日楽しみに拝見してます。

初めてカキコミさせていただきます。

「いよっ!変態っ!」
オーナー様には最高の褒め言葉だと思います。www

これからも更新を楽しみにしております。

  • 2009/05/08(金) 07:59:37 |
  • URL |
  • あど #-
  • [ 編集]

>IKEAさん
泣いたでしょ(笑)
私もJAXのショールームで指を咥えていたクチです。

>kobuさん
やはり私が見込んだとおり立派な変態だったんですね。

>こ~んずさん
初代MR2を見たときに「な~んだパクりじゃん」と思ったのを覚えていますが、断然格好良いのがX1/9でしたね。
何故なんだろう・・・(苦笑)

>あどさん
初めまして。ようこそ「変態」の世界へ・・・(爆)
これからもご愛読とご声援をよろしくお願いしますね。それだけが励みですので!

黒地に赤ストライプ!欧州的でかっこいい!
これがファイアバードとか米系になると黒地に金ストライプになるんですよね(笑)。

  • 2009/05/08(金) 12:30:14 |
  • URL |
  • pekepeke #-
  • [ 編集]

>pekepekeさん
黒に金ストライプと言えばロータスのJPSカラーですね。
TransAmもそうですが・・・(笑)
ちなみに映画「ファイヤーボール」は好きでした。バート・レイノルズに憧れてました。

6つ年上の先輩が、当時目黒の東邦モ○タースで実際にX1/9売ってたらしいです。そりゃあもう酷かったと聞いています。営業かけても全く無意味なんで、休日にショールームに訪れる変態を捕まえて売っていたそうです。
だから現在、その罪滅ぼしとして、これを買って一生直し続ければ?と提案しています。

  • 2009/05/08(金) 13:35:55 |
  • URL |
  • BUSSO #-
  • [ 編集]

>BUSSOさん
確かに売りにくいクルマだったでしょうね。
私は、国道2号線の神戸の東灘にあったJAXで見ましたが、明らかに新車のときからボロかったです(笑)

>ロータスのJPSカラー
あ、そうでした。米系、欧系と分類は出来ないですね(笑)。そういえば逆にTV(1966)版バット・モービルは黒地に赤ストライプでした(^_^;)

  • 2009/05/09(土) 15:48:19 |
  • URL |
  • pekepeke #-
  • [ 編集]

>pekepekeさん
いずれにせよセンスが問われるカラーリングですね。
日本車でやるとどうも野暮ったくなってしまいます。

すごい人がいるものです。私も立派な変態と皆様に認められるように日々ラテン馬鹿道を邁進したいと思います。

  • 2009/05/13(水) 10:37:39 |
  • URL |
  • なごやまる #-
  • [ 編集]

>なごやまるさん
イタ車乗りにとって「変態」は最大級の賛辞でしょう(笑)
ストイックにならずどこかオバカなところがあるのが良いですね。

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