走ってナンボ

アルファ・ロメオを始めとする「ちょっと旧いイタ車」を一生懸命維持する中での天国と地獄をご紹介します。

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ストラトス追補

Stratos16.jpg

S氏のC.A.E.ストラトスについての物語を三部に亙って書かせていただきましたが、思いの他各方面から反響があり、私たちのようなクルマ趣味において、程度の差こそあれ同様の経験をされている方が多いことを再認識させていただきました。

今回は初めての試みでインタビューによる取材という形で記事の原案をまとめたのですが、短い時間でお伺いしたハナシを元に記事を書くのは本当に難しく、ジャーナリストを仕事にしている方のご苦労の一端を垣間見た思いでした。
実は過去に仕事ではインタビュー取材をしたことはありましたが、その際には既に書くことが決まっており、それを実話っぽく見せる演出としての取材でしたので、インタビューされる側の相手にも原稿どおり答えてもらうという、所謂「やらせ」取材(苦笑)で、それほどの苦労はありませんでした。

今回の記事はもちろん「やらせ」なしで、S氏からお伺いしたハナシを元に、どういう構成で皆さんにお伝えすれば良いかを考えながら書きましたので、意図的にハナシを端折った部分もありますが、やはり不慣れであったためお聞きし切れていない部分がありました。

この記事はS氏ももちろん読まれており、ご丁寧な感謝のメールを頂いたのですが、そのメールの中に私の記事について訂正と補足でご説明いただいた箇所がありました。
ブログというのは便利なもので、一度UPした記事も簡単に修正ができてしまいます。
しかし、紙媒体だとそういうワケには行きませんし、テレビやラジオのような放送も一度流れてしまえばその訂正は容易ではありません。ブログだからいい加減な記事を書いても後で修正すればいいや・・・と元の記事を修正してしまうのにはどうも抵抗がありましたので、S氏よりご指摘いただいた部分を訂正させていただきながら、記事の追補という形で皆さんにお知らせしておきたいと思います。

●C.A.E.ストラトス購入の決断について
私は記事の中で、S氏は現車を見て簡単に決断をしたように書いていますが、ご本人は相当の逡巡があったようです。やはりオリジナルのストラトスへの未練はあり、特にC.A.E.ような手作りの「一品もの」のレプリカに対する不安も大きかったそうです。だからこそ譲り受ける際に、前オーナーにも引き続き情報の提供などの支援をくれぐれもお願いした上で購入に踏み切ったとのことでした。

●総合診断で見つかった不具合箇所について
私の説明は不充分で、S氏より詳細にご説明いただきました。
最初に見つかったのは左ロアアームの曲がりだったそうです。これは別のショップで見つかったのですが、それを修理するために持ち込んだ一軒目のショップで総合診断をしてもらう中、今度は両アッパーアームのピボット溶接箇所(フレーム側)のクラックを含む数箇所の不具合が見つかったそうです。
このクラックは溶接不良というよりは、C.A.E.社の設計不良(構造強度不足)だそうで、もし皆さんの中でこれからC.A.E.ストラトスを購入するような方がいらっしゃれば、ここは必ずチェックし対策しておくべき箇所だと思います。

●二軒目のショップについて
このお店のオーナーとは以前から面識はあったそうです。しかし、コンピュータを探す中で問い合わせのメールをしたところ、

「部品なんて簡単に手に入る。なんならクルマ見ましょうか?話からするともっと単純な原因と思うので点検程度で直ると思いますよ。」

というものだったので、「点検程度なら。」という風に話が進んで、預けることになったそうです。

「払わなければクルマを潰す」という発言は正確には、「払わなければクルマを流す(転売する)」と言われたとのことです。所有者の委任状がないのに第三者がそんなことできるのか?と思いますが、裏ルートでは何でもアリとのことで、何とも怪しげな脅し文句です。
そして支払は相手の要求どおり払ったそうで、請求書を出す時に支払期限に加えて、「値引きには一切応じない」と言ってきたそうです。これも凄いハナシです。

S氏はメールでこう述べています。

「読んでいて多少事実と違うかなと思った箇所と、それに関する見解は以上です。
そのままでも、話の大筋に影響があるとも思いません。私自身、納得しながら読ませていただきました。感想を述べるとすれば、済んだことではあるけれど私と同じ轍を踏む人が少しでも少なくなれば大金はたいた価値はあるかなと。」


S氏はエンジニアであることからお仕事柄、費用の算出が難しい試作部品などの発注もされているようです。そのご経験から続けてこんなことも仰っています。

「私は家電系のメカ屋をやっているので、自分で設計した部品を図面にして試作業者に発注しますが、この世界では上記(出来高払い)のようなことはありえません。
試作製作と修理は違うものではありますが、試作だって、やってみないと上手く出来るかわからない場合は当然あります。
私は試作屋に先に見積もりを要求しますし、試作屋はやったことが無い仕事でもなんとか値段を出してきます。これが間違っていて低すぎた金額だったとしても彼らは普通は追加要求なんかしません。見積もりに責任を負うのです。

もう少し大きな話だと、うちの子会社で一品物の工場設備の開発を請け負う所があります。開発からですから話を受けた段階では図面すらありません。
しかし、物は大量生産の設備の一部に組み込まれますから数百~数千万の仕事です。
以前ここの社長に開発費の見積もりをどのように出すのか聞いたことがあります。
答えは「経験と概算でやるしかない。」でした。
さらに「現実としてうまく収まらない場合はありますよね?」と聞くと。
「そこは社会的な責任です。受けた以上は赤でもやるんです。」とのことでした。
そこには”あきらめ”ではなく”プライド”が見て取れました。」


私自身も精密光学装置メーカーに勤務していますのでS氏が述べていることと同様の経験をしています。業界には各々の特徴があり、必ずしも上記の考え方全てが自動車整備の業界にあてはまるとは思いませんが、お互いに納得できるのが商売の原則であることには変わりないでしょう。

もちろん、お互いに「曖昧」なまま仕事を始めることにより、こういったリスクのあるクルマを診てもらえる・・・という側面があることは否めないと思います。もし、最初に見積もりを出して・・・という商習慣で仕事を請けるとすると、その見積もりを作るにも調査費が発生するでしょうから、「見積もり作成費」を請求しなければ整備工場は商売にならないでしょう。そして経験のないクルマは、見積もり不能であったりリスクが高すぎるために「お断り」せざるを得ないケースもあるかと思います。

繰り返しになりますが、だからこその「信頼関係」ではないでしょうか。そしてその信頼関係はどちらか一方の努力だけで形成されるのではなく、お互いの努力で積み上げられるものだと思います。
納得できない1万円と、それでも安いと思って払う100万円との間には、オーナー側の整備工場の仕事に対する信頼と敬意が必要だと思いますし、一方で整備工場側には説明責任とメカニックとしてのプライドに加えてオーナーの気持ちを思いやる愛情が求められるでしょう。

ちなみに現在のC.A.E.ストラトスは「いまだかつてない」程快調だそうです(笑)

今回のストラトスに関する記事はオーナーのS氏のご協力により書かせていただきましたが、その内容の責任は全て作者である私にあります。お互いの言い分を聞いたワケではありませんので、特定のショップを誹謗するつもりはありませんし、仮に事実と異なる部分があったとしてもその責任は全て私にあることを最後に付け加えておきたいと思います。

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コメント

コメントを含め読ませていただきました

3部作が全てUPされるまで、コメント欄は読まないようにしてきました。
そうして今UPされているコメントを一気読みしました。
中には私への応援メッセージもあり、ありがたく思います。
私はこのクルマに命かけてますので心が折れても手放すことはありません。(老人になったらわかりませんが。)放棄なんかしたら元オーナー氏を裏切ることになってしまいます。
他にも色々意見・感想を読ませていただきました。特に「こうするべきだったのに」という話は私もよくわかりますが、私の場合この手のクルマを持つべき環境とはいいがたい”タワーパーキング保管の作業スペース無し”オーナーであることが大掛かりな作業は人任せになってしまう一因でもあります。不動の状態で夜を越せる作業スペースの重要性をひしひしと感じております。
最後に。管理人さんも触れておられますが、「この手のクルマの持ち主はお金持ち」と思ってるショップさんが多いように思います。私は「金ないよアピール」を十二分にしているつもりなのですが、そういうショップにしてみれば「借金すりゃいいじゃん。すぐ返せるでしょ。」とかる~く考えているようで、彼らの金銭感覚(ちょっと前総理が叩かれてましたが)はおかしいです。
これからこの手のクルマのオーナーになろうと思ってらっしゃる方はこんな私の経験を頭の片隅にでもしまっておいていただいて、有事の際には上手に立ち回ってください。
最後に「皆様のカーライフが(苦労も含んだ)楽しみに満ち溢れていることをお祈りしております。」  S

  • 2009/05/04(月) 07:23:01 |
  • URL |
  • S(オーナー)です #pak5S9yM
  • [ 編集]

いつ、誰がこういう立場になってもおかしくないし、またなった方も他に居るかも知れません。
私も少なからず、近い経験をした事がありますがそれによってメカニックやショップに対する不信が若い頃に芽生え自らの手で整備しようと考え始めた時期がありました。
今は信頼関係を築き方が分かってきたのでその考え方も間違いであるのに気が付いたのですが、やはり初めてのショップというのには抵抗があります。
紹介でショップに尋ねる場合やいずれにしても自らの経験と勘でしか成し得ないでしょう。
Sさんの奮闘には頭が上がらないです。

  • 2009/05/04(月) 07:44:52 |
  • URL |
  • Chousuke #-
  • [ 編集]

>Sさん
コメントありがとうございます。
拙い記事で申し訳ありませんでしたが、少しでもSさんの経験したことを皆さんに知ってもらい、それが参考になれば・・・との思いから書かせていただきました。
これからもストラトスの近況を教えてくださいね。

>Chousukeさん
みんな一度はこういう経験をしてるんですよね。特に信頼できる主治医と出会う前は、ヒトから良いと聞くと訪ねて、違和感を覚えてまた他に・・・という繰り返しじゃないかと思います。ある種の通過儀礼なのかも知れませんが、それでも最低限で通過儀礼は終了して主治医とは出会いたいものですね。

確かに輸入車=お金持ちの図式はいまだ存在していて、某量販店では意味も無く輸入車の場合作業工賃を5割増ししていてその理由を知り合いの社員に聞くと、「お金持ってるところから多くとっているだけ」といっていたのを思い出します(怒)

信頼と納得。どちらも一朝一夕でできないものですよね。私も違う意味で車をつぶされましたので新しいところで時間をかけてこの2つを構築していかねばらないと肝に銘じました。

  • 2009/05/05(火) 15:15:48 |
  • URL |
  • masaking #-
  • [ 編集]

なるほど・・・文を書く事の責任・大変さ、そして車を所有する際の信頼関係の大切さを学ばさせてもらいました。
私も最初に車(国産中古車でしたが)を買った中古車屋さんはとても不誠実で苦労させられました。
今は良い車屋さんと出会って感謝の毎日です。


  • 2009/05/05(火) 22:46:22 |
  • URL |
  • リョー916パベル #X.Av9vec
  • [ 編集]

>masakingさん
確かに国産車と輸入車の間には工賃に差があることがありますよね。
また、輸入車の中でもおかしなヒエラルキーがあってFIATとFERRARIでは同じ作業であっても工賃が異なる・・・ということがあるようです。そのもっともらしい理由は何かあったときのリスクが違うから・・・ということらしいですが、やはりそこには「FERRARIなんだから仕方ないよね。」というユーザーへの刷り込み?があるような気がします。私達オーナー自身がそういった価格体系には断固としてNoと言わなければ「タカリ」の構造はなくならないと思います。

>リョー916パベルさん
良いクルマ屋さんとの出会いがスムーズに出来たヒトでも、それが実は大変なことだというのを知っておいて欲しいですよね。苦労の末に巡り合った方は授業料を払って来たのですが、得てして偶然に見つかった方はその有り難味が充分理解できていないような気がします。
まぁ。そんな授業料は払わなくても良いものだとは思いますが(苦笑)

>510190さん
164もある意味微妙な立場で、OLD ALFAでもなく、また今のディーラーでも扱いづらい車なので、僕のように関西から関東に転勤しても何の不安も無く乗ることが出来るのはやはり全国ネットの164OCの存在が如何に大切さかを感じさせられました。

  • 2009/05/06(水) 19:20:48 |
  • URL |
  • kobu #-
  • [ 編集]

>kobuさん

この全国ネットってのがミソですよね、何処かしらにはO/Cメンバーがいるもの。
主治医ももちろんですが、仲間の知識で助けられる機会が多いのはとてもいい事だと思います。

  • 2009/05/06(水) 20:07:53 |
  • URL |
  • こ~んず #JalddpaA
  • [ 編集]

>kobuさん
確かに164も主治医を選びますね・・・というか主治医が選ぶのか(笑)
全国に同じ仲間がいるということは本当に心強いですよね。
そういう意味ではOCが主治医みたいなものかも知れませんね。

良いショップと良い仲間ですか。
なかなか欲しい車が手に入りにくいわけです(^_^;)。
しかし、せめて工賃は手間(時間)+α(ノウハウ料)位で算出して欲しいものですね。

  • 2009/05/07(木) 14:41:53 |
  • URL |
  • pekepeke #-
  • [ 編集]

>pekepekeさん
確かに地獄クルマは主治医と仲間がいれば随分と救われるものですよね(笑)
でも、考えるより買ってしまったほうが何とかなるもんですよ!

このシリーズは非常に考えさせられる内容でした。
信頼とは信頼に値するまでお互いが歩み寄らないと成立しないというのが前回の僕の意見でしたが、むしろ専門職のSさんをしてもそれが困難だったというのは如何にそれが難しいコトなのかと思います。
僕は整備に関しては全て(金額も含め)公開しようと思ったのは、それを見て「それほどでもないんだ」と思う人はコチラ側にやってくるかな、と思ったからでした。

>記事の追補
なかなかこういう考えの人は少ないですよ。自分の発言に責任があると意識している人は少ないでしょうし、一般の人にそれを要求するのは酷です。
僕もできるだけ正確にと心掛けていますが、それというのも伊藤政則氏の考え方に感銘を受けたからです。
しかし読み応えのある記事とコメントでした。

  • 2009/05/07(木) 21:08:53 |
  • URL |
  • IKEA #-
  • [ 編集]

>IKEAさん
ありがとうございます。図らずも多くの皆さんに読んでいただいているので、それだけ責任を勝手に感じているだけかも知れません(苦笑)
信頼はお互いの努力の上に成り立つのは本当にそうだと思いますね。日本人はお客様は神様だと思っていますが、決してそうではなく、相手だって見るクルマと客を選ぶ権利があると思うんですよね。このヒトのクルマだったら何とかしよう・・・と思われるような客になりたいものです。

こちらから失礼致します♪

510190さん、相互リンクありがとうございました!
こちらのCAEストラトスオーナーの経験は趣味車を持つ方なら経験する可能性、無きにしも非ず。
こうした経験から自分も学び精進していかなければならないと感じました。
まだまだ、未熟者ですがこれからも宜しくお願い致します。
510190さんのブログ内容、どれも興味深いのですがこの“地獄クルマ”シリーズ
大変興味深いものがあります。これからも楽しみ(?)にしております♪

  • 2009/07/10(金) 15:33:15 |
  • URL |
  • AI #-
  • [ 編集]

>AIさん
こちらこそご連絡いただきありがとうございます。
個人的な感想ですが、最近はヒト付き合いもマニュアル化しているような気がします。
信頼関係をどう築くか・・・はケースバイケースですし、決して正解は一つではないと思います。
ですので、お読みいただいた方それぞれがわがコトとして考えていただければ良いな~と思っています。
「地獄クルマを訪ねて」は取材車次第ですので、私自身が一番楽しみにしているのかも知れません。
今後ともよろしくお願いします。

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