走ってナンボ

アルファ・ロメオを始めとする「ちょっと旧いイタ車」を一生懸命維持する中での天国と地獄をご紹介します。

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幻のPrototipo

どういうワケか最近取り上げられることが多くなったのがこのPrototipoではないでしょうか。これも復活したABARTHのお陰かも知れませんが、このPrototipoは数あるABARTHのモデルの中でも、新しいモデルでありながらミステリアスなクルマではないかと思います。

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以前、ALFA ROMEO Sport Collectionという悪夢のようなシリーズを全て買うハメになった私ですが、イタリア自動車雑貨店から同じようなシリーズでABARTHが出るよ・・・と教えられた際には、買うことを躊躇してしまいました。ご承知のようにこのシリーズはイタリアでリーフレットに1/43のミニチュアを付けて発売されているのですが、日本のように律儀に定期的に発売されるワケではなく、思い出したようにまとめて発売されたり、突然中止になったりするために、一体何台のシリーズになるかが分からないこともあり、泥沼化を畏れた私は今回は「お取り置き」はお願いしませんでした(苦笑)

Prototipo2-2.jpg

ただ、やはり店頭に並ぶと気になってしまい、どんなABARTHが発売されるのかチェックしていたのですが、このPrototipoが発売されると聞いて黙ってはいられなくなってしまいました(笑)
理由は「大好きだから・・・」以外の何ものでもないのですが、もう一つの理由は主治医であるクイック・トレーディングの寺島社長がこのPrototipoを所有しているからでもあります。

Prototipo3-3.jpg

そもそもPrototipoはFIATのエンジニア兼テストドライバーであるジョルジョ・ピアンタ(Giorgio Pianta)の企画により、1973年当時FIAT傘下に組み込まれていたABARTH にその設計を委託して開発されたものです。当時のFIATは124 Spider Abarth RallyでWRCに参戦していたのですが、その性能UPは限界を迎えており、後継車の開発が急務でした。そしてその格好の材料に選ばれたのが1972年に販売が開始されたミッドシップレイアウトを持つX1/9でした。
FIATはLANCIAがWRCに投入したストラトスに対抗する術を持っていませんでしたので、ミッドシップのX1/9はそのベースとしては最適と思われていました。
しかもストラトスのようにホモロゲーションを取得するだけの台数しか生産しない限定車ではなく、量産モデルとして販売していたので、WRCに参戦し勝利することにより、販売促進にも大きく寄与することが期待されていたのです。

Prototipo4-4.jpg

搭載されたエンジンはABARTHが設計した16Vシリンダーヘッドを1600ccのブロックのボアを1756cc(Abarth 232)または1840cc(Abarth 232G)に拡大したエンジンに搭載し、さらにカムシャフトのプロフィールを変更することにより190hpから210hpを発揮していました。このエンジンチューニングこそABARTHの真骨頂で、メカニカルチューンだけでこれだけのパワーを搾り出したのですから、まさにABARTH Magicと言えるでしょう。

一方で外観もノーマルのX1/9から変更されています。ヘッドライトはノーマルのリトクラクタブルから固定式とされ、エンジンとトランクの間の隔壁は取り除かれ、チューブパイプによるX字型の補強が入れられました。また 2本のロールバーが追加されボディーを強化し、ボンネットとドアは軽量化のため全てプラスチック製に変更されるとともに、アルミ製のデタッチャブルトップはリベット止めされました。
さらにオーバーフェンダーとフロントスポイラーが加えられましたが、そこまでを見ると単なる暴走族の改造車(苦笑)の定番でしかありませんが、外見での最大の特徴はリアのエンジンフードに取り付けられたシュノーケルで、以前のABARTH OT1300/2000が室内に新鮮な空気を取り入れるために、このシュノーケルをルーフに装備されていたのに対して、これはキャブレターに新鮮な空気を送り込むために装備されたもので、このPrototipoの最大の特徴となっていました。
外観は暴走族風でも、ここまでの理詰めの軽量化により車重は750kgを達成し、この車重は前述のエンジンパワーと共にPrototipoの戦闘力の礎となったのです。

ここまでやれば、どう考えてもWRCでの活躍は約束されたも同然のPrototipoでしたが、結果としてこのプロジェクトはキャンセルされてしまいます。
そしてその理由はストラトスにありました。1969年にFIATの子会社となったLANCIAでしたが、WRCにおいては親会社であるFIATも参戦していたために、同じ資本関係にありながらライバルとして戦うこととなってしまいました。当時のLANCIAはストラトスを投入し、連戦連勝の勢いであったのに対して、FIATは前述の124 SpiderをベースにしたABARTH RALLYで戦わざるを得ず、それはどう考えても不利な戦いでした。Prototipoの性能は124を大きく上回っており、ストラトスと互角の勝負ができると期待されていたのですが、一方でこの互角というのが問題で、同じミッドシップレイアウトのモデルが方やFIAT、方やLANCIAで勝利を分け合ったとしても決して販売には結びつかないと考えたのです。

つまり、FIATはLANCIAのラリー部門をFIATと統合することにより、ストラトスの幕引きを決定しており、ストラトスに替えて同じようなPrototipoを投入することよりも、全く外観も駆動形式も異なるセダンボディの131を投入したほうが、販売促進には効果的・・・と判断したのです。
当時のライバルであったフォード・エスコートやオペル・アスコナはミドルレンジのセダンだったので、外観がいかにも・・・というスポーツタイプのクルマで勝ってもそれは当たり前と取られてしまうだけでしたから、「同じハコで勝つ」必要があったのでしょう。
かくして稀代の名車?となったかも知れないPrototipoは試作された数台のみでその生涯を終えることになるのですが、一方で131はキャンセルされたPrototipoに替わってABARTHによりチューンされ、後にWRCタイトルを獲得すると共に、その販売促進にも大きく寄与したことから、FIATの判断は正しかったのかも知れません。

このように悲運なPrototipoですが、その貴重な1台が寺島社長とABARTHとの関係から日本にあることは本当に凄いことだと思います。残念ながら現在は見ることが叶わないのですが、レストアを・・・という計画もされているようですので、将来はショールームでDTMのチャンピオンカーであるアルファ155V6TIと共にABARTH最後の匠の技を見ることができるかも知れません。

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それまではこのミニチュアモデルで我慢することにしましょう。

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テーマ:ミニカー - ジャンル:車・バイク

コメント

ABARTHでしかも大好きなX1/9となれば黙っている訳には行きません。
このX1/9は身近なミッドスポーツということもあって購入ターゲットだったんです。もう何回購入の一歩手前まで行ったかw
クイックさんが販売していたボディーキットはこのPrototipoを模したものでメチャクチャかっこ良かったです。
あ~、また欲しくなってきたゾ。

  • 2009/05/07(木) 21:19:45 |
  • URL |
  • IKEA #-
  • [ 編集]

>IKEAさん
素晴らしい「前フリ」です(謎)
次の記事をお楽しみに・・・泣けますよ。

QUICK-ABARTH

かれこれ30年前近く前、QUICKさんのショールームに置かれていたのを覚えています。もちろんこの手のABARTHなんて手が出ませんからQUICK-ABARTHのシールを買って帰りました。
510さんもお店がら少し蠍に刺されちゃいましたかね。
いかがです?種類の違う爬虫類二匹との蜜月生活をこの際試してみては。いずれにしても天国か地獄しかありませんけど!(少笑)

  • 2009/05/08(金) 00:25:49 |
  • URL |
  • keno #sq1wLxC6
  • [ 編集]

>kenoさん
当時は私は関西にいましたので見る機会がなかったのが残念でなりません。
実物は都内某所に秘匿されているそうです(笑)
それにしても蠍はキツいなぁ・・・。

はじめまして
プロトティーポかっこいいですね~
寺島さん所有のプロトは都内にあるのですか.
ぜひまたお店に展示してほしいですね.
見てみたいです

  • 2009/05/08(金) 12:41:19 |
  • URL |
  • suna #-
  • [ 編集]

>sunaさん
初めまして。クイック所蔵のPrototipoは現在、要レストアという状態です。
どーせやるなら徹底的に・・・とのことですので、きっとそのうちにお目見えすると思いますよ。

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