走ってナンボ

アルファ・ロメオを始めとする「ちょっと旧いイタ車」を一生懸命維持する中での天国と地獄をご紹介します。

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ストラトス賛歌

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S氏の部品探しは困難を極めました。国内のスペシャルショップや解体屋に片っ端から問い合わせをし、海外のサイトなどにもアクセスをし、適合するコンピュータを探し続けました。
そんなときに出会ったのが以前C.A.E.ストラトスに乗っていた・・・というあるショップのオーナーでした。

「一度見てあげるよ」

部品探しに疲れ果てていたS氏にとってこの言葉はどれほど有難かったでしょう。しかも元オーナーだったことがS氏にはこのトラブルの出口が見えたかに思えたのです。
ただ、前回の苦い経験からS氏はすぐに修理を依頼することはありませんでした。
まずは、お店のネットワークでコンピュータを探してもらい、原因を究明してから・・・と考えていたのですが、最初に簡単に見つかる・・・と言われたコンピュータは、待てど暮らせど見つかりませんでした。そうこうしているウチに、

「ROMを書き換えちゃったら」

という提案を受けたのです。確かにノーマルの燃料調整のセッティングは燃費や乗りやすさなどを総合的に検討したセッティングですので、何らかのネガが出るのをガマンしてサーキット走行用などに書き換えたROMを使用する場合はありますが、それはあくまでエンジンが完調であることが前提で、ここでも原因が分からないままの修理が行われたのです。

当然のことながらROMを換えたとしてもエンジンの調子は戻りません。
メカニカルな部分のトラブルは悪い部品を交換すれば元に戻ります。注意しなければならないのは二次災害で、ある部分を交換したことにより次に弱っている部分に問題が移行するといった連鎖トラブルです。水関係やオイル関係に良く見られるトラブルですが、これらは経験があるメカニックならばその全体の程度を見て、どこまでの部品を交換するかの判断ができるものです。
一方で電気関連のトラブルの原因究明は、一度に手をつけるのではなく、地道にテスターでチェックして行きながら原因を探っていかなければなりません。この手順を無視して行われた対処療法的な部品交換は、元々の原因でそうなっているのか、交換した部品のせいでそうなっているのかが分からず、どんどん原因の特定を難しくして行くものです。

Stratos10.jpg

そうしているうちにやっとのことで中古コンピュータが見つかりました。それもずっとあちこち探していたS氏のネットワークから出てきたもので、S氏はそのコンピュータに交換を依頼するのですが、やはり症状は消えませんでした。

「このコンピュータは不良だね」

こともなげにそう言い切るショップに対して、S氏はまたもや不信の念を抱いてしまいます。
ただ、今回は前回と違って作業の依頼はROMの書き換えとコンピュータの交換だけです。

「いっそのことキャブレターに交換したら・・・」

というショップの薦めを断り、S氏はクルマを引き上げる決断をしました。すでに預けてから2ヶ月が経過していましたが、その間に何も進展がなかったのです。このショップでは治らない・・・との確信のもとにS氏はその決断をしたのですが、いざ引き上げる段になるとやはり支払の問題が浮上しました。
そして最後には、

「払わなければクルマを潰す」

と言われるまで拗れてしまったのです。
S氏は当初の法外な金額からやっと合意した修理代を支払い、クルマを引き上げることにしました。
永年の夢が叶って楽しいはずのストラトスとの生活が一転して地獄となり、さらには人間不信にまでなってしまったのです。

トラブル修理で良く聞く問題の一つがこの修理代金だと思います。
原因を何時間も調査したショップ側の人件費と、それでも結果治らなかったという事実。そして部品を交換しても治らなかった場合のその部品代と交換工賃。加えてその間の保管料。
どちらの立場に立つかによって感じ方も様々でしょうし、状況によってもまちまちでしょう。
それがどんな業種であれ、お互いの信頼と合意がない仕事は成立しないのは自明なのですが、ことクルマの修理に関しては、信頼関係が構築されていないにも係らず、また整備方針の説明がないままでの、「出来高払い」の部分が多々あり、それがトラブルの元になっているのは確かだと思います。

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こうしてS氏は私の主治医のもとにやって来ました。それはS氏がコンピュータ探しの際に部品の問い合わせをしたのがきっかけだったそうですが、S氏によれば・・・、

「電話で説明したときに今までの全ての事情を分かってくれた」

のだそうです。結果、地道な原因究明により、一本のハーネスのコネクタ不良が発見されエンジンは完治しました。

「それだけ払ったら3.2LのGTA用V6エンジンに載せ換えられるよ」
「ホンモノが買えちゃうよ」


結果論で言えばナンとでも言えますが、私たちは当事者でも裁判官でもありませんので、誰が悪いとかナニが悪いとかの論評は差し控えるべきでしょう。
ただ、最初は小さなボタンの掛け違いだったような気がします。そして、このS氏の経験した物語は、大好きな愛車とどう付き合うか?その面倒を親身に見てくれる主治医とどう出会い、どう付き合うか?という大きなテーマを私たちに問いかけてくれるハナシではないでしょうか。

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愛車であったアルファ164Q4を廃車にすると決断したときのブログを読み返すと、私はこんなことを書いていました。

クルマはガソリンとオイルを入れていれば勝手に走るのではなく、それを愛情込めてメンテナンスするメカニックの方々に支えられ、その苦労と楽しさを「語るに足る」仲間がいるからこそ、気持ちよく走り続けることができるのです。

S氏とストラトスがこれから天国を味わうのか、更なる地獄を巡るのかは誰にも分かりませんが、どちらにせよS氏にはそれを楽しんでいただけることを願って止みません。

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テーマ:旧車 - ジャンル:車・バイク

コメント

取り合えずハッピーエンド(?)で終わって良かったです^^;
S氏の(変換したら「S死の」となりました・・・不吉な^^;)これからの幸福を祈らなずにはいられませんね。
でも、この話は我々皆に訪れるかもしれない事ですからねぇ・・・
私も車屋さんには良くしてもらってる(車屋さん経由で主治医に診てもらってます)ので改めて感謝してます。
(ー人ー)アリガタヤ

  • 2009/05/02(土) 01:10:16 |
  • URL |
  • リョー916パベル #X.Av9vec
  • [ 編集]

情報の大切さ

労力と保管にコストがかかったとしても、ユーザーのオーダーは修理・修復であり、結果が出ていない以上、まして対価としてお金をいただくプロの自動車修理工場として、意識の欠如に疑問を感じます。当初の見立て時において、潔く受けられない旨または結果が出なくても対価を求めることを告知してない以上、十分消費者センターの介入余地があり、さらには「払わなければクルマを潰す」という言葉の暴力に屈してお金を渡した場合は、オーナー側から事件請求として扱うことも出来ると思われます。
さて紛議はさしおいても、責任感のない工場は新旧を問わず多い現状もあり、オーナー側としても十分な予防措置を講じるべきで、本ブログは、そういう意味においても有意義な情報を発信していると思います。
その①関西在住時「大阪の魔窟」の工場にお世話になっていましたが、技術がすばらしく良心的な応対でした。②Barum/BRAVURISというタイヤを履いてみましたがレポート通りです。
これからも美味しい・楽しい情報を発信してくださいね。

  • 2009/05/02(土) 04:35:23 |
  • URL |
  • keno #sq1wLxC6
  • [ 編集]

難しいですね。。。

その節は、ご心配をおかけし、また励ましのお言葉をいただきまして、ありがとうございます。
私は、広島で元気でがんばっております!
ご報告が遅くなりまして、申し訳ありません。

さて、ストラトスの顛末ですが、難しいお話ですね。
私はQ4を手放してしまった身ですので、偉そうな事は言えないのですが、やはりオーナーさんの気持ちの問題が最も大きい様な気が致します。
私自身、本当に多くの言い訳と共に、Q4とのお別れを決意しましたが、突き詰めると、私の心が折れてしまった以外の何物でもない様な気がします。

その証拠に、75evoとはこれから何があっても、共に過ごせると思える確信に近い自信があったりします。

メンテをお願いする工場にしても、そこに彼らの生活がかかっているのであれば、間違った場所に依頼をしたオーナーが自らを責めるしかないのが、現状の様に思われます。

これから、このストラトスのオーナーさんの、510190さんの、私の、そして、その他の同じ悩みを持つ皆さんの、心が折れない事を、私は切に願ってやみません。
自らが選んだ車が自身に与えてくれる喜びを信じたいと思います!

先程、広島よりGTで自走して、ようやく自宅に辿り着いたものですからき、かなりナチュラルハイなコメントになってしまいました。
お許し下さい。

  • 2009/05/02(土) 06:24:01 |
  • URL |
  • tm75evo #-
  • [ 編集]

私も整備では相当苦労していますが、クルマそのものが好きでない人には預けられないですね。「払わなければクルマを潰す」
なんてとてもクルマ好きとは思えないです。。。未だとんでない店が残っているのですね。

あとやっぱり自分が納得いくまで説明してくれるところですかね。私もこの場合のROM書き換えの時点でなぜそれしてそれをどうやることで治るのか納得するところまで聞きます、多分。納得できる=理論として筋が通っていると思います。

私はみなさんが毎日利用されているあるモノを開発する技術者を生業としていますので、こういう不具合をどう治すかということを日々やっていますが、片っ端から1つ1つ異常なところがないかとしらみつぶしに進めないと絶対に真の原因にはたどり着きません!
このクルマはうちのQ4以上に大変なクルマだとは思いますが、ちゃんとしたところで見てもらえているのできっと幸せ者です。

  • 2009/05/02(土) 09:00:55 |
  • URL |
  • masaking #-
  • [ 編集]

>リョー916パベルさん
この問題はヒトゴトではないと思いましたので、こうやって書かせていただくことにしました。それはお世話になっている主治医との間にも起こることで、うやむやなまま修理をお願いしないのもこういった思いをしない予防策だと思いますね。

>kenoさん
書かれているように本件に法律的なアプローチをするとその通りだと思いますね。起こったときにどうするか・・・ではなく、そういった事態をどう回避するか・・・を読んでいただいている皆さんに自分のこととして考えていただければと思い、書かせていただきました。その趣旨をご理解いただき感謝です。
私が発信している情報が正しいかどうかはともかく、私が感じたことを同じように感じていただけるのが一番嬉しいことですので、これからもご愛読をお願いしますね。

>tm75evoさん
高松ではお世話になりました。一生の思い出となる(苦笑)イベントでした。広島でもまた何か企んでください!皆さんによろしくお伝えくださいね。

確かに、それがどんなクルマであれ、ユーザーの気持ちがなければ維持していくことは難しいと思いますね。その気持ちを共有して欲しいとは思いませんが、理解をしてくれる主治医と出会うことが重要だと思います。

>masakingさん
確かに預けっぱなしで「治ればいいや」という整備をしているオーナーは、お金だけ払ってこういった知識が何も残らないと思いますね。クルマへの愛情と好奇心がなければ、こういった目に遭わないのは偶然でしかなく、常にその危険と隣り合わせではないかと思います。
S氏もエンジニアで、だからこそ同じエンジニアを信頼し、そしてその結果に苦悩したのだと思います。

ショップ選びって難しいんですね。
普段扱わない車でもトライしてオーナーの気持ちに答えるショップであること、面倒がらずに丁寧に問題点を洗い出ししてくれること。
でも、これはオーナー側も気をつけないといけないことだとも思いました。
ショップも余計な手間というリスクを負うんだから、オーナーもどこまで経済的リスクを負えるか率直に相談しておく必要がありますね。
それでも当初見込まなかったトラブルが出たら、その時点でさらに話し合って、場合によってはローンを組むとか、応急処置で様子を見るとか前向きに方向を決めていけるような対等の関係でないとこの手の車は維持できないんですね(汗)
とりあえず現状もよく把握しないで初期化しようとするショップは×ってことはよくわかりました。

  • 2009/05/02(土) 13:07:07 |
  • URL |
  • きゃつお #-
  • [ 編集]

>きゃつおさん
全ては気持ちよくクルマで遊べることのためだと思いますよ。
旧車や絶版車を降りたヒトの理由の中に、クルマに疲れたから・・・というのがありますが、それは表現の問題で、ヒトに(自分自身にも)疲れたというのが本音じゃないでしょうか。

ストラトスの顛末3題を一気読みしたのですが、やはりショップ側は「この手のクルマのオーナーは金を湯水のように使うだろう」という甘えがあったんじゃないかと思いました。
お互いが簡単に理解と信頼を築けるとは思えませんから、やはりショップには説明する義務があると思いますし、オーナーは理解できるまで訊く姿勢が必要だと思いました。
それにしても高く付いた修理代ですね。

  • 2009/05/02(土) 13:59:28 |
  • URL |
  • IKEA #-
  • [ 編集]

特殊なクルマ

でもクルマはクルマですからね。
電気が分からないからハーネス全交換と言ったなら多いに問題だと思います。
元ハーネス屋の立場からしてもすべてを作り直すのは簡単ではないですから。
メカ的な部分以外のトラブルはこういったリスクがあるって事でしょうね(^^;

>kenoさん
ハーネステープなら今度用意しておきますね。

  • 2009/05/02(土) 21:39:38 |
  • URL |
  • こ~んず #JalddpaA
  • [ 編集]

>IKEAさん
同じパーツでも、FIAT<AlfaRomeo<Ferrariとお値段が変わりますからね(笑)これは構造的な問題で修理工場だけの問題ではないと思います。
高級車=金持ちと思われるのは仕方ないのかも知れませんが、中古車の場合は必ずしも・・・昔の高級車=金持ちとは限らないんですがね(苦笑)
人間の病気と同じでクルマの修理もインフォームド・コンセントが必要だと思います。

>こ~んずさん
原因が分からないままの交換は本当に治ったのか、たまたま症状が出なくなったのか分かりませんものね。
ハーネス交換ならまだしも、某車ではクルマごと交換したら・・・という個体もあると思います(爆)

某車ではクルマごと交換

これ、何かで読んだんですが、某ハードボイルド作家さんの複数のマセ○○○が何度もそれをやったらしいですね、ガレ○タが修理出来ずに何台も新車と交換したって書いてありました(核爆)

  • 2009/05/03(日) 00:09:54 |
  • URL |
  • こ~んず #JalddpaA
  • [ 編集]

>こ~んずさん
決して某社を誹謗しているワケではありませんよ(笑)
マゼラーティは(あっ言っちゃったっ)はそういうクルマですから、オーナーになったからにはアキラメなければなりません。だって買ったのはマゼラーティですもん・・・(爆)

>一本のハーネスのコネクタ不良が発見され・・
 やはり思いっきり基本的なことが原因だったんですね・・・クイックさんの様に経験のあるメカニックがいたならまず其処から疑って地道に究明されたと思います・・・って164も大体が接触不良のパターンですものね(爆) 先のROM書き換えなんて応用編を客に薦めること自体が理解に苦しみます・・・いずれにしましてもS氏の心が折れずに510190さんの主治医の下に辿り着かれたストラトスへの愛に拍手です。CAEでも十分過なので僕も欲しいですストラトス。(爆)

  • 2009/05/03(日) 00:43:16 |
  • URL |
  • kobu #-
  • [ 編集]

>kobuさん
仮説を立てたら検証しなきゃダメだと思うんですよね。症状から「ここが悪いんだろう」と考えたらいきなり交換ではなく、本当にそうか確かめる必要があると思うんです。それが面倒だから全交換・・・という提案をしたとは思いませんし、きっと全体に酷かったからだと思いますが、まず問題となっている症状が本当に完治するのか検討してからだと思うんですよね。
病気の症状が肝臓病であるからと言って検査もせずに手術だと言われたら、病院換えますよねぇ(苦笑)

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