走ってナンボ

アルファ・ロメオを始めとする「ちょっと旧いイタ車」を一生懸命維持する中での天国と地獄をご紹介します。

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ストラトス憂歌

S氏は紹介された工場を訪ねることにしました。もちろん今後のことを相談に・・・というスタンスで訪ねたのですが、いきなりこのクルマで訪ねてこられたメンテナンス工場側もさぞかし驚いたことでしょう(笑)

Stratos11.jpg

自分のクルマの状態が良く分からない新オーナーと、全くそのクルマを触ったことのないメカニックが最初にする作業は、クルマの状態を把握することです。
考えて見れば、常日頃から「佇まいが良い」などと言っていますが、それは比較対象があるから言えることで、あくまで相対評価でしかありません。中古車の場合はその基準は新車であったり、手を入れて乗っているオーナーカーであったり、市場にある他の中古車であったりするのですが、一番厳しい基準はその新車時と比べることでしょう。しかし、その新車でさえ製造公差があり、さらにC.A.E.ストラトスのような手作りに近いクルマの場合は、一台一台が別物で、おおよそ何かと比べることなぞできないのです。

最初に見つかった箇所は溶接不良でした。それはロアアームだったのですが、そもそも新車のときからこうだったのか、経年劣化でこうなったのかも分かりません。しかし、明らかに走行に支障があるだけでなく、最悪の場合は危険ですらある箇所でしたので、修理をすることとなるのですが、北海道の前オーナーとも相談の結果、一部修理費を負担してもらえることとなり、修理は順調に進みました。
通常はノークレーム・ノーリターンが当たり前の個人売買ですから、前オーナーの誠実な人柄が偲ばれる出来事でした。
また、こういった箇所は相対比較によるクルマの程度とは別問題ですので、メンテナンス工場の最初の総合診断としては至極マトモであったと言えます。

Stratos12.jpg

S氏は信頼できる主治医に出会い、順風満帆でストラトスとの蜜月を楽しむことができるはずでした。
ところが、すぐにメーター不良という新たな問題が発生しました。油圧計や電圧計などの補助メーターが明らかに誤作動を起こしており、その原因は電気系にあると思われました。S氏は早速、新しい主治医に入庫させ、「原因を究明し」修理をお願いすることにしました。
ところが、そこで下された診断は・・・、

「ハーネスの全交換が必要」

というものだったのです。確かに日本人の目から見ると、外国車、特にイタリア車なぞは新車であっても酷いハーネスを使用しています。最近でこそ少しはマトモになりましたが、それでもハーネスの作り方だけでなく、組み付け方もしかりで、熱によりすぐにショートする引き回し方であったり、充分な保護がされていなかったりと、それは当に「知らぬが仏」で、一度見てしまうと恐ろしくなってくるのですが、今回はその全体の品質を見て、原因を特定しないまま、「全交換」という判断をしてしまったのです。
最初の悲劇はここにありました。オーナーも主治医も「どこまで治すか」という目標(妥協?)が見えないままクルマを触り始めてしまったのです。

このように当初は100万程度でしょう・・・と始められたハーネスの引きなおしは半年間を費やし、その費用は400万を超える金額となってしまいました。
その金額はS氏には到底納得できるものではありませんでした。また、途中で何の相談もなかったことがS氏にとっては不信にも繋がりました。
結果、交渉の末、その半額程でお互いに折り合いをつけ、クルマを引き取った帰り道、更なる試練がS氏を襲うことになります。
エンジンが息継ぎを起こしてしまい、メーターの誤作動どころではなくなってしまったのです。
S氏はすぐに主治医の許に戻り、その不調を訴えたのですが、それをクレームと受け取った主治医との交渉は埒が開かず、これ以上ここにクルマを預ける気にはなりませんでした。

かくして、ただでさえ比較することの難しい稀少車であったS氏のストラトスは、ハーネスの引きなおしにより、この世に一台だけのクルマとなってしまいました。しかもそれは誰もその全てを知るヒトがいないのです。

こうなるとS氏は自分で何とかするしか方法がありませんでした。あちこち調べてスロットルポジションセンサーを交換するも症状は消えず、次にエアフローメーター、さらにO2センサーとアルファ・ロメオのV6エンジンの不調の際に交換する部品を片っ端から交換して行ったのですが、その症状は改善されず、最後にコンピュータを残すだけとなってしまいました。
この2.5LのV6エンジンはアルファ155に搭載されていたものですので、コンピュータの中古部品は簡単に手に入る・・・はずでした。ところが、実際に型番を調べてみると、それは初期のイモビライザーがないタイプのコンピュータでBOSCHでは既に製造中止となっており、日本ではその台数の少なさからおいそれと中古部品が手に入らなかったのです。

それが原因と特定されぬままに、S氏は部品探しの泥沼に嵌っていくことになります。

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テーマ:旧車 - ジャンル:車・バイク

コメント

ハーネスで400万!?

これは黙っていられませんね(笑)
確かにワンオフでは高くなりますがいくらなんでも高過ぎでしょう(^^;
国産品質で作り直したらそれは素晴らしいハーネスが出来ます、トラブルフリーと言ってもいいほどの出来で。
コンピュータは私なら問答無用でAVOのK島さんに頼んでモーテックに換えちゃいますね。

  • 2009/04/30(木) 20:39:39 |
  • URL |
  • こ~んず #JalddpaA
  • [ 編集]

うわ~、とんでもない余計な事をした為に取り返しがつかない事態になっていっているのが容易に分かりますよね。
何でもそうだけど、基準を元から変えてしまったら一体何が正常なのか判らなくなるから、下手にいじらないほうがいいのであって・・・意味不明な余計な事言ってすみません。

  • 2009/04/30(木) 23:26:19 |
  • URL |
  • Chousuke #-
  • [ 編集]

>こ~んずさん
元ハーネス工場長としては黙ってられないでしょうね(笑)
でも、ご承知のようにイタ・フラ車は新車時から国産品質と比較すると酷いもんですが、全てがダメなワケではなく経年劣化予防と熱害対策に重点を絞れば、かなり効果的なリフレッシュができると思うのですが・・・。

>Chousukeさん
お察しのとおりです。原因が明確になった後の全交換ならまだ分かるのですが、分からないから交換・・・は国産車のメンテでも使われる手ですが、そのコストはユーザーが負担しなければならないという視点が欠落していると思います。

トホホ・・・
まさに泥沼・・・
涙無しには読めないですね(T_T)
次回読むのが怖いくらいです(^^;)

  • 2009/05/01(金) 00:46:15 |
  • URL |
  • リョー916パベル #X.Av9vec
  • [ 編集]

これはすさまじい・・・。まさに地獄クルマですね(涙)
もう気の毒で読むのがつらい・・・(でも読みますけど)

  • 2009/05/01(金) 05:19:49 |
  • URL |
  • きゃつお #-
  • [ 編集]

>リョー916パベルさん
もちろんハッピーエンドではありますが、もう一波乱ありますよ。

>きゃつおさん
読むでしょ(笑)
でも、ヒトゴトじゃない部分が多々あるので考えさせられると思いますよ。

ハーネス&部品探しの泥沼にエールを

ハーネスも自分で引きなおすとそれなりに楽しい作業です。秋葉原でハーネスやコネクタを探し、伊車ハーネスによくあるマジックの点線書きなど二度としたくないと言いつつ、良い思い出となったりします。一番高価になものは不燃布のハーネステープでした。(コーンズさん、見てたら分けて!) またパーツは同時代のイタ車の部品あさりというより、発掘に近い作業です。FIAT-LANCIAはプラスチック部品もあわせ共通のものが多く使われています。これも弁当持参でピクニックと同じと考えれば天気さえよければ最高の休日になります。作る方が安心早いケースもありますが・・・。
応援しますrallycarの動態保存。必要ならストラの知人も紹介しますよ。

  • 2009/05/01(金) 15:24:43 |
  • URL |
  • keno #sq1wLxC6
  • [ 編集]

>kenoさん
131Abarth Rallyのオーナーの発言ですから重みがありますね(笑)
確かに、そういった苦労を「楽しんでできる」方とそうでない方がいると思いますね。私は電気は良く分かりませんのでさっぱりですが・・・。
個人的にはkenoさんの131とこのストラトスを是非引き合わせて撮影したいです(笑)
かなり象徴的な絵になると思いませんか?

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  • 2010/08/31(火) 18:27:45 |
  • |
  • #
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