走ってナンボ

アルファ・ロメオを始めとする「ちょっと旧いイタ車」を一生懸命維持する中での天国と地獄をご紹介します。

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地獄クルマを訪ねて・・・その七

久しぶりのこのテーマですが、なかなか良い地獄クルマに出会えず、苦慮していたのですが、よくよく考えてみると、年月が経つに連れてその仲間入りをするクルマは増えてくるはずで、本日ようやくご紹介するのは型式ES30と呼ばれるアルファ・ロメオSZ(Sprint Zagato)です。

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アルファ・ロメオSZは1989年のサロン・アンテルナショナル・ド・ロトでそのコンセプトカーとして発表されました。そしてそのスタイリングは見る者のど肝を抜くことになりました。
今まで製造されたどのクルマにも似ていないそのスタイリングは、アルファ・ロメオファンであるなしに関わらず、全てのヒトの間で物議を醸し、賛否両論が噴出したのです。
当時のアルファ・ロメオは瀕死の状態で、倒産寸前のところを設立当初からのライバル関係にあったFIATの傘下に入り、ようやく救済されるという状態でした。
アルファ・ロメオファンは、「もはやアルファ・ロメオは死んだ」と悲しんだのですが、その最中に発表されたのが、その面妖なスタイリングから"il Mostro"(怪物)と呼ばれたこのSZだったのです。
実際に、SZというネーミングから連想されるクルマは、初代の流麗でコンパクトなクーペであり、しかもレースシーンで活躍したヒストリーを持つ、アルファ・ロメオにとってはその歴史を語る際には必ず登場するモデルだったのですが、その名前を受け継ぐにはあまりにアバンギャルドなクルマがこの新しいSZだったのです。

ZagatoSZRR2852.jpg

オリジナルデザインはザガートによるものではなく、ザガートがこのモデルのために提案したデザインはもっとコンサバティブなスタイリングでした。ところが、アルファ・ロメオは「政治的に」新しい親会社フィアット・デザインセンターのデザインを採用しました。そのオリジナルデザインは同センターのロバート・オプロンが担当し、ボディワークの詳細とインテリアはアントニオ・カステッラーナが担当したと言われています。では、なぜそのクルマの名前がSZなのか?と言うと、当時のアルファ・ロメオにはとてもこのクルマを製造する能力がなく、コスト的にも見合わなかったために、その製造をデザインコンペに落ちたザガートに丸投げしてしまったからなのです。一方のザガートも仕事が欲しかったために、自社がデザインしたモデルでもないこのSZの製造を請け負うことになります。

DSC02825.jpg

このような経緯で生まれたこのSZは、ザガートデザインではない「ザガート製」のクルマとしてSZを名乗ることになったのです。
その奇抜なスタイリングとは裏腹に、メカニカルコンポーネンツは当時の量産車種であったアルファ75のそれをそっくり使い、結構「お手軽」な仕立てでした。さすがにそれだけでは・・・ということで、車高変更システムをKONIと共同で開発して搭載するとともに、エンジンは2959ccのV6エンジンを縦置きに搭載し、そのエンジンも同じく当時の限定モデルであったアルファ164QV(Quadrifoglio Verde)用にチューンされた210hpバージョンを搭載していました。

DSC02821.jpg

インテリアもオリジナルデザインで当時最先端の素材であったカーボンパネルを使い、エアアウトレットなどの細かい部品はアルファ75用のものを流用しながら、全く別物に仕立てられていたために、一瞥すると、それがアルファ75をベースにしているとは思えない仕上がりでした。

ZagatoSZ852interior-1.jpg
DSC02826.jpg

SZは1000台が限定で製造される予定でしたが、おりしも世界経済がバブルに沸いていたこともあり、予定より多く作られたと言われていますが、遅れて発表されたSZのオープンバージョンであるRZは、バブル経済が崩壊した時期と重なり、その限定数には達することなくフェードアウトすることになります。

このクルマが何故、地獄クルマか?と言うと、その生い立ちとネーミングのギャップに加えて、当時の日本のバブル景気のために、車両価格が身の丈以上に高騰してしまったこと、加えてザガートの製造品質の悪さとシャーシーを供給したアルファ・ロメオの製造品質も加わって、「とんでもなく」個体差のあるクルマになってしまったことにあります。

DSC02822.jpg

私自身も過去に10台ほどのSZ/RZを間近に見ましたが、各々が少しづつ異なっていました。
実際にザガートでSZを製造しているところを見た方によると、その製造工程は殆どが手作業で、ただでさえ個体差のあるFRPボディを「無理やり」組み付けていたそうです。
また、ディーラーで輸入が始まった際に、クルマを納めたオーナーから「エンジンのパワーがない」とクレームを受け、実際にパワー測定をして見たら、150hp程しかパワーがなかった・・・というハナシを聞いたことがあります。ちなみにそのクルマは製造番号(一台一台にシリアルナンバーが付けられています)が後のほうのクルマで、どうやらアルファ・ロメオは最初の内はハイカムを組み込み、バランスを取ったエンジンを供給していたのですが、途中から通常ラインのエンジンを載せるようになったらしいのです。

このように、「神話」に事欠かないSZですが、オーナーはその希少性と唯一無二のスタイリングと引き換えに、このどうしようもない製造品質と付き合わなければなりませんでした。加えてボディパーツはその殆どが最早手に入らず、入ったとしても個体差故にマトモには取り付けられないという体たらくです。
それでも、SZが今尚生きながらえて来れたのは、ひとえにその希少性で、オーナーが大切にしてきたからに他なりません。
事実、同じシャーシーを持ち、遥かに多く輸入されたアルファ75は、セダンであることから使い倒されて淘汰されてしまいました。

今、現在SZ/RZを維持されているオーナーの方は、事故で外装パーツが破損することを恐れ、車高変更システムは壊れるのでなるべく使わず、アルファ75と共通であるにも関わらず欠品だらけのパーツを日夜探し回りながら維持しているのです。

とても精神衛生上は我慢ならないと思うのですが、それでも手放さないのはこのクルマがそのネガティブな面を含めて、間違いなくアルファ・ロメオであり、その歴史を飾るにふさわしいクルマであるからに他ならないと思います。
是非とも、最後はオブジェとしてでも残していただきたいと思います。

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テーマ:アルファロメオ - ジャンル:車・バイク

コメント

次期候補?

510190さんが大好きなGTV6はなかなか出物があるもんじゃないので、916Spiderの次期候補は個人的にはこれじゃないの?といつも思ってますが、このタイミングで書いた意図でもあるのかな(笑)

  • 2009/02/19(木) 00:45:05 |
  • URL |
  • ryuta #/Cc3pzXQ
  • [ 編集]

>ryutaさん
>このタイミングで書いた意図でもあるのかな(笑)

あ・り・ま・せ・んっ!(笑)

>510190さん
 個人的にGTV6が見つかるまでの繋ぎに是非逝ってもらいたいのですが・・・確かに後半のSZはパワーが無いのは事実のようですね(笑)

  • 2009/02/19(木) 01:25:26 |
  • URL |
  • kobu #-
  • [ 編集]

おひさしぶりです。
SZはトルコでは見かけることが全くないです。実車を一度見てみたいです。

SZ

いいですねぇ、510さんにぴったりじゃないですかっ(笑)
個人的には250psくらいにチューニングしてドリフト仕様を作りたいですね(あほ)

  • 2009/02/19(木) 09:38:47 |
  • URL |
  • こ~んず #JalddpaA
  • [ 編集]

>kobuさん
あなたまで・・・(笑)
でも、この地獄はちょっと・・・ねぇ。

>Platanouseさん
確かに限定車ですから見かけないかも知れませんね。ヨーロッパではドイツ、オーストリア、オランダ辺りに多く生息しているようですよ。

>こ~んずさん
スクーデリア・オールドタイマーさんがSZをベースにサーキット仕様車を仕立ててますね。
また、本国ではCup Carもありましたから可能じゃないでしょうか。是非、逝ってください(爆)

SZ、個人的に今のSpiderの次はこれかな、と思ったりしてるのですが、
やはり地獄クルマに類されるのですね 苦笑
知り合いの方のSZを一度一踏みさせてもらったことがあるのですが、
現在のV6とは明らかに違う吹け具合に感銘したのを覚えています。

でもザガートデザインでないザガート生産車であるということを初めて
知りました。勉強になりました。

  • 2009/02/19(木) 20:11:09 |
  • URL |
  • chifurinn #UwkW36/E
  • [ 編集]

>chifurinnさん
同じV6でも決定的に違うのはその慣性マスだと思います。クルマのZ軸を中心にした縦置きのV6は横置きと違って振動の点で有利ですし、排気も自然に等長となります。そういった違いの積み重ねがフィーリングの違いとなって表れるのでしょうね。

今度はSZですか。510さんの浮気性もかなりのもんですね(笑)

  • 2009/02/19(木) 21:21:12 |
  • URL |
  • きゃつお #-
  • [ 編集]

>きゃつおさん
地獄クルマの中には理路整然とした地獄と不条理な地獄と理不尽な地獄があるんですよね。このSZはどちらかというと不条理でそれは私にはちょっとねぇ(苦笑)

名車ですね。いろんな意味で。
75と916の延長線上としてRZなんてどうでしょうか?タマが少なくて当たりが存在しませんかね(笑)。

  • 2009/02/20(金) 12:21:46 |
  • URL |
  • pekepeke #-
  • [ 編集]

最近どうもAlfa Romeoらしい地獄がないので逝こうとしているのかと思いました。
逝くなら510さん、やっぱりRZですよね(笑)

  • 2009/02/20(金) 18:34:25 |
  • URL |
  • IKEA #-
  • [ 編集]

>pekepekeさん
RZですか・・・。オープンが2台あってもねぇ(苦笑)
それ以前にアシグルマになりませんよ~

>IKEAさん
私は理路整然とした地獄が好きなんですよ(笑)
マゼラーティは理不尽ですし、このSZ/RZは不条理なんですよね・・・。

以前916spider購入の時にお世話になったパベルです!
毎回勉強させて頂いてます。
SZ/RZ良いですね~
私がアルファ好きなったきっかけの車です。
是非510190さんに乗ってもらいたいですね!
私もブログ始めましたのでよろしくですm(_ _)m

  • 2009/02/21(土) 00:01:47 |
  • URL |
  • リョー916spider2001パベル #X.Av9vec
  • [ 編集]

>リョー916spider2001パベル さん
ブログ拝見しました。なんだか楽しんでらっしゃる様子が伝わって来ます。
私が書いているような能書きを知らなくてもアルファ・ロメオはちゃんと感性に訴えてくれますから、あまり肩肘張らず楽しんでくださいね。

SZは164QVよりも音もパワー感も劣ると聞きましたが、それはSZ後期型との比較ということなんでしょうかね。これでなんとなくわかりました。 でもこのクルマに通常のエンジンが知らずに載ってるなんて考えられませんよね。

>kouichiさん
コメント遅れてすいません(汗)
SZは当初はチューンドエンジンを搭載するのが標準だったのですが、途中から面倒臭くなったのか、結構適当なエンジンだったようです。もともとバラつきの多い製造ラインに部品精度の悪さが加わって、恐ろしく個体差があったと聞いています。先日の115Spiderのバリといい、この年代のアルファ・ロメオは危険な香りが一杯ですね(苦笑)

sz/rzのエンジン出力

突然おじゃま致します。 sz/rzのエンジンですが 後期がパワーの無いエンジンではなくて 長期在庫の新車をそのまま動かしたために本来の性能が出てないのを 勘違いされたと思います。私のRZはエンジン開けてませんが メンテナンスだけでシャシーダイで200PS確認できました。SZ/RZの名誉のために失礼致しました。

>alfa6ctiさん
ありがとうございます。こういったナマのオーナーの方からの情報は貴重ですね。
おっしゃる通り長期在庫で調子を崩していた個体も多かったようですが、一方でカムシャフトがノーマルだったりと個体差も多かったようですね。
もちろんSZ/RZのオーナーの方にとってそんなことは重要ではないことで、このデザインを所有していることの方が遥かに素晴らしいことだと思っています。
是非、所有されている感想などもお寄せください。

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