走ってナンボ

アルファ・ロメオを始めとする「ちょっと旧いイタ車」を一生懸命維持する中での天国と地獄をご紹介します。

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Quo Vadis

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恐らく、この記事が今年最後のブログになります。もっと夢一杯のネタで今年を締めくくりたかったのですが、私たちの大好きな自動車にとって今年ほど厳しい年はなかったのではないかと思います。
そして自動車業界も私たちユーザーも、自動車の明るい未来を思い描けずに年を越そうとしています。
世界をリードしてきたアメリカの自動車需要は落ち込み、それに依存していた世界中のメーカーは軒並み減産に追い込まれ、その景気悪化の影響で急成長していた発展途上国の需要まで冷え込むことにより、ビッグ3と呼ばれたアメリカの自動車メーカーだけでなく、世界中の全ての自動車メーカーが経営危機の渦中にいます。

乗り物の開発は人間の本能に根ざしたものでした。運動能力に制限がある二足歩行を選んだ瞬間から、人類はその運動能力をカバーするために持てる知力を尽くしてきました。その結果、宇宙や深海にまで人類は行けるようになったのですが、その最も身近な乗り物が自動車だと思います。
自動車のおかげで、人類は地球上のどんな動物より速く移動することが可能になり、今や自動車は私たちの生活になくてはならないものとなりました。

しかし、自動車には輸送や移動といった本来の目的とは違った魅力があるのです。それは自動車が公共財ではなく、個人の持ち物になったときに、スピードやデザイン、そしてドライブフィールといった個人個人の満足を満たすものとなったのです。そして自動車はあるときは権力の象徴となり、また富の象徴となり、他人との差別化の道具として存在意義を持ち始めました。それは自動車本来の目的であった移動、輸送といった目的とは少し異なっていましたが、それ故に自動車は更に進化し、多くのメーカーと車種を生み出し、ますます普及して行ったのです。

私たちは幸いなことに、自動車が一般化する過程を共に過ごして来ました。私たちよりもっと前の世代にとっては自動車は「夢」だったでしょう。私が子供の頃は自動車は「憧れ」でした。そして、私たちが自動車を運転できる年代に達した時、自動車は「現実」となりました。そして現在、自動車は「道具」となり、加えて単なる選択肢の一つにまでなってしまいました。
道具であれば、その機能さえ満たされていればそれ以上のものは必要ありません。使えるうちは使い、使えなくなったときに買い替えれば良いのです。ハサミを例にして考えて見れば、ハサミがない家はないと思いますが、5年に一度ハサミを買いかえるヒトはいないでしょう。

私は道具となった時点で、自動車の今までの使命は終わったのではないかと考えています。考えてみれば一つの道具の生産に世界中のこれだけの資本が投下され、これほどまで多くの人が関わり、そしてこれほどまでの種類が存在していることが異常なのではないかと思うのです。
これからの未来を担う若者にとって、今やクルマは携帯電話やi-Podと同等の、若しくはそれ以下のアイテムになってしまいました。

私たちの学生時代は寄ればクルマの話をしていました。誰が何に乗り換えた・・・だの、今度の新型車はスゴイだの、話題はいつもクルマでした。そしてクルマを持っていることや運転が上手いことが女性にモテる最低条件でもありました。
しかし、現代の若者たちは、移動の手段であればi-Podで音楽を聴いたり、携帯電話でメールしながら電車に乗ったほうが効率的だと考えているようですし、最新の携帯電話を持っているほうが、女性との話題になるようです。そしてクルマがどうしても必要ならば、レンタカーを借りれば良いと考える若者が大多数なのですから、メーカーがどんなに一生懸命新型車を開発しても、若者の眼中に入らないのは当然なのでしょう。
「これなら欲しい」というクルマは、その他の魅力的な道具の中で取捨選択され、「それでもいらない」と考えられてしまうのが現実なのです。

環境に優しいことや、美しいデザイン、そして素晴らしい走行性能も、もはや再び車を「憧れ」に引き戻すことはできないのかも知れません。
だとすれば、こういったクルマの魅力は最早、大衆の共通観念ではなく、一部のクルマ好きのための嗜好品のようなものになって行くのではないかと思うのです。
事実、大量生産をしている自動車メーカーは軒並み販売台数が落ち込み、経営危機に陥っているにも関わらず、少量生産の個性的な自動車メーカーは相変わらずバックオーダーを抱えていると言われているのです。

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「Quo Vadis」とはイエス・キリストの弟子であった聖ペトロの言葉で、「どこへ行くのですか?」という意味です。

イエス・キリストが十字架の死を遂げた後の、西暦67年のローマではローマ皇帝ネロが暴君として権威を振るっていました。そのときペトロは布教のためローマにいましたが、「ローマの大火」の犯人の汚名を着せられた当時のキリスト教徒たちは大変な迫害を受けました。
そのリーダーと目されたペトロは身の危険を感じ、ローマから逃げようとしますが、ローマを出る門の前で復活したイエス・キリストに出会うのです。
驚いたペトロはイエス・キリストに尋ねます。

「主よ、どこへ行かれるのですか(Domine quo vadis)」
「私はあなたのためにふたたび十字架にかかりに行くのだ。」


Domine quo vadis・・・

実はペトロはイエスが十字架の死を遂げる前夜の「最後の晩餐」においても同じ言葉をイエスに投げかけていました。

ペトロがイエスに言った。「主よ、どこへ行かれるのですか。」
イエスが答えられた。「わたしの行く所に、あなたは今ついて来ることはできないが、後でついて来ることになる。」
ペトロは言った。「主よ、なぜ今ついて行けないのですか。あなたのためなら命を捨てます。」
イエスは答えられた。「わたしのために命を捨てると言うのか。はっきり言っておく。鶏が鳴くまでに、あなたは三度わたしのことを知らないと言うだろう。」
(ヨハネによる福音書 13:36-38)

そして実際にペトロはイエスを三度「知らない」と言ってしまいます。イエスを金貨で売り渡したイスカリオテのユダと自分が何ほども変わらなかったことをペトロは悔いていました。そしてそのことが心に針のようにずっと突き刺さっていたにも関わらず、それでも心の弱さからあの時と同じことを繰り返そうとしていたのです。そしてそのことを深く恥じたペトロは今逃げてきた道を引き返したのでした。
今度は二度とイエスを裏切ることのないよう、自らが十字架にかかるために・・・。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

Quo Vadis・・・

これから自動車はどこへ行くのでしょう。それは十字架への道なのか、それとも新たな復活への道なのでしょうか…

今年最後のブログがナンだか暗い話題になってしまい、お読みいただいている皆さんには申し訳ないのですが、私自身は自動車の未来を信じています。もちろん私が思い描く未来ではないかも知れませんが、自動車は人類が手に入れた個人の移動手段として、必ず私たちの身近にあり続けるだろうと思っています。
そして、こんな厳しい時代だからこそ、そのクルマを使って趣味の世界では精一杯遊んで行こうと考えています。

今年もこんな拙いブログをご愛読くださり本当にありがとうございました。来年も皆様と皆様の愛車が健やかでありますようお祈りしています。

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テーマ:その他 - ジャンル:車・バイク

コメント

今年一年、ありがとうございました。このブログをきっかけに、濃密な趣味クルマの世界を知ることができました。
実際に510さんやクラブのみなさんにもお会いできて、クルマの移動手段で終わらない大きな魅力も知りましたし。
来年も宜しくお願いいたします。

  • 2008/12/30(火) 07:08:08 |
  • URL |
  • きゃつお #-
  • [ 編集]

>きゃつおさん
こちらこそありがとうございました。
これからもクルマ趣味で広がる世界を楽しんでいきましょう。
来年もよろしくお願いしますね。

この一年、興味深い数々の記事をありがとうございました。

実は昨年まで自動車業界に身を置いていて、今年から
転身し外から業界を見る立場になりましたが、この急展開で
先々どうなるのだろうと感じています。ただ同時に
数少ない中でもコアな自動車ファンがどこにでも存在
しているということも改めて認識することが出来ました。

これまでもそうだったように世界の自動車業界の様相は
変化していくでしょうが、これも時代による変遷の一端であり、
ある意味自然なこととも感じます。
そういった環境におかれるのは避けようもないことですが、
要はそういう環境の中でクルマ好きがどう自動車を愉しむかと
いうことでしょう。

自分はクルマ好きという共通項のある仲間との交流やクルマ
そのものの魅力を更に知ることで人生に彩りを加えられればと
思っています。来年も興味深い記事を期待しています。

長文で失礼いたしました。

  • 2008/12/30(火) 10:40:34 |
  • URL |
  • chifurinn #mwEy1mXw
  • [ 編集]

>chifurinnさん
その業界の中にいると意外に見落としてしまうことってあるものです。私も以前コンサルの仕事で某自動車メーカー直系の九州の会社の仕事をしていましたが、びっくりするくらい世間とズレているところがありました。
クルマ趣味を美化も卑下もせずに、現代社会の中で自然体で楽しむことも重要じゃないかなと思います。
「ガイシャのオープンでチャラチャラ遊んでる」と言われても、以前はムキになってましたが(苦笑)、これからはそれを勲章にしたいと思います。
さぁ。来年もちゃらちゃら遊びますよ~(爆)。ご期待ください。

今カウンターは164000

510さん1年間ブログご苦労様でした。すべてのレスにお返事なさる几帳面さに脱帽です。

『NAVI』が300号を迎えましたが、その301歩目の特集が『NAVIって何?』だというのが何だか象徴的です。クルマの販売とともに自動車雑誌の部数も伸び悩んでいるそうですが、編集者もクルマをどう扱っていけばよいのか解らないようです。で、読者に聞こうと(笑)。

ご存知のように『NAVI』は「クルマ」ではなく「クルマ文化」を売り物にしている雑誌です。アルファに乗ればイタリア人のような生活が味わえるんじゃないか~と、夢というか幻想を売ってきたわけですが、それって80年代のバブルの頃のモノの売り方ですよね。実際『NAVI』もバブルの頃に急速に部数を伸ばしたわけですが、こうしたメディアも自動車メーカーも広告代理店も、そして我々自動車ファンも20年後の今でもこの路線から成長してこなかったように思えます。それで現在のような事態になって、みんなどうしていいかわからんと。

でも「次」を打ち出すことができれば、それは自動車業界だけでなく他の同様な分野にとっても大いに参考になると思いますので、頑張りどころですよね。

>ただすけさん
ありがとうございます。私は別に几帳面なつもりはないんですよ(苦笑)
コメントをいただくと皆さんに読んでいただけてる実感ができるので嬉しいんですよね。
自動車文化って難しいですね。むしろ文化が自動車をどう解釈しているか・・・といった方が適当でしょう。馬→自動車という文化では、自動車は限りなくパーソナルなものでしょうし、その馬を持っていた貴族の精神文化が色濃く自動車に反映しているのがヨーロッパの自動車ではないかと思います。一方で大量生産による大衆化がアメリカの自動車文化の大前提で、その大量生産の文化が崩れつつある今、これらの二極化した精神文化から次にどんな第三の価値観が生まれるのか生まれないのか・・・に自動車の未来が懸かっているのではないでしょうか。

一年間お疲れ様でした

164OCにお世話になってほぼ一年となりました。皆さんとお会いできなかったことが残念なんで、来年の目標は秋までに関東に出ぱっていこうと考えてます。これからも楽しくためになる?ブログ待ってます。来年もよろしくお願いします。ちなみに164055です、今。今年中ってゆうか、明日の昼までもたないかな?

  • 2008/12/30(火) 22:43:59 |
  • URL |
  • レボ #-
  • [ 編集]

>レボさん
ありがとうございます。是非是非イベントに来てくださいね。164は一人で楽しむクルマではありませんよ~(笑)
それにしてもなんとか今年中に達成したいと思っていたのですが、本当に大晦日になってしまいそうですね。
皆さん、お忙しいときにすいません(汗)

今年も

お世話になりました、来年もよろしくお願いします。
で、カウンターは164082です、こりゃ朝が勝負かな?

  • 2008/12/31(水) 00:10:43 |
  • URL |
  • こ~んず #JalddpaA
  • [ 編集]

お疲れさまでした

毎回楽しく読ませていただきました。
来年も楽しみにしていますのでよろしくです。

カウンターは、残念ながら164183で既に終わってました。最後の運試しと思ったのに残念です。

  • 2008/12/31(水) 11:38:57 |
  • URL |
  • ito #cks3dOnk
  • [ 編集]

>510190さん
 今年は色々とお世話になりました、来年もよろしくお願い致します、自動車産業は正にターニングポイントに来ている感じがしますね、繊維や白物家電が価格競争と彼の地の品質の向上もあり海外製が圧倒的になった様に車もたとえ国産メーカーでもグレードによっては海外製品が当たり前になるような気がします、そう言えば日本に入ってきてるドイツ車はまだドイツ製でしたけっけ?

  • 2008/12/31(水) 20:25:50 |
  • URL |
  • kobu #-
  • [ 編集]

>itoさん
お返事が遅くなってしまいました。
あけましておめでとうございます。
アクセスアワードはまたうありますので、次回は是非っ!(笑)

>kobuさん
材料費はグローバルでほぼ同じとしたら残るは人件費だけですからね。
でも、本当にそうまでして作らなきゃならないものなのか・・・というターニングポイントに来てるような気がしますね。

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