
世の中には法律で定められていることに加えて、マナーという暗黙のルールがあります。それは社会の中で共生していく際に必要な、お互いが気持ちよく暮らすためのルールだと思いますが、交通マナーもその中の一つではないでしょうか。
今回の「みちのく寄り合い」で私たちが遭遇したのは、この交通マナーを知らない(守らない)クルマでした。
山道で追越ができない道路を走る際に、明らかに自分より速いクルマが後ろに付いたなら、適当な退避場所で後続のクルマを先行させるのは交通マナーです。それをせずに、後続のクルマが焦って無理な追い越しをされたりするとかえって危険ですし、いくら道路交通法上は悪くなくても、その事故に巻き込まれると結局自分も痛い目に逢ってしまうのです。
私は山道で後ろにバイクが来たりすると、オープンコーナーや直線で、確実に後続のバイクに分かるように道路左に寄り、安全に追い越させるようにしています。そうすればバイクもちゃんと追い抜く際には挨拶をして行きますし、お互いに自分のペースで安全に走行できるのです。
私たちは決して暴走族ではないつもりです。ですので、無理な追い越しや威圧するような運転はしないよう心がけてはいるつもりですが、今回はその遅いクルマは全く後ろを見ておらず、後続車に気づいているようには思えなかったため、余計に追い越しは危険でした。結果として隊列を整えるために数箇所で臨時停車をせざるを得なかったのですが、まぁそれも適度な休憩になったので結果オーライでしょう(苦笑)

ハナシをツーリングに戻しましょう。一緒にツーリングをする楽しみの一つが仲間のクルマを運転席から眺められることだと思います。今回は例のFIAT131 ABARTH RALLYの走行シーンを前後から堪能させていただきました。私にとってサイドミラーにこのクルマが映っているのは、本当に夢のような光景だったのです。恐らく、1980年のモンテカルロラリーのSS(スペシャルステージ)では、ライバルであったランチア・ストラトスやオペル・アスコナ400のドライバーも同じ光景を見たに違いありません。

そうして前に立ちはだかる遅いクルマに邪魔をされながらも、そこそこのペースで気持ちの良いワインディングを走破し、先導する幹事さんに連れて行かれた昼食会場は桧原湖畔のキャンプ場でした。おそらくこんな場所は地元のヒトでない限りはまずたどり着けないであろうと思います。砂利道をしばし徐行で走った先は、季節はずれのキャンプサイトで、全くひと気がなく、目前には絶景の湖が広がる素晴らしい場所でした。幹事さんが天気を人一倍気に掛けていた理由がこの昼食場所だったのですが、確かに、ここで雨に降られながら食事を・・・というワケには行かなかったでしょう。

各々が前もって連絡があった通り、トランクからテーブルやイスを出して昼食となったのですが、見ていると流石にアルファ・ロメオ乗り?らしく、テーブルを整然と並べようという気は全くなく、好き勝手に様々な方向に並べているのが笑えます。

そしてお弁当として用意されていたのは、保温材で暖められた「新きねや」の牛肉弁当でした。このお弁当も幹事さんのホスピタリティの結果で、本来ならば朝の時間は作っていないという弁当屋にムリを言って作ってもらったものだそうです。併せて前回の蓼科でもご馳走になった芋煮まで用意していただきました。少し肌寒い野外ではこの暖かい食事は本当に美味しく、ありがたい配慮でした。



それにしても、この場所は本当に心地よく、紅葉の本番には少し早かったのですが、それでも色づき始めた湖畔の風景を眺めながらのんびりと過ごすことができました。

さらにその後は例の京商のミニチュア争奪戦もあり、大盛り上がりで各々戦利品を手に解散となったのですが、私にとって更にサプライズであったことは、オーナーの好意により例のFIAT 131のステアリングを握れたことです。
室内はロールケージが張り巡らされてはいますが、乗降には何とか支障のないレベルです。4点式のシートベルトを締め、いざ出発!と言いたいところだったのですが、低速でグズるエンジンとクラッチミートの難しさから、最初は不本意ながらエンストの連続でした。
しかし、慣れてくるとようやくスムーズに走れるようになって来ました。それにしても室内は凄まじい騒音です。聞こえてくるのはギアからのメカニカルノイズと野太いエクゾーストノートのみで、折角のアバルトチューンドエンジンの快音は全くと言って良いほど聞こえません。聞けば同乗の奥様は耳栓をして乗っているとのことで、会話もままならない室内で隣と話をするためにはインカムが必要でしょう。さすがラリーウェポンです(笑)
ステアリングは当然ながらノンアシストですが、その応答はクイックで、走り出してしまえば楽にノーズの向きを変えることができます。アクセルレスポンスもなかなかのもので、発進時には一拍遅れて応答するキャブレターも2速から3速で加速する際には豪快に吹け上がってくれます。試乗は短距離だったため、回転は4000rpmに留めましたが、後からオーナーに「もっと回していいのに」と言われてしまいました(苦笑)
しかし、この回転数まででも充分で、大口径キャブレター車特有のエンジンフィールを堪能することができたのですが、正直に言えばその先も見てみたいと思わせるエンジンでした。
それにしても、ここまでのコンディションにするのに10年かかったとのことですので、オーナーの熱意には本当に頭が下がりますが・・・私もいつか手に入れたいとの思いが強くなるばかりの試乗でした。
帰りの東北道は雨が降り始めたことに加えて多重衝突事故などがあり、渋滞で時間がかかってしまいましたが、それでも7時には東京に無事に帰ってきましたので、1日で強行したロングツーリングとしては疲労も少なく充実した1日でした。
繰り返しになりますが、今回の「みちのく寄り合い」には幹事さんを始めとする山形メンバーの思い入れとホスピタリティを随所に感じることができました。こんな経験もオーナーズクラブならではでしょう。
気持ちの良い一日に感謝です。
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