走ってナンボ

アルファ・ロメオを始めとする「ちょっと旧いイタ車」を一生懸命維持する中での天国と地獄をご紹介します。

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ALFA ROMEO Sport Collection 75

以前のブログでアルファ・ロメオのBerlinaデザインの哲学がアルファ156以来変わったのではないか・・・と書きました。
アルファ・ロメオに限らずヨーロッパ車のセダンデザインは基本はパッケージングでした。すなわち、5人乗りのセダンはちゃんとヒトが5人乗れ、その荷物を積むことが出来ることが前提で、そのためのエンジニアリングでありスタイリングだったのです。
今回ご紹介するALFETTAはそのことを再認識させてくれるアルファ・ロメオの名作だと思います。
本来のSport Collectionの主旨とは離れ、コンペティションモデルではないのですが、採り上げる価値のあるモデルだと思います。

ALFETTA.jpg

1972年に発表されたALFETTAは戦前のGPカーTipo158の名前を由来に持つ、画期的なセダンでした。戦前にヨアッキーノ・コロンボが採用したエンジンとミッションを分離しリアに置くレイアウトであるトランスアクスル方式は、GPカーにとっては重量配分を前後で均等化するためでした。そして戦後になり、そのレイアウトを更に発展させたのがオラツィオ・プリーガで、ド・ディオンアクスルと呼ばれたキャンバー角度の変化しないリアサスペンスションを採用し、Tipo159としてGPウィナーとなるのですが、そのプリーガが設計総責任者として開発したのが、このALFETTAだったのです。

その革新はBerlinaにGPカーのシステムを持ち込んだことにあったのですが、それはスポーツドライビングのためではなく、セダンとしてのパッケージを追求したためでした。
トランスアクスルレイアウトは、縦置きのFRの問題である大きく室内に割り込むミッションケースをなくし、室内長を長く取ることを可能にしました。このことにより、同じクラスのBerlinaと比較して、画期的な室内スペースを確保することができました。特に前席をフロントに近づけることにより確保された後席の足許は広々としており、居住性の向上には効果的なレイアウトでした。

一方でド・ディオンアクスルは、セダンという乗車人数(重量)が変化するクルマにとっても最適で、荷重が変化してもキャンバー角が変わらないという特徴は、クルマの運動性能にとっては重要な要素でした。
ALFETTAの革新的なところは、これらのレーシングテクノロジーを起源とする技術を、一般車、特にセダンに応用し、全く異なる居住性の向上という目的に応用したことにあります。
GPカーに採用されたレイアウトを走行性能の向上という目的に利用する例は多々ありましたし、販売促進のために、そのイメージだけでもあやかるのは効果的な手法でした。しかし、全く異なる用途に利用したところにプリーガの非凡な才能を見ることができます。

かくして誕生したALFETTAは、素晴らしい居住性と運動性能を併せ持ったスポーツセダンとして好評をもって市場に受け入れられました。日本にも伊藤忠モータースを通じて輸入され、小林彰太郎氏もカーグラフィック誌の長期リポート車として購入し、その運動性能を絶賛されていました。
しかし、いかに基本性能が優れていても製造品質が悪ければクルマとしては生き残っていかないのは当然で、当時のアルファ・ロメオの使用していた鋼板は錆びやすかったことに加えて、組み立ての粗悪さからマイナートラブルが続発し、オーナーにとってはとても長く乗り続けることはできないクルマでした。

このように技術的には優れていたALFETTAですが、その機構ゆえに製造コストは高く、ビジネスとして考えたときには最適化技術とは言い難かったのも事実です。
すなわち、室内長を長くしたいのであれば、トランスアクスルよりも横置きのFFシステムのほうが、遥かに安いコストで目的を達成できますし、事実現在の殆どのクルマがこの方式を採用しています。
歴代のアルファ・ロメオはこの最適化技術という考え方に乏しく、ともすれば贅沢とも思える機構を用いる傾向があり、結果的にそれが名車を生んだ一方で経営を圧迫したのですが、面白いもので特徴の無い凡庸なクルマを作っていたのではブランドが消滅してしまい、経営的に苦しくても特徴あるクルマを作り続けたメーカー(ブランド)はちゃんと生き残っているのですから、クルマ造りは必ずしもソロバン勘定だけではないのでしょう。

付属するミニチュアモデルは特にレースに出場したものではありませんが、レース用のカラーリングやステッカーがない分、かえってALFETTAの特徴が良く分かるモデルだと思います。

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テーマ:ミニカー - ジャンル:車・バイク

コメント

アルフェッタはなかなか表だって論議にのぼらない
イメージがあって馴染みが薄いですが、典型的な
欧州セダンのパッケージで成り立っているのですね~

コレクション75とあったので勝手に75が出てくると早合点
してしまいました(笑)

  • 2008/07/17(木) 17:36:16 |
  • URL |
  • chifurinn #hSWcRhrM
  • [ 編集]

>chufurinnさん
確かに残存個体が少ないために評価されてませんが、新車のときは小林彰太郎さんなどは絶賛してた名車なんですよ。私も一度運転したことがあるのですが、75に比べても軽いので取り回しが良く、室内も広く、広大なトランクルームも相まって、確かに「これ一台で充分」と思わせてくれるクルマでした。ただし壊れなければ・・・ですが(笑)

このアルフェッタのようなスポーツセダンがあった時代があるから、今のアルファ・ロメオが評価されないんでしょうかね。
経営的に良くなかった時代、仕入原価を下げる目的でロシアの鉄鋼に目を向けても仕方なかったとは思いますが「錆びるアルファ・ロメオ」のイメージはなかなか払拭されませんでしたね。電装系の弱さも決定的で雨の多い日本では「新車の時から壊れる」あるいは「新車の時から錆びている」とさえ言われていましたから(核爆)

  • 2008/07/18(金) 20:00:20 |
  • URL |
  • IKEA #-
  • [ 編集]

田舎で近所のにいちゃんが乗ってたんですが、うちのお袋なんか「道楽者しか乗らないやくざな車」と言ってました。(息子は道楽者になってしまいましたが・・・。)
でも、アルファのよさってわかりにくいですね。壊れなくてドイツ車みたいなアルファと、楽しいけど乗るより直す方が多いアルファ、どっちが幸せなんでしょう・・・。

  • 2008/07/19(土) 00:03:37 |
  • URL |
  • きゃつお #-
  • [ 編集]

>IKEAさん
確かに、あのロシア製の鋼板を使っていた時代のアルファ・ロメオは酷かったですね。というか品質の良い亜鉛鋼板を導入する以前のクルマは多かれ少なかれ錆びたんですが・・・(苦笑)

>きゃつおさん
壊れないほうが良いに決まってますよ。アルファ・ロメオの楽しさと壊れることは無関係です(笑)
確かに、壊れて治すことにより構造やその設計哲学を理解できますが、それは副次的なもので、決して誉められたものではありませんよ。まぁ、移動手段としてのクルマは馬から発展したものですから、ヨーロッパでは「手がかかる」のを当たり前と考える文化があるのも確かですが・・・。

159は故障しないことと引き換えにドイツ車のような乗り味になっていて、アルファらしいアルファっていうと、もう中古市場でもなかなか流通しない年式になってるわけですよね。
やっぱり悩みは尽きません。

  • 2008/07/19(土) 21:23:18 |
  • URL |
  • きゃつお #-
  • [ 編集]

>きゃつおさん
ドイツ車のような乗り味になってきたのは確かですが、ドイツ車だって故障しますよ。日本のインポーターが一生懸命PDIをやったから壊れない・・・という印象になったので、現実的な故障率は日本車の比ではないと思います。
ドイツ車的な乗り味はマーケットの要求で、世界的にそういうクルマが求められているからなんでしょうね。

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