走ってナンボ

アルファ・ロメオを始めとする「ちょっと旧いイタ車」を一生懸命維持する中での天国と地獄をご紹介します。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

職人の死

このことを書こうかどうか正直悩みました。だから自分の中で気持ちが整理でき、こうして文章にするまでに時間がかかってしまいました。

市井の一職人である、しかも自動車メーカーの創始者でも開発エンジニアでもない、修理工場のメカニックである方の訃報がこれほどまでに全国紙で取り上げられ、クルマに興味のない人々の心まで打ったことがあったでしょうか?

12月2日。私は朝日新聞の夕刊に大きな見出しを見つけました。それはポルシェオーナーの間では伝説のカトー・オートテクノロジーの加藤氏の職場での事故死を伝える訃報でした。

実は、今から15年以上前、私はこのカトー・オートテクノロジーの近所に住んでいました。向かいには当時F-3000などのレーシングカーの整備を行う工場がありました。方や、日本の最高峰のレーシングカーを整備する設備の整った工場に対して、お世辞にも立派とは言えない、むしろ場末の鄙びた整備工場といった佇まいのこの薄暗い工場には、場違いとも思える様々な年式とグレードのポルシェ達が出入りし、加藤氏の手によって整備されていました。当時、私はアルファ75を購入したてで、整備はディーラー任せ。今から思うと整備の質の把握もメカニックの方とのコミュニケーションも何もできていなかったのですが、そのポルシェの整備工場からは向かいの近代的な工場に勝る、何かオーラのような燐とした雰囲気が感じられました。

「ポルシェの神様 整備士加藤さん、仕事中に事故死」

20061210183731.jpg


そこには故加藤氏の様々なエピソードが記されていました。
<朝日新聞>坂田達郎氏、佐藤正典氏記事より

(前略)
故障を直せと迫る客に、「乗り方が悪い」と答えた。エンジンをいじれないようにテープで封印。自らしばらく運転して、車を客に返した。封印はついたまま。車は調子が良くなっていた。
(中略)
箱根に妻と弟の3人で行った帰り、東名高速だけ弟に運転を任せた。オイル交換で工場に行くと、「誰かに貸したでしょ」と加藤さんに言われた。エンジンの音で見抜かれたのだ。
(中略)
「5番のシリンダーから音が出ている。そのうち壊れるよ」と指摘されたことがある。その後、本当に壊れた。
(後略)

また、
<毎日新聞>池田知広氏記事には、
(前略)
十数年前の鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)でのレース中だった。ポルシェの現地メカニックから電話が入った。予選で成績が振るわないという。
「2周してみて」。加藤さんはドライバーに指示すると受話器に集中した。走行音を聴きアドバイスした。「左前の車高を0.4ミリ上げ、右後ろの車高を2ミリ下げて。0.4秒縮まるよ」。しばらくし「0.5秒縮まった」と連絡があった。
(中略)
突然の事故は、翌日のレースに出場するポルシェの整備中に起きた。
下敷きになった加藤さんを見つけた長男順一(33)さんは「最後までやり切るのがおやじの信条」と父の工具を使い整備を終わらせた。「もういいよ」と客は泣いた。加藤さんが整備した1台は翌日、茨城県内のレースで総合優勝した。
(後略)

各紙とも、それを記事にした記者の方は異なっても、客であるオーナーを通じてクルマと真剣に向き合う、「技を極めた」職人の生き様が記されていました。だからこそ、表面的に愛想がなかろうと、工場がボロであろうと、愛車を信じて任せられるメカニックを求めて全国からオーナーが訪れたのでしょう。
そのとき私たちオーナーは反対にクルマを通じてメカニックの方の生き様と向き合っているのではないでしょうか。

クルマ趣味を通じて、このような出会いができることは本当に幸せなことです。そして私たちはその出会いを求め、そして出会えたことをいつまでも誇りに思うのです。

加藤等氏のご冥福を心からお祈りします。

クリック↓お願いします!
b_01.gif

スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://ig510190.blog83.fc2.com/tb.php/37-d1338825
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。