走ってナンボ

アルファ・ロメオを始めとする「ちょっと旧いイタ車」を一生懸命維持する中での天国と地獄をご紹介します。

悲劇のDelta 〜板金の目的〜

「ばんきん」と入力し漢字変換すると「板金」と出てきますが、自動車修理の「ばんきん」は、「鈑金」と書くそうです。通常の変換では出てこないということは当用漢字ではない?文字ですので、この記事でも「板金」と記載させていただきますが、その「板金塗装」の作業は文字通りボディを修復する「板金」とそれを「塗装」する作業の二種に大別されます。

実はこの「板金」と「塗装」とは全く独立した作業で、その異なる作業がセットになっていることが、私たちオーナーにとってこの作業に関する理解を複雑にしているのではないかと思います。
例を挙げれば、「塗装」のためにボディを「板金」すると考えれば、丸ごとボディ部品を交換しようが、凹んだ部分にパテを盛ろうが、結果として表面の「塗装」のためのボディは修復されたことになります。一方で、この「板金」を「塗装」のためではなく、クルマの重要部品の一部として考え、その機能を「修復」(レストア)するというスタンスで考えれば、全く違うアプローチになろうかと思います。
つまり、外観を修復するために「板金」し「塗装」するのか、ボディの機能を修復するために「板金」し、その仕上げのために「塗装」するのかによって、「板金」作業の内容は大きく異なると言えます。
特に現代のクルマに関して言えば、プレス機で製造されたモノコック構造のボディ全体の一部をプレス機を使わずに修復する作業は、様々な設備や特殊な工具に加えて、その材質を知り尽くした作業のノウハウとその作業に当たる職人の「技」を必要とします。

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クイック・トレーディングのリセット作業には必ずこのボディの機能修復作業が含まれます。リセットの目的からするとそれは当然で、クルマはメカニカルパーツのみで走るのではなく、それをボディに載せて初めて機能するのですから、まずはそのプラットフォームであるボディありきというアプローチは、リセットというコンセプトからすると当たり前のことと言えます。そしてそのボディの機能回復技術に優れた外注工場の一つがわたびき自動車なのです。

ボディの板金によるリセット作業は大別すると二種類に分かれます。それは歪みの修復と剛性の修復です。
歪みの修復は人間に例えると整体と同じで、事故によるものだけでなく、オーナーが自覚していなくても路肩にヒットしていたり、片輪だけの乗り上げ駐車、また駐車場の形状が悪く傾斜地であったりしても、ボディにダメージが蓄積されて歪が出ている場合があります。

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今回、事故の影響を計測したところボディ左右で15mmもの歪みがありました。それを修正せずにリアゲートやリアメンバーを取り付けたのですから、当然部品同士が合う訳がなく、そのためにあちこちをわざと歪めて無理矢理合わせた結果、ゲートのチリが合わなくなっていました。
仮に事故歴がなかったとしても、永年に亘りあちこちから応力が加わったボディの部品を外すことは危険と隣り合わせの作業です。ネジやボルトで繋がっていても、それを一旦外すことにより再度取り付けようとするとネジ穴が合わなかったりすることは往々にしてありますし、後述しますが、ボディの腐食によりその部品や取り付け基部が外すことにより崩壊してしまうこともあるのです。製造から年月が経過したクルマは「付いてるものは外すな・・・」と言われているのはそのためなのですが、リセット作業においてはその修復を前提として外せるものは全て外すことになります。

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このことが、一般的に行われている塗装のための板金作業と異なっている点で、板金塗装工場はこのことを良く知っているために、余計な作業を行わなくても済むように、極力外す必要のない部品は外さずにマスキングして塗装を行うのです。下の写真をご覧いただけると分かると思いますが、リセット作業に際してはガラスを始め、樹脂パーツを含めて、外せるものは全て外してボディを丸裸にします。
足回りやエンジンなどのパーツと同様にイタリア車の場合はこの樹脂パーツが鬼門で、経年劣化で脆くなった樹脂パーツはこうした脱着の際に破損してしまうケースが多く、またそのパーツの中には手に入らないものも多いために、最も脱着したくないパーツ類なのですが、それでもリセット作業のためにはそのリスクを冒してでも外してしまわなければボディの修復はできないのです。

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歪みの修正はセレットと呼ばれる修正機を使って行われます。修正作業は簡単に言えば、正しい寸法になるようゲージにボディを固定し、ボディを引っ張っぱることにより少しずつ矯正して行くのですが、金属は元に戻ろうとする力がありますので、それをうまく利用して少しずつテンションを加えてボディを元の状態に戻して行きます。

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こうしてまずはボディ側の歪を戻したのですが、いかにワンオーナーの上物とは言え、ボディは錆びによる腐食が進行していました。リアセクションの錆は、防錆処理を行わずにメンバーを取り付けたために、窪みに溜まった水分により腐食が進行したことによるもので、いい加減な修復が結果として二次災害を招いたことになります。

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事故の修理のための板金塗装に限って言えば、保険会社には標準工賃という基準があります。もちろんそれは作業内容によって定められているのですが、どこまでを事故修理とするかはその作業の必要性によって保険会社の査定が変わります。
その説明と交渉を行うのがメンテナンス・ガレージやディーラーの仕事で、保険会社に対して合理的な説明を行うことができ、保険会社との信頼関係を構築しているメンテナンス・ガレージとそうでないところの差は、仮に同じ事故の修復を行ったとしたら大きく異なっており、またその作業を行うことができる板金塗装工場のネットワークを持っているかどうかで、実際の修復結果はさらに大きく異なることになるのは、前回のC.A.E.ストラトスの事故修復からもご理解いただけるのではないかと思います。

しかし、残念なことに前回の事故修復は保険会社との示談が成立しているために、今回の事故修復の後始末とも言えるボディの修正とリア周辺の板金作業はリセット作業の一環として行われ、Y氏の持ち出しとなってしまいました。

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そして全ての部品を外して、さらにボディのチェックを行っていくと、腐食はリアだけでなくフロアパネルやフロントの各所に及んでいました。
いかに製造段階で防錆処理を施していても、製造から15年に亘り日常で使用されているクルマのボディ腐食は避けられません。これらの腐食が即トラブルに繋がる訳ではありませんが、明らかにボディ剛性を損なっており、そのままにしておくと腐食はさらに進行し、メンテナンスのために部品を交換しなければならなくなったときに初めて、その腐食により部品が外せない(取り付けられない)といったことになるのです。

リセット作業ではこれらの腐食部分を徹底的に取り除いて、その修復を行うことが含まれているのですが、そのためには様々な板金技術を総動員することとなります。

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テーマ:イタリア車 - ジャンル:車・バイク

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