走ってナンボ

アルファ・ロメオを始めとする「ちょっと旧いイタ車」を一生懸命維持する中での天国と地獄をご紹介します。

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フェラーリ250GTOの製作~塗装準備~

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フェラーリ250GTOの最大の見せ場はそのボディラインだと思います。アルファ・ロメオTZ2、ジャガーE-Type、アストン・マーチンDB4Zagato、シェルビーコブラDAYTONA Coupeなど、この時代の美しいボディラインを持つクルマは数多くありますが、そのバランスと美しさで群を抜いているのがこのフェラーリ250GTOで、それをどこまで美しく再現できるか・・・を今回の製作ポイントにしようと思います。

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まずはボディ塗装の下準備です。プラスチックモデルは射出成型と呼ばれる金型にプラスチックを圧力をかけて流し込むことにより作られています。金型は雄型と雌型からなり、最終的にこの二つの金型を外して取り出すのですが、どうしてもこの合わせ目にパーティングラインという筋が入ってしまいます。最近の精密な金型ではこのパーティングラインは殆ど目立たないレベルになりましたし、また金型を設計するときにこのどうしても入ってしまうパーティングラインをいかに目立たない場所に入るようにするかという工夫も、現在では限界と思われるレベルにまで達していますが、それでもこのパーティングラインは塗装をすると浮き上がってしまいます。塗装のための下地作りはこのパーティングラインを完全に消してやることが重要ですので、念入りに800番の耐水ペーパーで削り取ってやります。パーティングラインは連続していますので、一箇所見つけて追っていけば必ず全てを見つけることができます。

パーティングラインを削ったら今度はボディパーツを洗ってやります。パーツの表面にはは金型から外すための離型剤というオイルが残留しています。このオイルを残したまま塗装をすると塗料をハジいてしまうので、しっかり脱脂してやる必要があるのです。
私はキッチンハイターなどの塩素系の漂白剤を使用していますが、脱脂ができるものでプラスチックを痛めない薬品であれば何でも良いと思います。

フジミのキットはエンジンが再現されボンネットが可動するようになっていますので、そのボンネットは別パーツとなっています。こうした別パーツのボディパネルは前もって仮組みをしておきます。最新のキットですのでまず考えられないことですが、稀に組み合わせが悪く、段が出来てしまったりしますので、塗装前に確認して必要ならば修正しておきます。

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塗装するためにはテープで仮留めをしておきます。今回はエンジンを見せ場にしないためボンネットは接着してしまいますので、折角のボディラインを邪魔しないよう念入りに面調整をしておきます。

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このモデルでは1/24スケールということもあり、完成後にスミ入れをしようと思っていますのでパネルラインを事前に深く掘り込んでおきます。使用するのはケガキ針という工具で、これを使ってラインに沿って彫刻刀の要領で掘り込んでおきます。

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ここまでボディの準備ができたら、まずはプライマーサーフェイサーを軽く吹き付けてやります。サーフェイサーを塗ると表面の状態が良く分かりますので、もしパーティングラインの消し忘れがあったり、表面に無視できない傷がついていたりすれば分かりますので、再度ペーパーで磨くところからやり直しです。またサーフェイサーは足付けという本塗装の食いつきを良くする効果もあります。

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サーフェイサーを吹くとボディ表面のゴミなども良く分かります。このゴミをそのままにして塗装を続けるとゴミを埋め込んでしまうことになりますので、この時点でペーパーで磨いて取り除いておきます。

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今回はボディをレッドで塗装するのですが、フェラーリのレッドはその解釈がイロイロで、その色調に拘る方も多いと思います。フェラーリに限らずイタリア車のレッドはまちまちで、アルファ・ロメオのレッドとマゼラーティのレッドは明らかにその色調が異なります。
今回はタミヤのイタリアンレッドを使用しますが、実車と同様に下地にピンクを塗ることによりその発色を鮮やかにしてみたいと思います。

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この時点でじっくり乾燥させ、再度ボディの状態を確認してからいよいよ本塗装です。
乾燥するまでの間に、奮発したエッチング製のワイヤースポークホイールを組むことにしましょう。

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鍛造ホイールが登場する前はワイヤースポークのホイールが一般的でしたが、その中でも高性能車にこぞって採用されていたのがイタリアのBORRANI製のホイールでした。
1922年にカルロ・ボラーニによってミラノで設立されたBORRANI社は、イギリスのB.R.W.社の意匠のもとにワイヤースポークホイールの製造を開始します。
ワイヤースポークホイールは軽量で頑丈かつ柔軟なことに加えてブレーキの冷却効果に優れており、さらにBORRANI社のセンターロック方式はホイールの脱着時間が短く、レースにおいては圧倒的な有利性をもたらしました。
当時のタイヤは現在のものと異なり、耐久性に劣りパンクもしやすかったため、レース中のタイヤ交換は当たり前だったのですが、その交換時間が短いことはレースで勝利する上で重要な要素だったのです。
BORRANI社のホイールはアルファ・ロメオ、ランチア、フィアット、ビアンキ、イターラといったイタリアの自動車メーカーに採用され、レースシーンで活躍するようになります。
その後、マゼラーティ、そしてフェラーリにも採用され、フォーミュラカーにもBORRANIのホイールは装着され、8回の世界チャンピオンと、2回のマニュファクチュアラーズタイトルを獲得する成績を残しています。
後に鍛造のアロイホイールが全盛となり、ヒストリックカーのリプレイス用としてしか需要がなくなった現在もBORRANI社は製造を続けており、それまでに装着したその殆どのモデルのホイールを現在でも入手できることはスゴイことだと思います。ちなみに調べてみたら250GTO用のホイールは1本476,000円!だそうです。

今回入手したエッチング製のグレードアップキットはアルミの挽き物のリムとアルミエッチングのパーツで構成されています。それを積み上げるように順番に組み上げていくことによりBORRANI製のホイールを再現することができます。


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フジミのキットに付属しているタイヤを組み合わせて完成なのですが、そのタイヤは当時のオリジナルではなく、AVON製のタイヤです。

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精密に再現されたタイヤのサイズはフロントが215/70/15、リアが225/65/15というサイズですが、このAVONというタイヤメーカーもダンロップと並んでこうしたヒストリックカー用のタイヤを製造してくれる有難いメーカーです。

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特徴あるノックオフのスピンナーもそのセンターの跳ね馬エンブレムもエッチングで再現されています。これなら完成した250GTOに映えることでしょう。

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テーマ:模型・プラモデル・フィギュア製作日記 - ジャンル:趣味・実用

オトナの気迷い

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そんな気は全くありませんでした。
いくら京商がコンビニの店頭で誘惑をしかけてきたとしても、アルファ・ロメオで手一杯の私は、まさか英車に手を出している場合ではありません。最初は手にとって見ようとも思いませんでした。
しかし、訪れるたびに少しづつ箱が減っていくのを見るにつれ、最初は「見るだけ・・・」のつもりでちょいと手にとって見ました。そもそもBritish Sports Car Collectionなどというシリーズが成立するのか?という好奇心もありましたし、どんな車種を見たとしてもその誘惑に打ち勝つ自信があったのです。

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実はラインアップも店頭で手にとって初めて知ったのですが、正直、「ふ~ん」といった程度のものでした。クドいくらいに揃えているマクラーレンF-1もそれほど興味のある車種ではありません。
独特なスタイリングのTVRも1/64というサイズではその獰猛さが表現しきれないのではと思います。
そして突然取ってつけたようにラインアップされているアストン・マーチンDB5・・・?これはスポーツカーではなくGTカーだろっ!と突っ込みを入れてしまいそうになりました。
同様にDBSもどうしてこの車種なの?と思うラインアップです。しかし、ジャガーXJR15からちょっと面白くなって来ました。さらにXJR9と来るとその独特のスタイリングと懐かしさで心が動いて来ました。
そしてトドメはアストン・マーチンのDBR9です。実はDRR9は密かに気に入っているレーシングカーで久しぶりに獰猛なアストンは文句なしに格好良いクルマです。

これは困りました。欲しいのはDBR9とXJR9だけなのですが、ブラインドボックスのためその確率は6/30・・・すなわち1/5でしかありません。と店頭で計算をしながら立ち去ろうとしたのですが、気がつけばカゴの中に一箱入れてしまっていました(苦笑)
入れてしまったものを戻すのもナンですので、「仕方なく」買って帰ることにして、さして期待もせずに開けてみると・・・

ナンと本命中の本命のDBR9ではありませんかっ!しかも2008年のル・マン24時間レースのGT1クラスで優勝したGulfカラーの009号車です。それにしても最近の京商のこのシリーズの出来栄えは素晴らしく、このお値段で買えるのは大バーゲンだと思います。
写真でご覧になると余計に分からないと思ますが、これが全長8cm足らずの1/64スケールのミニチュアカーとはとても思えません。しかし眺めてニヤニヤしているだけではブログ記事にもなりませんので(笑)、最近のル・マン優勝車のスペックはいかばかりのものか・・・と調べて見ました。

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■エンジン
 オールアロイ アストンマーティン製V型12気筒DOHC 48バルブ
 ドライサンプ潤滑システム
 2×31.2mmエア リストリクター付
 エンジンマネジメント:Piデータシステム、Pectel ECU
 排気量:6.0リッター
 最高出力:約600bhp
 最大トルク:700Nm

と言うことはリッタ-/100hpで、エンジン出力としてはそれほどでもありません。耐久レースということもあり余裕を持たせているのでしょう。もしスプリントレース用にチューンしたなら軽く800hpを超えるポテンシャルを持っているに違いありません。

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■トランスミッション(リアミッドマウント)
 Xtrac製 6速シーケンシャル 縦置リアアクスル
 4プレート カーボンクラッチ
■駆動方式 RWD

トランスミッションはトランスアクスルながらその形式はコンベンショナルで、昨今流行の電子デバイスは装備されていません。これも耐久レースということなのでしょうが、もう少し冒険しても良いような気がします。

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■構造
 レース専用 DB9タイプ アルミニウム製アンダーフレーム
 アルミニウム製ルーフ
 その他のボディパネルはカーボンファーバーコンポジット製
 高張力スチール製ロールゲージ

う~ん。アルミニウムとカーボンですか。この辺りは相当研究し尽くされているのでしょう。GT1クラスのレギュレーションが良く分かりませんが、市販車をベースにしなければならないのであれば、フルカーボンはムリでしょうからこんなもんでしょう。

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■サスペンション
 前後ダブルウィッシュボーン
 KONI製ダンパー&Eibach製スプリング

市販でも買える馴染みのあるブランドですが、当然別物でしょう(苦笑)。

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■ブレーキ(前後とも)
 Brembo製6ポッドキャリパー
 330mm カーボンディスク

これまたお馴染みのブランドですが、330mmのカーボンディスクは強力で、ストッピングパワーと耐久性の両立を求められる耐久レースカーの装備としては「鉄板」でしょう。

■ホイール
 OZ製 鍛造マグネシウム

■寸法
 全長 4687mm+80mm
 全幅 1978mm
 全高 1195mm
 ホイールベース 2741mm
 重量 1100kg

特筆すべきはその車重で、6Lの12気筒エンジンを搭載したクルマが1100kg!とは恐れ入ります。
それにしても、こうしてスペックを見ると革新的な技術が用いられているのではなく、熟成された技術を高度にバランスさせていることが分かります。

耐久レースに勝つためには最後まで走り続けることこそが重要で、どんな速くても止まってしまえば元も子もないのは、アイドラーズの草耐久もル・マンも同じです。
どうやらアストン・マーチンの強さの秘訣は、テクノロジーで冒険をせず、高度なチューニング技術で信頼性を最大限に高め、レースを知り尽くしたマネジメント力を持つチーム運営によるもののなのでしょう。

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久々のレーシングアストンは本当に格好良いです。またこのGulfカラーというのが私の世代からすると泣かせてくれます。今まではポルシェ917が最も似合うと思っていましたが、それに負けず劣らず、このDBR9にも似合っていると思います。

でも・・・もう買わないぞっ!買うもんかっ!ボクはオトナなんだっ!

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プロとアマチュア

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今からもう四半世紀も前のハナシです。中学、高校、大学と受験を経験することなく好きな科目だけ一生懸命勉強し、それ以外はテキトーにやっつけて来た私は、人並みに就職活動を始めるに当たって、世の中のほかの大学生と異なり、会社四季報だの人気企業ランキングなどには全く目もくれず、就職先には自分自身のコダワリがありました。
それは信念などという大それたものではなく、何となくそうじゃないか・・・と思っていた程度のものだったのですが、そのコダワリが今の私自身の原点になっているのですから、人生とは不思議なものです。
その譲れないものとは、「製造業」という業種と「人事」という職種でした。資源のない日本にとってモノづくりにより付加価値を高めることこそが産業の基幹であり、日本が世界の中で存在価値を発揮できることであると信じていた学生時代の私は、就職するなら製造業に・・・と考えていました。また、同様に日本にとって唯一の資源である「ヒト」を扱う仕事ということで、「人事」をやりたいと考えた私は、メーカーで人事をやらせてくれるところという条件で就職活動をしました。
当時の一般的な日本企業の人事制度からすると、製造業はともかく、人事職を希望というのは無謀で、文科系出身の新入社員は営業職からスタートし、ジョブローテーションと呼ばれる教育的配置転換を経た後にようやく希望を聞いてもらえればまだ良いほうだったのです。

しかし奇跡的に2社の製造業から人事職で内定をもらうことができたのは、私の主張が未熟ではあるものの余程他の学生と違っていたからでしょう。そしてそのうちの一社で当時の最先端産業であった半導体メーカーの人事担当者として私の社会人生活はスタートすることとなりました。
入社して3ヶ月間は同期に入社した仲間達と各職場での実習に明け暮れました。その半導体メーカーは紡績業から業種転換した歴史があり、製造現場で働いている社員はエンジニアはともかく、地方から集団就職で女工として紡績会社に就職し、ダイオードやトランジスタ製造を経て働いている女性が多く、その中に混じって実習として最終組み立てや検査をする私たちは、どんなに頑張っても彼女達の手先には敵わず、組み立てをすれば不良だらけで、検査をすれば30分で音を上げる始末でした。

プラスチックモデル作りが趣味であった私は、他の同期の仲間に比べて多少は手先も器用で、シーリングに使用する樹脂などの扱いにも慣れていたために、「兄ちゃんはスジがいいねぇ」などとおだてられたのですが、それでも彼女達の出来栄えと同等のレベルを追求すると時間がかかりすぎ、時間がかかってもそのクオリティを維持しようとすると、半日で飽きて疲れきってしまうという体たらくでした。
そのときに実感したことは、同じレベルの作業を同じ時間で繰り返すことが製造作業であり、熟練するということはただ漫然と作業を繰り返すのではなく、常に工夫と努力をして新しい技術を身に着けることであるということで、彼女達は毎年こうして実習にやってくる新卒の大学出の社員が、いつしか自分達の上司となることを知っているために、どんなに私達に教えても実習期間が終われば自分達を手伝ってくれることはないにも係わらず、製造作業の本質を押し付けるのではなく実感させようと一生懸命教えてくれたのです。

最先端と言われた半導体産業も、当時はそのモノ作りを支えていたのは彼女達のような熟練工で、実感したその厳しさから自動化を提案しても、どんなに優秀な自動機でも彼女達の正確さとスピードには遠く及ばず、またその投資額と彼女達の人件費とを考えると間尺に合わず、結果として手作業による製造が続けられることとなったのですが、後にその工程をシンガポールに移転することになり、現地採用の社員を訓練する過程で再び彼女達の凄さを思い知ることとなりました。

日本人にとって、より良いものを作ろうと工夫したり努力することは精神文化の一部であり、自分の作ったものから不良は出さない・・・という誇りが、この気の抜けない単調な作業を支えていました。慣れない私にとってはこの作業は苦痛でしかなく、いくら高い給料を貰ってもとても続けることはできないと思うにつれ、決して高くはない給料で何年も日々同じ作業を行い続けている彼女達に畏敬の念を抱いたものです。

私が趣味でプラスチックモデルを作ったりしていることはご存知の通りですが、それはあくまで趣味であり、私自身はプロのフィニッシャーではありません。
プロのプロたる所以は、納期と品質だと思います。一定のクオリティをどんなときにも維持し、日々それを高める努力と工夫をしながら、約束した納期を守ってこそのプロで、それを支えるモチベーションは必ずしも得られる利益のためだけではなく、彼女達のようにその仕事に誇りを持つことができるかどうかだと思います。
もちろんプロよりもすごいアマチュアの方もいらっしゃるとは思います。しかし、そのレベルをどんなときにもキープしろ・・・と言われると難しいのではないかと思いますし、またアマチュアだとお金と時間に糸目をつけずに出来る作業も、プロのように納期と利益を考えると難しい面もあるでしょう。

私の場合はどんなにお金や時間をかけたとしても、その技術はプロのフィニッシャーには遠く及びません。どんな世界であれプロとして仕事をしている方のレベルはアマチュアを凌駕しているのが当然で、自分自身で冷静に判断すればとても人様のために作って差し上げられるようなレベルではないと思っています。ですので、仮に依頼されたとしてもその代価は一切頂きませんし、自らが資金を投入して追加工作をしたとしても、それは好きでやっていることで、自分自身のコダワリのためでしかありません。
これはアマチュアであるからこそ許されるワガママであり、アマチュアであるということは、自分自身のコダワリを追及することができたりとか、約束したにせよ納期に自由があったりとかだけでなく、加えて言うなら、自分のモチベーションを高めることのできないものは作らない自由があることだと思います。

今まで随分と何時間もかけて作った作品を差し上げたり、依頼されて作ったりもして来ましたが、このブログで依頼されて製作しているプラスチックモデルの記事を読まれた方で、「私のも作って・・・」とメールでご依頼いただくことがあります。
申し訳ないのですが、私はプロではありませんので、その依頼を受けるかどうかを決めるワガママをお許しいただきたいと思います。

友人の画家から言われたのですが、

「一番好きなことが仕事になるのは幸せなことだけど、一番コダワリのあるものを仕事にすると不幸になる」

最近、その意味が良く分かります。

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伝説のシーサイドモーター

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こともあろうに笹本さんからのリクエストは、この1/64のマゼラーティに当時の代理店であったシーサイドモーターのステッカーを貼ってくれ・・・というものでしたが、そのリクエストを聞いたときに、私は即座に「ムリっ」と答えました(苦笑)。
そんな小さなステッカーを再現することなぞ、カルトグラフに発注するならまだしも、自作デカールではプリンターの能力から考えても無理なことは自明でしたし、仮に何とか製作して貼ったとしても全然目立ちません(苦笑)
しかも、関西出身でスーパーカー世代から少し外れた私にとって、シーサイドモーターという名前は知っていても、そのステッカーのデザインはすぐに思い出すこともできなかったのです。
しかし、シーサイドモーターについて熱っぽく語る笹本さんのその熱意に負けて、まずはどんなステッカーであったか調べて見る過程で、スーパーカーブームとともに彗星のように消えていったシーサードモーターの栄光と悲劇を知ることになりました。

シーサイドモーターは故松沢己晴氏によって設立された外車ディーラーです。松沢氏は昭和10年生まれですので戦後の混乱期はまだ子供で、物心ついた時は日本が高度経済成長の入り口に差し掛かった時期でした。彼が20歳になった昭和30年に彼はアルバイトでビュイックを大阪まで陸送する仕事をすることになります。昭和30年といえば未だ東名も名神も開通しておらず、その一部は舗装もされていない国道1号線をただひたすら走るという、日本のモータリゼーションが本格的に始まる夜明け前の時代でした。当時の国産自動車が箱根の山越えに四苦八苦していたのに対して、彼の運転するビュイックはナニゴトもなく大阪に到着し、彼我の技術の差を思い知るのですが、もっと驚いたことは大阪でのクルマの売値が仕入値の倍であったことでした。
「外車の販売は儲かる」と考えた彼でしたが、当時は国産車保護のために厳しい輸入規制がひかれていた時代で、おいそれと外車を輸入することなぞできませんでした。そこで彼が思いついたのが外車の国内調達で、帰国する進駐軍の軍人から国内でクルマを仕入れることだったのです。

こうして最初は無店舗のブローカーから始めた外車の販売は思いのほか好調で、それから5年後の昭和35年には横浜で店を構えることになります。これがシーサイドモーターの始まりです。
そしてさらに10年後、貿易自由化により何ら規制を受けることなく輸入ができるようになり、シーサイドモーターは急成長をすることになります。
シーサイドモーターはイタリアのランボルギーニとマゼラーティの代理権を取得することにより、それまでのちょっとアヤシゲなクルマ屋から正規代理店として勇躍自社ビルの建設に着手します。この自社ビル建設が後に経営悪化の引き金になるのですが、当時の勢いはその経営判断も当然という雰囲気でした。松沢氏の経営目標は当時のメルセデス・ベンツの代理店であったウェスタン自動車(現YANASE)のように社会的信用もある、事業としての外車ディーラーだったのではないでしょうか。そのためにも自社ビルを持つことにより経営基盤を安定させたかったのではないかと思います。

しかし、当時のランボルギーニもマゼラーティも右から左にどんどん売れるというクルマではありませんでした。当時の価格はランボルギーニ カウンタックが1750万円、マゼラーティ カムシンが1460万円だったそうですから、現在の物価からすると約2.5倍の価値だと思います。
それでも、現在と同様に金はあるところにはあるもので、シーサイドモーターの顧客は実業家からちょっとアブナイ職業の方まで様々でしたが、現在よりも純粋なクルマ好きの方が多かったと言われています。

そしていよいよ例のスーパーカーブームがやって来ます。連日ショールームに詰め掛けるおおよそクルマを買うことはおろか、まだ運転すらできない子供達に加えて、それに目をつけたイベンターやら企業やらを前にして、商才に長けた松沢社長はクルマそのものが売れなくても、その在庫を「見せる」ことにより利益を得ることを思いつきます。スーパーカーブームに群がるありとあらゆる企業から車両貸し出し料やらロイヤリティーやらで利益を得るのですが、その利益構造は芸能プロダクションと同様で、本来であればクルマを販売するのが代理店の正業であるにも係わらず、このどこか無理のある商売はブームの終焉と共に破綻することになります。
確かに、スーパーカーブームによりこうしたクルマの知名度は上がったのですが、オイルショックの影響もありこれらのクルマはさっぱり売れず、自社ビル建設の借金が経営に重くのしかかるようになってきました。
資金繰りに行き詰ったシーサイドモーターは1980年についにその幕を下ろすことになるのですが、その社名とスーパーカーショーで展示されたクルマに誇らしげに貼られていた"Sea Side Sports Association"の頭文字を取った"SSSA"というステッカーは、現在見ることができないからこそ、当時の子供達の脳裏に鮮明に焼きついて、今尚語り継がれているのです。

考えて見れば、"YANASE"や"CORNES"といったブランドとしてのステッカーとは少し異なる"SSSA"は、スーパーカーブームがなければ記憶に残ることのないものだと思いますが、スーパーカーと"SSSA"ステッカーを必死で追いかけた子供達がオトナになり、しかもようやくこれらのクルマを手に入れることができる経済力を持つ年代になったこともあり、記憶の奥底のシーサイドモーターが再び脚光を浴びるようになったのではないでしょうか。
ちなみに現在、シーサイドモーターという社名は故松沢氏のご親族の手により神奈川の平塚でメルセデス・ベンツを中心とした自動車販売業として引き継がれています。
また、シーサイドモーターの歴史を調べるに当たり、同社のご出身で今尚、当時のスーパーカーの販売を手がけておられるキャステルオートの鞍社長の書かれた「シーサイド物語」は大変参考になりました。もし興味があればあればご一読されることをオススメします。

さて、本題のステッカーですが冒頭の写真のように何とか似た字体を使って再現することができました。これにマゼラーティのエンブレムを加えて展示プレートを作成することにしましょう。

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まずは手持ちのステッカーをスキャナで読み込みます。
このエンブレムと自作した"SSSA"のステッカーデザインを組み合わせて、例によって展示プレートを作るのですが、私の場合はこの画像をPowerPoint上でサイズを変更したり文字を加えたりして編集加工をしています。そして出来上がったら一度普通の紙に印刷し、大きさを確認した上で調整し、シルバーラベルに印刷します。

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やっと出来上がりです。この展示プレートをカットしてベースに貼り付けて完成です。

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マゼラーティが最もマゼラーティだった時代の三モデルを違ったカラーでこんなにお手軽に並べてディスプレイできるというのは、ミニチュアカーコレクターにとっては夢のような時代です。

先日の250,000アクセスアワードの記念品として製作したFerrari DAYTONAと併せて笹本さんにお渡ししてようやくお役御免です。
これでようやく自分のためのモデル製作ができるというものです。

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スミ入れの検証

前回の記事で、スミ入れは「相手を選ぶ」ことも必要なのではないかと書きましたが、その考えを確かめるべく、笹本さんから依頼されたシルバーのKhamsinとイエローのMerakに加えて、手持ちのレッドのGhibliにもスミ入れをして、その効果について実験見ることにしました。この三台は流麗なボディデザインで、1/64スケールのような小さなモデルであれば、どちらかと言うとスミ入れをしないほうが良いのではと思われるクルマ達ですが、ボディカラーとのマッチングもあるかも知れません。

まずはKhamsinです。下の写真はスミ入れ前の状態です。Khamsinにはこのシルバーのボディカラーが最も似合うと思います。それはフロントノーズからリアにかけて、全く破綻がない美しい1本の曲線で纏め上げられているからで、当時の流行であったリトラクタブルヘッドライトもこのボディラインのためには必要不可欠な装備です。当時のベルトーネのチーフデザイナーであったガンディーニの傑作の一つと言われるKhamsinはこの時代のデザイントレンドの集大成とも言えるでしょう。正直、このボディにスミ入れをするのは気が進まなかったのですが(苦笑)・・・

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スミ入れ後はこんな感じになりました。ちょっと微妙ではあありますが、恐れていたほどボディラインを壊していないのは、シルバーのボディカラーのおかげではないかと思います。しかしやはり、スミ入れしたパネルラインが目立ちすぎです。
加えて1/64スケールという小さなモデルにダイキャスト製のボディということあり、パネルラインがシャープではないためにスミ入れしたラインが太くなってしまっています。プラスチックモデルの場合は、スミ入れしたいパネルラインのモールドに予めケガキ針でシャープな線を掘り込んでおきますので、ラインが太くなる心配はないのですが、完成済みのダイキャストモデルにはそういった後加工ができませんので、スミ入れのラインを細くすることは困難です。

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では、ガンディーニと比較されるギア時代のジゥジアーロのデザインによるGhibliはどうでしょうか。こちらはイタリア車で最も一般的と言えるソリッドの赤がボディカラーです。
Khamsinと比較すると一回り大きなボディのせいで間延びして見えます。こちらもスミ入れ前の状態です。

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スミ入れ後のGhibliです。こちらは微妙でも何でもなく、明らかにスミ入れをしたほうがボディが締まって見えます。スミ入れしたラインの太さもあまり気になりません。ということはスミ入れはボディラインというより、ボディカラーに依存するのかも知れません。

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最後に一番スミ入れが不安なイエローのMerakに挑戦してみましょう。MerakはBoraと同じくジゥジアーロのデザインで、他の2台と異なりエンジンをリアに搭載したモデルです。他の2台と比較すると一番コンパクトなサイズですが、ボディカラーのせいで一番大きく見えるのが不思議なクルマです。これもスミ入れ前はこんな感じです。

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ではスミ入れ後ですが、どうでしょうか?あえて他の2台と同じフラットブラックでスミ入れしたのですが、やはりパネルラインが目立ちすぎです。イエローのボディカラーの場合は、どうしてもスミ入れするのであれば、スミ入れするラインを極力細くするか、もう少し薄めのダークグレーくらいでスミ入れしたほうが良いと思います。

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参考として、もっとスクエアなクルマにスミ入れをしてみました。実験台は同じく1/64のFiat Pandaです。しかもスミ入れが最も目立つであろうホワイトのボディカラーを選んで見ました。

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いかがでしょう。残念ながら一番スミ入れの効果があったのが、このスクエアなFiat Pandaではないでしょうか。しかも最も目立つホワイトのボディカラーにも係わらず、スミ入れしたラインはこれ位太いほうがかえって効果を増しているように思います。

スミ入れはミニチュアモデルに効果があるかないかは皆さんの好みの問題で、正解はないと思います。やりたければやれば・・・という処理ですから気に入った方も、ちょっとクドいな・・・と思った方もいらっしゃるかと思います。
私自身は今回の実験から、対象となるモデルのスタイルとボディカラーによって効果がある場合とそうでない場合があると思いました。

さて、今度はこの3台を笹本氏のためにディスプレイするのですが、今回の笹本氏からのリクエストはさらにエスカレートしていました(泣)

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Drive & Lunch~葉山・秋谷/新宿~

気候も良くなりオープンドライブに最適な季節になってきました。
夏場は海水浴客で渋滞する湘南も一息つき、大きな渋滞もめっきり減ってきたようです。
前回は秋谷の老舗?であるマーロウをご紹介しましたが、今回は同じ秋谷でも、新しいお店をご紹介したいと思います。

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それは「南葉亭」という地中海料理のレストランで、最近オープンした新しいお店です。
国道134号に面したお店はすぐ分かるのですが、最初はどこにでもあるドライブインのような外観に
正直、さほど期待をしてはいませんでした。

しかし、建物の奥にある駐車場にクルマを駐めてみると、その印象は一変しました。

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海を臨むことができるレストランのある2Fにはテラスがあり、食事をするロケーションとしては最高です。期待はイッキに高まり、早速テラス席に案内してもらうことにしました。

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やはり予想したとおりテラス席からは海を臨むことができ、少し海岸からは奥まっているものの、その眺めはなかなかのものです。

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今回はランチを頂いたのですが、サラダとスープに何種類かの中から選べるパスタとコーヒーでお値段も980円とリーズナブルで、美味しくいただくことができました。

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パスタも本格的で、量も充分です。ご家族で経営されているようですが、こんな場所で海を見ながら仕事ができるのは最高でしょう・・・というのは無責任な客の感想かもしれませんが、憧れであることは確かです。
葉山界隈の老舗のレストランも捨てがたいですが、ここ最近はどんどん新しいお店もオープンしていますので、皆さんもたまには定番を離れて冒険してみてはいかがでしょうか。

この「Drive & Lunch」というテーマも最近はリクエストを頂くようになり、「都内でどこか良いところはない?」とかお問い合わせいただくようになりました。確かに良く考えてみると、グルメサイトで検索をしても、せいぜい駐車場の有無が書いてある程度で、そこがクルマで出かけて気持ち良いかどうかは分かりませんし、そんな切り口でグルメサイトを編集しても営業効果があるとも思えませんので、こうした口コミ情報は有益かも知れません。

と言うワケで、ご要望にお応えして(苦笑)、都内に軽くドライブして食事のできる場所をご紹介したいと思います。

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新宿御苑にあるAUREOLEは開店当初から通っている大好きなレストランのうちの一軒です。
そこはとても新宿とは思えない閑静な場所にあり、向かいが新宿御苑ということもあり緑豊かな都会の穴場だと思います。
以前は店の前に路上駐車し、食事を楽しむことができたのですが、最近は例の二人組みの強盗団?が出没するために、表のテラス席で見張りながら食事をするのでなければ、それも適わなくなってしまいました。お店のオーナーもアルファ・ロメオで乗りつける私達に好意的で、「あれっ?またクルマを換えました?」などとハナシも弾みましたし、他のお客さんも興味津々で話しかけてこられたりして、お店の経営にも貢献?できていたと思います。
勝手な思い込みかもしれませんが、こうしたレストランの前にアルファ・ロメオが駐まっているだけで、そこは一瞬イタリアのトラットリアか?と思えるほど雰囲気が良くなり、お客さんを呼び込む効果があるのです。

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このAUREOLEの特徴はフレンドリーな雰囲気と、リーズナブルなお値段で、その料理の質から考えると本当にお値打ち価格だと思います。
特にランチはお得で、男性でもその量に充分満足できると思います。

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例えば、この「鶏のモモ肉のプレート」はお値段950円でこのボリュームです。

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女性に人気のラップと呼ばれる巻物もボリュームたっぷりです。ほうれん草を練りこんだ柔らかい生地で巻いた春巻き風のラップは食べやすく、人気があるのも良く分かります。

店の近くにはコインパーキングも多くありますので、店の前にクルマを停めることができなくても、駐車場所に困ることはありません。また、この店は四谷のイタリア自動車雑貨店にも程近いので、イタリア自動車雑貨店での買い物の帰りにランチを・・・という立ち寄り方も良いでしょう。
唯一と言ってよい問題は、ノンアルコールビールをおいていないことで、もしお店の方がこのブログをご覧になる機会があれば、この場を借りて切にお願いしておきたいと思います。というか行く度に文句は言っているのですが(苦笑)

新宿で食事を・・・と女性を誘って、こんな穴場に連れて行くとあなたの株も上がるかも知れませんよ(笑)

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テーマ:ドライブ - ジャンル:車・バイク

Giulia Sprintのお目覚め

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随分と朝晩は涼しくなり、クーラーのないGiulia Sprintは夏の間は冬眠ならぬ夏眠をしていたようなのですが、そろそろ出番となるようです。確かに昔はクルマにクーラーなぞは装備されておらず、子供の頃にタクシーの窓に書かれた「冷房車」という文字がやけに眩しかったことを憶えています。

日本に正規輸入されたGiulia Sprintにはオプションで日立製作所製のクーラーが装備されていましたが、もともとクーラーのコンプレッサーを取り付けることを前提としていないエンジンには結構な負担となっていたようで、あまり冷えない割りにパワーロスが大きく、決して評判の良いものではありませんでした。
現在、日本国内を元気に走っているGiulia達の殆どは正規輸入車ではなく、中古並行で海外から輸入されたものでしょうから、クーラーを装備しているGiuliaは希少だと言えます。
そしてこのATのGiulia Sprintも当然のことながらクーラーの装備はありませんので、オーナーに「根性無しっ」と文句を言っても夏眠をむさぼるのは仕方ないのかも知れません。

そしてようやく夏眠から醒め?そろそろGiuliaを走らせてやろうと主治医に点検をお願いしたところ、ウォーターポンプからの水漏れが発見されてしまいました。
ご存知のようにウォーターポンプはラジエーターで冷やされる冷却液をエンジンに循環させるためのポンプでその内部には常に冷却液が入っています。
その冷却液のメンテナンスを怠ると、沈殿物やら塩害やらでラジエーターの腐食だけでなくウォーターポンプも傷めてしまうことになります。

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Giulia Sprintのエンジンは30年に亘り製造されたご長寿エンジンで、アルファ・ロメオを代表するエンジンとして定評があるのですが、搭載されたモデルにより特にその補器類の仕様は異なっています。このGiulia Sprintは希少なAT仕様ですので、常識がそのまま通用するとは限りませんので現物を確認して部品を手配することにしました。

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幸いなことにウォーターポンプは一般的な他のGiulia Sprintと同じ部品でしたので、国内で入手することができました。国内調達の部品は海外調達に比べて部品単価は割高ではあるのですが、単品の場合は送料や時間を考えると決して高いとは言えず、むしろ注文して翌日に届くことを考えるとリーズナブルだと思います。

そして部品を手配し、いざ交換・・・となったのですが、永年交換していなかったためにスタッドボルトが錆びて固着してしまっており、その脱着には苦労をかけてしまいました。
こうした旧車は現代のクルマに比べると構造がシンプルで、交換作業はし易いと言えるのですが、それは錆びたり腐ったりしていなければ・・・というのが前提で、現代のクルマのつもりで簡単に取り外そうとすると、ボルトが腐って山がなくなっていたり、ネジが固着して折れてしまったりとメカニックに思わぬ苦労をかけることになります。しかしこれも経験で、あらかじめ分かって作業をするのと、知らずに途方に暮れるのでは全くその後の対応が異なるのは言うまでもないでしょう。

さて、外したウォーターポンプですがそれは悲惨な状態でした。

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ホースを繋ぐパイプの部分は冷却液の不純物により腐食が進んでいました。またインナーの部分もご覧の有様です。これでは冷却液を送るにも抵抗が増してしまい、結果としてポンプに負担をかけ、オーバーヒートの原因となってしまいます。

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交換したウォーターポンプは見た目にも美しく、これで一安心ですが、やはりクーラー装備を前提としていないエンジンはこうした冷却系もその熱量を前提に設計されているため、後付でクーラーを装備したりすると思わぬところに負担をかけてしまい、部品の寿命を縮めることになると思います。
このGiulia Sprintのウォーターポンプが腐食するまで保ったのは、クーラーも装備せずチューンもしていないノーマルエンジンであったからでしょう。

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これで気持ちよい秋空の下で思う存分Giulia Sprintを堪能してもらうことができます。きっと、三角窓を開け、さらにリアのクォーターウインドを開けて走ると、気持ちよい風が室内を吹き抜けて行くことでしょう。

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さぁ、次はいよいよボディのリフレッシュですか・・・ねぇ(笑)

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道路は誰のもの・・・?

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民主党の圧倒的勝利に終わった選挙ですが、ようやく日本も二大政党制となり成熟した民主主義国家になったと喜ぶヒト、はたまた民主党なんて派閥争いで自民党から弾き飛ばされた落ちこぼれの集団なんだから、主張の異なる二大政党とは言えないと皮肉るヒト、ちょっと自民党にお灸を据えてやろうと民主党に投票したら大勝ちしちゃって「こんなハズじゃなかった」と慌てるヒト・・・。
現在の状況に対して様々な論評がありますが、個人的には確かに「自由」民主党と「社会」民主党であれば主義主張の異なる二大政党と言えるのかも知れませんが、残念ながら日本の社民党はプラグマティズムのかけらもない理想論に終始し、とても政権を担おうなどという意思が感じられません。従って、相手が民主党であれば、ヘタすれば自民党内の一派閥のほうがより政策の違いが明確なのでは?と感じるのは私だけではないでしょう。

民主党もそれは分かっているようで、自民党との政策の違いを何とか作らなきゃ・・・と無理やり作った感のあるマニュフェストを見ると、ホンキでやろうとしていることと取りあえず書きましたという内容との差が明確で、本当にこのレベルの政策立案能力で脱官僚政治など実現できるのか・・・と不安になってきます。個人的には民主党に頑張って欲しいとは思いますが、思い切って副大臣クラスはどんどん民間登用して、官僚に対向できる頭脳集団により組閣をして欲しいと思います。

そんな民主党のマニュフェストの中に「高速道路の無料化」があり、民主党が勝った割りにこれには反対も多いようです。輸送機関として自動車と競合関係にあるJRや航空会社が反対するのは理解できるのですが、高速道路が混雑する・・・と反対している一般ドライバーや運送業者がいると聞いたときに私はそのあまりの見識のなさに愕然としてしまいました。
日本人は長い間、「高速道路=有料=車が少ない=速い」という論理に慣らされて来ました。しかし、この論法での鍵は真ん中の「有料=車が少ない」という部分で、この論理構造により高速道路が「高速」で走ることのできる道路である限り、高速道路は公共のものではなく利用者が建設費や運営費を負担するゴルフ場のような単なる会員制道路でしかないことになると思います。

日本の国内の自動車の総量が決まっている以上、仮に高速道路を無料化して自動車が集中したとしても、その分一般道の交通量が減るだけで、昔と違ってVICSなどの道路情報が移動中に入手できるドライバーは空いている道路を選択して走ることになるはずです。そうすると交通量は高速道路と一般道で平均化されるだけで、一般道に接続するICの場所により部分的にその傾向が出たとしても、決して高速道路だけが混雑するという結果にはならないはずです。

そもそも日本ほど有料道路がある国はありません。東京-大阪間で約500km(約300マイル)をクルマで移動するのに、10,000円(約100ドル)払う・・・とアメリカ人が聞くとほぼ全員が目を丸くします。
さらに驚かれるのは、その「プレミアム」な道路をクルマが多く走っていることで、アメリカであれば、そんな道路は大金持ち以外は誰も使わないそうです。その彼らの論理からすれば、「日本はこれだけロードプライシングしているのであれば、さぞかし税金から道路建設には金が出ていないのだろう」と考えるのが普通でしょう。
しかし、現実は自動車を持つことにより私たちは様々な税金を払っています。自動車を買えば自動車取得税を払い、買ってからは毎年自動車税を払い、燃料を入れる度に揮発油税を払い、車検の際には重量税を払う・・・と自動車を持つことにより支払わなければならない税金は数多くあります。さらに交通違反の反則金は国庫納付金として信号や標識の設置財源として使用されるのですからこれまた財源という意味では税金と同様でしょう。

もし、日本がシンガポールのように自動車の総量を抑制するために禁止税的に税金を高くしているのであれば、残念ながらその目的は失敗したと言わざるを得ないでしょう。一方で直接利用者負担により道路インフラを作るのだ・・・という論理であれば、道路はそこを走るヒトのためのものだけでなく、物流の恩恵を受ける全ての国民のための社会財であるという観念が欠落しています。

民主党がどこまでホンキなのかは良く分かりませんが、税金の徴収とその支出には論理が必要で、その論理に矛盾がないことが大前提だと思います。無駄遣いだの何だのはその次のハナシではないでしょうか。インネンをつけられカツ上げ同然に持っていかれた金をパチンコで摩られたと文句を言うヒトはいないでしょう。文句を言うべきはそもそものカツ上げのはずです。
矛盾した論理をリセットするという意味で高速道路の無料化を議論することは重要だと思います。
それは高速道路に限らず、永年にわたり安定した単独政権と、少しでも楽して徴税し、自分たちの都合でそれを使いたいと考える官僚達により、いつの間にか何となく「当たり前」になり、「ちょっと変」と思いながら、「まあいいや」と走ってきたこの国そのものをもリセットするキッカケになるのではと思うからです。

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スミ入れの功罪

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ミニチュアモデルが好きな方は、大きく二種類に分かれると思います。一つは完成品としてミニチュアモデルを集める方で、どちらかというとコレクターと呼ばれる人種です。傾向としてはメイクスであったりカテゴリーであったり何かしらのテーマをもってコレクションされている方が多いのではと思います。例えばフェラーリのF-1を中心にコレクションされている方などがその好例でしょう。
またもう一方は自ら作る方で、それがプラスチックモデルであれレジンキットであれ、自らの手で作ることを趣味としている方なのですが、私のようにその両方というのは珍しいのかも知れません。

おおよそコレクターと呼ばれる皆さんは、あまりミニチュアモデルに手を加えるということをせずに、その製品本来の出来上がりを楽しまれているように思います。以前お会いしたコレクターの方は、完成品のミニチュアに付属しているデカールすら貼らずにそのままにしていると仰っていました。最初は再販することを考えてのことか・・・と思ったのですが、さらに聞けば、「面倒くさい」というのが本音で、笑いながら、「だから完成品を買うんじゃないですか」と言われてしまいました(苦笑)
私もその気持ちは良く分かります。私の中ではコレクションするものと自分で作るものは完全に分かれており、それは自分の好きな車種だから・・・という基準とは少し違うような気がします。

最近はAccess Awardの記念品や頼まれ物などで、完成品のミニチュアモデルに追加加工をする機会が多いのですが、本来は完成品ですので、その完成品としての状態を楽しむのが王道で、別にそれ以上手を加える必要はないのかも知れませんが、記念品などは追加で手を加えることによりこの世に一台のモデルになるワケですから、意味があるとすれば、それを喜んでいただけるということに尽きるのではと思います。ですので、自分のためであれば私自身は完成品のミニチュアモデルには手を加えることはしません。

完成品のミニチュアモデルに加える追加加工で最も一般的なものがスミ入れと呼ばれる塗装で、プラスチックモデルのフィニッシュの技法としては結構古くからあるものですが、最近はガンダムなどのプラモデルや完成品などで多用されているために、随分と一般的になったのではと思います。
スミ入れの目的は大きく二種類あり、まずはハイライティングと呼ばれるモールドの窪みに濃い色を差し、陰影をつけることによりより立体的に見せるものです。そしてもう一つが別パネルであることを強調するために、モールドのスジ堀りに沿って濃い色を流し込む塗装で、私が最初にこの手法を見たのは確か飛行機のモデルだったと思います。ジェット機のジュラルミン地を再現したシルバー塗装は、ともすれば単調になってしまうところを、パネルのスジ堀りにそって黒色を流し込んでやることにより一転して精密に見えることに感激した覚えがあります。

この技法はクルマにも使うことができ、本来は別パネルであるはずの、ボンネット、ドア、トランクなどのスジ堀りに黒色を流し込んでやることにより強調することができます。
その方法は毛細管現象を利用してモールドされた溝に薄めた塗料を流し込んでやるのですが、これまたそのコツを文章で書くのは難しく、何度か失敗しながらコツを掴んでいくしか方法はないと思います。
ポイントは塗料の濃度で、濃すぎると流れず、薄すぎると色がつかないのですが、1/64などの小さなモデルの場合は、そのモールドがダルなためにうまく流れ込んでくれません。また、流れ込む先は必ずしもスミ入れをしたいパネルラインだけでなく、ボディのプレスラインなどの余計な部分にも流れ込んでしまいます。
今までは余計な部分に流れ込んでしまったスミを、シンナーで濡らした綿棒やツマ楊枝の先で消していたのですが、今回はその余計な部分に塗料を流し込まないために最初から養生をしてみることにしました。

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これはマスキングゾルという模型用の材料です。液体なのですが乾くとフィルム状になり後から剥がすことができる優れモノで、塗装のマスキング用の材料として古くから売られています。これをスミ入れしたいパネルラインに繋がっているプレスラインに前もって塗ってやることにより、マスキングゾルが堤防の役割を果たして余計なルートに塗料が流れ込まないという目論みです。

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まずはKhamsinからです。Khamsinのボディサイドにはプレスラインが入っており、それがスミ入れしたいドアのパネルラインと交差しています。このままの状態でスミ入れを行うと確実にそのプレスラインにも塗料が流れ込んでしまいます。またボンネットにも左右にプレスラインがあるためにここも危険箇所です。この交差点にマスキングゾルを塗って乾燥させておきます。

マスキングゾルは塗ってすぐは薄いブルーですが、乾燥すると半透明になるので分かります。マスキングゾルが乾燥したらいよいよスミ入れです。シンナーで薄めたフラットブラックを何箇所かに分けてスミ入れしたいパネルラインに「置いて」やります。そうすると自然にそのラインに沿って塗料が流れて行きます。筆を置いた場所のはみ出した塗料は乾燥してからシンナーを含ませた綿棒やツマ楊枝の先で削り取るときれいになります。

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スミ入れとしてはこれで完成なのですが、ここでちょっと考え込んでしまいました。実はこのKhamsinにスミ入れをしてみて、それが良かったのかどうか分からなくなってしまったのです。
そもそもパネルラインにスミ入れをする目的は、それが別パネルであることを強調するための処理のはずなのですが、そのパネルラインが強調されたことにより、クルマ全体のフォルムが切断されてしまったような気がしたのです。それはKhamsinのような流麗なデザインであれば尚更で、デザイナーはクルマを一つのカタマリとしてデザインしたのであって、デザインするにあたってドアやボンネットのパネルラインはできればない方がよく、デザイン上の制約でしかなかったのではないかと思い始めたのです。
そう考えるとどんなクルマにもスミ入れするのではなく、「相手を選ぶ」ことも必要なのではないかと思えて来ました。

そこで、今回の笹本さんからの依頼を機会にイロイロと実験して検証してみることにしました。

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テーマ:ミニカー - ジャンル:車・バイク

遥かなるGTV6

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人間は思い入れが強すぎると、頭の中でその対象を美化して見すぎる傾向があるのではと思います。それは初恋の相手だったり、若き日のアイドル歌手だったりするのですが、その当時の思い入れが強いほどその記憶は鮮烈で、まるで時間が止まったかのように蘇ってくるものです。

以前からブログに書いているのですが、私の現在のようなクルマ趣味の原体験が後輩のGiulia Sprint 2000GTVで、その後輩に連れられて初めてアシを踏み入れた神戸の御影にあったCafe Veloceや柳原メンテナンスでアルファ・ロメオに限らず様々なクルマを見るにつれて、それまでのクルマ観は全く変わってしまいました。今でこそヲタクだヘンタイだと言われますが(苦笑)、大学生の私は当時の平均的なクルマ好きだったと思います。
当時の平均的なクルマ好きは間違っても、「アルファ・ロメオはええなぁ~」とか「ポルシェはナローやろっ!」などと言ってはならず、「スカGはソレ・タコ・デュアルやで」とか「セリカはやっぱダルマやな」とか言っているとフツーに仲間との会話が成立するのでした。さらに私は軟弱でしたので、雑誌「POPEYE」のクルマ記事を読み漁り、どんなクルマが女の子ウケするのかを日夜研究するレベルであったのが、いきなりフルチューンのGiulia Sprint GTAだの、Alpine A110なぞに触れてしまったのですから、そこからは完全にクルマの趣味が変わってしまいました。
そうなると不思議なもので、最早周囲の仲間のクルマ談義がちっとも面白くなくなってしまい、誰かが新車を買った・・・なぞと聞こうものならすぐに皆で試乗に出かけていたのですが、その興味も失せてしまいました。

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そんなヘンタイに目覚めた?私にとって一番欲しかったのがアルファ・ロメオのAlfetta GTでした。初めて見たのはCafe Veloceの前だったと思います。スラリと伸びたフロントノーズと4灯のヘッドライトにうっとりし、スパっと切り落とされ逆スラントで処理されたリアの造形に悩殺され、乗り込むとステアリングの正面にタコメーターだけが独立しておかれ、スピードメーターや他のメーター類は中央に「追いやられて」いる内装に外見とはアンバランスなスパルタンさを感じ、それ以来Alfetta GTは私にとって特別なクルマとなりました。しかしその好きな理由はあくまで感覚的なものであり、現在のようにイグアナの流れを汲むジゥジアーロのデザインがどーのとか、トランスアクスル&ド・ディオンがどーのなどというヲタクっぽい能書きは一切ありませんでした。

ある意味では純粋とも言える、あくまで感覚的な「好き」だったのですが、それは相手を全く知らないにも係わらず好きになってしまう「一目ぼれ」と同じで、その後にこの年代のアルファ・ロメオの製造品質の劣悪さによるAlfetta GTの地獄の数々を見聞きしても、それは私の中でのAlfetta GTの評価を下げることはありませんでした。
それ以来、いつも心のどこかにAlfetta GTが棲み続けてはいるのですが、数少ない売り物を発見し、いざ見る段になると躊躇してしまいます。イベントなどでオーナーに大切にされているAlfetta GTを見るのはとても嬉しいのですが、売り物となると、これまた同窓会で初恋の相手に会うようなもので、記憶の中で美化された新車のAlfetta GTとの落差をどうしても埋めることができず、「見なければ良かった・・・」と思ってしまうのです。

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そんな中でこのブログを読んでくれている仲間から情報が来ました。川崎のデル・オートさんに売り物が出るとの情報です。しかもそれはAlfetta GTの中でも最終モデルであるV6エンジンを搭載したGTV6というモデルだということなので、久しぶりに心の封印を解いて?見に行くことにしました。
入庫したばかりで何も手を入れていない仕入れた状態のままのGTV6は随分と歳を取っているように見えました。
それは周囲にあるレストアされたもっと旧いGiuliaやGiuliettaと見比べてしまうから余計にそう見えたのかも知れません。実際、レストア済みの新車以上のGiuliettaとこの古ぼけたGTV6には車齢で30年の隔たりがあるのです。

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もちろん、レストア前のGiuliettaの状態がどれほどのものであるかは理屈では分かっているつもりです。そして、このGTV6ならばGiuliettaよりも遥かに少ない労力で自分自身で納得できるレベルにまでリフレッシュしてやることができるのも同様に理屈では分かっています。
それでも、このGTV6を見たときに悲しくなってしまったのは事実です。この個体の名誉のために書くと、これは中古車市場に出回る(そんなタマは滅多にありませんが・・・)平均的なGTV6だと思います。ボディパネルの浮き錆びを補修し、劣化した樹脂パーツを磨いてやれば、退色の少ないホワイトのボディカラーであることも幸いして、全塗装しなくとも随分と見栄えが良くなると思います。

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室内を見ると、ダッシュボードの割れは最小限で充分補修で修理できるレベルです。シートはノーマルが一部ファブリックであるのに対してオプションであったフルレザーですが、前席の状態がソコソコであったのに対して後部座席のシートは盛大に破れていました。しかし、これも張り替えてしまえば問題ないと思います。
意外かも知れませんが、こうしたシートの補修はボディのレストアに比べると遥かに簡単で、特にレザーシートの補修が一番簡単です。ファブリックの場合は元布の新品が入手できなければオリジナルには戻せませんが、レザーの場合はそれが余程特殊な型押しでもされていない限り、オリジナルと遜色ない状態に修復が可能なのです。

余談ですが、皆さんはレザーシートとベロアやモケットなどのファブリックのシートとどちらが高級だとお考えでしょうか。
馬車の時代は、前部の御者が座る屋根のない御者台のシートはレザーで、その後ろの室内シートはファブリックでした。すなわちファブリックのシートの方が高級だったワケです。その理由はレザーシートの耐久性で、少々雨に濡れても痛みが少ないために御者台にはレザーが使用され、後部のファブリックシートは痛んだら惜しげもなく張り替えられたのです。素晴らしいゴブラン織りのシートも耐久性がないからこそ高級なので、その儚さが高級の証だったのでしょう。そう考えれば、以前のマゼラーティはロールス・ロイスなぞが足許にも及ばない高級車と呼べるでしょう(笑)。

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ハナシをGTV6に戻しましょう(笑)
GTV6のエンジンは定評あるV6SOHCです。しかも「アルファ6譲り」と表現されることの多いこのV6エンジンはSOHCの2.5Lで、限りなくそのオリジナルに近いエンジンです。
SZ/RZ(ES30)を最後にアルファ・ロメオはFFベースとなり、それに伴いエンジンは横置きとされてしまいましたので、このAlfettaのシャーシーが縦置きエンジンの最後となります。横置きエンジンのスペースメリットは認めるとしても、一方で縦置きエンジンのメリットも多く、重心をZ軸に近く配置できるという物理的なメリットだけでなく、排気管を自然に等長化できるなどエンジンを縦に置く必然性は計り知れません。
その縦置きエンジンのスペース効率が悪いというネガを消すために、ミッションをエンジンから切り離し、リアに配置するトランスアクスル方式のGTV6は、そのエンジンレイアウトから最もこの名器であるV6を唄わせることのできるクルマだと思います。しかも、GTV6は北米で販売されていましたからアメリカ経由でパーツ手配ができるのは有難いことです。

初恋の相手が私自身と同様に歳を重ねているのは当たり前でしょう。クルマも同様で新車から年月が経つと歳を重ねるのは当たり前なのですが、問題はその歳の取り方で、オーナーの許で愛されながら歳を取ったクルマは、それがどんなにヤレていてもそこには生きて元気に走ろうとするオーラが感じられるのです。
抽象的な表現しかできないことがもどかしいのですが、そのオーラはポンコツの軽自動車であろうがフェラーリであろうが同じで、「私はまだまだ走れるよ!」と訴えて来るのです。
それは私が日頃言っている「佇まい」とは少し異なっており、クルマの中に宿る魂のようなものなのかも知れません。

このGTV6からもそのオーラは感じられたのですが、私には初恋への思い入れが強すぎたのでしょう。もっとニュートラルな気持ちであればこのGTV6と一緒に歳を重ねたいと思ったかも知れません。

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フェラーリ250GTOの製作~はじめに~

ようやく頼まれ物が一段落したので、自分のためのプラスチックモデルを作ることができます(苦笑)

おかげさまでDUCATI900を作ったことで、少し手先の感覚が戻ってきました。どんな手作業であれ、一旦身に着けた感覚を維持するためにはその作業を続けることが一番で、ブランクが開いてしまうとどうしても元の感覚を取り戻すまでに時間がかかってしまうものです。
今回は来るべき老後に備え(笑)、なるべくその感覚を忘れないように作り続けておこうと思ったのですが、やはりいきなりアルファ・ロメオに行くのにはまだ抵抗があり、リハビリとしてフェラーリ250GTOを作ることにしました。

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ご存知のようにあまたあるフェラーリのモデルを通じて、今尚、「最も美しいフェラーリ」と呼ばれているのがこの250GTOです。
1961年に新たにFIAがチャンピオンシップをかけることにしたGTカテゴリーにエントリーするために開発されたのがこの250GTOで、1961年にそのプロトタイプが発表され、改良を重ねて1962年にデビューしました。ベースとなったのは250SWBで、その鋼管チューブラーフレームをさらに軽量化し、250Testarossa譲りの3.0L 12気筒エンジンを搭載し最高速度は300km/hと言われています。
その美しいボディはスカリエッティによるアルミ製で、全てが手作業による製造であったために、その生産数39台(4.0Lエンジン搭載のものも含む)のボディ形状は全て異なっていると言われています。外観上での一番大きな違いは1962年に製造された初期モデルはボディサイドのスリットが2本で、1963年のものから3本となっていることに加えて、リアのダックテールスポイラーが初期モデルはリベット留めであることに対して、1963年以降のモデルはボディと一体となっているのですが、アクシデントでボディを修復されたりしているため、必ずしも現存するモデルがこの通りとは限りません。

プラスチックモデルでは1/24スケールで旧くはフランスのエレール社(記憶ベースですが・・・)、そして永らく決定版であったグンゼ産業、イタリアのイタレリ社のものに加えて、最新作でフジミ社のものがあります。

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今回は最新作のフジミのものを組み立てようと思うのですが、手許にあるグンゼ産業のものとそのボディ形状を比較して見ると、大変興味深いものがあります。
グンゼ産業のものは発売されたのが25年前になりますが、発売当時にはそのボディ形状は決定版と言われ、永らく250GTOのベストモデルとして君臨したものです。ハイテクモデルというプラスチック素材に加えてホワイトメタル、エッチングパーツなどが組み合わされたこのシリーズはその車種ラインアップが完全にオトナ志向で、現在は生産休止となってしまっているのが惜しまれるモデルですが、新しく発売されたフジミの250GTOとはそのボディ形状が明らかに異なっています。

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上の写真の左側、ボンネットのない方がフジミ製で、右がグンゼ産業のものなのですが、全体的にグンゼ産業のほうがトレッドが広いことに加えて、顕著な違いは二点あり、その一つはフロントノーズの絞込みで、グンゼ産業のものがスクエアであることに対してフジミのものは先すぼみな形状です。

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また、リアはグンゼ産業のものと比べて尻下がりとなっているのが違いなのですが、これらの違いにより全体的な印象としてはフジミのボディの方がスリークな形状をしています。

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前述したように、250GTOのボディは各車が微妙に異なっているので、シャーシNo.を特定して再現していなければ間違いとは言えず、むしろ好みの問題だと思うのですが、こうして比較して見ると、グンゼ産業のものが力強くグラマラスな250GTOを再現しようとしていることに対して、フジミのものはもう少し繊細な250GTOを表現しようとしているのではないかと思います。

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グンゼ産業のものはハイテクモデルというだけあって、モデルのハイライトとなるボラーニ製のワイヤースポークホイールがエッチングで再現されています。ワイヤースポークホイールはミニチュアモデルの最大の問題で、どんなに繊細なプラスチックパーツであったとしても、やはりエッチング製には敵いません。

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フジミのキットに付属しているプラスチック製のホイールもプラスチック製としては素晴らしい出来なのですが、ご覧の通りエッチング製に比べると見劣りがしてしまいます。
ここはグンゼ産業のホイールをコンバートしようと思ったのですが、残念なことにホイールの直径が微妙に異なっており、アキラメざるを得ませんでした。どうしたものか・・・と思っていたら、ちゃんとエッチング製のグレードアップパーツが出ていることが分かったので、それを入手することにしました。しかし流用できる他のエッチングパーツは極力使用することにして、仕上げていこうと思います。
グンゼ産業のものをツブしてしまうのは残念ですが、持っていても恐らく一生完成しないでしょうから(苦笑)、ここはフジミ製のために流用してやるのが供養というものです。

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バイクのモデルと異なり、クルマの場合はどこにハイライトを置くかを考えて製作しなければいつまでたっても完成しなくなってしまいます。250GTOの最大の特徴はやはりその美しいボディスタイリングだと思いますので、今回はリハビリということもあり(笑)、エンジンルームやコクピットにはあまり凝らずに製作にあたってはボディの塗装に重点を置くことにしましょう。

今回は自分のためのモデルですので、のんびりゆっくりと楽しませていただこうと思っています。
でもその前に・・・笹本さんの宿題を仕上げなければ(苦笑)

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テーマ:模型・プラモデル・フィギュア製作日記 - ジャンル:趣味・実用

250,000 Access Awardの製作~その弐~

ディスプレイベースができたところで、いよいよクルマの仕上げに取りかかることにしましょう。
その前にこれまた恒例のディスプレイベースに貼るプレートの製作です。

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と言ってもそんなにスゴイものでも何でもなく、シルバーシートに印刷しただけのものですが、イロイロと試して見てこれが一番格好よくできるので個人的には結構気に入っています。

まずはFerrari 575 GTCです。京商のこの1/64シリーズは回を追うごとにどんどんと改良されグレードアップされているのですが、最早、コンビニで買えるというだけで、その内容は完全にマニアの観賞に耐えるクオリティに達していると思います。

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特にこうしたレーシングカーは精密なカラーリングであればあるほどその実感は増すものです。

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ささやかな自負ですが、加えてこうしたディスプレイベースを奮発してやれば、その見栄えはさらに良くなるのではと思います。ミニチュアモデルにはこうした演出も重要です。

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問題の気泡が残ってしまったディスプレイベースですが、800番、1500番の耐水ペーパーで磨いてから最後にコンパウンドで磨いてやることにより何とか誤魔化すことができました。今回試してみたベースに着色ニスを塗り、上塗りでクリヤーニスを塗る方法は、本来の木目もちゃんと残るので気に入りました。今後、ディスプレイベースを製作する際はこのやり方にして行こうと思います。

さて、次はLancia Deltaです。これは残念ながらコンビニで売っているものではなく、何が入っているか分からないブラインドボックスながら模型店で売られていたものです。その出来栄えは1/64スケールとは思えないほど素晴らしいのですが、今回もディテールアップとしてホイールのスミ入れをしてみましょう。

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ホイールのモールドが少しダルなので塗料の濃度に注意しなければうまく窪みに流れ込んでくれませんでしたが、何とか格好がつきました。スミ入れをすることにより格段と実感が増すことがお分かりいただけるのではと思います。

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こうなると天井のアンテナの太さが気になってしまいますので、次にルーフのアンテナを金属線で作り変えます。用意するのはニューム管と呼ばれるアルミパイプと真鍮線です。

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アルミパイプを適当な長さにカットします。カッターナイフの刃をパイプに直角に当てて少し力を加えながらパイプを転がしてやると、パイプを潰さずにカットすることができます。あとは真鍮線をパイプに通して接着してやれば完成です。

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ミニチュアモデルにした時にはやはりリアにウイングがあるEvoluzioneのほうが迫力があるのですが、16Vの今となってはシンプルなスタイルも捨てがたい魅力があります。

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これは1989年のSanremoラリーに出場したカラーリングですが、通称、「赤マルティニ」と呼ばれるカラーリングは数あるDeltaの中でも今も人気のあるものです。

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1/64スケールでこれだけのアップに耐えるのはスゴいことで、最早肉眼で見ている分にはそのアラを探すのは困難です。

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さて、最後にFerrari Daytona Spiderです。
このモデルはディテールアップが難しいのですが、マフラーの穴あけ加工をすることにしました。今回はピンバイスと呼ばれる精密ドリルを使わずにアートナイフを使って簡単にできる穴あけをご紹介しますので、皆さんもチャレンジして見てはいかがでしょうか。

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写真では分かりにくいですが、特徴あるリアの4本出しANSAマフラーはただの棒としてモールドされています。これに穴を開けてやるのですが、まずはアートナイフの刃を新しいものに交換しておきます。このような微細な加工は刃先がとても重要ですので、少しでも欠けてしまった刃先は使わないようにします。
まずはマフラーの○にガイド線として十字に切れ込みを入れます。そして切れ込みの中心に刃先を当てて回転させてやれば楔状に穴を開けていくことができます。

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さらにマフラーエンドの部分にクロームシルバーを塗ってやれば、穴を開けた部分を強調してやることができます。

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さらにホイールにも同様にスミ入れしてみました。

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京商のこのDaytonaはそのシルエットが素晴らしく、良く出来たモデルだと思いますが、他のニ車種と比べるとハイライトに乏しく、ちょっと寂しいイメージだったのですが、随分と見栄えがするようになりました。

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これでAccess Awardは完成です。梱包して皆さんにお送りすることにしますが、果たして気に入っていただけるでしょうか・・・。

さぁ、引き続いて笹本さんの宿題です(泣)

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250,000 Access Awardの製作~その壱~

250,000Access Awardは応募いただいた皆さんに差し上げることとなったのですが、それぞれの行き先が決定しました。

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一位のpekepekeさんが選ばれたのは京商のFerrari 575GTCです。Delta Integraleと相当迷った末のチョイスだそうですが、気持ちは良く分かります。

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そして二番手ながら本命のCMSコーポレーションのLancia Delta HF Integrale 16Vを射止めたのがshigeさんで、このお二人は結果としてそれぞれが意中のクルマをゲットされたことになります。

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そして自動的に三位の笹本さんには京商のFerrari Daytona Spiderとなったのですが、これとて決して不人気なモデルではなく、なかなかの出来栄えだと思います。
しかし、笹本さんからは宿題をいただいており、と言うか、いつもの通り勝手に押し付けられたのですが(苦笑)、Masserati KhamsinとMerakの2台にスミ入れしろというお題もありますので、今回はそれも一緒にお届けすることにしましょう。

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Access Awardは定番?の特製木製ベースを製作していますので、今回もその木製ベースの製作からスタートです。

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過去には様々な木材を試してきましたが、やはりニスを塗って仕上げるのであれば、定番のアガチス材が一番だと思います。それは木目が柾目で、木材に含まれている油分が少なく、適度な柔らかさを持ちながらも木目が詰まっているからなのですが、これらの特徴はこういった加工には最適です。

この材料は東急ハンズやユザワヤなどのデコパージュ材料のコーナーで手に入れることができます。本来は表札にしたり表面に絵を書いたりするためのものなのでしょうが、各種あるサイズや形はミニチュアモデルのディスプレイベースに最適です。

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最初に240番の紙やすりで表面を軽くならします。特に木目と垂直の方向の断面は表面が荒れていますので念入りにやすりをかけるのですが、段差を消してしまわないように紙やすりの断面を使って最後にちゃんとエッジを出しておきましょう。下の写真の左側がヤスリをかける前で、右がヤスリをかけた後です。

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ニスを塗る前に削り粉を落としてやるのですが、重宝するのがこの豚毛の歯ブラシです。この歯ブラシはプラスチックなどの表面も傷つけないので、塗装前にスジボリに入った削りカスなどを取るのに最適です。ドラッグストアなどで購入できますので一本持っておいて損はないと思います。

今回は水溶性の着色ニスを塗ってからウレタンのクリヤーニスを仕上げに塗ることにより鏡面のような光沢を出して見たいと思います。以前はウレタンニスを重ね塗りして仕上げていたのですが、折角の木目が消えてしまい、表面がプラスチックのようになってしまったので、実験的に仕上げの方法を変えてみました。
初めての方法なので仕上がりがどうなるか楽しみです。

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着色ニスを一度塗りした表面です。着色ニスは艶が出るワケではありませんが、一方で木材に浸透し乾燥が速いのが利点です。これ以上塗り重ねると折角の木目が消えてしまいますので、このままウレタンニスを塗ることにしましょう。

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ウレタンニスは艶が良く、表面も硬いのですが乾燥が遅いのが欠点です。写真の状態は塗っては乾燥を三度繰り返した状態です。
実はちょっと失敗してしまったのですが、ハケで塗ってすぐは気泡が残ってしまいますので、爪楊枝の先で丁寧に気泡をつぶしてやらないと、そのまま乾燥してしまいます。一回目にそれを忘れたせいで数箇所気泡を塗り込めてしまいましたが、乾燥後に修正できるかどうかやってみることにします。

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次回はいよいよクルマのディテールアップです。

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クルマなんて

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彼氏:「クルマなんて走ればいいじゃん」

彼女:「じゃあ、彼女なんて誰でもいいと思ってる?」


最近、良く目にするダイハツの軽自動車のCMのフレーズです。ご覧になった方も多いと思いますが、ダイハツのショールームで新型の軽自動車に人目ぼれした彼女に彼氏が付き合わされて、面倒くさそうに放った一言に彼女が言い返しているのがこの会話なのですが、最初にこのCMを見たときに実にフクザツな心境になりました。

さらに別バージョンでは、クルマに見とれてハナシを聞いていない彼女に・・・、

彼氏:「いつもクルマのことばから考えているんだから」

彼女:「じゃあ、いつも私のこと考えてる?」


と言い返しています。

私たちの世代であればこの会話は男女が逆転しており、むしろ女性が男性に言う文句だったハズです。しかも男性からすればこの反論は絶対に言ってはイケナイ論旨で、一度は女性から文句を言われて、このフレーズがアタマの中をよぎってグッと飲み込んだことのあるとのある男性諸氏も多いのではと思います。

クルマの製品企画から販売というのは一大プロジェクトで、自動車メーカーの昨今の経営環境を考えると一度の失敗も許されない状況にあります。かつてのト○タは販売のト○タと呼ばれ、コンセプトは中途半端で性能もソコソコの車種であっても、末端の販売力でライバルメーカーの渾身のモデルよりも売り捌いたと言われていますが、今やそんな時代ではなく、エコカー減税しようが、値引きをしようが、消費者の財布の紐は販売力だけでは緩んではくれないのが現状です。
そこには製品企画段階から綿密な消費者マーケティングのフィードバックがなされ、最終的にどの購買層にどういった訴求ポイントで販売アピールするかまで一貫した、謂わば「マーケティングのカタマリ」が現代の自動車だと思います。

大手広告代理店の博報堂が制作したこのCMコンセプトが秀逸なのは、男女が逆転している時代を見事に反映していることだけでなく、「クルマなんて走ればいいじゃん」と消費者が思っていることを見透かしているところにあります。爆発的に販売が伸びているハイブリッド車も、減税効果に加えて低燃費でガソリン代が安いから売れているので、消費者が「クルマなんて走ればいいじゃん」と思っており、「だったら安いほうがいいじゃん」と続く論理による消費行動に走りつつある中で、どうやってこのクルマを売っていくかを考え抜いたCMだと思います。

クルマは走ればいいだけじゃない・・・という世相から浮いた主張を女の子に言わせることにより、逆に世の中に共感させようというこのCMの意図はしたたかであるとは思うのですが、もしこれがスポーツカーのCMで、彼女からの文句に彼氏が応えるというシチュエーションならば全く成立せず、このご時世に何を言ってるんだ!と袋叩きにされるであろうことを思えば、やはり女の子が可愛いと思わなければ売れない軽自動車のCMだからこそ言えた台詞で、クルマ全体への価値観を変えるような効果は期待できないでしょう。
事実、自動車メーカー各社も国内の減税効果と中国マーケットの回復基調に助けられて、一時の危機的状況からは脱しつつあるものの、将来に亘って業績が回復するとは思っておらず、依然として自動車の将来は予断を許さない状況には変わりないと考えているようです。

電気自動車は社会インフラの整備と製造コストの問題から実用化にはまだ時間がかかり、ハイブリッド車はその中途半端さ故に一時的なものであると考えると、膨大な開発投資には抵抗があり、水素電池はまだ夢の段階という状況にあって、自動車メーカーは「どうやって自動車を動かすか」という方法にのみ注力し、内燃機関という揺るぎのない動力の中で培ってきた「楽しく動かす」という部分は後回しにしているのはいた仕方ないのかも知れません。

自動車がパーソナルな存在である以上、それが性能であれスタイリングであれ、オーナーが他人との差別化を望むのは必然で、やはり誰もが「クルマなんて走ればいい」とは思っていないのではないでしょうか。むしろ「クルマなんて走ればいい」と思っている人たちは、「クルマなんて別に必要ない」と思っている人たちで、自動車メーカーが本当に抱いている危機感は、社会インフラの中から自動車が外れつつあることではないかと思うのです。

私たちのようにクルマを趣味とする人間にとって、どれだけこのCMに快哉を叫んでも、それが燃費が倍ほど良く、壊れず、税金も安いエコカーに乗り換えずに、シロートから見たらただの旧いオンボロ車で、税金は重加算され、売るとなったら二束三文のクルマと格闘しながら壊れては治しを繰り返している理由としては希薄で(苦笑)、その行為は、自動車が移動の道具として台頭してきた20世紀初頭に、移動の手段として馬を使い続けた頑固な没落貴族のようなものなのかも知れません。

久しぶりに考えさせられるクルマのCMでした。

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