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走ってナンボ

アルファ・ロメオを始めとする「ちょっと旧いイタ車」を一生懸命維持する中での天国と地獄をご紹介します。

善意のリレー

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前回のブログでご紹介したように、放置状態であったA112は不思議な縁でALFA・DEPOTの坂野さんの手許にやってくることになったのですが、坂野さんも実際に引き取る際にその実車を見たときには、「これは部品取りか・・・」としか思えないほど汚れきっていました。
確かに不動で青空駐車場に放置されればその状態は無理からぬことなのですが、引き取ってまず最初に行うのは洗車で、坂野さんもまずは洗車からスタートしたそうです。
洗車と聞くと通常はシャンプーでボディを洗い・・・ということになるのですが、いざ始めてみるとそんな生易しいものではなく、バンパーやウインカーなどの外せる外装パーツは全部外し、樹脂パーツは洗って、磨いて・・・と、殆どクルマを分解清掃するレベルで洗車をした結果、あの汚れたA112はここまで蘇りました。

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さすがにボディの艶出しはその下地へのダメージを考えるとこの辺りが限界だったとのことですが、個人的にはこれでも充分すぎる出来栄えです。

驚くべきことに放置されていたにも係らず、ボディの状態はとても良く、A112に良く見られる錆の名所?には全くと言って良いほど錆が見当たりませんでした。

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黒の樹脂が経年劣化で白っぽくなってしまい困っていらっしゃる方もいるかと思います。自分の愛車ですと徐々に白濁して行くために意外に気がつかないものなのですが、こういった樹脂パーツが本来の黒色と艶を取り戻すとクルマ全体が引き締まって見えるものです。

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それでもきっとどこかに錆があるハズ・・・(苦笑)と探してみるとありました。

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まずは、フロントスクリーンの付け根部分です。ここはA112に出る錆の「お約束」の部分だそうですが、それでも随分と少ないのだそうです。むしろリアゲートの鉄板の折り曲げ部分や後部サイドウインドウの周囲などに浮き錆がないことのほうが、「驚くべきこと」だと思います。

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ここはちょっと意外な部分ですが、恐らくエンブレムをリペアするときにちゃんと養生しなかったために水が入ったのではと思います。ボンネット上の浮き錆ですが、この2箇所は補修しておかないと錆が進行するのではと思います。

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錆が最も出易いのがリアゲートです。排水の関係から水が溜まりやすく、ゴムシールの劣化によりラゲッジスペースに雨漏りし、それがまた錆の原因となるのですが、ご覧のとおりリアゲートにもラゲッジスペースにも何の問題もありませんでした。

もちろん外観を見ただけですので、ボディ内部で進行している錆については全く分かりませんが、そういう錆がある場合は必ず表面もそれなりにヤレていますので、やはりこのボディは「当たり」だと思います。

それにしてもここまで磨かれると、もうそれだけでデッドストック?と思えるほどなのですが、坂野さんは不動であるエンジンを点検するために、更にエンジンルームも掃除することとなりました。

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色んな虫が出てきた・・・そうですが(苦笑)、坂野さんはひょっとしたら洗車ヲタクなのかも知れません。仕事の合間の作業で、引き取ってから僅か一週間でここまで仕上げるとは本当に恐れ入ります。

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このエンジンルームも極めてオリジナル度が高いのでは?と思います。弁当箱と呼ばれるスポーツエアクリーナーなどに交換されていないところに好感が持てます。しかも純正オリジナルのエアクリーナーケースにはちゃんとABARTHのプレス文字が輝いているのです。

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ヘッドカバーにも「ABARTH」の刻印が刻まれています。後のUnoやTipoのように名前だけのABARTHではなく、ちゃんとABARTHによりチューニングされた証です。
結局、エンジン不動の原因は単なるアース不良で、アースの接点を磨いて締め直し、キャブレターを調整するとエンジンは問題なく始動するようになりました。

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私が一見して「終わってる」と思ったマフラーも問題なく、しかもオリジナルの「マルミッタ・アバルト」でした。この純正マフラーの特徴は、一見するとデュアルマフラーなのですが、片方はダミーで実際の排気は片側1本のみというABARTHらしからぬ「なんちゃって」なのですが、そこがまたご愛嬌だと思います。しかし、職人ABARTHが見かけはともかく、排気をデュアルにしなかったのはきっと何か理由があるハズです。どなたかご存知の方がいらっしゃれば是非教えてください。

純正のホイールですが、これまた磨いてみるとガリ傷も少なく素晴らしい程度でした。

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残念ながら空気が抜けてしまったタイヤは不動のため変形しており、交換することになりました。

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当然のことながら室内も素晴らしいコンディションでした。ご覧のとおりオリジナルのABARTHのブーメラン型のステアリングも貴重です。

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運転席のシートは擦り切れてしまっていましたが、これは張り直せばすぐにリペアできる部分です。
実際に天井は張り替えた形跡がありましたし、リアの座席は年式違いですが交換されたようです。
これらのことからも、痛んだ内装に手を入れながら大切に乗られて来たことが窺えます。

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何より素晴らしいのはダッシュボードにクラックがないことで、補修に一番手間がかかる部分が問題ないということは本当に有難いことです。放置してあったとは言え、その場所が木の下であったことが幸いしたのでしょう。

この個体の素性が良いことは、たった1週間の整備と清掃でここまで蘇ったことで明らかだと思います。私の「佇まい評論家」の面目も立ったと言うものです(笑)
さらに、歴代のオーナーによって大切にされてきたことを確信した証拠が、貴重なオーナーズマニュアルが残されていたことです。

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このスリ切れてボロボロになったオーナーズマニュアルは当時の輸入代理店であったJAXにより用意されていたものです。

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しかもその内容は詳細に亙って記載されており、私も思わず見入ってしまいました。きっとオーナーであった方の中には懐かしい方も多いのではと思います。
得てしてこうしたオーナーズマニュアルは売却を繰り返すうちに散逸してしまい、クルマと一緒に受け継がれて行く例は少ないのですが、この個体に関しては次のオーナーのためにちゃんとクルマと共に受け渡されて来たのでしょう。それだけでも歴代のオーナーが大切にしてきたことが分かります。

このように、この個体の素性と程度に関しては素晴らしいことが分かったのですが、そうすると新たな悩みが出てきました。それはどこまで仕上げるか・・・というもので、フツーに乗るのであれば内装のリペアと錆の補修程度で充分で、それでも生き残っている他のA112と比較しても素晴らしいコンディションの個体でしょう。しかし、更なる高みを求めるとすると・・・ボディの全補修に手をつける事になるでしょう。
坂野さんの悩みは尽きることがないようですが、それも楽しみのウチで、今はちょうどプラモデルを買ってきて箱を開けた状態で、これからどう組み上げるか考えるのも楽しいものだと思います。

このブログがきっかけで、わざわざオーナーを探してくれたN君、その情報を提供してくださったYさん、そして快く譲っていただいた前オーナーさん、そして新しいオーナーである坂野さんという、関係する皆さんがこのA112を遺したいと思ったからこそ成立したハナシで、誰か一人でも「どーでもいいや」と考えたときに、この出会いはなかっただろうと思います。

皆さんの善意のリレーでこのA112が蘇り、そのお手伝いをできたことを本当に嬉しく思っています。

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過去の罪滅ぼし?

以前のブログで「悲しきA112」と題して、恐らく不動のため放置してあるアウトビアンキA112 ABARTHについてご紹介しました。そして「ブログの威力」と題して、不思議な縁でその持ち主が見つかった経緯を書かせていただいたのですが、このブログがきっかけで、ご紹介したA112は無事に新しいオーナーの許で甦生されることとなりました。

その新しいオーナーとは・・・ナンと!ALFA・DEPOTの坂野社長で、私のブログを見て「引き取りたい」とご連絡をいただいたために、トントン拍子にハナシが進み、無事に坂野さんの手許に行くこととなったのです。
聞けば坂野さんは昔、JAXの代理店に勤務されており、新車でA112を販売するという「罪深い」過去の悪行の罪滅ぼしということで、この「悲しきA112」を引き取る決断をされたそうなのですが(笑)、すでに坂野さんの手許にはもう一台のA112が永年に亙ってレストアをされているとのことですので、恐らくそのような高潔な志による動機ではなく、単に「好き」なんでしょう(爆)

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というワケで坂野さんの手許に渡った例のA112がどーなったか興味もあり、また「佇まいが良い」などと外観だけで判定した私の判断についても確かめたくなったために、久しぶりに坂野さんのお店を訪ねることにしました。
ALFA・DEPOTは春日部の国道16号線から幹線道路を少し走ったところにあります。地図を見ると都内からは遠く感じてしまいますが(苦笑)、実際に行くと意外に便利な場所です。

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ALFA・DEPOTの在庫はHPでチェックさせていただいているのですが、その仕入れはいつ見ても絶妙です(笑)。
決して高年式の低走行車ではないのですが、市場の価値とクルマの価値のアンバランスさと言うか、中古車市場の隙間をついた心憎い品揃えです。

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例えば、916Spider/GTVを例にご説明すると、この10年オチのアルファ・ロメオは市場価値としてはほぼ底値で、今後は値段すら付かなくなって行くであろう車種なのですが、一方でクルマとしての価値は・・・と言うと、基本的な初期化さえしてやればまだまだフツーに走りを楽しむことのできるモデルです。こういったモデルは仕入れ値が安いため、きちんと手を入れて売ったとしても、まだ手頃な値段で販売することができるのですが、一方で手を入れなければならないというのがミソで、そこには知識と経験が必要となります。
高年式のクルマは「右から左」に捌くことができますし、最近のモデルであれば手を入れなければならない箇所なぞ殆どないでしょう。そうなるとお値段勝負となってしまったり、ボディカラーやグレードなどを数多く揃える、所謂タマ数勝負になってしまうのですが、ALFA・DEPOTで扱うような「ちょっと旧い」イタ車は、仕入れの際にその個体の程度を見極める選択眼が重要で、加えて販売価格に見合った初期化をどの程度行うかによって、その個体に大きな差が出るのです。
ALFA・DEPOTが扱うクルマ達は、当に、「どこから買うか」というのが重要な価格帯のクルマだと思います。

そんな中にあって仕入れのコンセプトは同じでありながら、ちょっと場違いなクルマ?もありました。

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チョロQマニアには堪らないらしいのですが(苦笑)、NEW BEETLEのワンメイクレース用の車両です。
室内はダッシュボードやシートはノーマルでありながら、ちゃんとロールケージも組み込まれています。加えてこのカラーリングですので、目立つこと請け合いなのですが、それが災いしてどう乗って良いやら分からないクルマになっています(笑)
委託販売とのことですが、このままレースに出て果たして戦闘力があるのかどうかは疑問で、むしろ洒落で乗るには面白いかも知れません。

さらに場違いなのがこのポルシェで996と呼ばれるモデルです。

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私自身はポルシェにはさほど興味がないために、993とか996と言われてもナンとなく「ああアレね」程度の知識しか持ち合わせていないのですが、これは外観がGT3ルックに仕立てられており、私レベルには充分、「ハッタリ」が効く外観です(笑)

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内装の程度もナカナカで、新車の価格を考えるとこのお値段はリーズナブルだと思うのですが、残念ながらポルシェの中古車相場に関しては不勉強なので、何とも言えません。
昔は「ポルシェ500万の法則」というのがあり、どんなに安い値段でポルシェを買っても、ちゃんと走るように整備すると車両価格を含めて結局は500万円になる・・・と言われていましたが、さすがに996にまでなるとそれほどの整備代は必要ないでしょう。
このクルマも預かり物だそうで、どうやらこのボディカラーにGT3ルックというのがマイナスポイントになっているそうです。それが気にならない方にはお買い得ではないでしょうか?

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そうやって在庫車を冷やかしていると、ようやくどこかで見たようなA112がありました。しかし、私が最後に見たあのA112とは似ても似つかない外観です。もしナンバープレートが外されていたら、これが同じクルマだとは分からなかったでしょう。

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「悲しきA112」は既に蘇っていました。

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しかも驚くべきことにこのA112は間違いなく「上物」だったのです。

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アルファ166の真実

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身近な仲間がアルファ166に乗り換えたこともあり、アルファ166というクルマに俄然興味が湧いてきました。
しかし、それは決して私だけではないようで、アルファ164を愛車にしている方にとっての悩みは、自分の愛車のこれからのメンテナンスについてが一番で、二番目は次に乗るクルマが見当たらない・・・というものですから、実際に仲間がこうして乗り換えると、その選択の理由も含めて興味深々となるのも無理からぬことだと思います。

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かくして「極悪」だの「ちょい悪」だのと喧しいハナシになってしまっているのですが、そもそもアルファ166は、アルファ164のオーナーにとってはともかく、アルファ・ロメオにとっては立派な?アルファ164の後継モデルであったのですから、アルファ・ロメオにとってのフラッグシップ・サルーンとはどうあるべきか・・・というコンセプトで企画されたクルマだと思います。

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私の手許にはアルファ166が発表されたときのプレスキットがあります。プレスキットとはメーカーが新車を発表する際にマスコミ向けに配布する、そのクルマの開発コンセプトや性能、仕様などを細かく説明した資料で殆どのジャーナリストはこの資料を基に紹介記事を書き、その後に実際に試乗をしたりして更に突っ込んだ記事を書くというのが一般的です。
昔のプレスキットは雑誌の原稿用に広報写真が付属しており、しかもそれは印刷されたものではなく、ちゃんと焼付された本物の写真だったのですが、最近はデジタル化が進み、味気のないCDデータなどになってしまいました。しかし、その内容は昔も今も、ディーラーで配布されるカタログなどより遥かに情報量の多い、そのクルマを説明する最も詳しい資料として価値のあるものです。
ところが、ジャーナリストにして見れば、一旦記事を書いてしまうとこれらの資料は必要なくなってしまい、ある程度は保管しているものの、溜まっていく一方のプレスキットは最終的には捨てられてしまうのが運命です。また、メーカーも必要最小限しか用意しないことに加えて、新車のプレスリリースが終わってしまえば、これまた邪魔になり廃棄されてしまうために、後日にこのプレスキットを入手するのは至難の業となっています。

さて、私が持っているアルファ166のプレスキットですが、アルファ164オーナーズクラブのミーティングにアルファ166の広報車を試乗展示した際にメンバーに配布されたもので、その時に参加していた赤スパのオーナーであるR君より譲り受けたものです。
早速内容をご紹介しましょう。
アルファ・ロメオのプレスキットは伝統的にそのパッケージが秀逸で、優れたグラフィックデザインとアイディアに満ち溢れています。一見するとただのボックスなのですが・・・

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パッケージ上のAlfa166のリアドアを開けることによりボックスを開けることになります。

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ドアの形に切られたフラップを開くと、真ん中にはプレス資料とカタログが収められています。

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さらに右のポケットには広報写真として今回はマウントされたリバーサルフィルムが収められていました。この記事で使っているアルファ166の写真はこの広報写真で、発表当時に多くの雑誌で使われたものと同じです。

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実際の資料の内容ですが、カタログに加えて、このプレス向けに書かれた説明資料にアルファ166の内容が集約されています。

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特にイラストや写真等は使用されていないのですが、その説明は詳細に亙っており、エクステリア/インテリアデザインに加えて、エンジン、スポルトロニックミッション、足回り、クライメイト、セキュリティ/セーフティとアルファ166の特徴を網羅しています。

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本国版のプレスキットとは異なり、日本に導入されるモデルに限っての説明なのが残念ですが、日本語に翻訳されているためにスラスラと読むことができます。

アルファ・ロメオに限らず、このプレスキットは熱烈なコレクターがおり、たまにオークションに出品されたりすると結構なお値段で落札されています。
更にレアなのがセールスマニュアルで、国産車のものを見せてもらったことがあるのですが、ライバル車との比較や、セールス上での想定問答などが載っており大変興味深いものがありました。

機会があればアルファ・ロメオのセールスマニュアルも見たいものだと思いますが、そもそもそんなものがあるのでしょうか・・・(笑)

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地獄の顛末

点いたり点かなかったりのターンシグナルとハザードはコラムレバーユニットを丸ごと交換し、さらにハザードスイッチを交換しても治りませんでした。
そして、、ついにバッテリーまで上がってしまいました(泣)
916Spiderのバッテリーは助手席後部のトレー奥にあるためアクセスが悪く、しかもバッテリーが完全に上がってしまうと幌のロックを外す、ソレノイドスイッチも効かなくなってしまいますので、幌を開けることもできません。

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バッテリー上がりごときでJAFを呼ぶのは申し訳ないのですが、永年に亙り会費を払い続けてきましたので、今回は恥を忍んで(笑)来てもらうことにしました。

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さらに、その狭い後部に潜り込んでもらいバッテリーをチャージャーに接続すると、エンジンは一発でかかりました。それと同時にハザードが点滅を始めています。
そこで気がついたのですが、このバッテリー上がりはクルマが原因ではなく、単純な私のミスでした。
つまり点灯しないハザードスイッチを入れたり切ったりしているうちに、どうやら入ったままになっており、夜間に駐車をしている間に復活して点灯し始めたのでしょう。そしてそれが原因でバッテリーが上がってしまったようです。

こうなったら次はリレーの交換でしょう。と言うか最初にリレーを疑うべきなのでしょうが、どうも地獄クルマに慣れてしまっているために、単純な原因から追求することを怠ってしまっていました。
当初、不具合の可能性からリレーを外した理由は、左右のターンシグナルが点灯しなくなったのではなく、右のみが点灯しなくなったことに加えて、ハザードを一度点灯させると復帰したりしていたためで、リレーというよりスイッチ側の接触不良を先に疑ってしまったことによるものです。
早速、主治医のところに出向き、リレーをチェックし交換してもらうことにしました。

ターンシグナルのリレーは運転席足許のヒューズボックス内にありますので、交換は簡単に行うことができます。
結果は、リレーの交換で復活したのですが、今となってはリレーのみが悪かったのかそれ以外の交換した部品も悪かったのか原因の特定はできなくなってしまいました。
しかし、どのような症状であったとしても、電気系のチェックの王道は、
ヒューズ→リレー→スイッチ→ハーネス(コネクタ)→コンピュータ
と手近なものから順番にチェックして行くことで、それを勝手な憶測で怠ったのですから、まだまだ修行が足りません(汗)


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それにしてもアルファ・ロメオに限らず、イタリア車のリレーは全般的に寿命が短いと思うのですが、それもそのはずで、外して見ると、そこには燦然と、「MADE IN ITALY」と書かれていました(苦笑)

その後、しばらく様子を見ているのですが今のところは問題がないようです。しかし、イジワル魂が宿ったイタリア車のことですから、今度はどんな手で反撃してくるか・・・ちょっと楽しみです(笑)

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Drive & Lunch~葉山・秋谷~

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どこかちょっと出かけてランチを・・・と思うと、つい海に向かってしまいます。
今回は葉山(秋谷)でお気に入りのお店を紹介したいと思います。
湘南はこれからの季節、海水浴客でごった返し、道路は大渋滞してしまいます。以前は横浜横須賀道路を逗子で降りて、逗葉新道経由で長柄か渚橋で海岸沿いの道路に出なければならず、このルートは江ノ島方面の海岸に行くクルマと共通なため、夏場は渋滞が酷くてとても行く気にはならなかったのですが、現在は湘南国際村を経由して秋谷に抜ける道ができたために、逗葉新道の渋滞さえ我慢すれば、意外に渋滞せずに行くことのできる穴場なのがこの森戸から佐島の間なのです。

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その秋谷にあるのがマーロウです。
ここの名物であるプリンがTV番組で芸能人のお土産に取り上げられたおかげで有名になり、マーロウはプリンのお店と思っている方もいらっしゃるようですが、秋谷にある本店はレッキとしたレストランで(苦笑)、地元の食材を使って調理される料理はそのどれもが美味しく、こんなに有名になる以前から機会があれば通ってきた店です。

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この本店の最大の問題は駐車場で、店の横の駐車場はいつも満車です。しかも立地の問題から急斜面にあるために駐車しにくいことこの上ないのですが、ここに格好良く駐車できれば、助手席の女性のウケもきっと良いでしょう(笑)

店内入り口はプリンを買い求めに来た客で混雑していますが、食事だと告げれば店内に案内してくれます。
しかし、私は店内で食事をしたことは殆ど無く、混雑している入り口には入らずにテラスに直行してしまいます。どういうワケかここのテラスは人気がなく、いつも店内は混雑しているにも係らず空いていることが多いのです。

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そのテラスからは道を隔ててはいるものの、海が一望できます。今日はここでランチを頂くことにしました。
マーロウのメニューの最大の特徴は地元の食材を使っていることで、その食材に工夫を凝らしていつも楽しませてくれます。
今回の料理のチョイスも地元の新鮮な食材にコダワって見ました。

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オードブルはアオリイカとカラスミのカルパッチョです。ご承知のようにアオリイカは春から夏にかけてが旬で三浦の海の幸として有名です。その甘味のある身肉はどんな調理にも合うのですが、軽く茹でたアオリイカの上にカラスミを削って振り掛けられたソースは絶品でした。

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サラダは地元の野菜をメインにしたものでしたが、その中でも驚いたのがとうもろこしでした。実は生のとうもろこしが入っているのですが、茹でていないにも係らず渋味がまったくない上に甘味が強く、本当に美味しかったです。

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今回はちょっと贅沢をしてしまいましたが、鮑のステーキを頂きました。鮑はもちろん目の前の海で獲れたもので、お値段は時価なのですが、都内で食べるよりも遥かに安いので、ちょっと頑張って見ました。

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三元豚をチャーシューにして、それを更に焙ったステーキです。これも意外だったのですが、本来ならそんなことをすると硬くなってしまうはずなのですが、その脂は甘く、ちっとも硬くなっていませんでした。白いご飯・・・が欲しくなる一品です(笑)

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パスタはこれまた湘南名物のシラスと帆立貝をチョイスしました。桜海老やシラスは食材としてはどんな料理にも合うと思いますが、特にパスタとの相性は良いと思います。

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最後のデザートですが、やはり名物のプリンでしょう。組み合わせは選べるそうですが、今回はお任せしてみたところ、マンゴーと抹茶のプリンでした。
マーロウのプリンはテイクアウトの場合はガラス製のビーカー瓶に入っています。このビーカー瓶は食べた後も調理用具として重宝するのですが、ちゃんと洗って返却すれば次回は割引をしてくれますのでエコだと思います(笑)
プリンは定番のカスタードだけでなく、季節限定のものも含めればだいたい常時20種類以上の品揃えで、いざ買うとなると迷ってしまうのですが、一度食べるとまた食べたくなると思いますので、さらにお土産で買って帰るのもアリだと思います。

このマーロウは都心から1時間のドライブで楽しめる休日のランチスポットだと思います。どうしても都心から湘南に行く・・・というと1日がかりとなり、つい構えてしまうというハナシを良く聞くのですが、うまく渋滞する時間帯を外したり、ルートを工夫すればもっと気軽にドライブが楽しめるエリアだと思います。

ちょっと贅沢なランチに大切なヒトと出かけてみてはいかがでしょうか。

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極悪のススメ

前回のブログでアルファ166の概要をご説明しましたが、そのきっかけとなったC君の新しい愛車となるアルファ166は結論から言うと、全然「アリ」なモデルでした。
先週C君から送られてきたメールで彼が愛車であるアルファ164QV(Quadrifoglio)を手放すことを知ったのですが、彼の愛車は総走行距離20万キロで、彼の許で11年15万キロを共にしたクルマですので、その決断がどれほど断腸の思いであったかは、自分の経験と照らし合わせれば痛いほどに分かりました。ですので、決してその決断をどうこう言うつもりはなかったのですが、次期愛車がアルファ166と聞いて、正直最初はしっくりと来なかったのも事実です。
しかし、彼からそのアルファ166の仕様を聞いたときに、これは何を差し置いても見学しなければ・・・と興味が湧き上がって来ましたので、横浜のオーナーの許にクルマを引き取りに来るという彼に同行することにしました。

岐阜から新横浜に新幹線でやって来る彼を迎えに行くために、ベイブリッジを走行していると後方からゆっくりと見慣れないクルマが近づいてきます。だんだんと近づいてくるそのクルマは何と!8C Competizioneではありませんか!
5月のALFAROMEO DAYでは間近に観察することができたのですが、イベント以外で公道を走る8Cを見たのは初めてでした。
かねてより、ブチ抜かれてみたいと思っていましたし、幸いなことにオープンで走行していましたので、そのエンジン音も堪能することができるでしょう。
私は、左側の走行車線にクルマを移動させ、後方からの8Cを待つことにしました。
ところが期待の8Cはなかなか近づいて来ません。慣らし運転中なのかヤル気がないのか、制限速度でゆっくりと流している8Cにブチ抜いてもらうためにはどーすれば良いか考えながら、走行車線でさらに減速して待っていると、ようやく追いついた8Cは「静かに」抜いて行ってくれました(苦笑)
残念ながら例の高回転のサウンドを聞くことはできませんでしたが、抜かれざまの後姿はやはり感動モノでした。

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新横浜で待つことしばし、C君がとても上品なアロハシャツでやって来ました。奇しくも私もアロハシャツだったので、まるで兄弟のようになってしまいました(爆)
しかも、この図体のでかい二人がSpiderに乗ると相当暑苦しいのですが、そんなことも言っていられませんので早速、オーナーの許に出発です。しかし、これでは取立て屋と間違えられても文句は言えません(泣)
週末の夕方ということもあって結構道が混んでいたのですが、目指すアルファ166が駐めてある駐車場でそのクルマを初めて見たときに、彼の選択はなかなかのものであったことを確信しました。

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ボルケーノブラックと名付けられた少し茶色がかった黒という、恐らく日本車では絶対に設定しないであろう独特なボディカラーのアルファ166は相当「悪そう」に見えるのですが、そこがまたC君に似合っています(苦笑)
しかし、このアルファ166の最大の特徴はそのボディカラーではなく、本国仕様の左ハンドルであることと、6速のMTであることです。しかも、内装はSuperと呼ばれるウッド仕様という珍しい組み合わせで、恐らく日本には殆どないモデルです。

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前回のブログでも書きましたが、アルファ166の特徴の一つであるサイドのプレスラインはこのクルマのようなダークカラーの場合に、より一層強調されることになります。このラインのおかげで、光の反射が変化し、ともすればのっぺりとしてしまうボディサイドに変化を与えていることが分かります。
アルファ164の場合は、サッコプレートと呼ばれるブラックのパネルをボディ下半分に貼ることにより、車体全体を薄く見せようとしていましたが、最近はこういったプレスラインのアクセントで変化をつけるのがトレンドとなっているようです。それにしてもここまで強烈な「抉り」は珍しいのではないかと思います。

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個人的にはこの角度からの眺めが一番美しいと思うのですが、前述したサイドのプレスラインの効果がお分かりいただけるでしょうか。

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テールランプのスタイリングは、アルファ156のデザインを踏襲していますが、その造型は全く異なります。

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その立体的な造型は後のアルファ147にも引き継がれるのですが、よく観察すると実に複雑な面構成で作られています。

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これは中古並行で輸入されたもので、現オーナーが3年前に購入したそうですが、走行8万キロであるにもかかわらず、シートのヘタリも最小限で、後部座席は殆ど使われた形跡がありませんでした。

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私は内装をチェックする際には必ず運転席のドアの内張りを見るようにしています。シートやダッシュボードは磨いたり補修したり、結構誤魔化しが効くものですが、見落とされがちなのがドアの内張りで、その中でも運転席側が酷使される部分ですから、スイッチの爪傷などを見れば、それまでのオーナーのクルマの使い方や走行距離が妥当かなどが推測できるのです。

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もちろんC君もちゃんとチェックしたでしょうから、何の問題もありませんでした。

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エンジンは3.0L 24VのV6エンジンです。私達には馴染みのあるエンジンですが、このエンジンだけでもアルファ166を買う価値はあると思います。もはや二度と作られることのない珠玉のV6エンジンだと思います。

この個体はイロイロと手が加えられていました。こういったモディファイは好みの問題もあるかと思いますが、新しいオーナーも同じ事を考えているのであればお買い得と言えるでしょう。

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エンジンは基本的にはノーマルでしたが、エアインテークのホースがシリコンホースに交換されていました。シリコンホースは熱で膨張しないのと耐久性が高いのが特長ですが、街乗りのクルマでその効果は殆ど実感できないでしょう(笑)
ただ、赤のホースがアクセントになっており格好良いとは思います。

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マフラーも触媒から後部は交換されていました。このテの後付マフラーは野太い音がするものですが、このマフラーはアイドリングでは勇ましいコモリ音がするものの、走り出して回転を上げるに従って静かになるマフラーでした。恐らく性能重視で開発されたマフラーであろうと思いますが、オリジナルのマフラーも残っていますので、後はC君の「お好み」でしょう。

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一番の悩みどころがこのホイールで、18inchが装着されていました。確かに格好は良いのでしょうが、乗り心地を考えると17inchが妥当ではないかと思います。

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タイヤサイズも225-40-18というサイフに優しくないサイズです(苦笑)
これまたオリジナルのホイールも付属していましたので、今後どうするかはC君の判断だと思います。
ちなみにダンパーはKONIで、コイルはアイバッハに交換されていましたので車高も3cm程下がっているのではないでしょうか。そのせいもあって、この18inchホイールはアルファ166を随分と獰猛に見せることに成功していました。

アルファ166をどのように乗りこなすか・・・は個人の好みの分かれるところだと思いますが、こういう極悪仕様(C君は「ちょい悪仕様」と言ってます)もアリで、一歩間違うと族車のようになってしまうところをセンス良く乗りこなすのは難しい反面、素敵だと思います。でも、このクルマにアロハシャツで乗るのは・・・ねぇ(苦笑)

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そして、その夜はアルファ164オーナーズクラブの仲間が集まり、アルファ166のお披露目をしたのですが、アルファ164と並べて見るとなかなか壮観で、新旧のアルファ・ロメオのフラッグシップサルーンは各々に魅力があることが再確認できました。

さて、これからこのアルファ166はC君の許でどのようなモディファイを施されて行くのでしょうか。
さらなる極悪への道を極めるのか、更生への道を辿るのか・・・それを見るのも楽しみです。

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アルファ166があるじゃないか・・・

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アルファ166ほど評価の微妙なアルファ・ロメオはないと思います。

アルファ164の後継車種として、1999年にアルファ・ロメオの最上級車種としてデビューしたアルファ166ですが、販売は思わしくなく、その後継モデルの開発もキャンセルされてしまい、現在このクラスはアルファ156の実質後継モデルであるアルファ159に統合されてしまいます。
そんなアルファ166ですが、発売当初はアルファ164からの乗り換え需要を狙って、アルファ164オーナーズクラブにも紹介があり、試乗する機会を設けてくださったり、雑誌の取材やらを受けたのですが、アルファ164が好きで集まっているオーナーにアルファ166がウケるはずもなく、リップサービスで誉めはするものの、皆は心の底ではアルファ164が最高!と思っており、この後継車を気に入っていないことは明白でした。

特に発表された当初はそのデザインに賛否両論が渦巻きましたし、販売を始めてからはその車格からライバルであるメルセデスのEクラスやBMWの5シリーズと比較され、製造品質についてあれこれ言われ、フェイスがイマイチだらしないとの悪評で、2004年にマイナーチェンジをしてジゥジアーロがフツーのフェイスに変更をしたら、途端に今度は前のフェイスの方が良かったとか何とか・・・(笑)
とにかく非オーナーである外野の声が大きく、意外にオーナーからのナマの声が聞こえてこないのは、ひとえにその販売台数の少なさによるものではないかと思います。

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アルファ・ロメオ全般に言えることだと思うのですが、そのデザインの先進性(特異性?)は発表されてすぐの時期では拒否反応の方が大きく、しばらく経ってから・・・と言うかむしろ生産中止の声が聞こえてくると、ようやく正当な評価を受けるということの繰り返しであったと思います。
ところがアルファ156で、その今までの傾向はイッキに払拭され、発売と同時に大評判となったのはご存知の通りですが、そうなったらなったで昔からのアルフィスタは素直に喜べないのもまた悲しい性なのでしょう。
そんな中にあってアルファ166は久しぶりに新車を見たときに意見が分かれたモデルで、その意見が分かれるところがアルファ・ロメオらしいモデルであったと言えます(苦笑)。

デザインは当時のアルファ・ロメオデザインセンター(Centrostile)でアルファ156、147と立て続けにヒットを飛ばしたワルター・デ・シルバによるもので、既に完成していたアルファ156のイメージを踏襲しながらデザインされたアルファ166は、そのボディサイズ以上に存在感のあるデザインに仕上がっていたと思います。
アルファ166のデザイン上のハイライトはボディサイドの窪みで、かつてこれほどまで大胆にプレス処理でボディを抉ったクルマは無かったのではないかと思います。おそらくプレス工程で相当なコストアップを覚悟しなければならなかったと思いますが、アルファ147でも採用されたこのアイキャッチはデ・シルバのデザインアイデンティティとして、アルファ164のサイドプレスラインがそうであったのと同様に、この時代のアルファ・ロメオの特徴となっていました。

エンジンラインアップは2.0L直4TS(ツインスパーク)エンジンに始まり、2.0LV6Turbo、2.5L V6、3.0L V6、3.2L V6、に加えて直5ディーゼルと豊富で、日本には2.5Lと3.0LのV6エンジン搭載モデルが輸入されました。
ミッション形式も5速、6速MTにZF製4速ATとアイシン製5速ATが搭載されたのですが、どういうワケか日本に輸入されたのはZF製の4速ATモデルのみでした。この車格から考えると、セレスピードではなく、通常のATミッションが選ばれたのは当然と言えば当然でしょうが、何故アイシン製のものではなかったのかは謎です。
確かにこのクラスのクルマを通常のMTでドライブしよう・・・というオーナーなぞ殆どいないと考えるのは常識で、カタログモデルは無情にもATのみの設定となっていたのですが、アルファ・ロメオに限って言えば決してそんなことはなく、むしろ恐らく最後・・・と思われたオリジナルのV6エンジンを思う存分唄わせたいと考えると、MTという選択は充分あり得たと思います。
実際に初期の輸入ロットで「間違えて」(笑)、輸入されたMTモデルはあっという間に売れてしまい、正規モデルのATがなかなか売れないという結果となってしまいました。せめて受注後本国オーダーであったとしても、MTモデルの輸入をしていたなら、他社のライバル車と差別化できてもう少し売れたかも知れませんが、もともとがそんな少量販売を狙っていたワケではなかったでしょうから、それは「ないものネダリ」でしょう。

私もまだ正規輸入される前に並行業者が輸入したドイツ仕様の2.5L ATモデルに試乗したことがありますが、正直あまり印象は良くありませんでした。もちろん各部の建てつけや内装の質感はアルファ164と比べると雲泥の差で、アルファ・ロメオもここまで来たか・・・と感涙モノだったのですが、いざ乗り出して見ると、回転半径の大きなところはご愛嬌としても、そのATのフィールが何とも悪く、某○菱のディアマンテのような乗り味だったと記憶しています。
また当初は感涙を流した内装も、並行輸入業者の強みで、在庫していたライバルであるメルセデスのEクラスやBMWの5シリーズと並べて見比べてみると、やはり見劣りする部分もあり、その社長には「並べて売らないほうが良いよ」とアドバイスしたのを憶えています。

当時ようやく実用的になってきた電子制御デバイスはほぼテンコ盛り状態で、コーナリング時の横滑りを制御し、危険回避時のドライバー操作を補助するVDC(ビークル・ダイナミック・コントロール)、駆動輪スリップを防ぎ適切な駆動力を確保するASR(アンチスリップ・レギュレーション)、駆動輪のホイールロックを防ぐMSR(エンジンブレーキ・トルクコントロール)、緊急制動時に最大制動力を発揮するブレーキアシスト機構HBA(ハイドロリック・ブレーキアシスト)などの装備は確かにライバル車には抜きん出ていましたが、それは新型車であれば当然と言えば当然でしょう。
これらの制御デバイスも当時は、アルファ・ロメオであることを考えると、本当に動くのか?と心配になる気持ちのほうが強かったのですが、考えてみるとこれらはアルファ・ロメオが開発したワケはなく、BOSCHやシーメンスと言った制御メーカーが開発したものでしょうから、その信頼性はクルマ本体以上であると思います(苦笑)

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最大の問題はインパネのコントロールパネルで、ICS(インテグレーテッド・コントロールシステム)と呼ばれるそれは、フルオートエアコン、ラジオ、トリップコンピューターなどを一括してこの画面で操作し、さらに標準装備されているナビゲーションシステム、10スピーカーサウンドシステム、DSPデジタルアンプ、6連装CDチェンジャーなども、この画面で集中制御するようになっていました。しかもその操作はタッチ式液晶画面で行うもので、もしこの液晶パネルが壊れたらどーなるのか?と恐ろしくなるシステムでした。
さらに、日本仕様に搭載されていたナビゲーションシステムはお世辞にも最新式とは言えず、むしろ旧モデルの在庫処分品を買い叩いたのではないか?と思わせるレベルでしたから、このICSは故障のリスクのみを抱えた邪魔モノでしかありませんでした。

いずれにせよアルファ156の成功を受けて登場した、アルファ・ロメオのフラッグシップサルーンであるアルファ166は日本だけでなく、本国でもあまり売れなかったモデルです。
ではダメクルマなのか・・・と言うと、今となってはその魅力がどんどん増しているアルファ・ロメオの大穴クルマではないかと思います。

今回、何故急にアルファ166を取り上げたのかと言うと、アルファ164オーナーズクラブの仲間であるC君がこのアルファ166を20万キロ乗ったアルファ164の後継車として購入したからなのですが、その個体はゴダワリ抜いて選ばれたもので、次回のブログで是非ご紹介したいと思います。

さて、C君の選択は正しかったのでしょうか・・・。

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点かなかったり点いたり・・・

ナニゴトもない・・・とお伝えしている916Spiderは、確かに走行に支障が出るようなトラブルはなく、毎日元気にアシクルマとして活躍してくれているのですが、前回の記事でコラムスイッチを交換したことをお伝えしたにもかかわらず、その交換の原因となったターンシグナルの不具合は解消されませんでした。
それは、たまにターンシグナルやハザードが点灯しない・・・という症状で、常に点灯しないのであれば即修理ということになるのですが、点いたり点かなかったりと症状が安定せず、つい放置してしまっていました。
コラムスイッチを交換してもこの症状が消えないということは・・・と次の原因として考えられるのがハザードスイッチでした。ご承知のようにハザードスイッチは左右のターンシグナルを常時点灯させる回路となっており、コラムスイッチは、その回路の左右どちらかを遮断することで、ターンシグナルとして機能しているワケですから、このハザードスイッチの接触が悪いと、いくらコラムスイッチが正常でも、電気が流れない・・・という可能性はあります。

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放置と書きましたが正確には部品待ちで、悪名高い?「本国オーダー」というステータスのまま、待てど暮らせど部品が来ないという状態だったのですが、特段それ以外の手段で探してもいませんでした。しかし、流石に最近はその不具合が目に余るようになってしまったので、本腰を入れて部品を入手することにしました。

こんなものは仮に日本国内で欠品でも本国にはあるだろうと、ePERで部品を検索すると・・・

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ありました。このスイッチユニットを入手し、交換すれば完治するはずです。
いつものAlfissimo Internationalに連絡すると、独立記念日の休暇で休んでいるとの自動案内でメールの返事が来たのですが、私からのメールをそんな状態で放置するワケはなく(笑)、ちゃんと裏メールアドレスで返事が来ました。日本ではままあることですが、アメリカでは休みにもかかわらずこうやってシゴトをするというのは通常では考えられないことです。
しかし、残念ながらその返事とは・・・

「No longer available」というもので、欠品どころか製造中止品だと言うのです。ちなみにN/Aという表記される場合はこの製造中止品を意味し、B/Oと表記される場合は「Back Ordered」という意味で、一時的な欠品を意味します。

さて、困りました。仕方ないので中古部品を探すことにしてアルファ・デポの坂野さんに連絡をして見たところ、さすがにすぐ手配をすることができ、主治医のところで交換することとなりました。

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これまた当たり前ではありますが、たかがスイッチの交換と言っても、その作業はオオゴトで、インパネをバラさなければなりません。

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まずは、サイドコンソールを外し、インパネの解体に取り掛かります。

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オーディオを引き抜き、さらに上部のルーバーを外すと、いよいよ取れるか?と思いきや、さらに隠しネジがあります。それはクライメイトコントロールの調節ダイヤルの奥にあるために、ダイヤルを引き抜き、そのネジを外すとようやくインパネを外すことができます。

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インパネの裏側はこんな風になってます。以前のアルファ164の場合は臓物よろしくハーネスが中でのたくっていたのですが、さすがにユニット化され整然としています。

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外したスイッチの裏側を見てみると、実に単純な回路です。しかし、半田が劣化すると接触不良を起こすことがありますので、もはや欠品となったこのスイッチも再生して予備部品として保管しておくことになりました。

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一方で坂野さんから入手した、中古のスイッチですが、

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基板の材質が違いますし、さらに微妙に中の回路も異なっています(苦笑)。
しかし、品番は共通ですし、スイッチそのものの機能は同じでしょうから、このまま装着することにしましょう。

さらに照明用のランプも劣化していたので、この際ですから交換してもらうことにしました。

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たかがムギ球なのですが、その交換のためには上記と同じようにインパネを外さなければなりませんから、こうした作業は一度にやっておくことが主治医にも負担をかけず、お互いに幸せだと思います。

さて、ハザードスイッチを交換してこれで問題が解消されたか・・・に思えたのですが、交換してすぐは問題がなかったにも係らず、実は相変わらず症状が出てしまいます。どうやら原因はコラムスイッチでもハザードスイッチでもないようです。
規模は小さいものの久しぶりの地獄の予感がしてきました。

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バブルの功績~アルファ・ロメオの広報誌~その参

アルファ・ロメオの広報誌であるこの「Quadrifoglio」に関しては、その内容をもっと詳しく・・・とのご要望も頂いているのですが、流石に著作権等の問題もあり、その内容をお伝えするには限界があるのですが、それでもこの第三号は詳しくお伝えしたい・・・という欲求が湧き上がってくる内容です(苦笑)

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第三号が発行されたのが1993年4月なのですが、ご存知のように1993年はアルファ155V6TIがそれまでのイタリアツーリングカー選手権からDTMに出場し、総合優勝を成し遂げた年で、それまでのFFのアルファ・ロメオなんて・・・という不人気を払拭し、"Forza AlfaRomeo!"とばかりにアルフィスタが熱狂した年でもあります。

それでも巻頭特集は創刊号からブレることなく、知られざるイタリア紀行?で、今回はアブルッツオというアペニン山脈の山間の街を紹介しています。

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この記事を読むまで全く知らなかったアブルッツオはイタリア半島の中ほどの東のアドリア海側、ちょうど長靴のふくらはぎの下辺りにある街だそうで、中世の雰囲気が色濃く残る場所です。

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とにかく掲載されている写真が素晴らしく、それを見ているだけでも行ってみたい・・・と思わせる記事で、この創刊号から第三号に亘っての特集は珠玉の紀行文となっています。

そしてこの第三号で最も興味深かった特集が、「復活したレーシングドライバー、ナニーニ、155GTAとQ4を語る」という記事で、内容もさることながらその見開きの写真があまりにも素晴らしいのです。

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この構図のセンスは流石です。合成写真で1台のアルファ155を表現しているのですが、左半分のノーマル155Q4の横にはレーシングスーツ姿のナニーニが、そして右半分のレーシングカラーを身に纏った155GTAの横にはタキシード姿でシャンパングラスを持つナニーニが立っているという構図は、そうそう考え付くものではありません。
まさにメーカーの広報誌ならでは・・・といった写真ですが、その記事内容はさらに濃いものです。

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アレッサンドロ・ナニーニはF-1パイロットとして将来を嘱望されていた1990年にヘリコプター事故で右腕切断という大怪我をし、そのドライバー生命を絶たれてしまいます。それでも度重なる手術とリバビリを続けた彼に、ドライバースシートをオファーしたのがアルファ・ロメオで、新型155GTAでイタリアのスーパーツーリズモ選手権へ出場することになったのです。
アルファ・ロメオもアルファ75が旧態化し、BMW-M3に苦戦していたレースでのトップ争いへの復帰と、ナニーニの復帰を切に願っていたからで、ナニーニの起用はある種の賭けだったと思います。

しかしその賭けにアルファ・ロメオが望外に勝利したことはその後のDTM、ITCでの彼の活躍を見れば分かるのですが、この記事が書かれた当時は、まだDTMでの活躍前であったことを考えると、彼の試乗記はそれを予感させるものとして実に興味深いものがあります。
彼はこの記事で、レーシングウェポンとしてこのアルファ155GTAをトップ争いができるクルマであると評価しているのですが、それは同時に彼自身もレースでトップ争いができる状態にあることを実感させてくれます。
そしてアルファ155Q4をスポーツセダンとして絶賛しているのは、メーカーの広報であることから当然とは言え、その内容には説得力があります。
とにかくこの記事は読み応えがあり、全文をご紹介できないのが本当に残念です。事実、当時の彼はアルファ155Q4を愛車としており、それで居並ぶ高級車を差し置いてモナコのパーティ会場にも乗り付けたそうですが、そのときのエピソードもふるっています。

そしてイッキにマニアックな記事に戻るのですが、今回のテーマは「ノスタルジーを満タンにして振り返るガソリンポンプの歴史」と題したガソリンスタンドにある給油ポンプの変遷についての記事です。

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どんなものであっても、掘り下げていくと薀蓄があるものですが、ガソリンポンプという当たり前?のものをこれほどまでに深く考察した記事があったでしょうか。デザインとしても優れているこの給油ポンプはアートとしても成立していると思います。

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続いての記事は連載のカロッツェリアの歴史シリーズですが、いよいよ真打登場ということで、今回はピニンファリーナの特集です。

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以前の特集で紹介されたスタビリメンティ・ファリーナ社から独立することで設立されたピニンファリーナは、1930年から現在に至るまでイタリアのカロッツェリアをそのデザインだけでなく経営戦略の上でもリードし続けている会社ですが、この記事での最新作はアルファ164で、ピニンファリーナが求め続けた自動車の美しさが連綿とその作品の中で受け継がれている様が良く分かります。

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初期のピニンファリーナの作品であるアルファ・ロメオの6C/8Cをベースにしたものも、当時の時代の最先端を行くスタイリングであったことが分かります。

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そしてさらに最新のアルファ164に至るまで、本文8Pによりその歴史を紹介しているのですが、専門書に比べると随分と簡素化されているものの、ツボを抑えたその記述はピニンファリーナのクイックレビューとして価値のあるものだと思います。

どうやら発行時期からして、ナニーニの記事だけでは不十分と考えたのか、恐らく急遽追加されたのであろう記事が、アルファ155GTAのレースでの活躍を報じたこのコラムです。

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そして、いよいよ翌年からデビューすることになるDTM仕様の155V6TIのプロトモデルも紹介されています。

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最近ではhpiのミニチュアで再現されたこのプロトモデルですが、小さく写真が掲載されている例のカラーリングを施される前のブラックボディは違った迫力があります。

そして最後はようやく広報誌らしく(笑)、アルファ・ロメオのアクセサリー類の紹介です。
今でこそ様々なアルファ・ロメオグッズが販売されていますが、当時はまだ貴重で、メーカーノベルティの枠を超えたセンスのあるこれらのアクセサリーはそのお値段も結構なものでしたが、欲しくなる逸品ばかりでした。

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お伝えしたように、アルファ・ロメオの広報誌である日本語版の「Quadrifoglio」はこの三号で途絶えてしまいます。
これだけの内容ですので、年1回の発行でも良いので続けてもらえればと思いますし、実際にそう願っているアルフィスタは多いでしょう。
全紙面が美しいアート紙と、その紙質にふさわしい写真で綴られたこの広報誌の復活を願って止みません。

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ブログの威力

些細なきっかけで始めたこのブログですが、気が付けば足掛け3年にもなり、当初は訪れていただける方も少なかったのですが、今や毎日300人から400人もの方にご覧いただけるようになりました。
最初の頃は知り合いだけであった読者の方も、いつしか面識のない方のほうが遥かに多くなっているのですが、実際にブログを書いているときにはそんな実感はありません。
しかし、イベントなどで「510190さんですよね」などと突然話しかけられると、やはりブログの威力を思い知ることになります。

先日も某カー用品店の階段を上がっていると後ろから突然、声をかけられました。

「失礼ですが天国と地獄さんじゃないですか?」

私は「天国と地獄さん」ではないのですが(爆)、すぐに読者の方だと分かりましたので、ちゃんと本名を名乗ってオハナシさせていただきました。
どんな呼びかけ方でも構わないのですが(苦笑)、もし見かけたら人違いにだけはご注意いただいて、気軽に話しかけていただければと思います。

そんな中でも不思議な出会いもありました。それはN君なのですが、彼は以前アルファ164オーナーズクラブに所属していました。そのときに名簿では彼の名前を見て知っていたのですが、残念ながら遭う機会がないまま、彼はアルファ164を手放し退会してしまいました。

それからしばらく経ってからのことです。高校の同窓会のメーリングリストの登録案内があり、自分のメールアドレスを登録したところ、N君からメールが送られてきました。

「ひょっとしてアルファ164オーナーズクラブの事務局をやってませんか?」

私はびっくりしてしまいました。高校の同窓会とオーナーズクラブは自分自身にとって全く別の世界で、おおよそ接点なぞあるとは思ってもいなかったのです。

彼はナンと高校の同級生だったのです。そのあまり一般的ではない特徴のある名前はどこかに引っかかってはいたのですが、前記のように自分自身の中では別の世界だったために、その名前を結びつけて考えもしなかったのです。
一方の彼もクラブのメンバーであったときには全く気が付かず、同窓名簿の中の私のメールアドレスを見て初めて気が付いたのですから、彼もきっと私と同じだったのかも知れません。

そして特にお知らせしたワケではないのですが、このブログも愛読していただき、更に同窓会のメーリングリストで全同窓生に紹介までしてくれました(苦笑)
かくして私の趣味は同窓生に知れ渡ってしまったのですが(笑)、なかなかこのような一般的ではない趣味の世界は、N君のような同好の仲間以外には理解していただけるとも思えませんので、きっとたまに読んでいただいているであろう同窓の皆さんは、

「相変わらずアホやなぁ・・・」

と思っているに違いありません。
高校時代はマジメにクラブ活動にいそしみ、現在よりも遥かにスマートで知性派であったはずの私のイメージが崩れてしまいましたが、まぁ事実ですのでそれも仕方ないでしょう(爆)

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しかし、そんな読者のN君からすごい情報が寄せられたのです。それは先日のブログ記事で採り上げた放置されているA112のオーナーが判明したというものだったのです。

彼はFIAT124Spiderに乗っており、その仲間とのグループメールで私のブログ記事を紹介して、心当たりを探してくれていたのです。
そして、恐るべきことにその持ち主が判明したというワケなのですが、さらにその持ち主はこのA112を手放しても良いと考えているそうなのです。

このA112は名義は前オーナーのままで、友人である現在のオーナーに譲られたもので、現在は不動状態となっているそうです。
不動の原因は定かではありませんが、セルは廻るもののエンジンに火が入らないとのことですので、点火系かキャブのどこかではないかと思われます。ご承知のようにABARTHチューンのエンジンとは言え、そんなに難しいエンジンではありませんので、恐らく解決するのではないかと思います。

ご両人ともこのまま朽ち果ててしまうのは忍びないと考えているそうですので、里子に引き取って甦生させてくれる方がいればお譲りしたいとのことです。お値段に関しては絶滅危惧種?が甦生することのほうが重要なので、「言い値でお譲りします」とのことです。
ご説明したように不動状態ですので、引き取りに際しては買い手側でローダーの手配が必要となります。
ただ、お二人とも多忙で、7月18日、19日、20日の連休くらいしか時間が取れないとのことですので、我こそは・・・とお考えの方は是非私までご連絡をお願いします。

その後のことは当事者同士で決めていただければと思いますので、先方の連絡先をご案内させていただきます。

それにしてもブログの威力を思い知った出来事でした。

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されどライト

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私の周囲には115Spiderが2台あるのですが、そのうちの1台はもはや自分のクルマと言って良いほどその全てのメンテナンスを担当しています。
そして、もう一台は友人のR君のもので、炎天下に奈良まで買い付けにつき合わされ自走で東京に戻ってきてから、ほぼもう一台の初期化メンテナンスと同じ項目を実施してきた個体です。
そういう意味ではクルマの状態はほぼ同じ・・・と言えるのですが、仕様は微妙に異なっています。緑スパが正規のディーラー車であることに対して、赤スパはヨーロッパ仕様で、ホイールが標準の14inchであり、ハイマウントストップランプがないのですが、一方でオプションのクーラーとエアバッグが装備されているという非常に珍しい組み合わせの個体です。しかし、このクルマの仕様は謎で、何故かテールランプが北米仕様のものが取り付けられているのです。
単純な推測では、どこかでテールランプを割ってしまい、北米仕様の部品しか手に入らなかったためにそのまま交換されてしまった・・・というのが順当なところですが、テールランプを始めとする灯火類は各国の安全基準が異なっているために、仕向け地毎に変更されているのが普通です。一番大きな違いはフロントライトの光軸で、左側通行と右側通行では異なっているためライトそのものは2種類存在します。また、日本やヨーロッパの殆どの国はターンシグナルが黄色で、北米は赤という規則ですが、ひょっとしたらヨーロッパの中でも赤の国があるのかも知れません。

今回はその赤スパに急遽、黄色のテールランプを貸すことになったのですが(謎)、貸している間は緑スパにその赤いテールランプを装着することにしました。所謂、交換ということになるのですが、不思議なもので印象が随分と異なります。

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こちらが日本国内仕様の黄色のターンシグナルのテールランプです。白く細いストライプがライトレンズの下部に貼ってあり、左右のターンシグナルが黄色く点灯します。

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こちらは北米仕様?の赤色のターンシグナルです。どちらかと言うとこちらのほうがスッキリしています。
交換は簡単で、トランクルームのカーペットを剥がし、ネジを外すとユニットがスッポリと外れます。

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ところが、永年の泥や埃で固着しているため、とてもそのまま再装着する気にはなりませんので、良い機会と洗ってやりました。ただし錆が怖いのであまり水を多く使うことはできませんが、それでも随分と綺麗になりました。

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実はこの日本仕様のテールランプは貴重品で、現在は欠品となっています。北米ではもちろん部品を入手することができるのですが、このような事情からターンシグナルの色が異なってしまいます。

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こういった保安部品は各国の基準が異なるため、世界中を探して・・・というワケにも行かず、どうしてもという場合は、別途配線を引きなおして黄色いターンシグナルを独立して付けなければなりません。昔の輸入車は日本の法規にあわせるため、日本に輸入されてからこういった後付の改造が施されていたのですが、インポーターがちゃんとメーカーの子会社である場合は、製造ラインで対応部品を装着されて来るようになり、そんな後付改造は必要なくなったのは良いことなのですが、一方で部品供給を絶たれると途端に困ってしまうのです。

さて、ついでですので、先日アメリカから届いたSpider用のライトリムを交換してもらうことにしました。

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フロントライトのライトリムは115Spiderのチャームポイントだと思うのですが、経年劣化でメッキに錆が浮いて来ていました。また、このリムの構造は一番細い部分をビスで留めてあるために、その部分にテンションが集中し、折れてしまっています。

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交換は簡単で、その役に立っていない(苦笑)ビスを外し、上部のツメを外すとリムが外れます。

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ライトリムにはゴム製のパッキンがあり、本来ならば一緒に交換するべきパーツなのですが、注文するのを忘れてしまったため、現在のものを流用することにしたのですが、劣化も殆どなかったためおそらく問題はないでしょう。

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交換後のリムです。あまり写真では分かりづらいですが、随分と美しくなりました。

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こんな小ネタができるようになったのも、初期化のメンテナンスが一段落したからなのですが、Sr.4のSpiderはこういった細部に手を入れると佇まいが良くなりますので、これからも気になる部分はリフレッシュしてやりたいと考えています。

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海外部品輸入地下組織のオシゴト

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いつの間にか海外から部品を調達するようになってしまいました。
当初は自分のために始めた輸入で、一番最初に輸入したのはアルファ・ロメオ、フィアットの部品を扱うアメリカのInternational Auto Parts(IAP)からだったと思います。その後にイギリスのDemon Tweeksなどにもオーダーするようになったのですが、一般的な通販と同じで、在庫の照会から発送手配まで各社毎に対応が異なっており、新しい相手にオーダーする場合は、本当に無事に届くかヒヤヒヤしたものです。それでも頼んだ部品が到着して、その中味を検品するのは楽しみで、いつの間にか日本国内で欠品している部品だけでなく、その他のものも頼むようになり、さらに現在では自分のための部品というより、仲間のための代理手配ばかりとなってしまっています。

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殆どのユーザーは通常は整備工場が部品をオーダーして交換してしまいますので、こうして部品に触れたりする機会はないのですが、個人で部品手配をするとその部品を詳細に観察することができるため、金属加工の精度であったり、その構造や材質を見て、壊れるべくして壊れたことを妙に納得できたりして、それだけでも手許に部品が来ることは随分と勉強になったと思います。
もちろん海外で部品を調達する最大の理由は国内では手に入らないからなのですが、この手に入らない・・・というのが曲者で、自動車部品には様々な流通経路があり、一概に手に入らないとは言えない部分もあるのです。

アルファ・ロメオを例に取ると、通常の調達ルートはインポーターであるフィアットグループ・オートモービルズ・ジャパン(旧FAJ)からとなります。インポーターは責任在庫として自分達が輸入したクルマの部品は日本国内で在庫を持っていますので、殆どの整備工場はこの調達ルートで部品をオーダーします。ディーラーなどは在庫データベースの端末を持っており、その場で在庫の有無を確認することができますので、もし幸いなことに国内で部品があれば、中1日程度で部品を手に入れることが可能です。しかし、不幸にも国内在庫がなく、本国在庫であった場合には暫く待たなければなりません。これが一般的に「本国オーダー」と呼ばれているもので、1個の部品をイタリアから日本に送るのはあまりに不経済ですので、通常は数ヶ月に一度、まとめてこうしてオーダーされた部品が送られてきます。タイミングがうまく合えば1ヵ月程度で部品は届くのですが、最悪だと半年ほど待たされる場合もあります。

そして本国在庫もない場合は、「欠品」という状態になるのですが、欠品にも2種類あり、一次的な欠品で再生産されるものと、生産中止によりもう二度と手に入らないものがあるのです。
本国の在庫データベースを確認すればそのどちらであるかが分かるそうなのですが、再生産予定のある欠品であったとしても、その再生産がいつになるかは、何せ相手はイタリア人ですので、「神のみぞ知る」という状態ですから、もはやこれは「手に入らない」と考えるのが妥当でしょう。
以上のように、正規の部品ルートでは国内在庫でない場合はまずアキラメるのが普通で、殆どの整備工場は国内在庫がなければ、この時点で投げ出してしまうのが当然だと思います。

それでもアキラメられない場合は、国内二次ルートと呼ばれる独立した部品問屋に在庫を照会することになります。現在では大阪藤栄商会とキオラパーツセンターが有名ですが、これらの問屋は独自のルートで入手した部品を在庫で持っていますので、正規ルートで欠品となっている部品も在庫していることがあります。

通常はここまで探してなければ日本国内にその部品はない・・・ということになりますが、更にスペシャルショップは自分達の顧客のためにこうした手に入りにくい部品を持っている場合があります。
しかし、残念ながらそれを探す方法は、一軒一軒聞いてみるしかありませんし、もし仮にあったとしても前記のように、これらの部品はあくまでその店の顧客のための部品ですので必ずしも売ってくれるとは限らないのです。

こうなると海外で部品を探すしかないのですが、海外でもこの部品調達の構造は同じで、アルファ・ロメオを販売している国の通常ルートで探して国内在庫があればOKですが、仮に在庫が無いと結局イタリア本国オーダーとなり、日本からオーダーするのと同じ結果となってしまいます。しかし、アメリカなどは上記の二次ルートが充実しており、実際に様々な欠品部品が独自に再生産されて在庫されているのです。しかし、一方でこういった再生産品の中にはオリジナルとはかけ離れた粗悪なものがあったり、反対にオリジナルよりも改良され遥かに素晴らしい品質のものもあったりで、その見極めが重要となってきます。
さらに、OEM品と呼ばれているものの情報も重要です。これはアルファ・ロメオに部品として納入していた外注メーカーが独自に販売している部品で、基本的には純正部品と同品質です。しかし、アルファ・ロメオの在庫データベース上には表示されないために、この部品はどのOEM部品が適合する・・・という情報を持っていなければ手配ができません。
そして加えて言えば、ちょっとした加工で取り付けることができる部品や、分解して一部を取り替えることにより再生できる部品の情報など、裏ワザに類する知識も必要で、こうした情報を総動員して部品を調達してくるのですから、その部品を手にするまでのストーリーは本当にエキサイティングなものとなるのです。

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(115Spider用のフロントライトリムです。国内の二次ルートで現在も入手可能ですが、お値段は倍ほど違います。)

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(アルファV6エンジン用のカムシャフトギアです。こんな部品も海外からならば入手することができます)

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(必ず一度は破れるアルファ164用のヒーターコアです。もはや国内在庫はない部品です)

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(これは裏ワザ部品です。アルファ164用の燃料ポンプですが、通常の部品は外側のケースと一体となっており、生産中止品です。しかし交換するのは内部のポンプ本体のみですので、該当するものをOEM製品で探し出し、燃料ポンプをバラして取り替えることにより、燃料ポンプを復活させることができます)

ここまでお読みいただければお分かりかと思いますが、海外で部品を調達するには・・・、

1.いかに多くの国にネットワークがあるか
2.再生産品の品質評価が適確であるか
3.OEM製品の適合情報を持っているか
4.裏ワザ?の知識があるか

があることに加えて、代金決済の方法や処理の仕方が妥当であるか、パッキングの丁寧さ、メールのレスポンスなど、通常の通販業者としての標準的なレベルをクリヤしている業者といかに出会い、そしてお互いの信頼関係を構築できるか・・・に繋っていると思います。

現在は紆余曲折があったものの、Alfissimo Internationalというアメリカの業者に出会うことができたため、こうしてありとあらゆる手段により部品を調達しているのですが、アルファ164を手放してしまった現在のほうが、以前よりアルファ164の部品に詳しくなっているのもフクザツな心境です(苦笑)

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悲しきA112

街中を歩いていても、ついイタリア車には目が行ってしまうものです。
アルファ・ロメオはもちろんのこと、それは走り去るマゼラーティであったり、下品な爆音のフェラーリだったりもするのですが、ちょっと使い込んだFIAT PANDAなんかが荷物満載で走っていたりするとそのオーナーの生活感までも好ましく思えてしまうのは、イタリア車を単なる実用車ではなく、ライフスタイルを表現する車として見てしまうからなのでしょう。

しかし一方で、放置されているイタリア車を見かけると、悲しくなると同時に何とかならないものか・・・と思ってしまうのも悲しい性で、それがジャンクヤードではなく、街中の駐車場などで見かけてしまうと、胸が締め付けられるような思いがしてしまうのです。

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私の職場の近くのある駐車場にいつもぽつんと駐まっているのが、このアウトビアンキA112 ABARTHです。
以前の「地獄クルマを訪ねて」でもご紹介したモデルですが、従来からABARTHが直接手がけた最後のモデルとして人気があり、新生ABARTHの復活とともに更に注目を浴びているのがこのA112 ABARTHなのですが、現在の軽自動車よりもコンパクトなボディに、最終モデルでは排気量1050ccにまで拡大され、出力も70hpにまで高められたエンジンが搭載されていました。ちなみに車重は700kgですから、ホットハッチとしての資格は充分で、実際にも小気味良いドライビングが楽しめるクルマです。

搭載されるエンジンは直4OHVで、それを横置きに搭載し、さらにエンジンの脇にトランスミッションとデフを配置し、不等長のドライブシャフトで前輪を駆動するという「ダンテ・ジアコーサ式FFシステム」が採用されていました。このシステムは先にランチア・プリムラとFIAT128に採用されたシステムで、フィアットのダンテ・ジアコーサが考案し、後の世界中のFFシステムに大きな影響を与えることになったのですが、A112にはこの技術の試験量産版という役割が与えられており、本来ならば短命で終わるはずのモデルでした。

確かにA112を語るときにその先進的とも言えるメカニズムも重要なのですが、やはりABARTHというチューナーの存在の方が今となっては重要で、FIAT130TC ABARTHと並び、「最後のABARTH」と呼ばれるA112 ABARTHの存在は、それゆえに試験的量産車であったA112が20年間の長期に亙り生産され続けることになった原動力でした。特に日本ではこのA112 ABARTHの人気は高く、その可愛らしい外見に似合わず、ドライビングは限りなく硬派で、Mini CooperSと並んで、「ナメてはいけないクルマ」の代表格でした。

そんなA112 ABARTHですが、やはり廉価な小型車の宿命でどんなに大切に乗ったとしても、外板の錆、内装のソリ、剥がれによりどんどん朽ち果ててしまい、現在の生存個体は何らかの形でレストレーションの手が入っているものが殆どです。
そんな貴重なA112 ABARTHなのですが、この個体はいつ見ても動いた形跡がなく、ずっとこの場所に佇んでいます。

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思い切って近づいて観察して見ると、雨風による汚れが酷く、一見すると朽ち果てる寸前に見えたのですが、意外にそのボディはしっかりしています。

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すぐ劣化するバッジ類も揃っており、見かけによらず程度が良いのです。

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汚れた窓越しに室内を覗いてみたのですが、シートもオリジナルで破れもありません。
また、すぐに割れてしまうダッシュボードも綺麗な状態を保っています。

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タイヤは空気が抜けてしまっていますので、このままでは走ることはできないでしょうが、ホイールはオリジナルのアルミホイールが装着されており、これまた貴重品です。

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マフラーはオリジナルのマルミッタ・アバルトかどうか定かではありませんが、残念ながら錆が出ており、恐らく排気漏れしていると思われます。

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直感だけですが、この個体の素性はなかなかのものだと思います。もちろんこのままでは朽ち果てて行くだけで、すぐにスクラップとなってしまう運命だとは思いますが、今ならば少し手を入れるだけで随分と程度の良い状態に戻せるのではないかと思います。
ナンバープレートを見る限り、新車から乗り続けているオーナーではないと思いますが、何とか大切に維持してもらいたいものです。

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