走ってナンボ

アルファ・ロメオを始めとする「ちょっと旧いイタ車」を一生懸命維持する中での天国と地獄をご紹介します。

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確信犯たち・・・

レースも半分が経過しました。各車両はトランスポンダーという計測器を搭載しており、その信号からリアルタイムに順位が表示されます。

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929号車は27位とほぼ中間であることに対して、一方の919号車は46位と出走47台中ビリから2番目という絶妙な(笑)位置にいます。

雨は相変わらず降ったり止んだりで、土砂降りにこそならないものの、コースはなかなかドライにはなってくれません。
今回919号車はレブリミットを低めに設定し、無給油で3時間を走りきる作戦でした。しかし、路面がウエットのままであったこともあり、全体的なレーススピードが遅くなってしまったため、他のクルマの燃費も良くなってしまい、919号車の作戦はあまり効果はなくなってしまいました。
それでも他車は最低でも1度は給油のためにピットインするはずですから、後半になると必ずジリジリと順位を上げることができる・・・はずです。

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ドライバーの交代時はクイック・トレーディングのメカニックの皆さんにより、タイヤナットの増し締めや空気圧の点検に加えて、窓の清掃まできっちりと行われます。
一方の929号車は一回の給油を予定していましたが、それも同じく燃費が良くなったため、最終ドライバーとの交代の際に給油をすることに変更し、頑張って走り続けることにしました。

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そして、順調に最終ドライバーにバトンは渡されたのですが、両車とも最終ドライバーはチームの中でも最も腕利き?の方が乗ることになりました。言い換えればタイヤもブレーキも磨耗した、あまり状態が良いとは言えないクルマを、それでも限界近くまで走らせることができるドライバーということになります。
確かに、ファインダー越しにその走行を見ていると、今までとはうって変わり、限界近くまでクルマを操っていることが分かります。

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実際にこの車格の違いは歴然なのですが、一瞬でもコーナーでその距離を詰め、追い回している・・・ように見えたのにはタマゲました(苦笑)

そして方や929号車の最終ドライバーは寺島社長で、社長の切れた走りには定評がある?だけに期待して見ていたのですが、やはり・・・、

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追い回していました(苦笑)

しかし、どう考えてもそのスピードは今までと違っています。あの罰金制のレブリミットはどこへ行ったのでしょうか?

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上の2枚の写真は同じコーナーでの最終ドライバーによるコーナリングです。
見ての通り、ロールしている割合こそ違うものの、両車とも限界まで攻め込んでいることが分かります。
どうやらこの二人は罰金覚悟で最後とばかりに攻め込んでいるようです。もちろんそれまでのドライバーの我慢に報いるためにも、無事にチェッカーを受けることは当然なのですが、最後だからクルマを壊してもいいや・・・と「ちょっとぐらいは」考えていたのかも知れません(笑)
いずれにせよ、明らかにそれまでのドライバーと違う走りは、決してウデの差だけではなかったと思います。

かくして、じりじりと順位を上げた両車は無事に3時間を走りきり、チェッカーを受けることができました。

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ゴールの瞬間は結構感動で、さすがに12時間耐久のときほどではありませんでしたが、それでも無事にチェッカーを受けたことが嬉しく、撮影担当の私でも感動を分かち合うことができました。

チェッカーを受けた後、両車はコースを1周してピットに戻ってきます。まず最初に戻ってきたのは929号車でしたが、何か音がヘンです。

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何故かクルマの下から本来コース上にはない物質がガラガラと出てきます。

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どうやらコースアウトしたようです(苦笑)

一方、919号車はナニゴトもなく無傷で戻ってきました。

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そして総合順位は・・・、

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929号車は総合30位だったのに対して、919号車は総合39位にまでジャンプアップしていました。

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レースの楽しみ方として、順位に拘るのももちろんアリだと思いますが、私たちのチームにとっては、無事に完走したことのほうが遥かに意味のあることなのです。
ダイのオトナが身銭を切って、貴重な休みを使って、皆で精一杯真剣に遊ぶことができることはそうそうあるものではないと思いますが、レースはドライバーもピットクルーもサポートスタッフも、等しく感動を分かち合うことのできるスポーツだと思います。

さて、撮影担当としての私はレースが終わった後もオシゴトが残っています。こうして撮った写真のトリミングやらの整理と、参加した皆さんにお渡しする記念写真の編集です。

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いつも私が撮影担当のときには作成しているのですが、編集した写真を額に入れて記念品として作成するとようやく私にとってのレースは終わりとなります(苦笑)。

昔、島田紳助氏が鈴鹿8時間耐久レースに参戦するよう誘われたときの理由が、

「泣けるよ」

というものだったそうなのですが、確かにオトナが泣けるイベントでした。

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テーマ:サーキット走行 - ジャンル:車・バイク

バカには乗れないクルマ

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スタートはローリングスタートという形式でした。
これは、予め指定されたスターティンググリッドにクルマを並べて、まずはペースカーの先導でコースを一周し、そのまま停止することなくコントロールラインを越えたところでレースをスタートする方式で、F-1のようにスタートダッシュで第一コーナーに団子状態で飛び込む・・・という危険がない、安全なスタート方法です。
コースには自走若しくはピットクルーにより押されて入ります。

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耐久レースということもあり、あまりスタート順は重要ではないのですが、それでも後方スタートというのは気が滅入るもので、車番919番のFIAT チンクェチェントはホームストレート上ではなく、殆ど最終コーナーにそのグリッドが設けられていました。

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車番929番のアルファ145はだいたい中間で、まだグリッド線があるところだったのですが・・・、

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919号車に至ってはチョークでグリッドが書いてありました(苦笑)

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普段はクルマ以外は入れないコース上もサポートメンバーは入ることができます。私たちのチームは自走でコースインしたので、特にスタッフが押す必要もなかったのですが、それでもドライバーは一人でスタートを待つよりも心強いものです。

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コントロールラインの時計表示が9時30分になり、いよいよレースのスタートです。ゆっくりとローリングが開始されました。この最初の1周は前車を追い抜いてはいけません。そして先頭のミニが周回の後コントロールラインを通過し、3時間の耐久レースが始まりました。

スタートするなり全開でダッシュするクルマもあれば、ゆっくりとペースを上げていくクルマもありで、見ていると実際のクルマの性能による速度差に加えて、各チームの作戦によるペースもあり、最初のうちの周回は混戦模様でした。
実は、耐久レースではこの初期の周回が重要で、速いクルマには早い段階で安全に抜いてもらい、自分たちで予め考えた周回ペースに早く安定させなければならないのです。従って私たちのチームもこのファーストドライバーにはレース経験豊富なメンバーを選抜しました。

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私たちのチームにはレブリミット制限があり、規定の回転数以上にエンジンを廻すと罰金を払わなければならないのですが、以前に払わずに逃げる・・・という確信犯がいたために、今回からはクレジットカードリーダーを持ち込み、その場でカードで罰金を徴収するという、闇金の取立てのような事態となっていました(笑)。
ですので、どんなに抜かれても「熱く」ならない冷静さとガマンが必要になるのですが、耐久レースはスプリントレースと異なり、こうしたガマンの積み重ねがじりじりと順位を上げることを皆が知っていますので、ファインダー越しに見ていても比較的「冷静に」抜かれていました。

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そして、レース開始早々に919号車が929号車にラップされることとなりました。この二車のスピード差を考えるとそれは尤もなことなのですが、929号車はちょうど間に入った無粋な?MG-Fをなかなか抜けず、ランデブー走行という「美味しい写真」を撮り逃がしてしまいました。
もちろんMG-Fとてレースをしているのですから、野暮でも何でもないのですが・・・(苦笑)

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チームの2台はそのスピード差はともかく、順調に周回を重ねて行きます。そして「抜かれ方」もどんどん上手くなり(笑)、安心して見ていられるようになってきました。

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しかし、気を抜いているとヒヤっとする場面にも遭遇します。919号車は重心が高く、足回りもノーマルであるためにロールセンターが高く、少しでもオーバースピードでコーナーに進入するとスピンモードに入ってしまうのです。

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特にS字コーナーでは、まだ荷重が充分抜けないうちに反対側に荷重移動しなければならないために、走行ラインを極力レコードライン近くに保たなければスピンしてしまうのです。
レースの最中は、他車との兼ね合いからいつでもベストラインを走行できるワケではありませんので、特に後続車がいる時のコーナーの進入スピードには注意が必要となります。
そして不幸にしてスピンしてしまったら、とにかく走行車両が途切れてからコースに復帰しなければなりません。後方からクルマが来るときに焦って動くとかえって危険なのですが、コース上で反対を向いて停まってしまった時は、相当恐ろしい景色を見ることになります。

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919号車のコーナリングは恐らくこの辺りが限界ではないかと思います。足回りを固め、Sタイヤでも履けば・・・と思いますが、このクルマの現在の性能の範囲内でどう走るか・・・を、常にアタマを働かせて考えていなければならず、それはチームの作戦と共にドライバーに頭脳戦を要求することになるのです。

昔、著名なレーシングドライバーが言っていたのですが・・・

「速いクルマはバカでも乗れるが、遅いクルマにはバカは乗れない」

さて、レースもスタートから1時間半が経過し、いよいよ後半戦に突入して行きます。

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オトナの運動会

ストイックにラップタイムを縮めるようなレースも楽しいのですが、皆でワイワイ楽しみながら参加するレースも楽しいものだと思います。

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Idlers Clubが提唱するGamesという考え方は、ヘンにストイックな方向に走ることなく、参加する全員がスタッフを含めて楽しもうというコンセプトで企画されたレースです。
そのIdlers Gamesの中でも特にその色合いが強いのが耐久レースで、そのハイライトはツインリンク茂木で夏に行われる12時間耐久レースなのですが、今回はその前哨戦として行われた3時間耐久レースをお手伝いすることになりました。

私の主治医であるクイック・トレーディングではかねてより顧客のレース活動をサポートしており、ALFAROMEO Challengeなどに参戦するお客さんのためにピットサポートなどをしてくれているのですが、これらのレースはお客さんが自分のクルマで出走するレースであるのに対して、耐久レースはクイック・トレーディングがベース車両を提供して参戦しているレースです。
下世話な言い方をすれば、前者は顧客のクルマをチューニングすることにより営業的にもメリットがあるのに対して、耐久レースは短期的に見れば「持ち出し」の部分が多く、ある意味では好きでなければできないサポートだと思います。

もちろん参加するドライバーであるクイック・トレーディングのお客さん達も、自分たちでできることは自分たちでやるのは当然で(笑)、このときばかりは作業員として駆り出されて労働に勤しむことになるのですが、それも楽しんでできるのは忘れかけていた運動会の準備作業のようなものだからでしょう。

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今回は最初に耐久レース用として仕上げたFIAT チンクェチェントと、その後に追加したアルファ145の豪華2台体制?で臨むことになったのですが、アルファ145は前回のレースでボディを傷めてしまい、鈑金塗装をしなければならなかったこともあり、この際だから・・・と化粧直しをすることとなりました。

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旧いカッティングシートの剥がしと新しいデザインでのお化粧はドライバー側で行うこととなったのですが、そのデザインは前回のものと異なり、プロのデザイナーによるもので、よく考えられた素晴らしいデザインです。

そしていよいよレース当日となりました。今回のスタート時間は午前9時30分だったのですが、レースに参加したことのある方はご存知のように、実際にはサーキットのゲートオープン時間から様々な準備作業があるために、それでも東京を出発するのは夜明け前・・・というか前日の夜中になってしまうのです。
私自身は当日の写真撮影というお手伝いだったために、単独で茂木入りをすることとなったのですが、おかげで少しゆっくりと東京を出発することができました。それでも朝4時起きでしたが・・・(泣)

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不思議なもので、サーキットに到着しゲートを通ると、自分が走るワケではないのですが気分が段々と高揚して来ます(苦笑)

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今回はサポート車両の通行証をもらっておきましたので、そのまま第一パドックというピット前の駐車スペースにクルマを駐めることができました。
天候は生憎の雨・・・と言いたいところなのですが、実はチームにとってこの雨は悪いことだけではありませんでした。全体的にレーススピードが遅くなるためにパワーの差による車両ハンデが少なくなることや、暑さによるタイヤのタレやブレーキへの負担が少なくなるなど、耐久レース特有の問題点が雨により緩和されるのです。またドライバーが慎重になるため、晴れのときより事故が減るというメリットも期待?できます。

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仲間が準備をしているピットに向かうと、ちょうど一息ついているところでした。今回は女性陣のサポートにより軽食や飲み物が用意されていました。私たちが初めて耐久レースに参戦したときに比べると雲泥の差で、こうしたサポートも場数をこなしていくうちに段々と充実してくるものです。

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ドライバーは通称ドラミと呼ばれる全体ミーティング中だったのですが、そのつかの間の時間はサポートしていただいているクイック・トレーディングのメカニックの方には休息時間です。それにしてもどこでもどんな体勢でも眠ることができるのはメカニックの手本?だと言えます(笑)

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それが終了すると各ピットで出走前車検と呼ばれる車両が安全基準を満たしているかどうかのチェックが始まります。この車検に合格しないとレースに出走することができないのです。

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Idlersのスタッフによりテキパキと検査が行われ、無事に合格するとステッカーが車両に貼られます。

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今回は2台体制での参加でしたので、各車両毎に作戦ミーティングが行われます。全体のドラミでは半分寝ていたドライバーもこのときは真剣です(苦笑)。各車両には4人づつドライバーが交代で乗るので、一人当たり約40分走行することになります。この40分というのは実際にコースを走って見ると相当な負担で、アマチュアドライバーにとっては集中力の持続が最大の課題となるのです。
このとき真剣な表情で議論していたテーマは・・・

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「エアコンを入れるか入れないか・・・」

というものでした(爆)

結論は当然ながらエアコンを入れることになり(笑)、そしていよいよコースインです。

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ヤル気のないGiulia Sprint

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春になって友人のGiulia Sprintは大活躍で、カフェ・ド・ジュリアやALFAROMEO DAYなどイベントにも出かけているのですが、そろそろ梅雨も始まり蒸し暑くなってくるにつれ、エアコンがない・・・という軟弱な理由で「夏眠」に入ろうとしています(笑)

そもそもこの春に大活躍できるようになったのはリフレッシュメンテの成果で、そのリフレッシュの方針は彼の愛車である赤スパのリフレッシュメンテの経験に基づくものでした。
この個体は幸いなことにボディの状態が素晴らしかったので、まずは足回りのリフレッシュから部品集積を開始しました。そして、その部品集積は私の担当だったのですが(苦笑)、オーナーは丸投げをしてしまったために、主治医と私とで相談しながらどこを交換するか・・・という方針を決めて行きました。
その部品の殆どは海外手配で、115Spiderと共通の部品、Giulia Sprint特有の部品を含め、その殆どが北米で手配することが可能なのは本当に有難いことです。
以前にも書きましたが、北米で販売されたか、されていないかで部品手配の状況は一変します。アルファ・ロメオに限らず、北米で販売されたクルマはOEM部品や再生産品を含め、大半の部品を北米で調達することができるのです。

参考までに今回の足回りリフレッシュで調達した部品を部品番号と共にご紹介しましょう。

60547729 Bush
60516902 Bush
60516528 Bush
60516741 Wick
60516801 Wick
60517179 Cover
60516530 Bush
60516896 Swing Arm DS
60516894 Swing Arm SN
60515903 Swing Arm
60515902 Head
60519656 Link DS
60519657 Link SN
60515907 Wick
60521379 Bush
60515919 Silent Brock
60515929 Rubber Pad
60547729 Ring
60515930 Silent block-trailing arm-front
60516929 Silent Brock-trailing arm rear
60516936 Silent Brock
60516923 Rubber Pad
60516939 Sleeve
60516719 Silent Brock
60567412 Support
60518403 Support
2520170 Carb Mount-40mm
MISC. ANSA Exhaust (Front-Rear)
3800200 Gasket
3800210 Gasket
15511781 KONI Red- GTV(Front)

これらは全てノーマルの足回りを最適にすべくチョイスされたものでした。個人的な意見ですが、強化ウレタンブッシュなどはボディへの攻撃性と乗り心地を考えるとあまりオススメできません。
オーナーの強い意向で、エクゾーストは全交換することにしました。アフターパーツでステンレスマフラーなど数多くのチョイスがある中で、彼が拘ったのは純正品でしたが、それではあまりに面白くないので、最終的にはANSAの純正OEM品となりました。

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ただ、輸送梱包の問題から、再溶接を前提にアメリカで切断されて届いたので、またもや主治医には溶接の苦労をかけてしまいました。

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またダンパーはリアには最初から赤KONIが装着されていましたので、今回はフロントも同じ赤KONIに揃えることにしました。赤KONIの乗り心地は緑スパを始めとして彼の赤スパにも装着済みなので、安心してチョイスすることができました。

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リフレッシュ作業そのものは基本的には115Spiderのときと同様です。プロペラシャフトのカップリングやサポートベアリング、そしてユニバーサルジョイントをチェックして行き、フロント及びリアのサスペンスション関係のブッシュ類をチェックし、交換すべき部品を洗い出して行きます。

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本来ならばこれで乗り出すハズだったのですが、タイミングの悪いことに、ちょうどそのときに緑スパのエンジンOHが終了し、彼が試乗してしまったのです(笑)
その変わりように感激した彼は、GiuliaのエンジンもOHすることにしてしまいました。

Giuliaエンジン1

スラッジを全て落とし、バルブガイドを特注で真鍮をベースに作って、ヘッドを面研して再度組み上げられたエンジンは各部品の精度を揃えたために、滑らかに廻る素晴らしいエンジンになりました。
かくしてようやく乗り出せるようになったGiulia Sprintですが、撮影のために洗車に勤しむオーナーをご紹介しましょう。正直言って洗車をしている彼を初めて見ました(爆)

Giulia洗車2

当初の予定からは随分予算も期間もオーバーしてしまったのですが、何とか1期工事?は完了しました。さらにオーナーのコダワリからタイヤをサイズダウンさせ、ハイトの高いタイヤに交換して出来上がったGiulia Sprintはレーシーなモディファイもせず、強化部品も使わない、限りなくオリジナルに近い、「全くヤル気のない」Giulia Sprintになりました。

そして実際に乗ってみると、この「ヤル気のない」Giulia Sprintの乗り味は素晴らしいものでした。旧いクルマはバランスが命!と聞いたことがありますが、当にその通りで、どこも突出したところのない、全てにおいてバランスの取れたこのクルマは一度乗って見ると、その素晴らしさが良く分かります。
おそらく新車のGiulia Sprintはこの乗り味だったのでしょう。レーシーなモディファイが施されたヤンチャなGiulia Sprintも魅力的なのですが、オリジナルのGiulia Sprintは「オトナのGT」だったのではないでしょうか。
そしてその奥深い完成度の高さに魅了された当時の日本のユーザーと同様に、私自身もGiulia Sprintに対するイメージを一新させてくれるような仕上がりとなったのです。

さて、暫くはこの状態で楽しむことになるかと思いますが、2期工事は内外装のリフレッシュ?となることは必至だと思いますので、更なる試乗インプレッションとともにまたその模様はお知らせしたいと思います。

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テーマ:アルファロメオ - ジャンル:車・バイク

環境負荷の大きい車

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全く地獄巡りにならない916Spiderですが(苦笑)、おかげさまで先日10万キロを達成しました。
私が購入したときが走行56,000kmでしたから、自分自身では44,000km走ったことになりますので、その総括を・・・と思って調べてみたのですが、特に総括するような問題はありませんでした(苦笑)
メンテナンスもその殆どが消耗したパーツの交換と、経年劣化した部品の交換でしたので、設計上の問題点や製造上の問題点による大きな不具合は出なかったと言って良いでしょう。
そういった意味では同年式の国産車と比較して、決してアルファ・ロメオだから手が掛かるとは言えず、むしろ他車と比べても優等生ではないかと思います。

そんな優等生の916Spider2.0TSは、それでも1996年式ですから、製造から13年が経過したことになります。そして、今年の自動車税は昨年までの39,500円ではなく、43,400円との納付通知が届きました。何故?と思って東京都主税局HPの説明を見ると・・・、

「3 環境負荷の大きい自動車に対する重課
適用対象 4月1日現在、新車新規登録後
・ディーゼル車…10年を超えるもの
・ガソリン車・LPG車…13年を超えるもの
重課率 概ね10%

対象外 ・一般乗合用バス
・被けん引車
・電気・天然ガス・メタノール車
・スクールバス

備考 都が指定する粒子状物質減少装置を装着するディーゼル車及び1945年(昭和20年)までに製造された自動車(ヴィンテージカー)は、納期限までに申請することにより重課分を減免します。」

と記載されています。従って通常の税額である39,500円との差額3,900円は「重課算税」ということになります。そしてその理由が・・・「環境負荷の大きい自動車」だからだと言うのです。

これは、「新車=低排出ガス車=環境負荷が少ない」という短絡思考の税制ですが、本音はその減税分をそれ以外のクルマの税額を上げることにより相殺しようという魂胆で、そこには論理的な根拠も何もあったものではありません。
しかもどんなクルマであれ、環境に負荷を与えるのは走っているときのことで、自動車税は車そのものの所有に課せられる税金ですから、走行距離には全く関係がないのです。すなわち、一ヶ月に数回しか乗らない「環境負荷の大きい自動車」と、毎日乗っている「環境に優しい自動車」のどちらが本当に環境に負荷を与えたのかという視点が全く欠落しているのがこの税制だと思います。
一応、1945年(昭和20年)までに製造されたヴィンテージカーは重課しない・・・という分別は働いたようですが、それは税収全体を見たときに、「微々たるもの」だったからで、ヴィンテージカーに対して何かしらの見識があってそうしたとはとても思えないのです。

社会財源としての自動車税の使用目的がどーの・・・とかの「そもそも論」は置くとして、自動車税の税収総額を見たときに、百歩譲って低排出ガス車を減税するのは良しとしましょう。しかし、その減税のツケをそれ以外のクルマに「無理やり」持って行くのはどうかと思います。
さらに千歩譲って(笑)、どうしてもツケを廻すなら別の理屈でそうして欲しいものです。

こういった社会システムは一つのメッセージ性を持つものです。世の中全体がハイブリッド車や低排出ガス車に乗り換える行為を善とし、旧いクルマをきちんとメンテナンスし(整備不良は論外)、大切に乗っているオーナーを「環境に負荷を与えている悪いヤツ」と見なすような誘導的な論理展開は如何なものかと思います。

確かに世の中は不景気ですから、アノ手コノ手でクルマを買い替えてもらうように官民一体となって大キャンペーンを行うのは理解できます。景気浮揚策としての減税も良いでしょう。
しかし、この制度は単に税負担の内部構造を変えるだけのことで、減税をしたわけでも何でもないのですが、世の中の大多数は減税をしたと思っているのではないでしょうか?そして将来は「あのとき減税したから・・・」ということで、消費税やら何やらの増税の理由として使われるのではと考えてしまいます。
また、自動車税全体の税収を維持しようと考えたときに、どんどん減税対象車が増えてくると、それ以外の車の税金が禁止税的に増える可能性もあるのです。

ここまで私は文句を言ってきましたが、私は割高な自動車税を払いたくないと言っているワケではなく、払わせ方が気に入らない・・・と言っているのです。以前のブログでハイブリッドカーの問題点について書きましたが、社会全体のエネルギー消費を考えたときに、どんなに排気ガスがクリーンになったとしても、どんどんそのクルマに買い換えて行くことは、その新車製造のためのエネルギー消費と、廃車のためのエネルギー消費を加味して考えないと、必ずしも望ましい結果であるかどうかは分からないのです。

私たちの自動車趣味は、密室の中で誰にもメイワクをかけないで楽しむことのできる趣味ではなく、社会の中で認めてもらえなければ成り立たない趣味だと思います。ですので、世間の人々からどう見られるかというのは結構重要で、ヒトから後ろ指を指されるような趣味は決して続けられないものです。
従って、私たちの趣味に対する社会的認知とその存続のためには、この自動車税の重課理由は由々しき問題だと思うのですが、意外に声を上げる方が少ないように思います。

今はたかが3,900円かもしれませんが、将来は大好きな愛車を手放さざるを得ない状況になるやも知れません。
今一度、この課税システムについて考えて見る必要があるのではと思います。

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テーマ:ひとりごと - ジャンル:車・バイク

X1/9 in Detail

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先日、Quick Abarth X1/9 レプリカ(笑)をご紹介したのですが、反響が大きく、直メールでもお問い合わせをいただくほど、興味を持たれた方が多いのに驚いてしまいました。それはオリジナルのX1/9とどこが違うのか?や、その細部は?といったもので、皆さんがこのX1/9の格好良さに「やられて」しまったのだろうと思います。

かく言う私もその一人で、この佇まいが気に入ってしまったのですが、皆さんのリクエストにお応えして?今回はそのディテールをご紹介したいと思います。

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前回の取材時にはショールームにあったためにサイドビューがご紹介できませんでした。
X1/9はガンディーニの作品の中でも傑作の一つだと思います。奇才と言われるガンディーニですが、特に室内高をある程度確保しながら、決して腰高に見せないこのデザインは、結構「理詰め」のデザインであることが感じられます。
それにしても、この個体の車高は絶妙です。

問い合わせの多かったシュノーケルです。

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インテークには異物対策としてネットが付けられています。

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シュノーケルのベースは結構複雑な形状をしており、エンジンルームにはビスで固定されています。
従って、エンジンルームにアクセスするためには一旦、このシュノーケルを外さなければなりません。

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フロントにはオーバーヒート対策で作成されたであろうノンオリジナルのラジエーターが覗き見えます。

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また、リップスポイラーは単純な形状ながらサイドスポイラーとの合わせが絶妙です。しかし、路面の段差には気を遣う形状です。

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オーバーフェンダーはビス留めで取り付けられていますが、決して無理やり取り付けられたものではなく、きちんと形状を合わせて作成されていますので、ヘンな隙間は全くありません。

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サイドのエアインテークはノーマルと同様です。

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サイドミラーはビタローニ製です。特徴があるのがその取り付け位置で、私は三角窓の根元だとばかり思っていたのですが、実際に見るとガラス面に穴を開けて取り付けられていました。

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燃料キャップはリアのエンジンルーム横にあります。鍵付きでないのがちょっと無用心ではあります。

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室内の程度は抜群です。この年代のイタリア車はそれが仮に高級車であっても建てつけが悪く、材質のせいもあり紫外線と夏場の高温により「剥がれ」や「割れ」、「そり」が発生するのですが、そのようなことは全くありませんでした。

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ステアリングはノンオリジナルでABARTHのブーメラン型が取り付けられていました。

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ANSAのエグゾーストは4本出しながらあまり「のたくって」おらず、うまく纏められています。これなら段差でヒットしたりして傷つけることはないでしょう。

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とにかくこの個体は全体のバランスが素晴らしいものでした。もし、手放されるようなことがあればご一報を・・・と言いたくなるのですが、やはり地獄は地獄でしょうね(苦笑)

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テーマ:旧車 - ジャンル:車・バイク

ALFAROMEOであり続けること

年々参加するクルマが減少する傾向のある「旧いアルファ・ロメオ」と「ちょっと旧いアルファ・ロメオ」ですが、それでも存在感は充分で、今年は車種別に駐車された会場の中で、台数に勝る現代のアルファ・ロメオよりも強力なオーラを放っていたように思います。

今年のフューチャリング・カーはZAGATOで、Junior-ZとSZ/RZ(ES30)が多く参加していました。
どちらも日常生活の中では超稀少車で街中で見かけることは稀なクルマですが、会場では多く見ることができました。

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それにしても、これだけES30が並ぶ姿は壮観です。しかし・・・並べたことにより一台一台のパネルのチリが全く異なることに、今さらながら気がついてしまいました(苦笑)
さすが手作りのクルマです。

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今回の特別ゲストとしてトークショーで話されていた吉田匠氏もJunior-Zを愛車とされています。雑誌などにも多く出ていますので、恐らく日本で一番有名な?Junior-Zではないでしょうか。

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ZAGATOということで、こんなZAGATOも多く参加していました。Alfa155をベースに企画されたAlfa155 TI-Zです。専用のフロント/リアのスポイラーにオーバーフェンダーでドレスアップし、ホイールもZAGATOオリジナルデザインといった贅沢なモデルです。

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発売当時は相当な話題になったのですが、現在はむしろES30より希少で、街中では殆ど見かけることがありませんが、居るところには居るものです(笑)

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今までと異なり、こうやって車種別に並べるとその参加台数やグレードなど一目瞭然で、とても興味深く観察することができした。トランスアクスル系のAlfa75やAlfettaGTなどが年々参加台数が減っており、これからがオーナーにとっても正念場・・・という気がします。

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この年代になると少ないながらも参加台数は安定しているように思います。ここでも「ちょっと旧いアルファ・ロメオ」の維持のほうが、「旧いアルファ・ロメオ」の維持よりも困難なことが窺い知れます。

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数あるアルファ・ロメオのモデルの中でも希少中の希少であるモントリオールも毎年参加しています。

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今年は暑かったのでリアハッチを開けてありましたが、おかげでモントリオールのリアの開き方を観察することができました(笑)

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サイドのBertoneのバッジの下にはTorinoの文字があります。カロッツェリアも年代やモデルによってそのバッジが変わりますのでそれだけを観察しても随分と面白いものです。

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高松のイベントに参加していた1900Ghia Aigleも元気な姿を見せていました。オーナーの方にはご挨拶できなかったのですが、高松に続いて三重から自走して来たのでしょう。この行動力には脱帽です。

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美しくレストアされたGiulietta Spiderです。個人的には今年のALFAROMEO DAYのベストだと思います。

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現代のクルマの蛍光顔料が入った純白ではなく、昔のラッカー特有の微妙な色調の白がとてもお洒落です。

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この内装が最高でした。Giulietta Spiderはこういったセンスが最大限の魅力となるクルマだと思います。

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その隣には同じく白のSprintボディが停められていました。レストアされて全塗装されているのでしょうが、この2台の白は微妙に異なっていました。白は難しい・・・ことを実感できました。

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自分自身が最初に所有したのがこのSr.3のSpiderだったこともあり、Sr.3には目が行ってしまいます。このクルマはレーシーなモディファイが施されていましたが、隣のヤル気満々の?Giulia Sprintと比べても気後れすることなく佇んでいました。

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1750GTVは好きなせいもあり、つい目が行ってしまいます(苦笑)

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自分が愛車にするならボディカラーはブルーかなぁ・・・などと勝手に思っていますが、実際に持つとなると程度優先ですから、ボディカラーは何でも良くなってしまうのでしょう(苦笑)

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協賛するインポーターが持ち込む「これからのアルファ・ロメオ」も、若いオーナーが乗る「現代のアルファ・ロメオ」も、「ちょっと旧いアルファ・ロメオ」も、そして「旧いアルファ・ロメオ」も、分け隔てなく参加でき、等しく楽しむことができるのがこのALFAROMEO DAYではないでしょうか。
それは主催者が等しくアルファ・ロメオを愛しているからであり、そこに少しでも「こんなモデルは出来れば参加しないで欲しいよなぁ」という思いがあれば、排他的になってしまい覿面に参加者に伝わってしまうものだと思います。アルファ・ロメオはいつの時代でもアルファ・ロメオであり続けているからこそ成立しているのがこのALFAROMEO DAYではないでしょうか。

だからこそ、その居心地を楽しみにして毎年参加しているリピーターが多いのも当然なのでしょう。
これから新しいこの場所でALFAROMEO DAYがどのように発展して行くのか楽しみです。

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Generation Gap

さて、ようやくゆっくりと他のクルマを見る余裕が出てきました。私たちが陣取ったのは一番奥のスペースで、今回からは自分たちで料理をするグループは予約をすることにより、この奥のスペースに誘導してもらえるようになりました。以前はクルマを停めてから、狙った場所まで延々と荷物を運ばなければならなかったのですが、クルマの目の前にスペースが用意されているのは有難いことです。

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ただし、木陰ではないために今回のような晴天では結構暑く、タープでも用意しなければ陽射しからの逃げ場がなかったのも確かです。こうしたイベントでは雨でも困りますし晴れすぎても困るものです(苦笑)

先日見学に行ったカフェ・ド・ジュリアのときもそうだったのですが、クルマを見に行く・・・と言うと解説をさせられるため、大所帯での移動となってしまいます。これではバスガイドだよ・・・と思うのですが、着いて来るものは仕方ありません(苦笑)

ここ数年のALFAROMEO DAYでの参加車の傾向を見ていると、圧倒的に現代のクルマが増えたと思います。区切るとすればAlfa156で、それ以前かそれ以降か・・・でユーザー層も含めて一つの境目があるように感じます。新しいアルファ・ロメオのオーナーは圧倒的に30代の方が多く、どちらかと言うと旧いアルファ・ロメオより新しいアルファ・ロメオのほうに興味があるように感じます。クルマも思い思いのドレスアップが施されており、オリジナルに対するコダワリはさほど感じられません。
アルファ・ロメオを単に、「格好良いガイシャ」という見方をしているのかも知れませんが、ALFAROMEO DAYに参加するのですから、その歴史やデザインにも興味は持っているものの、さほど深入りはしていないように思えます。

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例えば、新しいMiToも展示されていたのですが、熱心に覗き込んでいたのはやはり若いオーナーが多かったと感じました。

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恐らくクルマとしてもMiToは素晴らしいだろうと思います。この内装を見ればAlfa147で大きくステップアップしたアルファ・ロメオの設計/製造品質が更に進歩したことが窺えます。

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正直言ってクルマそのものにはあまり食指が動かなかったのですが、このシートはとても気に入ってしまいました。デザインといい座り心地といい、最近のクルマの中でも上位にランクされるのではないでしょうか。

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現代のアルファ・ロメオのオーナーが思い思いのドレスアップをしているという好例がこのAlfaGTのライトだと思います。カバーを付けることによりブレラ風の6灯ライトっぽく見えます。このようなドレスアップパーツは以前では考えられなかったことで、せいぜいZenderやHormanといった海外のパーツしかなかったのですから隔世の感があります。でも、これは・・・格好良かったです(苦笑)

さて、新旧のアルファ・ロメオファンが等しく興味を持っているのが、やはり8C Competizioneでしょう。
先日の東京コンクール・デレガンスの会場でSpiderボデイは堪能したのですが、走る8Cをちゃんと見たのはこれが初めてでした。

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8Cは広報車とオーナーカーの2台が参加していましたが、こちらはオーナーカーのほうです。残念ながら別々に駐車していましたので、製造品質を比べることはできませんでしたが、おそらくかつてのSZ(ES30)のように各車がバラバラ・・・ということはないのでしょう(笑)

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オーナーはサービス精神旺盛で、しばらくはドアやボンネットを開けておいてくれましたので、多くの方がじっくり観察できたのではないでしょうか。

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決してお尻フェチではないのですが、個人的にはこのリアビューが好きです。

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新旧交替?を感じさせてくれたのがこのAlfa159/Breraの参加車たちでした。ただ、かつてのAlfa156/147の大増殖のようなインパクトを感じなかったのは、ボディカラーのせいかも知れません。一時はアルファ・ロメオと言えば「赤」だったのですが、それは日本だけの現象で、本国では早くからダークカラーが主流となっていました。事実、最近のアルファ・ロメオはあまり赤が似合わないスタイリングだと思います。

以前のALFAROMEO DAYの記事にも書きましたが、会場で若いカップルがGiulia Sprintを見ながら、
「へぇ~。これもアルファ・ロメオなんだ・・・」
と話しているのを聞くにつれ、これからのALFAROMEO DAYの課題を見た思いがしました。
参加車を年代順に駐車することにより、新しいアルファ・ロメオのオーナーにちょっとしたミュージアムのような気分を味わってもらい、アルファ・ロメオの歴史を感じてもらえないだろうか・・・という思いが募って来ました。8C CometizioneもMiToもこのアルファ・ロメオの歴史の延長線上に存在していることが実感できれば、新しいアルファ・ロメオのオーナーは自分の愛車に、より一層の誇りを持ってもらえるのではと思います。

そんなムズかしいことを考えながら(苦笑)、いよいよ参加車探検はスタートしました。

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満ち足りた時間

例の1000円乗り放題になってからの高速道路の渋滞は覚悟の上でした。
ゴールデンウィークのあの大渋滞の原因はもちろんクルマの絶対量が多かったからなのですが、それに加えて、普段クルマに乗らないドライバーが大挙して高速道路に押し寄せたことによる、「運転下手渋滞」の要素が多分にあることは、実際にその高速道路上に居ればよく分かります。

上り坂での自然減速による渋滞、追い越し車線と走行車線の区別がつかない漫然走行車による渋滞、後方を確認しない無理な車線変更により後続車がブレーキを踏まなければならず、その減速による渋滞など・・・、もちろんそれまでの高速道路でも程度の差こそあれ見られた光景ですが、このような運転をするドライバーが増えるとその渋滞も増大し、結果としてこの自然渋滞と呼ばれる原因不明の渋滞があちこちで発生することになります。

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前日に用意した食材をクルマに詰め込んで、私たちのグループはこの渋滞を予期して少し早めの時間設定をして談合坂SAに集合したのですが、意外なほどスムーズに到着することができました。普段の休日でも八王子~相模湖間は渋滞するのですが、さすがにゴールデンウィークで皆疲れ果ててしまったのか、交通量は少なめでした。

それにしても115Spiderの収容力には驚かされます。トランクは深さこそないものの、広さは充分で荷物の大きさに工夫をすれば驚くほどの荷物を積むことができます。

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また、意外に収容力があるのが座席の後ろのスペースで、このようにワインや鍋を積んで椅子で押えれば動くことなく安定して運ぶことができるのです。

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それでも折りたたみ椅子やテーブルは積みきれず、仲間のクルマに積んでもらわねばなりませんでした。

談合坂SAを出発してもクルマの量はいつもより少し多い程度で、結局は渋滞に会わずに会場近くの諏訪南ICに到着しました。例年ならばこの道中では他の参加車と多く出会うのですが、今年は意外に他のアルファ・ロメオを見かけることがなく、ひょっとしたら参加車が少ないのでは?と心配になったのですが、第二集合場所にしたICを降りてすぐのコンビニに到着するとその心配が杞憂であったことが分かりました。

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そこは参加する新旧のアルファ・ロメオでごった返しており、一般のクルマが居心地悪いほどだったのです。

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ここで私たちも西から参加するメンバーと合流し、いよいよ会場へと向かいます。会場まではあっという間で、この新しい場所はアクセスも合格だと思います。

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会場はスキー場の駐車場で広々とした見晴らしの良いスペースでしたが、それまでの岳麓公園のこじんまりした良さも捨てがたい魅力であったことを再確認しました。正直言えば少し間延びしてしまい参加車の一体感がなかったかも知れません。

入場した私たちは手馴れたもので、早速椅子やテーブルを広げて自分達のスペースを作り、ランチパーティの準備を始めました。いつの間にか身についたこの「勝手に楽しむ」精神によりメンバーはどんどん準備を始めていきます。その担当は女性陣で、誰が仕切るワケでもなく自然に準備がテキパキと進められていく様は見ていても気持ちが良いものです。

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これもアルファ164オーナーズクラブの美徳?で、メンバーの同伴してくる女性陣はお互いに初対面であっても自然に打ち解け、仲良くなってしまうようです(笑)
結構楽しそうにワイワイやっていましたので、男性陣は遠目の見物とさせていただきました。

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こうしてあっと言う間に食事の準備も整い、ランチパーティの開始です。
会場ではゲストの吉田匠氏のトークショーなどが始まっていますが、まずは腹ごしらえとばかりに私たちのグループはひたすら食べて飲みまくります(苦笑)

しかし、暫くして豪華賞品が当たる○×クイズが始まるとアナウンスされると、イッキに参加意欲が湧き、皆で参加することにしました。アルファ・ロメオに関するカルトクイズ・・・と聞けば、このメンバーであれば勝ったも同然?です(笑)

しかし勇んで参加したものの、最初に出題されたのは新しいアルファ・ロメオに関する問題で、私の専門外でした(苦笑)。結果は2問目で敗退という無残なもので、その後半に出題された「旧めのアルファ・ロメオ」に関する問題はスラスラと答えられただけに悔しい思いでした。
ちなみに私が間違えた2問目の問題とは・・・

「アルファ159とブレラのボンネットは共通である」

というものでした。さて、○でしょうか×でしょうか?

しかし、続々と敗退してしまうメンバーを尻目に、カンニングもせずに自力で優勝した男がいました。それは日常ではヲタクを最も忌み嫌い、自分はそんなことには全く興味がありません・・・という顔をしている笹本氏で(笑)、いみじくも彼もヲタクであることが露呈してしまいました。
そして、優勝した笹本氏への賞品とは、ナンと8C Competizioneの同乗試乗だったのです。

8C Competizioneは2台参加しており、1台はオーナーカーでした。このクルマはフィアット・オートが持ち込んだ広報車?で、聞けば最後は整備ノウハウを習得するために分解されて部品取り車になる運命なのだそうです。

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ドライバーはフィアット・オートの方とのことでしたから、ただの同乗走行かと思いきや、発進時から全開走行でした。それにしてもエプロン姿で乗り込む笹本氏はちょっと異様です(苦笑)

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しかし、走行から帰ってきた笹本氏の表情を見れば、そのつかの間のドライブが如何に楽しかったかが想像できます。まぁ、このヘンのハナシは彼もブログで書くでしょうからそちらをお読みいただければと思います。

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満ち足りた時間はゆっくりと過ぎていきます。

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継続の力

どんな些細なことであっても、それを継続するということは大きなエネルギーを必要とするものですが、それがイベントとなるとその継続には大勢の人々の努力が必要となると思います。

「偉大なマンネリ」と言われた(笑)、ALFAROMEO DAYですが、それは開催される日が毎年5月の連休明けの週末と決まっており、開催場所も蓼科高原を中心にしたエリアとなっていたからなのですが、特に二日目の会場である岳麓公園は定番中の定番で、参加する私達にも馴染み深い場所でした。

ご承知のように、この時期の蓼科はようやく春といった風情であちこちに花が咲き、その会場に向かう私達も年中行事としてその道中を楽しむことができました。
しかし、この会場の最大の問題は地面で、天候が良いときはともかく、雨が降ると泥濘となり、とてもクルマが入れるような状態ではなくなってしまうのです。野球グランドを特別に許可を得て使わせて頂いている関係上、仕方ないことではあるのですが、その後始末も大変な労力を必要とする場所でした。

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今年の会場はついにその問題を解決すべく、新たな場所へと変更になりました。その場所とは富士見パノラマリゾートというスキー場の駐車場で、広々としている上に地面が舗装されているために、仮に天候が悪くてもクルマを入れることが可能なのです。また、ICから近いこともあり東京から参加する私たちにとっては、蓼科に比べて若干近くなったのも有難いことです。

例年のように、参加するオーナーズクラブのメンバーのための食事を用意することにしている私たちは2日目のみの参加ですが、毎年エスカレートする食事のメニューも参加する皆が楽しみにしてくれていることもあり、手を抜くわけにはいかなくなってしまいました(苦笑)
屋外料理と言えばバーベキューが定番ですが、考えて見れば今まで一度もそのバーベキューをしたことがありませんでした。理由は単に私が天邪鬼で他のヒトと一緒が嫌なだけなのですが、今回も当然のことながら絶対に他の参加者が作らない料理を・・・ということでメニュー選考を開始しました。

私自身だってケータリングサービスのスタッフではなく(苦笑)、あくまで参加者なので、クルマを見て廻ったり出店を冷やかしたりする時間も欲しいものです。以前は張り切りすぎて現地で一日料理をして、何をしに来たのだか分からなくなってしまったこともありましたが、その反省から最近は暖めるだけといった、現地で手の掛からないメニューを考えています。
これは何もイベント用に限ったことではなく、ご家族や友人とピクニックに出かけるときも、誰かが現地での「料理担当」にならずに皆で楽しむことができる工夫だと思います。

そして考えたメニューとは・・・

「おしゃれなオープンサンド」にしました。

ベースのパンは例によってKIRI FRESHで焼いてもらうことにして、トッピングを5種類用意することにしました。

1)テリヤキチキンと京水菜の和風味
鳥ムネ肉をタレに漬け込み、オーブンで表面がカリカリになるまで焼き上げます。京水菜はその食感を楽しむものですので予め適度な大きさに切っておき、トッピングとしてさらに浅葱の小口切りをしたものと刻み海苔を載せ、マヨネーズで仕上げます。

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2)春キャベツとコーンビーフのケチャップソース
春キャベツを炒めコンソメ顆粒で味をつけておきます。さらにコンビーフを加えて炒め、最後はケチャップで仕上げます。

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3)鱈場蟹とアボカドのマヨネーズ風味
カニの缶詰をほぐして、さいの目に切ったアボカドと和えてマヨネーズとレモンで味を調えます。

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4)大正海老とグリーンアスパラのタルタルソース
新玉ねぎ、茹で卵、ピクルスをみじん切りにしてマヨネーズを加えてタルタルソースを作ります。
今回のグリーンアスパラはちょっと珍しいフランス産の野生のアスパラを使ってみました。さらに茹でた大正海老をトッピングします。

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5)パルマ産生ハムとパルメジャーノ・レッジャーノ、ルッコラ添え
生ハムはちょっと奮発して良いものを、パルメジャーノ・レッジャーノはピーラーで薄く削り、ブラックペッパーを振り、ルッコラをトッピングします。

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そしてスープは野菜たっぷりのクラムチャウダーを作って持って行きました。作り方は疲れたので省きますが(笑)、興味のある方はメールででもお問い合わせください。

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さらに同行するメンバーの笹本氏にはデザートをお願いしておきました。笹本氏はああ見えて(笑)、結構凝り性で、料理の腕前も素晴らしいのですが、今回のデザートもプリンにフルーツポンチと2種類も用意してくれました。その作り方については笹本氏のブログに詳説されていますので、文中の私個人への謂れ無き誹謗は無視して(爆)、お読みいただければと思います。

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あとはスパークリングワイン、ビール、ノンアルコールビール(笑)、そしてソフトドリンクを同じく分担して買い込んで、いよいよALFAROMEO DAYへと出発です・・・と書いておかなければ料理のブログになってしまうような気がしてきました(爆)

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漆黒の暗闇

たまにはクルマと関係のないネタも書いてみたいと思います(笑)

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"Dialog In The Dark"というイベントに参加して来ました。正直言って行くまではどういった経験ができるのか良く分からなかったのですが、実際に参加して見た後は、皆さんも是非!とオススメできるイベントです。

それは全く光のない闇の空間を体験するというもので、私にとっては人生で初めての経験でした。
もちろん私も子供の頃に押入れに閉じ込められたり(苦笑)、わざと物置の扉を閉めて暗がりを経験したりしたことはありましたが、そこには何かしら光があり、目が慣れてしまえばぼんやりと見えたものです。しかし、このイベントでは本当に「漆黒の暗闇」を経験することができるのです。

会場に行くと、まずは携帯電話に始まり時計までロッカーに預けるよう指示されます。確かに時計も光ったり蓄光したりしますから真の暗闇のためには邪魔になるのでしょう。
そして視覚障害の方が持つ白杖を渡され、薄暗い部屋でブリーフィングが始まります。いきなり暗闇に入るとパニックを起こす方がいるらしく、徐々に慣れるための部屋だそうですが、そこで一緒にこれから暗闇に入る8人(これが一グループです)の自己紹介をして、ガイド役の視覚障害の方を紹介されます。
暗闇の中ではお互いに声を掛け合うことが重要らしく、事前に声と名前を一致させておく必要があるそうなのですが、そのときにはまだ実感がありませんでした。また考えて見れば、私達にとって暗闇は異常な空間でも、視覚障害を持つ方にとってはそれが日常ですのでガイド役としては適任で、その自信に満ちたフレンドリーなブリーフィングは緊張をほぐしてくれました。

そしていよいよ順番に暗闇へと入っていくことになりますが、入った途端に一瞬にして自分の周囲の空間が消滅したかのような感覚に襲われます。そしてまず驚くのが、自分が今まで五感の内で視覚にどれほど頼っていたかということです。その視覚を一瞬にして失うのですから、パニックに襲われたり気分が悪くなったりするヒトがいるのも理解できるのですが、それはバーティゴ(空間識失調)と呼ばれるパイロットが雲の中や星の無い夜に計器飛行をしているときに陥る、自分が上昇しているのか下降しているのか旋回しているのか分からなくなる感覚に近い状態を体感することができます。

最初に入ったのはどうやら森の中を再現した場所でした。しかし、視覚を失うと人間は他の感覚がどんどん研ぎ澄まされて行くものです。そして次に驚いたのが白杖です。この白杖を私は初めて持ったのですが、軽くて適度にしなるこの杖は、持っている手許への情報フィードバックにとても優れているのです。足許とその少し先を杖で探りながら進んで行くのですが、杖を介して様々な情報を得ることができます。落ち葉を踏みしめているような柔らかな地面の感触が、足の裏からだけでなく杖からも手許に伝わって来ます。
そして次に聴覚です。今までは、どうやら聞こえた音の距離や方向は視覚も使って確認していた(よう)なのですが、その視覚がないために、ヒトの声も遠いのか近いのか良く分からなくなってしまいます。しかし、それもだんだん慣れてくるに従い、日常では聞き逃しているような鳥の囀りや水の流れる音まで鮮明に聞こえるようになって来るのです。

足許を白杖で探りながら進んでいくと、先ほどのブリーフィングで自己紹介をした意味がようやく分かってきました。暗闇の中でヒトにブツかったりするとそれが誰だか分からないことが堪らなく不安になるのです。また、自分の存在をアピールしたくなるために、「ごめんなさい。今ブツかったのは○○です」と自然に声をかけるようになってきます。日常生活では軽くブツかってもそれがヒトであることは見れば分かりますし、どういう状況でブツかったのかも分かりますので、敢えて声をかけたりはしないものですが、暗闇ではその声の情報が全てとなるのです。

そうして進む内に橋を渡るようガイドの方から案内されます。簡単に「橋」と言われてももちろん何も見えません。その橋を踏み外すとどういったことになるのかも分かりません。視覚以外の情報源を総動員しても橋の全貌は何も分からないのです。すると不思議なことに自然と情報の共有化が起こります。先頭の方が自分の経験した情報を後ろに伝え始めたのです。

「あっ!ここに段差がありますね。この橋は三本の縦の丸太だから、丸太に沿って歩くと大丈夫ですね」

誰からもそうしろ・・・と言われなくても、人間は自然にそうするように出来ていることがとても嬉しく感じられました。

そうして橋を渡ると一軒の民家に案内されます。そこには縁側があり縁側に腰掛けて(それも大変な作業です)いると、さらに畳があり、どうやらちゃぶ台が置いてあるようです。ガイドの方に促されて靴を脱いで畳に上がるのですが、これまた恐ろしい行為で自分の靴に戻れるかどうか確証はありません。ガイドの方は四方八方に移動して皆に声をかけて助けて行くのですが、考えてみると彼も私達と全く同じ条件であり、赤外線ゴーグルをつけているワケではないのです(苦笑)

さらに縁側から無事に靴を履いて立ち上がると、庭のブランコに乗る・・・という課題が待っています。
ここまで来ると段々暗闇に慣れてきて、自分でも驚くほどに動けるようになってきます。
そして、更に進むと一軒のBARがあり、そのBARで飲み物を頂くというアトラクションがあります。

日常生活では当たり前のことが、視覚を失うだけで冒険になり、様々な発見をすることができます。

よく障害者と同じ経験をするために、目隠しをして街を歩いてみたり、車椅子に乗って電車に乗ってみたり・・・という体験をするイベントがありますが、それは福祉について一緒に考えましょう的な目的をもって行われるのが殆どです。
しかし、このDialog In The Darkは、「ほら視覚障害者はこんなに大変なんですよ」というオチでは全くありません。むしろ、暗闇を楽しむというエンターテインメントとして成立していることが凄いことだと思います。もちろん楽しみ方は人それぞれで、自分の研ぎ澄まされていく感覚を楽しむもよし、他人との繋がりを再認識するもよし、そして視覚障害者の生活を体験することにより福祉について考えるもよし、そこには押し付けがましい結論誘導は何もないのです。

ドイツで始められたこのDialog In The Darkですが、既に全世界で600万人もの人々が体験し、さらにリピーターが多いと聞くにつれ、その成功のポイントはこの押し付けの無さにあるのではと思いました。

繰り返しになりますが、これは面白いです!私も視覚以外の感覚を研ぎ澄ませることによりクルマの運転に役立つ・・・などという押し付けはナシにして(笑)、楽しみ方は皆さんにお任せしたいと思います。

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艱難辛苦の果て

「地獄クルマを訪ねて」というシリーズは取材対象車がなければ記事の書きようがなく、開店休業状態となってしまうのですが、ここ最近は取材対象が目白押しで、前回のC.A.E.ストラトスに続いて見つけてしまったのが、本日ご紹介するFIAT X1/9です。

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前回の記事でPrototipoをご紹介したのですが、そのベースとなったクルマがこのFIAT X1/9で発表は1972年と、今から35年以上前のクルマです。
しかし、このX1/9のスタイリングが色あせることなくエバーグリーンなのは、デザインしたBertoneのチーフデザイナーであったガンディーニの才能によるところ大で、当時の彼はミウラ、ストラトスと立て続けにヒット作を飛ばしてノリにノッていたのです。

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日本では発売当時はスーパーカーブームで、当時はパカパカライト(リトラクタブル)にウエッジシェイプのボディでリア(ミッドシップ)にエンジンがあれば何でもスーパーカーで(笑)、このX1/9もそういった扱いを受けていたことを覚えています。
しかし、このクルマの最大の特徴はそのエンジニアリングでFIAT128のFFパワートレインを180度回転させミッドに移すことにより「お手軽」にミッドシップレイアウトを実現したことにあります。これはコペルニクス的発想で、確かに横置きFFのトランスミッションと一体化されたパワーモジュールは理論的には「どこにでも」配置できることになります。後にこの「お手軽ミッドシップ」はトヨタのMR2やポンティアック・フィエロでも実践されるのですが、このテのクルマのマーケットそのものが縮小してしまったこともあり、現在は同じ形式のモデルを見ることはなくなってしまいました。

「お手軽」は「爆安」を意味しており、コストのかかるスーパーカーの象徴であったミッドシップレイアウトを量産ユニットをそのまま利用することにより実現したX1/9は、それが居住性を犠牲にし、横置きエンジンのためZ軸モーメントが増大し、ミッドシップの利点を必ずしも生かせていなかったとしても、そのお値段と「見栄え」により大人気となるのです。
折りしも北米で保安基準が見直され、それまでの量産車の販売が難しくなっている矢先、それに対応し設計されたX1/9は北米で好調な販売をキープし、ミッドシップ2シーターでは異例の6万台という製造台数を記録しています。

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しかし製造品質は決して誉められたものではなく、「爆安」故の安普請に加えて当時のイタリア品質?により・・・、
「とれる」「もげる」は当たり前で、「落ちる」「抜ける」に加えて「燃える」に至るまで、おおよそあらゆる艱難辛苦がユーザーを襲い、現存する個体は激減しているのが現状です。そして日本では不幸なことに水難車がマーケットに流れたこともあり、X1/9の評判は地に落ちてしまっているのですが、現代において生き残っているX1/9はこれらの人災天災を乗り越えて来た猛者たちで、その設計上の問題はともかく、製造上の不良は淘汰されたと言って良いでしょう。

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今回の取材対象車はさらにオーナーの執念を感じる個体でした。それはクイック・トレーディングが企画し、限定で発売したQuick Abarth X1/9を「再現した」個体だったのです。
「再現した」と書いたのにはワケがあります。これは本来のQuick Abarth X1/9ではありません。オーナーがその姿に惚れこんで後にワンオフで部品を作って自らが作り上げたクルマなのです。
そしてそのクルマが里帰りよろしくクイック・トレーディングに整備のために預けられたのですから、その運命は皮肉なものです。オリジナルのQuick Abarth X1/9は恐らく現存する個体は片手?に満たないと思われますし、その程度はオリジナルのX1/9の現状から考えると推して知るべしでしょう。

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ところがこの個体はそれがオリジナルのX1/9であったとしてもバリもので、私自身もこれほど美しい個体を見たことはありませんでした。敢えて言うなら「新車以上」と言っても良いかもしれません。
クイックで企画された特徴あるバンパーやPrototipoを模して製造されたシュノーケルも見事に再現されています。

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ボディは再塗装され、後のアルファ・ロメオのディーラー限定車「Linea Rosso」の魁とも言える赤いストライプも美しく再現されており、もはや外観は完璧です。
ホイールもカンパニョーロ製で当時の定番であったデザインです。

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リアマフラーも今となっては貴重なANSAの4本出しです。

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ここまでにするのに一体どれだけの労力が費やされたのかは推し量る術もありませんが、ABARTHによって作られたモデルならともかく、極東の一ショップが企画した限定車をわざわざ再現する・・・というその気骨には本当にアタマが下がります。
しかもそれは、ノーマルで維持するだけでも充分大変なX1/9なのです。
もはや、開いた口が塞がらない・・・というのが本音ですが、敢えてオーナーの方に申し上げるとすれば、

「いよっ!変態っ!」(失礼)

という賛辞でしかありません。どうか末永くこの変態道を突き進んでいただきたいと思います。

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幻のPrototipo

どういうワケか最近取り上げられることが多くなったのがこのPrototipoではないでしょうか。これも復活したABARTHのお陰かも知れませんが、このPrototipoは数あるABARTHのモデルの中でも、新しいモデルでありながらミステリアスなクルマではないかと思います。

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以前、ALFA ROMEO Sport Collectionという悪夢のようなシリーズを全て買うハメになった私ですが、イタリア自動車雑貨店から同じようなシリーズでABARTHが出るよ・・・と教えられた際には、買うことを躊躇してしまいました。ご承知のようにこのシリーズはイタリアでリーフレットに1/43のミニチュアを付けて発売されているのですが、日本のように律儀に定期的に発売されるワケではなく、思い出したようにまとめて発売されたり、突然中止になったりするために、一体何台のシリーズになるかが分からないこともあり、泥沼化を畏れた私は今回は「お取り置き」はお願いしませんでした(苦笑)

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ただ、やはり店頭に並ぶと気になってしまい、どんなABARTHが発売されるのかチェックしていたのですが、このPrototipoが発売されると聞いて黙ってはいられなくなってしまいました(笑)
理由は「大好きだから・・・」以外の何ものでもないのですが、もう一つの理由は主治医であるクイック・トレーディングの寺島社長がこのPrototipoを所有しているからでもあります。

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そもそもPrototipoはFIATのエンジニア兼テストドライバーであるジョルジョ・ピアンタ(Giorgio Pianta)の企画により、1973年当時FIAT傘下に組み込まれていたABARTH にその設計を委託して開発されたものです。当時のFIATは124 Spider Abarth RallyでWRCに参戦していたのですが、その性能UPは限界を迎えており、後継車の開発が急務でした。そしてその格好の材料に選ばれたのが1972年に販売が開始されたミッドシップレイアウトを持つX1/9でした。
FIATはLANCIAがWRCに投入したストラトスに対抗する術を持っていませんでしたので、ミッドシップのX1/9はそのベースとしては最適と思われていました。
しかもストラトスのようにホモロゲーションを取得するだけの台数しか生産しない限定車ではなく、量産モデルとして販売していたので、WRCに参戦し勝利することにより、販売促進にも大きく寄与することが期待されていたのです。

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搭載されたエンジンはABARTHが設計した16Vシリンダーヘッドを1600ccのブロックのボアを1756cc(Abarth 232)または1840cc(Abarth 232G)に拡大したエンジンに搭載し、さらにカムシャフトのプロフィールを変更することにより190hpから210hpを発揮していました。このエンジンチューニングこそABARTHの真骨頂で、メカニカルチューンだけでこれだけのパワーを搾り出したのですから、まさにABARTH Magicと言えるでしょう。

一方で外観もノーマルのX1/9から変更されています。ヘッドライトはノーマルのリトクラクタブルから固定式とされ、エンジンとトランクの間の隔壁は取り除かれ、チューブパイプによるX字型の補強が入れられました。また 2本のロールバーが追加されボディーを強化し、ボンネットとドアは軽量化のため全てプラスチック製に変更されるとともに、アルミ製のデタッチャブルトップはリベット止めされました。
さらにオーバーフェンダーとフロントスポイラーが加えられましたが、そこまでを見ると単なる暴走族の改造車(苦笑)の定番でしかありませんが、外見での最大の特徴はリアのエンジンフードに取り付けられたシュノーケルで、以前のABARTH OT1300/2000が室内に新鮮な空気を取り入れるために、このシュノーケルをルーフに装備されていたのに対して、これはキャブレターに新鮮な空気を送り込むために装備されたもので、このPrototipoの最大の特徴となっていました。
外観は暴走族風でも、ここまでの理詰めの軽量化により車重は750kgを達成し、この車重は前述のエンジンパワーと共にPrototipoの戦闘力の礎となったのです。

ここまでやれば、どう考えてもWRCでの活躍は約束されたも同然のPrototipoでしたが、結果としてこのプロジェクトはキャンセルされてしまいます。
そしてその理由はストラトスにありました。1969年にFIATの子会社となったLANCIAでしたが、WRCにおいては親会社であるFIATも参戦していたために、同じ資本関係にありながらライバルとして戦うこととなってしまいました。当時のLANCIAはストラトスを投入し、連戦連勝の勢いであったのに対して、FIATは前述の124 SpiderをベースにしたABARTH RALLYで戦わざるを得ず、それはどう考えても不利な戦いでした。Prototipoの性能は124を大きく上回っており、ストラトスと互角の勝負ができると期待されていたのですが、一方でこの互角というのが問題で、同じミッドシップレイアウトのモデルが方やFIAT、方やLANCIAで勝利を分け合ったとしても決して販売には結びつかないと考えたのです。

つまり、FIATはLANCIAのラリー部門をFIATと統合することにより、ストラトスの幕引きを決定しており、ストラトスに替えて同じようなPrototipoを投入することよりも、全く外観も駆動形式も異なるセダンボディの131を投入したほうが、販売促進には効果的・・・と判断したのです。
当時のライバルであったフォード・エスコートやオペル・アスコナはミドルレンジのセダンだったので、外観がいかにも・・・というスポーツタイプのクルマで勝ってもそれは当たり前と取られてしまうだけでしたから、「同じハコで勝つ」必要があったのでしょう。
かくして稀代の名車?となったかも知れないPrototipoは試作された数台のみでその生涯を終えることになるのですが、一方で131はキャンセルされたPrototipoに替わってABARTHによりチューンされ、後にWRCタイトルを獲得すると共に、その販売促進にも大きく寄与したことから、FIATの判断は正しかったのかも知れません。

このように悲運なPrototipoですが、その貴重な1台が寺島社長とABARTHとの関係から日本にあることは本当に凄いことだと思います。残念ながら現在は見ることが叶わないのですが、レストアを・・・という計画もされているようですので、将来はショールームでDTMのチャンピオンカーであるアルファ155V6TIと共にABARTH最後の匠の技を見ることができるかも知れません。

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それまではこのミニチュアモデルで我慢することにしましょう。

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ストラトス追補

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S氏のC.A.E.ストラトスについての物語を三部に亙って書かせていただきましたが、思いの他各方面から反響があり、私たちのようなクルマ趣味において、程度の差こそあれ同様の経験をされている方が多いことを再認識させていただきました。

今回は初めての試みでインタビューによる取材という形で記事の原案をまとめたのですが、短い時間でお伺いしたハナシを元に記事を書くのは本当に難しく、ジャーナリストを仕事にしている方のご苦労の一端を垣間見た思いでした。
実は過去に仕事ではインタビュー取材をしたことはありましたが、その際には既に書くことが決まっており、それを実話っぽく見せる演出としての取材でしたので、インタビューされる側の相手にも原稿どおり答えてもらうという、所謂「やらせ」取材(苦笑)で、それほどの苦労はありませんでした。

今回の記事はもちろん「やらせ」なしで、S氏からお伺いしたハナシを元に、どういう構成で皆さんにお伝えすれば良いかを考えながら書きましたので、意図的にハナシを端折った部分もありますが、やはり不慣れであったためお聞きし切れていない部分がありました。

この記事はS氏ももちろん読まれており、ご丁寧な感謝のメールを頂いたのですが、そのメールの中に私の記事について訂正と補足でご説明いただいた箇所がありました。
ブログというのは便利なもので、一度UPした記事も簡単に修正ができてしまいます。
しかし、紙媒体だとそういうワケには行きませんし、テレビやラジオのような放送も一度流れてしまえばその訂正は容易ではありません。ブログだからいい加減な記事を書いても後で修正すればいいや・・・と元の記事を修正してしまうのにはどうも抵抗がありましたので、S氏よりご指摘いただいた部分を訂正させていただきながら、記事の追補という形で皆さんにお知らせしておきたいと思います。

●C.A.E.ストラトス購入の決断について
私は記事の中で、S氏は現車を見て簡単に決断をしたように書いていますが、ご本人は相当の逡巡があったようです。やはりオリジナルのストラトスへの未練はあり、特にC.A.E.ような手作りの「一品もの」のレプリカに対する不安も大きかったそうです。だからこそ譲り受ける際に、前オーナーにも引き続き情報の提供などの支援をくれぐれもお願いした上で購入に踏み切ったとのことでした。

●総合診断で見つかった不具合箇所について
私の説明は不充分で、S氏より詳細にご説明いただきました。
最初に見つかったのは左ロアアームの曲がりだったそうです。これは別のショップで見つかったのですが、それを修理するために持ち込んだ一軒目のショップで総合診断をしてもらう中、今度は両アッパーアームのピボット溶接箇所(フレーム側)のクラックを含む数箇所の不具合が見つかったそうです。
このクラックは溶接不良というよりは、C.A.E.社の設計不良(構造強度不足)だそうで、もし皆さんの中でこれからC.A.E.ストラトスを購入するような方がいらっしゃれば、ここは必ずチェックし対策しておくべき箇所だと思います。

●二軒目のショップについて
このお店のオーナーとは以前から面識はあったそうです。しかし、コンピュータを探す中で問い合わせのメールをしたところ、

「部品なんて簡単に手に入る。なんならクルマ見ましょうか?話からするともっと単純な原因と思うので点検程度で直ると思いますよ。」

というものだったので、「点検程度なら。」という風に話が進んで、預けることになったそうです。

「払わなければクルマを潰す」という発言は正確には、「払わなければクルマを流す(転売する)」と言われたとのことです。所有者の委任状がないのに第三者がそんなことできるのか?と思いますが、裏ルートでは何でもアリとのことで、何とも怪しげな脅し文句です。
そして支払は相手の要求どおり払ったそうで、請求書を出す時に支払期限に加えて、「値引きには一切応じない」と言ってきたそうです。これも凄いハナシです。

S氏はメールでこう述べています。

「読んでいて多少事実と違うかなと思った箇所と、それに関する見解は以上です。
そのままでも、話の大筋に影響があるとも思いません。私自身、納得しながら読ませていただきました。感想を述べるとすれば、済んだことではあるけれど私と同じ轍を踏む人が少しでも少なくなれば大金はたいた価値はあるかなと。」


S氏はエンジニアであることからお仕事柄、費用の算出が難しい試作部品などの発注もされているようです。そのご経験から続けてこんなことも仰っています。

「私は家電系のメカ屋をやっているので、自分で設計した部品を図面にして試作業者に発注しますが、この世界では上記(出来高払い)のようなことはありえません。
試作製作と修理は違うものではありますが、試作だって、やってみないと上手く出来るかわからない場合は当然あります。
私は試作屋に先に見積もりを要求しますし、試作屋はやったことが無い仕事でもなんとか値段を出してきます。これが間違っていて低すぎた金額だったとしても彼らは普通は追加要求なんかしません。見積もりに責任を負うのです。

もう少し大きな話だと、うちの子会社で一品物の工場設備の開発を請け負う所があります。開発からですから話を受けた段階では図面すらありません。
しかし、物は大量生産の設備の一部に組み込まれますから数百~数千万の仕事です。
以前ここの社長に開発費の見積もりをどのように出すのか聞いたことがあります。
答えは「経験と概算でやるしかない。」でした。
さらに「現実としてうまく収まらない場合はありますよね?」と聞くと。
「そこは社会的な責任です。受けた以上は赤でもやるんです。」とのことでした。
そこには”あきらめ”ではなく”プライド”が見て取れました。」


私自身も精密光学装置メーカーに勤務していますのでS氏が述べていることと同様の経験をしています。業界には各々の特徴があり、必ずしも上記の考え方全てが自動車整備の業界にあてはまるとは思いませんが、お互いに納得できるのが商売の原則であることには変わりないでしょう。

もちろん、お互いに「曖昧」なまま仕事を始めることにより、こういったリスクのあるクルマを診てもらえる・・・という側面があることは否めないと思います。もし、最初に見積もりを出して・・・という商習慣で仕事を請けるとすると、その見積もりを作るにも調査費が発生するでしょうから、「見積もり作成費」を請求しなければ整備工場は商売にならないでしょう。そして経験のないクルマは、見積もり不能であったりリスクが高すぎるために「お断り」せざるを得ないケースもあるかと思います。

繰り返しになりますが、だからこその「信頼関係」ではないでしょうか。そしてその信頼関係はどちらか一方の努力だけで形成されるのではなく、お互いの努力で積み上げられるものだと思います。
納得できない1万円と、それでも安いと思って払う100万円との間には、オーナー側の整備工場の仕事に対する信頼と敬意が必要だと思いますし、一方で整備工場側には説明責任とメカニックとしてのプライドに加えてオーナーの気持ちを思いやる愛情が求められるでしょう。

ちなみに現在のC.A.E.ストラトスは「いまだかつてない」程快調だそうです(笑)

今回のストラトスに関する記事はオーナーのS氏のご協力により書かせていただきましたが、その内容の責任は全て作者である私にあります。お互いの言い分を聞いたワケではありませんので、特定のショップを誹謗するつもりはありませんし、仮に事実と異なる部分があったとしてもその責任は全て私にあることを最後に付け加えておきたいと思います。

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ストラトス賛歌

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S氏の部品探しは困難を極めました。国内のスペシャルショップや解体屋に片っ端から問い合わせをし、海外のサイトなどにもアクセスをし、適合するコンピュータを探し続けました。
そんなときに出会ったのが以前C.A.E.ストラトスに乗っていた・・・というあるショップのオーナーでした。

「一度見てあげるよ」

部品探しに疲れ果てていたS氏にとってこの言葉はどれほど有難かったでしょう。しかも元オーナーだったことがS氏にはこのトラブルの出口が見えたかに思えたのです。
ただ、前回の苦い経験からS氏はすぐに修理を依頼することはありませんでした。
まずは、お店のネットワークでコンピュータを探してもらい、原因を究明してから・・・と考えていたのですが、最初に簡単に見つかる・・・と言われたコンピュータは、待てど暮らせど見つかりませんでした。そうこうしているウチに、

「ROMを書き換えちゃったら」

という提案を受けたのです。確かにノーマルの燃料調整のセッティングは燃費や乗りやすさなどを総合的に検討したセッティングですので、何らかのネガが出るのをガマンしてサーキット走行用などに書き換えたROMを使用する場合はありますが、それはあくまでエンジンが完調であることが前提で、ここでも原因が分からないままの修理が行われたのです。

当然のことながらROMを換えたとしてもエンジンの調子は戻りません。
メカニカルな部分のトラブルは悪い部品を交換すれば元に戻ります。注意しなければならないのは二次災害で、ある部分を交換したことにより次に弱っている部分に問題が移行するといった連鎖トラブルです。水関係やオイル関係に良く見られるトラブルですが、これらは経験があるメカニックならばその全体の程度を見て、どこまでの部品を交換するかの判断ができるものです。
一方で電気関連のトラブルの原因究明は、一度に手をつけるのではなく、地道にテスターでチェックして行きながら原因を探っていかなければなりません。この手順を無視して行われた対処療法的な部品交換は、元々の原因でそうなっているのか、交換した部品のせいでそうなっているのかが分からず、どんどん原因の特定を難しくして行くものです。

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そうしているうちにやっとのことで中古コンピュータが見つかりました。それもずっとあちこち探していたS氏のネットワークから出てきたもので、S氏はそのコンピュータに交換を依頼するのですが、やはり症状は消えませんでした。

「このコンピュータは不良だね」

こともなげにそう言い切るショップに対して、S氏はまたもや不信の念を抱いてしまいます。
ただ、今回は前回と違って作業の依頼はROMの書き換えとコンピュータの交換だけです。

「いっそのことキャブレターに交換したら・・・」

というショップの薦めを断り、S氏はクルマを引き上げる決断をしました。すでに預けてから2ヶ月が経過していましたが、その間に何も進展がなかったのです。このショップでは治らない・・・との確信のもとにS氏はその決断をしたのですが、いざ引き上げる段になるとやはり支払の問題が浮上しました。
そして最後には、

「払わなければクルマを潰す」

と言われるまで拗れてしまったのです。
S氏は当初の法外な金額からやっと合意した修理代を支払い、クルマを引き上げることにしました。
永年の夢が叶って楽しいはずのストラトスとの生活が一転して地獄となり、さらには人間不信にまでなってしまったのです。

トラブル修理で良く聞く問題の一つがこの修理代金だと思います。
原因を何時間も調査したショップ側の人件費と、それでも結果治らなかったという事実。そして部品を交換しても治らなかった場合のその部品代と交換工賃。加えてその間の保管料。
どちらの立場に立つかによって感じ方も様々でしょうし、状況によってもまちまちでしょう。
それがどんな業種であれ、お互いの信頼と合意がない仕事は成立しないのは自明なのですが、ことクルマの修理に関しては、信頼関係が構築されていないにも係らず、また整備方針の説明がないままでの、「出来高払い」の部分が多々あり、それがトラブルの元になっているのは確かだと思います。

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こうしてS氏は私の主治医のもとにやって来ました。それはS氏がコンピュータ探しの際に部品の問い合わせをしたのがきっかけだったそうですが、S氏によれば・・・、

「電話で説明したときに今までの全ての事情を分かってくれた」

のだそうです。結果、地道な原因究明により、一本のハーネスのコネクタ不良が発見されエンジンは完治しました。

「それだけ払ったら3.2LのGTA用V6エンジンに載せ換えられるよ」
「ホンモノが買えちゃうよ」


結果論で言えばナンとでも言えますが、私たちは当事者でも裁判官でもありませんので、誰が悪いとかナニが悪いとかの論評は差し控えるべきでしょう。
ただ、最初は小さなボタンの掛け違いだったような気がします。そして、このS氏の経験した物語は、大好きな愛車とどう付き合うか?その面倒を親身に見てくれる主治医とどう出会い、どう付き合うか?という大きなテーマを私たちに問いかけてくれるハナシではないでしょうか。

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愛車であったアルファ164Q4を廃車にすると決断したときのブログを読み返すと、私はこんなことを書いていました。

クルマはガソリンとオイルを入れていれば勝手に走るのではなく、それを愛情込めてメンテナンスするメカニックの方々に支えられ、その苦労と楽しさを「語るに足る」仲間がいるからこそ、気持ちよく走り続けることができるのです。

S氏とストラトスがこれから天国を味わうのか、更なる地獄を巡るのかは誰にも分かりませんが、どちらにせよS氏にはそれを楽しんでいただけることを願って止みません。

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