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走ってナンボ

アルファ・ロメオを始めとする「ちょっと旧いイタ車」を一生懸命維持する中での天国と地獄をご紹介します。

ストラトス憂歌

S氏は紹介された工場を訪ねることにしました。もちろん今後のことを相談に・・・というスタンスで訪ねたのですが、いきなりこのクルマで訪ねてこられたメンテナンス工場側もさぞかし驚いたことでしょう(笑)

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自分のクルマの状態が良く分からない新オーナーと、全くそのクルマを触ったことのないメカニックが最初にする作業は、クルマの状態を把握することです。
考えて見れば、常日頃から「佇まいが良い」などと言っていますが、それは比較対象があるから言えることで、あくまで相対評価でしかありません。中古車の場合はその基準は新車であったり、手を入れて乗っているオーナーカーであったり、市場にある他の中古車であったりするのですが、一番厳しい基準はその新車時と比べることでしょう。しかし、その新車でさえ製造公差があり、さらにC.A.E.ストラトスのような手作りに近いクルマの場合は、一台一台が別物で、おおよそ何かと比べることなぞできないのです。

最初に見つかった箇所は溶接不良でした。それはロアアームだったのですが、そもそも新車のときからこうだったのか、経年劣化でこうなったのかも分かりません。しかし、明らかに走行に支障があるだけでなく、最悪の場合は危険ですらある箇所でしたので、修理をすることとなるのですが、北海道の前オーナーとも相談の結果、一部修理費を負担してもらえることとなり、修理は順調に進みました。
通常はノークレーム・ノーリターンが当たり前の個人売買ですから、前オーナーの誠実な人柄が偲ばれる出来事でした。
また、こういった箇所は相対比較によるクルマの程度とは別問題ですので、メンテナンス工場の最初の総合診断としては至極マトモであったと言えます。

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S氏は信頼できる主治医に出会い、順風満帆でストラトスとの蜜月を楽しむことができるはずでした。
ところが、すぐにメーター不良という新たな問題が発生しました。油圧計や電圧計などの補助メーターが明らかに誤作動を起こしており、その原因は電気系にあると思われました。S氏は早速、新しい主治医に入庫させ、「原因を究明し」修理をお願いすることにしました。
ところが、そこで下された診断は・・・、

「ハーネスの全交換が必要」

というものだったのです。確かに日本人の目から見ると、外国車、特にイタリア車なぞは新車であっても酷いハーネスを使用しています。最近でこそ少しはマトモになりましたが、それでもハーネスの作り方だけでなく、組み付け方もしかりで、熱によりすぐにショートする引き回し方であったり、充分な保護がされていなかったりと、それは当に「知らぬが仏」で、一度見てしまうと恐ろしくなってくるのですが、今回はその全体の品質を見て、原因を特定しないまま、「全交換」という判断をしてしまったのです。
最初の悲劇はここにありました。オーナーも主治医も「どこまで治すか」という目標(妥協?)が見えないままクルマを触り始めてしまったのです。

このように当初は100万程度でしょう・・・と始められたハーネスの引きなおしは半年間を費やし、その費用は400万を超える金額となってしまいました。
その金額はS氏には到底納得できるものではありませんでした。また、途中で何の相談もなかったことがS氏にとっては不信にも繋がりました。
結果、交渉の末、その半額程でお互いに折り合いをつけ、クルマを引き取った帰り道、更なる試練がS氏を襲うことになります。
エンジンが息継ぎを起こしてしまい、メーターの誤作動どころではなくなってしまったのです。
S氏はすぐに主治医の許に戻り、その不調を訴えたのですが、それをクレームと受け取った主治医との交渉は埒が開かず、これ以上ここにクルマを預ける気にはなりませんでした。

かくして、ただでさえ比較することの難しい稀少車であったS氏のストラトスは、ハーネスの引きなおしにより、この世に一台だけのクルマとなってしまいました。しかもそれは誰もその全てを知るヒトがいないのです。

こうなるとS氏は自分で何とかするしか方法がありませんでした。あちこち調べてスロットルポジションセンサーを交換するも症状は消えず、次にエアフローメーター、さらにO2センサーとアルファ・ロメオのV6エンジンの不調の際に交換する部品を片っ端から交換して行ったのですが、その症状は改善されず、最後にコンピュータを残すだけとなってしまいました。
この2.5LのV6エンジンはアルファ155に搭載されていたものですので、コンピュータの中古部品は簡単に手に入る・・・はずでした。ところが、実際に型番を調べてみると、それは初期のイモビライザーがないタイプのコンピュータでBOSCHでは既に製造中止となっており、日本ではその台数の少なさからおいそれと中古部品が手に入らなかったのです。

それが原因と特定されぬままに、S氏は部品探しの泥沼に嵌っていくことになります。

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ストラトス哀歌

最初に主治医からこのハナシを聞いたときに、何とも言いようのない哀しみに似た感情が湧き上がってきました。そして、この顛末は何とかして皆さんにもお知らせしたいと思ったのです。
柄にもなく、主治医に「是非オーナーの方にインタビューさせて欲しい」と取材の仲介をお願いしたのも、この記事を書くのであれば、直接お話をお伺いした上で書くべきだ・・・と考えたからに他なりません。

こうしてこのブログでは初めての試みとなるインタビュー取材による記事を書くことになりました。そしてそれはクルマを趣味とする私たちが等しく直面するかもしれない問題であり、またそのときにもし自分ならどうするか考えさせられるテーマではないかと思います。

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このクルマを初めて主治医の工場で見たときにはびっくりしました。ホイールがノンオリジナルであることから、このストラトスがレプリカであることが分かりましたが、その出来栄えはそんなことが瑣末なことに思えるほど素晴らしいものだったのです。
カラーリングは1975年のワークス仕様を完璧に再現しており、それだけでなくフロントのライトポッドやオーバーフェンダーまでもが忠実にその仕様をコピーしてあるために、その迫力は「ホンモノ」が持つ臨場感に満ち溢れていました。

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オーナーのS氏はこのストラトスが初めての「ガイシャ」でした。彼の年代はスーパーカー世代のど真ん中に位置しており、その彼にとってストラトスは永遠の憧れだったのです。もちろんスーパーカー世代の誰もが実際にその憧れのクルマを手にする経済的/精神的余裕があるワケではなく、また仮にあったとしても実際に手に入れることは叶わないのですが、S氏はその憧れをアキラメることなくストラトスを探し始めました。
彼が現在のストラトスを手に入れた3年前は、現在と同様にオリジナルのストラトスは稀少車で、めったなことで売り物に出会えることはありませんでした。またあったとしてもレーシングヒストリーのないストラダーレでさえ、2000万円という法外な?価格で取引をされており、しかもその程度はとてもすぐに乗り出せるようなものではなかったのです。

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そんな時に、彼はこのレプリカのストラトスと出会います。C.A.E社によって製造されたこのストラトスはそのボディをオリジナルから模られ、独自のフレームに数種類のエンジンをオプションで搭載するもので、その出来栄えは限りなく「ホンモノ」に近いと絶賛されていたものです。しかもこの個体はそのエンジンラインアップの中でも最も魅力的な?アルファ・ロメオの2.5LV6エンジンを搭載していました。

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名車のレプリカは数多く存在しますが、その方向性はまちまちです。考え方によってはオリジナルから数段進歩しているケーターハムのスーパー7も、ロータス社のそれのレプリカと呼んでも良いのかも知れません。そしてシェルビー・コブラのレプリカであるERA社やコンテンポラリー社のコブラや、ポルシェ356スピードスターのレプリカであるインターメカニカ社のスピードスター、そしてこのC.A.E.ストラトスのようにホンモノの再生産版と言って良いほどのレプリカから、ボディサイズの異なるシャーシーにオリジナルに似せたボディを被せて、「らしく」仕上げたものまで様々です。
その中にあっても、このC.A.E.社のストラトスはその外観だけでなく、「ホンモノ」に決して劣らない性能を有していました。

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そしてやはり何より決め手はこの外観です。S氏にとって、最早これが手のかかるDinoのV6エンジンを搭載し、ホモロゲーションを取るためだけに製造された、ラリーカーの素材としての最低限の造りでしかなかったオリジナルのストラトスよりもずっと現実的な選択だと思えてきました。
S氏は実車を見るために北海道にまで出かけました。そしてこういったクルマを買うときに一番重要であるクルマの程度・・・ではなく、現オーナーの人柄に触れて購入を決意するのです。
しかし、いくら「ホンモノ」でなくてもそれは決して安い買い物ではありませんでした。

そしてそれからS氏の紆余曲折に満ちた苦闘が始まります。
まずS氏にはこのクルマを預けることができる主治医と呼べる整備工場がありませんでした。
ご存知のようにメーカーが新車で販売していたクルマであれば、それを中古車として購入したとしてもディーラーが面倒を見てくれます。また、量販車種であればスペシャル・ショップと呼ばれるその車種を得意とする整備工場が見つかるものですが、C.A.E.ストラトスに関してはその見当が全くつかなかったのです。

S氏は以前懇意にしていたマツダのディーラーを訪ねます。覚えている方もいらっしゃると思いますが、以前マツダはランチアやシトロエンを扱っていたこともあり、多少は経験があるのではと考えたのです。しかし、結果は「やんわりと」断られてしまいました。その理由は「このクルマを上げることのできるリフトがない」という不可思議な理由でしたが、実のところは「高価なクルマなので万が一のときに補償できない」というのが理由でした。
これは至極もっともな理由で、ディーラーの工場のように組織で仕事をしているところほど、こういった「リスクのあるクルマ」は引き受けないものなのです。
しかし、よほど気の毒に思ったのか、このディーラーは「ここならば・・・」という工場を紹介してくれました。
そしてこのドラマは始まることになります。

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Giuliaの珍味

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一瞬、何故6C1750 Gransportが・・・と目が点になりました。6C1750 Gransportはアルファ・ロメオの戦前の名車で、Mille Migliaを始めとする数多くのレースで勝利を納めたクルマです。
しかし、すぐにピンと来ました。これは4R ZagatoというGiulia TIをベースにして製造されたレプリカモデルだったのです。

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なんだレプリカか・・・と失望する必要は全くなく、このレプリカはどこかのバックヤードビルダーが適当に作ったものではなく、由緒正しいアルファ・ロメオ公認のレプリカなのです。
そもそものきっかけはイタリアのカーグラフィック誌(逆か・・・)と言われるQuatroruote誌の企画でした。
そしてその企画を実現するために、アルファ・ロメオはGiulia TIのシャーシーとエンジンを供給し、Zagatoがそのボディを架装して製造されました。
当初は50台限定で製造される予定であったのですが、発表してみると結構な人気で結局は3年間で手作りのクルマとしては異例の92台が製造されました。

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その外観はGiuliaのシャーシーに合わせてあるものの、一瞬ホンモノと見間違うほどの出来栄えです。
どうでしょうか?上の写真はホンモノの6C1750 Gran Sportで下はレプリカの4R Zagatoです。

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ホイールも当時と同じボラーニ製で、こういったコダワリはマニアの視点に立った雑誌の企画ならではでしょう。

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もちろん細部にも抜かりはありません。ちゃんと当時のロゴでエンブレムも仕立てられています。

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コクピットはさすがに当時のまま・・・というワケには行かず、メーター類などはGiuliaのものを流用されていますが、その雰囲気は充分伝わって来ます。

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このクルマが一般の方にも有名なのは、あのアニメ「ルパン三世」に登場するからなのですが、このアニメに登場するクルマ達はマニアックなことで有名です。それもそのはずで軍事車両研究の世界では有名なアニメーターである大塚康生氏がスタッフとして加わっていましたので、その登場車両のチョイスはマニアを唸らせるものだったのも当然です。

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ようやく、今回のイベントのフューチャリングカーである1750/2000Berlinaに辿り着きました。Giula Superの上級車種としてデビューしたこのモデルですが、Giuliaのシャーシーをベースにしているため、実質上はGiulia Superの後継車種という位置づけです。

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ホイールベースを延長したことによりサイズアップされたため、Berlinaの室内はGiulia Superよりも遥かに広くなり、トランクも広大なものです。セダンとしては実に実用的で、日本では珍しくともその生産台数は10万台というヒット作となりました。

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当初は1750ccのエンジンを搭載した1750Berlinaが発表され、後に2000Berlinaとなるのですが、今回は2000Berlinaの写真を撮り忘れてしまいました。フロントグリルが7本線なのが1750で、一本線のシンプルなグリルが2000です。

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室内はちゃんと2000berlinaのものを撮っていました。さすがに上級車種だけあって内装は立派です。

カフェ・ド・ジュリアのフルコースメニューはそのメニュー(車種)の豊富さとボリューム(台数)で大満足でしたが、さらにデザートまで用意されていました。

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このクルマを知っているヒトが一体何人いるでしょうか。とても珍しいFIAT 1500Spiderです。私も最初に見たときには全く分かりませんでしたが、とても気に入ってしまいました。一見するとダイハツのコンパーノスパイダーに似ていますが、コンパーノのデザインがヴィニヤーレであったことに対してこちらのデザインはピニンファリーナです。

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内装もレストアされているようですが、赤のボディカラーとクリームの内装のコンビネーションがとてもお洒落です。

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Giuliaのためのイベントですので、ひっそりと陰に隠れていた(苦笑)、2600Sprintです。これまたGiiulia系より遥かに珍しいクルマですので、ちゃんと見咎められて観察されていました。

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直列6気筒エンジンを搭載した2600シリーズは戦前からのアルファ・ロメオの伝統に基づき、高級に仕立てられていたのですが、まだイタリアにはこのクルマを買うことの出来る富裕層は少なく、商業的には成功しませんでしたが、永らくアルファ・ロメオのフラッグシップとして生産し続けられたモデルです。

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ちょいと覗いて見よう・・・程度の気持ちで訪れたこのイベントは、結局お腹一杯になるイベントでした。
しかも、その料理の一品一品が贅沢で手が込んでおり、決して適当に食べてはいけない料理の数々でした。

どうやらこれからカフェ・ド・ジュリアを訪れる際は、満漢全席に挑むほどの覚悟で行く必要があると思います。

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Giulia Sprintのテンコ盛

やはりこのイベントのメインディッシュはGiulia Sprintでしょう。
殆どの方がGiuliaと聞いてすぐに思い浮かぶのは、このベルトーネ在籍時のジゥジアーロの代表作と言われるSprintではないでしょうか。
そのGiulia Sprintも搭載されたエンジンだけでも、1300cc、1600cc、1750cc(正確には1779cc)、2000ccと一般的なGiulia系と同じだけあるのに加えて、ツインプラグヘッドを持つGTAというスペシャルモデルもあり、これらの全てのモデルが一同に会するのはこのイベントだけと言って良いでしょう。

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日本のGiulia Sprintの歴史はこのクルマから始まりました。それは伊藤忠モータースが輸入したGiulia Sprint GTの第一号車で現在に至るまで当時のオーナーの元に現存しています。

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どちらも素晴らしいコンディションの初期型Sprintですが、不思議なことにこれら3台は皆、同じボディカラーでした。

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そしてGiulia Sprint GTはマイナーチェンジをされてGiulia Sprint GT Veloceとなります。その外見は「二つ寄り目の段付き三本線」というフロントマスクで識別されるのですが、恐らく巷では最も人気のあるモデルではないでしょうか。

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今回のイベントでは意外に赤のボディカラーが少なかったように思いますが、やはりGiulia Sprintは赤が似合います。

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Giulia Sprintにも廉価版として1300ccエンジンを搭載したJuniorと呼ばれるモデルが設定されていました。しかし何度も書いていますが、それは単に排気量が少ない、すなわちパワーが低いモデルではなく、全く異なる魅力を持ったモデルとして愛されて来ました。アルファ・ロメオにおけるJuniorは財布と相談して仕方なく買うグレードではなく、積極的に選ぶ価値のあるモデルであったのです。

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後期になり上級モデルの排気量が2000ccになったことに伴い、Juniorも排気量がUPされ1600ccとなりました。この後期型のJuniorは最も人気のないモデルと言われていますが、現在の目で見るとシンプルな美しさがあると思います。

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GTAがすでにGiulia Sprintの中では特別なモデルですので、ノーマルのGTAという表現は変ですが(笑)、このGTAは実に佇まいの良いノーマルでした。もともとがチューニングを前提にしたモデルでしたのでエンジンチューンは最小限で、ストック状態では115hpでしかありませんでしたが、車重は300kgも減量されていました。

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一方、ノーマルモデルは年を追うごとに排気量がUPされます。1750GT Veloceはフロントマスクが大きく変更されました。特徴のある「段付き」と呼ばれたボンネット先端の段差は無くされライトも4灯となりました。

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個人的にはGiulia Sprintの中で一番好ましいのがこの1750GTVだと思っています。それは外観だけでなく、パワーとシャーシーのバランスも含めてのことで、もしGiulia Sprintを買うのであれば、エンジンが2000ccに換装などされていないオリジナルの1750GTVを探すでしょう。

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そして、Giulia Sprintは排気量を2000ccにUPされ最終形となります。グリルのデザインも一新され、テールレンズも大型化されましたので、外観上はひと目で他のモデルと区別することができます。

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今回の引率者?であるR君の2000GTVです。このクルマのメンテナンスに関してはまた機会があれば詳報したいと思いますが、足回りやエンジンに徹底的に手を入れることにより、ドライビングに関しては完璧と思える仕上がりで参加したのですが、外観は…今後の課題でしょう(苦笑)

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細かな年式や仕向地の違いはともかくとして、全てのモデルが揃ったGiulia Sprintでしたが、たった一つだけ見ることのできないモデルがありました。
それはGiulia GTCというモデルで、Giulia Spiderの製造中止に伴い、次期SpiderであったDuetto発売までの空白を埋めるために1年間だけ急遽発売されたGiulia Sprintのオープンモデルなのですが、総生産台数が僅か1000台と少なく、残存個体も殆どないモデルですので、見ることはムリとアキラメていたのですが…。

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なんと見学者の駐車場で見つけてしまいました(笑)。
これでGiulia Sprintの全てのモデルを制覇したことになります。クドいようですがこんなイベントは世界規模で見ても稀でしょう。

メインディッシュのGiulia Sprintは当に「てんこ盛り」状態でした。しかしまだコース料理が終わることはありませんでした。続いては「珍味」で楽しませてもらいましょう。

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Giuliaに満腹?

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気がつけば会場は105/115系と呼ばれるGiulia Sprint、Giulia Super、Spider Duetto、Spider Sr.2に加えてJunior-Z、そして今回のフューチャリングカーである1750/2000Berlina達で溢れかえっていました。
街中では一台でもすれ違うと、「おお~っ」と感激するクルマですが、こうも沢山目にしてしまうと、有り難味も薄れ、だんだん感覚が麻痺してしまいます。
カフェ・ド・ジュリアにやってくるクルマ達はその殆どが街乗り用の仕立てで、バリバリのレーシングチューンを施されたクルマはいません。確かにサーキットでGiuliaを見る機会は多いのですが、一方でこういったノーマル仕立てのGiuliaを数多く見る機会はここでしかないでしょう。

どういうワケかこういったイベントに仲間と来ると、何人かを引き連れてバスガイドよろしく各クルマを解説して歩く・・・という役回りとなってしまうため(苦笑)、今回も一台一台を仔細に見て廻ったのですが、その中で気になったクルマ達を皆さんにもご紹介したいと思います。

まずはGiulia Superです。クーペモデルのGiulia Sprintがあまりに有名ですが、生産台数はこのセダンのSuperの方が遥かに多かったにもかかわらず、残存台数は逆転して、今やSuperのほうが稀少車となっています。

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このSuperはその中でも珍しい1300TI(Touring International)でした。TIというモデルはSuperのハイパフォーマンスバージョンですが、当然生産台数は少なく、その中でも1300TIは稀少です。

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"Ugly Giulia"(醜いジュリア)と呼ばれたその独特な箱型のボディは、近くで見ると実はシンプルな箱などではなく、複雑な面構成を高度なプレス技術により製造されていることが分かります。
Berlinaとして見たときには、このGiulia Superはパッケージングが秀逸で同年代の同クラスのライバルの中では群を抜く居住性と走行性能を有していました。
しかし、後年の趣味クルマとして見たときにはどうしてもSprintボディの方が人気があるために、そのエンジンをSprintに移植するために随分とSuperが潰されたと聞いたことがあります。

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Junior-ZはGiuliaのシャーシーとエンジンをベースにしてザガートがそのボディデザインと製造を担当したスペシャルモデルですが、その中でも1600ccエンジンを搭載した後期モデルは生産台数が少なく稀少なモデルです。

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雑誌の表紙を飾った友人のJunior-Zですが、こちらも稀少な1600ccのモデルです。

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ようやく見つけた1300ccモデルです。バンパーの形状が1600ccと異なることがお分かりいただけるかと思います。
Junior-Zの先進的なデザインは現在の目で見ても充分魅力的だと思います。後のHONDA CR-XがこのJunior-Zのデザインを参考にしたことは有名です。

大好きなSpiderですが、Duettoと呼ばれる最初のモデルとSr.2と呼ばれるテールがコーダトロンカとなった二代目のモデルに参加資格が与えられています。

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DuettoとSr.2はフロントから見るとその違いはさほど大きいものではありませんが・・・

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リアセクションは全く別のクルマとなっています。文章表現としてリアを切り落とした・・・と書かれていますが、見てお分かりの通り、決して切り落としたのではなく全く別の設計です。
そして、そのどちらもが全くデザインとして違和感がないのがピニンファリーナの力量でしょう。

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このDuettoは1300Juniorという、当時では一番廉価なモデルです。

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しかし、この年代のクルマにとって新車当時の廉価版であるか否かはもはや何の違いでもなく、その個体の程度が全てであることは言うまでもないでしょう。

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そして加えて言うなら、アルファ・ロメオではそのモデルの魅力が一番詰まっているのが一番下のグレードと言っても過言ではないのです。

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今回の参加車の中で一番気合が入っていた?のがこのSpiderではなかったでしょうか。

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エンジンルームは徹底的に手が入れてあり、それは観賞用として飾っておきたい位の出来栄えでした。

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そして一番気に入ったのがこのDuettoでした。黒のボディに赤の内装という組み合わせがシックで、Duettoの持つ軽快で若々しい魅力に加えてオトナの色気を感じさせるものでした。
不思議なことにSpiderはその各モデルによって似合う色が違うと思います。Duettoに関して言えば、赤よりもむしろアイボリーやブルーといった色がしっくり来るのに対して、Sr.2は断然赤が似合うと思います。Sr,3なら赤若しくは黒で、Sr.4は・・・差し障りがあるので控えましょう(笑)

さて、Giulia系に限定したイベントが成立するのか?という答えはこのように「成立する」どころか、満腹状態です(笑)
そして、まだまだ見るべきクルマ達は尽きることがありません。いよいよ次回はGiulia Sprintに加えてこれもGiulia?といったモデルやオマケをご紹介したいと思います。

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和紙の里のGiulia

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春になって気候が良くなってくるに従って、各地でクルマのイベントが開催されるようになります。
それはクラブのツーリングイベントから集合イベントまで、寒い冬にガマンしていた欲求が一度に噴き出すかのように各所でイッキに開催されるために、それらに参加しようとすると毎週忙しい思いをするのですが(笑)、そんな中にあってずっと気になっていながらいつも間が悪く、行くことができなかったのが、このカフェ・ド・ジュリアというイベントでした。
このイベントは参加車両をジュリア系に限定したもので、最初に聞いたときにはそんなに参加車種を絞り込んで果たしてイベントが成立するのか?と心配になったのですが、回を重ねる度に参加台数も増え、現在では日本で一番Giulia系が集まるイベントとして定着しました。

私自身がこのイベントに出かけるのであれば、それは単なる見学者でしかないのですが、最近は周囲にGiulia系のオーナーが増えたために、今年は参加するオーナーと一緒に出かけることになりました。
仲間と約束した集合時間は早朝の7時30分で、見学だけであればこんな早朝に行くことはないのに・・・という時間ですが、参加者と一緒なので仕方ありません(苦笑)
その集合場所である関越自動車道の高坂SAを目指して高速道路を走っていると、後方から爆音が聞こえて来ました。それは高速道路料金の割引に釣られて行楽に向かうクルマやバスばかりの中にあって明らかに場違いな音です。

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爆音の主は恐らくこのイベントに参加するクルマ達で、その一団の中で驚いたのがGiulietta SZでした。当然のことながらGiuliaが足許にも及ばない稀少車中の稀少車なのですが、残念なことに今回のイベントはGiulia系に限定されていますので、この稀少車をもってしても参加資格がありません(笑)。恐らく見学参加のクルマなのでしょうが、こんなクルマが集まって来るのですからカフェ・ド・ジュリアの会場は一体どんなことになっているのか・・・と気持ちが昂ぶってきました。

高坂SAに到着すると行楽の一般車に混じって明らかに毛色の違った軍団がいます。知り合いでなくてもつい近くに駐車してしまうのは不思議なものですが、私たちも参加車であろうSpiderに並べて駐車することにしました。

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これでSr.3のSpiderが居れば完璧なラインアップになるのですが、この3台でも充分見ごたえがある絵だと思います。

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一番特徴的なのがテールの形状で、このSpiderの変遷が良く分かります。一番右がDuettoと呼ばれるオリジナルデザインで、その後にテールの形状をコーダトロンカとした隣のSr.2と呼ばれるモデルに進化します。さらにスポイラーを装着したSr.3となり、最後はSr.4となるのですが、30年に亙り生産されたこのSpiderが如何に普遍的な魅力を持っていたかを改めて実感することができました。
最早、高坂SAがイベント会場と化していたのですが、仲間を待っていると先ほどのGiulietta SZがやって来ました。

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このGiulietta SZは元アルファ164オーナーズクラブのメンバーであったK氏のものであることが分かり、それならば…と早速皆で検分?となったのですが、そのコンディションは素晴らしいものでした。

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私もコクピットに座らせていただいたのですが、外見は小さく見えても室内は思いのほかルーミーで、私の体格でも全く不自由さはありませんでした。

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非力と言われる1300ccのDOHCエンジンですが、その吹け上がりは軽く、絶対的な速度は2000ccのエンジンに敵わなくても、軽量な車重との組み合わせにより痛快なドライビングを楽しむことができます。
イタリアの小排気量車は例えそれがDOHCエンジンでなくても、高回転域までストレスなく廻る特性を持っています。ですので、トルクバンドを外さないように高回転域を維持して走ることにより、随分と見かけによらないドライビングが可能なのですが、それは決して床までアクセルを踏み続けるような蛮勇ではなく、一種の頭脳ゲームにも似たシフトワークが要求され実に楽しいものなのです。
流石にこのGiulietta SZを運転することは叶いませんでしたが、アクセルをブリッピングしてみた感想はその楽しさを予感させるものでした。のんびりと走りたいときにはトルクが豊かな2000ccエンジンも魅力なのですが、確実にそのパワーとトルクと引き換えに失ったものがあることをこの1300ccエンジンは教えてくれます。

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そうこうしている内にも続々と参加車両が集まってきます。こうなるともうこの高坂SAで充分・・・とも思えるほどだったのですが、そうも行きませんのでいよいよ会場へ向けて移動することにしました。
しかし、ここで問題が起こりました。今回の引率役であったATのGiulia Sprintで参加するR君が持ってきた取り外し式のNAVIのバッテリーが切れてしまったのです。どうもGiuliaのシガーライターからうまく電気が取れず、肝心なところで使えなくなってしまったようです。
仕方なくSpiderにこのNAVIを取り付けて、シガーライターに繋いで充電しつつ先導することとなってしまいました。
ところが私はこのNAVIが大嫌いで、会社のクルマには仕方なく装着しているものの、自分自身では殆ど使うことがありません。結局、迷いながらも何とか会場まで到着したときには既に殆どの参加車両が集まっていました。

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当日はハイキング大会か何かが実施されていたようで、会場となった和紙の里に続く道はハイキングに来たお年寄りで溢れ返っていました。私たちより遥かに年配の方が道端を歩き、その同じ場所に私たちがクルマで遊びに来る・・・というのも心苦しいハナシですが、どちらもそれを楽しんでやってることなのですから、きっと良いのでしょう(笑)。

このイベントもどちらかと言うと、「何にもしない」タイプのもので、参加者も見学者も思い思いに一日のんびりと楽しむことができます。私たちも一息いれた後は参加車両を見て廻ることにしました。

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ラリーの醍醐味

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最近は競技としてではなく、イベントとしてのラリーが随分一般的になってきました。
自動車競技としてのラリーはWRC(World Rally Championship)に代表されるように定められた時間で移動するリエゾンという区間と、スピードを競うスペシャルステージから構成され、その総合成績で順位が決まるのですが、当然のことながらこの形式のラリーを私たちのようなオーナーズクラブのイベントとして公道で実施するのは不可能です。

そもそもラリーとは中世に西洋で騎士が活躍していた時代に領主が非常時に備えて定期的に騎士を招集したことが始まりだと言われています。
領主が決めた場所と日時に、各騎士が間違いなく定刻に参上するかどうかの訓練として実施されたため、ラリーという言葉には「定められたところに再び集まる」とか「隊列を整える」という意味があるのです。ですので必ずしも競技として行う必要はなく、出発地点に戻ってくるルートでドライブすることはラリーと呼んで良いのかも知れません。
公道で安全に行われるラリーには、定められた時間でコースを走るタイムラリーや、コース上のチェックポイントで出されるクイズに答えていくクイズラリー、そしてチェックポイントで買い物をするスカベンジャーラリーなどがありますが、これらの要素を組み合わせて各々の主催者が趣向を凝らして実施されているラリーは、本格的なものからお遊びまでまさに百花繚乱の様相を呈しています。

今回のラリーは定められたコースを走り、コース上の数箇所に設定されたクイズに答え、最後に設定されたタイムとの差により順位をつけるという複合ラリーで、そのコース設定は旧軽井沢から中軽井沢を経て、浅間山、白糸の滝を巡るという軽井沢を周遊するものでした。結果はともかく、このコースだけでも充分ドライブが楽しめるものでしたから、ラリーが苦手なメンバーも素晴らしい景色を楽しめたのではないでしょうか。

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コースを辿るには各ポイント間の距離が記されたコマ地図に従って走るのですが、本格的なラリーでは予めメーター補正を行います。
クルマのトリップメーターは各車で少しづつ誤差があるために、そのまま地図に記載された距離を自分のクルマのトリップメーターの表示で判断することはできないのです。そのため、スタートしてすぐに一定の距離を走行し、基準となるクルマのトリップメーターと自分のクルマのメーターとの誤差を補正する補正値を計算しておくのですが、こういった作業をしながら走行するためには助手席のナビゲーターが不可欠で、今回は参加するメンバーが必ずしもナビゲーターと一緒とは限らなかったので、一定区間を走行するとトリップメーターをリセットし、その誤差が蓄積されないように配慮されていました。このような設定は数をこなしていないとなかなか出来るものではありません。
今回の幹事さんの力量は流石です。

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スタートは3分間隔でしたので、走り出しても前車は全く見えませんから自分でコマ地図を見て走るしかありません(苦笑)。
途中のクイズもその場所に行かなければ答えられないものばかりで、ミスコースをするとクイズに答えられないだけでなく、走行時間も狂ってしまいます。
それでも途中で写真を撮ったりしながらミスコースもなくゴールしたときにはスタートしてから2時間が経過していました。
最初は勝つ気満々でクイズの解答を一生懸命に探していたのですが、流石にお腹が空いてしまい、ゴールの軽井沢アウトレット内で答える2問のクイズはパスして昼食会場に行くことにしました。間違ったり答えられなかったクイズはタイムに加算されることになりますが、背に腹は代えられません。

全員が揃ってバイキング形式の昼食も終わり、いよいよ表彰式となったのですが、結果はなんと1位をゲットすることができました。もちろんこれはドライバーが優れていたワケではなく、偶然の結果ではあるのですが、それでも1位は気分が良いものです(笑)。
賞品は有難いことに車載消火器でした。916SpiderにはFiremasterの車載消火器を積んでいますので、これは緑スパに積むことにしましょう。

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記念撮影も終わり、無事に解散となったのですが、ここからが苦行でした。帰りの上信越道は事故で渋滞し、さらに関越道も数箇所で事故が起こっていたのです。やはり1000円の影響で不慣れなドライバーによる追突事故が続発し、それを見物するために更に渋滞が起こるという悪循環でした。

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仕方なく、途中で高速道路を降りて川越街道で都内に戻ることにしたのですが、これまた渋滞・・・で都内まで5時間もかかってしまいました。

今回のツーリングは帰りが疲れましたが、私にとっては本格的なラリーが楽しめた有意義なものでした。このスタッフなら秋の蓼科クラブランもお任せして楽しませてもらえるのではと思いましたが、きっとこのブログを読まれているに違いありませんから、すぐにブーイングが起こるのでしょう(苦笑)

でも、今年はやってくれませんかねぇ・・・。

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軽井沢へのツーリング

ブログ上ではAccess Awardで緊迫?していたのですが、かねてから案内されていたアルファ164オーナーズクラブ主催の「軽井沢ツーリング」に参加してきました。
このクラブもイタリア車の集まりらしく、昔は随分と「イタリア時間」?だったのですが、最近はマジメなメンバーも増え、時間を守るようになって来ました。
今回の集合は関越道の寄居PAに朝8時30分と、早朝に箱根にツーリングに行く通称、「朝箱」と呼ばれるイベントと比べるとゆっくりとした集合時間なのですが、日曜の朝であることと、例の1000円乗り放題?の影響で渋滞が予想される・・・という事前情報により、私もいつもより早く出発することにしました。

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いざ出発してみると、首都高も関越道も多少交通量は多いものの渋滞するほどではなく、クルマは順調に流れています。

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これは相当早く着いてしまうな・・・と嘆いていると、目の前にメンバーのクルマを発見しました。彼は混雑するから早く出発しましょう・・・と言い出した張本人で、おおよそ普段の彼の言動からすると、そのようなコトを言わないタイプだったので(笑)、私も信じてしまったのですが、さすがにそれは冗談ではなかったようで、彼自身もちゃんと早く出発したのでしょう。

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そして1時間も早く到着してしまった集合場所の寄居PAには案の定、私たちだけしかいませんでした。と言うことは事前の彼の渋滞情報の書き込みに律儀に従ったのは私だけ・・・ということになります(苦笑)。

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それでも朝食を食べて、のんびりしていると一台、また一台と集まってきます。いつもの顔ぶれに加えて新人さんもやって来ました。きっと緊張半分、期待半分で来たのだろうと思います。
もう随分昔のことになりますが、私自身も初めてミーティングに参加したときは同じ気持ちでした。

簡単なブリーフィングの後でいよいよ集団での移動となったのですが、この集団移動でそのクラブのツーリングセンスが問われると思います。オーナーズクラブのツーリングイベントでの集団移動は単なるイベント場所への移動ではなく、そのことそのものがイベントだと思います。
日常の単独ドライブでは見ることの出来ない、自分の愛車と同じクルマが走る姿を眺めて楽しむことができるのですから、それを意識した隊列の組み方や車線変更の仕方、そして抜きつ抜かれつのドライビングは、そのクラブの長年の活動により経験を積んだメンバーの阿吽の呼吸が生み出す、ある種芸術とも言えるドライビングフォーメーションだと思います。

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そしてそれは誰かが教えるのではなく、いつのまにか自然に身に付いたもので、同じオーナーズクラブであってもその車種によっても微妙に異なっているものなのですが、やはり私にとって運転するクルマがアルファ164でなくても、このクラブのフォーメーションドライブは一番肌に合ったものなのです。

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最近はポルシェ・カブリオレを愛車にしているメンバーも、軟弱者呼ばわりしてムリヤリ幌を畳ませたのですが、風圧で幌の内張りが破れてしまいました。もちろんそれは内張りのクロスが劣化していたからなのですが、ちょっと申し訳ないことをしてしまいました。まぁ、彼は内張り張替えの達人ですので、きっと気に入ったクロスでさっさと張り替えてしまうのでしょうが・・・(笑)

軽井沢には旧碓氷峠経由で入るルートが計画されていました。高速道路を降りてすぐに休憩となったのですが、そこは都内ではすでに散ってしまった桜が満開でした。

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こんな桜を見てしまうと、単なる休憩でこの場を出発することなぞできるはずもなく、急遽予定を変更してメンバーのクルマを集めることとなりました。

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この辺りの臨機応変さもこのクラブの良いところで、なんだかんだ言いながらもどんな状況でも楽しむことのできるのはいつも感心してしまいます。

予定より随分遅れていよいよ旧碓氷峠を登ることとなったのですが、昔の軽井沢への表通り?であった峠道も、今はバイパスができたこともあり、あまり整備の手が行き届かないのか路面状態が悪かったのですが、結果としてアベレージスピードが遅くなり、周囲の景色を楽しみながら走ることができました。

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そしていよいよ軽井沢を目前にして、今回の目玉企画?であるタイムラリーが行われることになりました。

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タイムラリーと言えば、このクラブの全国イベントである秋の蓼科クラブランで毎年私が企画して行っているイベントです。従っていつもオフィシャルをやっているために自分自身で参加することはありませんでした。一昨年はようやくオフィシャルをお休みさせていただいたのですが、そのときはラリーというよりもタイムトライアル的?な設定でしたので、やっと参加することのできたラリーも地図を見て走ることはありませんでした。
というワケで私にとっては久しぶりのタイムラリーとなったのですが、例年私の立てている企画とは異なり、そのタイムラリーは本格的に準備されたものだったのです。

どうやらこれは真剣に取り組まなければならないようです。

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史上初の大抽選会?

200,000

おかげさまで無事に200,000アクセスを達成しましたが、その200,000のカウンターをご覧になった方は、なんと!4人もいらっしゃいました。

以前にも書きましたが、何故同じカウンターを複数のヒトが見るのかというと、その理由はこのカウンターの設定方法にあります。
カウンターは2種類の設定方法があり、一つはアクセスする度にカウンターが上がるというものです。
これは、同じヒトが何度もアクセスするとその度にカウンターが上がって行く設定です。これですと意図的にカウンターを上げることができてしまいますので、アクセスアワードには不向きです。
一方で、IPアドレスという個別のコンピュータに付与されたコードにより1日に1回だけしかカウンターを上げない設定があります。この設定で表示されたカウンターは、同じコンピューターから複数回アクセスしたヒトも一人としてカウントしますので、何人のヒトがこのブログを見ていただいたのか・・・に限りなく近い表示となります。
私のブログに付けてあるカウンターはこの後者の設定にしてあるのですが、これにより一度アクセスした方がたまたま200,000のカウンター表示のときに再びアクセスしても、カウンターは上がらないために同じ数字を見てしまうのです。

このようなカラクリですので、本来であればそのカウンターを199,999から200,000に押し上げた方・・・すなわちその日に初めてアクセスした方がアワードの当選者となるのですが、それを確認する術がありませんので、あくまで200,000のカウンターを見た方全員に記念品を差し上げることにしています。そして複数の方からご応募いただいた場合はメールでジャンケンをしていただき、その当選者を決定していましたが、さすがに4名の方ともなるとアイコの連続で、いつまでたっても決まらない可能性が大ですので、新企画として今回はブログ阿弥陀クジを引いていただこうと思います。

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写真の下にはすでに阿弥陀クジが出来上がっています。今回応募いただいたshuさん、チェリーさん、わんこS木さん、荒井さんはコメント欄で自分のエントリーする番号とその理由を書き込んでください。
選ぶ順番は早い者勝ちとしますので、最後の方は自動的に番号が決まってしまいますが、「残り福」ということでご容赦ください。
皆さんが書きこまれたら、このブログの修正という形でカバーしてある部分を外して当選番号を発表したいと思います。

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さて気になる記念品ですが、すでにお知らせしてあるZender製のシフトノブは①番にゴールした方に差し上げようと思います。そしてさらに追加の記念品を用意させていただきました。

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②番にゴールされた方にはAlpha Industries社製のB-3ジャケットをプレゼントさせていただきます。
一度しか着ていないUsed品ですが、このAlpha Industries社はもともとが米軍に衣料を納入しているメーカーで特にフライトジャケットではMA-1のトップサプライヤーとして有名な会社です。
このB-3はフェイクレザーながらそのディテールはオリジナルのB-3に充実で、何よりシープスキン製のものより軽いという利点があります。
サイズはXLで私に少し小さい程度ですので、おそらくチェリーさんを除けば(笑)、殆どの方が大丈夫なのでは?と思います。

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そして③番にゴールされた方にはアルファ・ロメオのロゴ入りバスタオルです。このバスタオルはもう20年近く前のものですが、未使用で箪笥の奥深く眠っていたものですので、品質には問題ないと思います。現在は製造されていないデザインですので気に入っていただけるのではないでしょうか。

最後に④番にゴールされた方には先日ご紹介した1/24スケールの8C Competizioneのミニチュアモデルを差し上げます。このミニチュアモデルの詳細についてはブログ記事を参照してください。

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例によって記念品は着払いの宅急便で送りますので、送料はご負担をお願いします。
さぁ。何番の記念品を狙うのか?も含めて悩んでみてはいかがでしょうか?と言っても所詮は阿弥陀クジですから運なんですが・・・(笑)

初の試みである公開阿弥陀クジですが、参加する4名の方だけでなく観戦する皆さんも楽しんでいただけるのではと思います。

(ここからは結果発表です)

というワケで、皆さんに阿弥陀クジの番号を選んでいただいたのですが、コメント欄に書き込んでいただいた結果から・・・

①・・・あらいさん
②・・・チェリーさん
③・・・残り福でわんこS木さん
④・・・shuさん

となりました。では、いよいよ阿弥陀クジの中味をご覧に入れましょう。

阿弥陀元データ

「おおっ!」とか、「あ~あ」とか聞こえて来そうですが(笑)、皆さんご自分のラインを追って見てください。結果は・・・

①シフトノブ・・・shuさん
②B-3ジャケット・・・あらいさん
③バスタオル・・・チェリーさん
④8C ミニチュア・・・わんこS木さん


となりました。不思議なことに納まるべきトコロに納まったようですが、最初に作成した阿弥陀クジから一切手を加えていませんので、これも日頃の皆さんの善行の賜物でしょう(笑)

当選された其々の皆さんには記念品を送らせていただきますので楽しみにお待ちください。

このような参加型の企画も面白いなと思ったのは私だけかも知れませんが(苦笑)、もし気に入っていただけるようなら今後も何かの折にまたやりたいと思いますので、その節は皆さんどんどん参加してくださいね。

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200,000アクセスに感謝

200,000Access

おかげさまで、200,000アクセスを達成することができました。
このブログに引っ越してきてから早いもので、2年と5ヶ月が過ぎようとしています。書かせていただいた記事は570本にも達し、よくこれだけネタがあるものだと自分でも関心しています。

それにも増してお付き合いいただいた皆さんに本当に感謝です。
最近では毎日平均350人もの方にご覧いただいているようですが、私の存じ上げている方をどんなに合わせてもこの人数には遠く及びませんので(笑)、きっと知らないところで大恥をかいているのだろうと思います。

継続は力なり・・・と言われますが、私にとっての「継続する力」は、皆さんからいただいたパワーによるものだと思っています。
肯定的なコメントも、否定的なコメントも、全く記事とは関係ない脱線コメントも(苦笑)、それら全てが皆さんと何かで繋がっていると実感でき、そこからパワーをいただきました。

以前にも書きましたが、このブログは何のしがらみも営利目的もないからこそ、自分の感性に正直に書くことができますし、その点に関してはウソも誤魔化しもないつもりです。
もちろんヒトの考えですから、異なるご意見を持たれる方もいるかと思いますし、私の意見で気を悪くされることもあるかも知れません。
しかし、それがどんな意見であれ、単なる感情の書きなぐりでない以上、そこには論理があり、その論理に対して論理をもって反対意見をいただいたり、異なる論理(視点)でご意見をいただくことは本当に嬉しいものなのです。
ブログであれ出版物であれ、自分の文章を世の中に晒すということは、その瞬間からその文章の中に展開されている論理が全てで、読まれる方との真剣勝負?であるべきだと思っていますので、それに対して「受けて立って」いただける方ともっと出会いたいと思っています。

さて、これからもウダウダとしたブログを書き連ねて行くつもりではありますが、あまり肩肘張らずにのんびりと書かせていただこうと思っていますので、引き続きお付き合いいただければ幸いです。

さて、200,000アクセスはどなたが達成されたのでしょうか?
ご連絡いただけるのを楽しみにしています。

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天空の名車~その四

東京コンクール・デレガンスもいよいよ本日が最終日となります。
実際にアシを運ばれた方はどうだったでしょうか。私はパーティにしか行かなかったので、通常の展示日の様子が分からないのですが、自動車にとって厳しいこのご時世に、一般の来訪者の皆さんにはこれらのクルマはどのように映ったのか興味があるところです。

さてパーティに戻りましょう。ここまで来ると、ちらほらと帰るヒトも出てきました。おかげでゆっくりクルマを見ることができるのですが、一方で居残って話し込んでいる方々は動く気配がなく、撮影には少し困った状況となってしまいましたが、その面々は業界の重鎮の方が多く、とても「写真を撮りたいのでどいて下さい」などとお願いできる状況ではありませんでした(苦笑)

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1965年のMaserati Dueposti Spiderは今回の大穴?でした。ベースとなったミストラルはハッチバッククーペでお尻が下がり気味に見えるスタイルでしたが、それをSpiderにしたこのクルマは一転して、伸びやかなボディラインが美しく、ひと目で気に入ってしまいました。

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ボディカラーも絶妙で、光線の加減で様々な色が混じり合って見える上品な色でした。内装のバーガンディとの組み合わせもバッチりで、もし新しいマゼラーティを買うのであれば、この組み合わせを再現したいと思わせてくれるコンビネーションでした。

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ホイールは定番のボラーニ製ですが、メッキされたワイヤースポークは美しく、どんなにホイールバランスが取り難くても、このクルマにはこのホイールでなければならない・・・と思わせてくれる組み合わせです。

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1967年のLamborghini 400GT 2+2です。LP400以前のランボルギーニは、現在のようなアヴァンギャルドを追求したスタイリングではなく、むしろエレガントなクルマを作るメーカーだったと思います。

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幻であった1971年のMichelotti Matra Laserです。永らく行方が分からなかったそうなのですが、最近になって発見され、レストアされた世界に一台のクルマです。1970年代のカロッツェリアのスタディモデルに見られるコンセプトが凝縮されているスタイリングと内装だと思います。

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恐らく一番有名なAston Martinが1965年のAston Martin DB5 Saloonでしょう。007映画で有名になったクルマですが、そんな劇中の仕掛けがなくてもDB5は充分魅力的なクルマだと思います。

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Aston Martinはそのデザインアイコンをうまく現代に引き継いでいると思います。最新のAston Martinもひと目でそれと分かるデザインなのは流石です。

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そして最後は1960年のFerrari 250GTE 2+2で、エンツィオ自らがテストして所有していたと言われているクルマですが、残念なことに写真が酷く、とてもご覧に入れることができないことをお詫びしなければなりません。
豪華なツアラーとして仕立てられた250GTEは、フェラーリがアメリカの富裕層に販売することを目的としたもので、他の250シリーズと異なり、その性能はともかく内外装ともに豪華で、それまでの性能一流、製造二流と言われたフェラーリとは一線を画すモデルでした。

東京コンクール・デレガンスは日本の自動車文化を欧米並に引き上げるイベントだと思います。すでに公道のヒストリックラリーではその開催数も参加車両も欧米に引けを取らないレベルになったと思いますが、このコンクール・デレガンスにより日本における自動車文化が総合的に成熟して行くであろうと思います。
厳しい経済情勢ではありますが、第三回・・・と続いて行ってくれることを願って止みません。

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天空の名車~その参

ご紹介している東京コンクール・デレガンスは12日の日曜日が最終日です。もしまだの方がいらっしゃれば、今週末にでも是非アシを運ばれることをオススメします。

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1949年のBentley MkⅥ D.H.C. by Abbottです。デザインとして見たときには戦後にこれ?という程、古臭いと感じてしまいますが、イギリス人の価値観からするとデザインが先進的である必要はなく、むしろそのコーチビルディングにこそ、このクルマの真髄があるのです。

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1950年のFerrari 166 Inter Coupe by Vignaleです。上のBentleyと1年しか違わないことに驚いてしまいますが、ヴィニヤーレの傑作と言われるそのボディデザインは先進的であるだけでなく美しいもので、当時の新興メーカーであったフェラーリと相まって新しい時代を感じさせるものです。

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個人的な今回の目玉?であった1951年のMaserati A6G-2000 Coupe byVignaleです。同じヴィニヤーレの作品であるのですが、上のフェラーリと比較するとそのエレガンスは数段上です。今でこそフェラーリはエキゾチックカーの頂点に君臨していますが、当時はマゼラーティの方が遥かに上で、その車格が反映しているのでしょうか?

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たまたま、オーナーがエンジンルームを開けて知人に説明していたのを良いことに、入ってはいけない柵を乗り越えてエンジンを撮影させてもらいました。恐らく普段なら警備員が飛んでくる状況でしょうが、この日はパーティということもあり「見て見ぬフリ」でした(苦笑)

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1955年のAbarth 207A Barchetta by Boanoです。昨年のLaFesta Mille Migliaにも出場していたクルマですが、その時は戦闘モード?だったので獰猛に見えたのですが、今回はエレガントに見えたのは隣のマゼラーティのせいかも知れません。

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それにしても、このスタイリングは先進を通り越して前衛的ですらあったでしょう。それは現在の目で見ても充分過激です。

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コクピットもラリーコンピューターなどが取り払われ、オリジナルに戻されていました。

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1956年のVW-Rometsch Beescow Cabrioletだそうですが、このクルマに関しては全く知りませんでした。Beetleベースのカブリオレは、カルマンやヘップミューラーのものが有名ですが、それらとは全く異なり、後のポルシェ356に繋がるデザインだと思いました。

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この辺りまで来ると少しヒトも少なくなって来たのですが、喉が渇いたので再び喧騒の中に戻って飲み物をいただくことにします。

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天空の名車~その弐

ようやく飲み物にもありつき、一息ついたところでいよいよ展示スペースへ入場となりました。
とにかくヒトが多く、通常の日と違って皆さん思い思いのクルマの前で談笑されているものですから、なかなかゆっくりと写真を撮ることができません(泣)
しかも、会場内の照明はパーティということもあってか暗めになっており、撮影には良いコンディションとは言えませんでした。フラッシュ撮影をすると談笑されている方々の邪魔になるだけでなく、折角のクルマのディテールが飛んでしまうので、フラッシュを切って撮影したのですが、ゆっくりとクルマの前にいることができないため、案の定、手ぶれを起こしてしまいました。撮影するのであれば平日にゆっくりと訪れるのが良いでしょう。

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1928年のAston Martin Internationalです。Aston Martin社が創設された初期のモデルで現在に至るまでの伝統である豪華なツアラーです。

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1924年のW.O.Benley3Litreです。このクルマは特別展示車で、かの白洲次郎の愛車だそうです。
ちなみに白洲次郎は私の故郷である兵庫県芦屋出身の実業家で、大のクルマ好きとして知られていますが、その彼が若き日に英国留学中に愛用していたのがこのクルマなのだそうです。
彼は、戦後に吉田茂の側近として占領軍との交渉に当たり、その流暢な英語とイギリス仕込のマナーを持ちながら、他の日本の外交官たちが敗戦により言われるがままの状態であったことに対して、原理原則を盾に気骨に溢れた交渉を行ったことで有名な人物で、それは当時の連合国側をして、「従順ならざる唯一の日本人」と称されるほどだったそうです。
当時のBentleyはエンジンの馬力だけでクルマを持っていくという結構野蛮なところがあるクルマで、その運転には度胸と腕っぷしも必要だったと思います。白洲自身は当時の日本人の平均とはかけ離れた身長180cmと大柄であったため、このクルマを操れたのでしょうが、彼がBentleyを愛車にしたのは、彼の気骨とこのクルマとに何か通じるものがあったからなのかも知れません。

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そしてその白洲次郎を見込んで抜擢した吉田茂の愛車が、この1937年のRolls-Royce 25/30HP Hooperでした。
歴代の宰相でもRolls-Royceを愛用した例は少ないと思いますが、吉田茂は単に見栄で愛用していたのではなく、このクルマの本質を成す伝統とエレガンスを愛したからだと言われています。
最近の政治家の何人がクルマに限らず物事の本質を見極める目を持っているのか・・・とこのクルマを見ながら考えてしまいました。
お体裁で右へ倣えとハイブリッドカーなどに乗らず、堂々とMasseratiのQuattroporteを愛用している政治家なんて素敵だと思うのですが(笑)

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1919年のRolls-Royce 40/50HP Silver-Ghost Alpine-Eagleです。やはり手ブレを起こしてしまいました。Silver Ghostは見る機会も多いのですが、このAlpine Eagleは初めて見ました。

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1923年のBugatti T22です。Bugattiと言えばブルーのボディが一般的ですが、このボディはアルミでその表面処理は芸術的ですらありました。

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1928年Amilcar CGSSというクルマだそうですが、全く知りませんでした。しかし、そのコンパクトなボディは魅力的で、一瞬Fiatかと思いました。

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1937年のJaguar SS100です。あまりに有名な戦前のJaguarのスポーツモデルでその名前の由来は100マイル(160km/h)で走ることができることから名づけられたと言われています。

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1936年のFiat-Siata 508Sport MilleMigliaです。皆、同じように見える戦前のクラッシックカーでもイタリア車は別格で、ちゃんとイタリアっぽいところが素敵でした。

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1937年のFrazer Nash BMW 328です。その製造された年代を見ると、このクルマが如何に先進的であったかが分かります。

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1934年のBentley3 1/2Litre Tourer by Vanden Plusです。Vanden Plusは後のPrincessというモデルで有名ですが、そのコーチビルディングは上質で、このBentleyも素晴らしい仕立てでした。

パーティはこの会場で特に何かするワケでなく、各展示スペースの間でオードブルや飲み物が用意されています。オードブルも単なるカナッペなどではなく、手の込んだ美味しいものでしたが、当然のことながらこの場所には人が溜まってしまい、なかなか次の展示スペースに進むことができません。
こうなったら私たちもしばし、美味しいオードブルをいただくことにしましょう。

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天空の名車~その壱

2007年に続いて今年で2回目となる東京コンクール・デレガンスですが、その表彰式と共に行われるガラ・パーティにご招待いただいたので、前回に引き続いてお邪魔して来ました。

そもそもコンクール・デレガンスは、新車の発表の場としてそのクルマのデザインをお披露目する場であったのですが、現代になってそれはクラッシックカーを主体としたコンクールとして催されるようになりました。そこにやってくるクルマは素晴らしいレストレーションを施された名車であったり、長らく人目に触れることがなかった幻のクルマであったりと見る者を楽しませてくれるのですが、それ以上にこのようなクルマを所有することができる富裕層の社交場としての役割もあるのです。

このガラ・パーティはその伝統に習い、社交場として多くの著名人が参加するもので、実際に訪れて見ると雑誌などでお馴染みの方々だけでなく、財界でもクルマ好きで知られる多くの方々が参加していました。
そのようなパーティの末席を汚すのは心苦しいものもあったのですが、前回のパーティとは異なり、クルマの展示場所で行われるとあっては行かないワケはなく(笑)、喜び勇んで会場である六本木ヒルズの52Fに行って来ました。

エレベーターを降りると目の前にはブガッティのミニチュアモデルが飾られており、雰囲気を盛り上げてくれます。

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一体どうやってクルマを上げたのか・・・という52Fの展示場はフロアの周囲に配置されており、各展示スペースは入り組んでいるためにこうして模型でその場所を説明しています。ついこうしたミニチュアに目が行ってしまうのは困りものです(苦笑)。

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実は、お恥ずかしいハナシなのですが、六本木ヒルズのこのタワーに登るのは初めてでした(苦笑)。
今まではなかなか機会がなく、まぁそのうち・・・と思っていたのですが、実際に登って見るとその夜景は素晴らしく、東京タワーを見下ろすというヘリにでも乗らないと見ることができないような東京の夜景が眼下に広がっています。

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しかし、今日のお目当てはこの夜景ではなく、素晴らしいクルマ達です。前回のコンクール・デレガンスの会場は六本木ミッドタウンだったのですが、生憎の天候で展示する側もオーナーも大変だったので、その反省からか?今回は屋内展示となり、天候を気にせずじっくりとクルマを観察することができます。
しかし、会場は満員で、ダークスーツやタキシードの男性とパーティドレスで着飾った女性で溢れていました。どうやら会場のキャパに対して招待した人数が多過ぎたようです。

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当日は表彰式も行われたのですが、とても会場に入ることができず、パーティが始まる頃を見計らって入場することにしました。
会場に入ってすぐに目に飛び込んできたのは赤いお馬さん達でした。このコレクションは松田さんのものであることはすぐに分かりましたが、御殿場の松田コレクションが閉館してしまったので久しぶりに見るクルマ達でした。

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久しぶりに再会した250GTO/64です。250LMというミッドシップモデルがホモロゲーションを取得できない恐れがあったために、FRの250GTOをそれに「似せて」作って誤魔化そうとした・・・と言われていますが、その生い立ちはともかく、250GTOはいつ見ても美しく、フェラーリ好きの山形の某氏なら泣いて喜びそうな光景でした(笑)

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泣く子も黙る?ENZOですが、周囲のクルマのエレガンスとは異なり、少し浮いた存在でした。

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288GTOですが、デザインはレオナルド・フィオラバンディで、彼は今回の特別審査員として来日していました。

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このクルマをご存知の方は少ないと思います。SP1と呼ばれるこのフェラーリは、F430をベースにした世界でただ一台のクルマで、フェラーリが50年ぶりに公式に製作したスペチアーレです。しかも、そのデザインはそのレオナルド・フィオラバンディで、現役ではないデザイナーの作品を公認するのは異例だそうです。

さらに奥に入っていくとそこはアルファ・ロメオのプレゼンテーションスペースでした。

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アルファ・ロメオが最も力を入れているのがMiToで、2台も展示してありました。まぁ、今回の展示車のなかで、一番現実的なクルマではあるのですが、その現実は他のクルマと比較してしまうと、少し悲しくなってしまったのも事実です。

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MiToの名誉のために付け加えておきますと、その出来はなかなかのものでした。もはやアルファ・ロメオだから・・・と内装を卑下する必要はありません。これは展示場所が悪かった・・・のでしょう(笑)

しかし、アルファ・ロメオはそれも分かっていたようでちゃんと用意してくれていました。

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8C Spiderです。一時は発表されたものの製造が危ぶまれていましたが、どうやら無事に?製造することになったようです。

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クローズドの8Cと比べて、明らかにエレガントなのがこのSpiderで、この展示車のチョイスは正解だったと思います。

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ちょっと残念だったのがそのインテリアで、クーペと比べてもう少し華があれば・・・と思うのは贅沢でしょうか・・・と、勝手なことを言ってますが、どうせこのテのクルマを買う方は全てオプションで指定するのでしょうから、どうにでもなるのかも知れません。

ここまで来ても、まだ本命の展示車には辿り着いてもいないのです。
あっ、ドリンクサービスが始まりました。私はクルマでしたので飲めませんが、シャンパンはちゃんとMOETですね。
ドレスアップした人々を掻き分けて私たちもいただいてくることにしましょう。

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大阪の魔窟

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柳原メンテナンスにはその腕を見込んで全国から様々なクルマがやって来ていました。
しかし、一見すると旧車専門のように見られてしまいますが、ちゃんとAlfa155なども車検整備で入庫していましたから、決して敷居の高い工場ではありません。
それにしても入庫しているラインアップは凄く、緑スパの状態が気になりながらも眼を奪われるクルマばかりで、部品待ち・・・を良いことにじっくりと観察させていただくことができました。
四国自動車博物館もそうでしたが、お邪魔にならなければ、ここも一日居ても全く飽きることがありませんでした。

まずはGiulia Sprint 1300GTA Junior CORSAです。この個体のオリジナルは1300GTA Juniorでそれだけでも価値が十分あるにも関わらず、オーバーフェンダーを追加し、CORSAバージョンに変更されていました。

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そのボディの加工は完璧で、ノーマルのスリークなGiulia Sprintを獰猛なイメージに一新していました。良く普通のGiulia SprintをGTA風に改造したものを見かけますが、最初に見たときにこれもそういった改造車かと思い、近づいて仔細を観察して見ると、これがオリジナルがそうであるように、GTAから改造された「正しい」個体であることが分かりました。

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エンジンはツインプラグヘッドを持つGTAのそれで、このエンジンだけでも随分と価値のあるものです。しかもそれは日本のAUTO DELTAとも言える「柳原チューン」なのですから、もはや無敵でしょう。

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軽量化されたGTAの特徴であるドアノブです。単にアルミのハンドルが付いているだけのそれは、このGiuliaがタダモノではないことを主張しています。

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ホイールもこれまた垂涎のカンパニョーロのCORSAホイールを履いていました。オリジナルはマグネシウム製で、現存していたとしても劣化しており、とてもサーキット走行などには使えないそうですが、このホイールは現役で、どうやらレプリカのようでした。しかし、この形状のホイールを履いているだけで佇まいが締まって見えます。

そしてそのGTAの奥にリフトで上げられたクルマは・・・

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なんと、2000Spiderです。1958年にカロッツェリア・トゥーリングのデザインにより発表されたこのSpiderは希少車中の希少車です。是非とも観察したかったのですが、リフト上でもあり適いませんでした。しかし、リフトに載っていたからこそ撮影できたこのカットは興味深いのではないでしょうか。

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それはブレーキで、アルフィン・ドラムという形式です。当時はディスク・ブレーキがまだ一般的ではなく、熱がこもり易くすぐにフェードしてしまうドラムブレーキが主流でした。しかし、このアルフィン・ドラムという形式は、ドラム・ブレーキのケースに放熱用のフィンを付けることにより放熱効果を高めたもので、当時の高性能車がこぞって装備したブレーキです。
そしてその能力はヘタなディスクブレーキ以上だそうで、旧車で最も不安な制動力をカバーする当時の「高級装備」です。

長期整備のクルマ達も超絶モノです。

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このリアビューからこのクルマの名前を言える方が何人いるでしょうか?(笑)

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特徴あるフロントマスクはスペースの問題もあり撮影できなかったのですが、これは2600SZというこれまた非常に珍しいクルマです。直列6気筒エンジンを装備した2600シリーズのシャーシーにZAGATOがボディをデザインしてグランド・ツアラーに仕立てたクルマで、その内装も高級感があります。
この個体には東京のガッタ・メラータのステッカーが貼られていました。同じ伊藤忠オート出身の仲間ということで持ち込まれたのでしょうか。

ABARTH SIMCA

さらにその隣はABARTH SIMCAです。こんなクルマがサラリと置いてあるのですから恐れ入ります。

ABARTH SIMCA2

こちらのコクピットは2600SZと異なりレーシーものでした。しかし欠品もないようで、整備内容は聞きそびれてしまいましたが、すぐにでもエンジンに火を入れれば走り出せそうな状態でした。

一体日本に何台あるんだ?というクルマがここに集まっていることが、柳原メンテナンスの経験と技術力を物語っているのですが、どれだけ技術力があっても部品がなければどうしようもありません。
こういった希少車の維持についての最大の問題は、整備データでもボディでもなく部品だと思います。
昔からそうでしたが、欠品した部品は代用品を探し、それでもなければ自作する・・・といった採算を度外視した整備をしていただけるのは、クルマに対する愛情がなければできないことだと思います。

大阪の魔窟の実態は全国のイタ車乗りの駆け込み寺でした。

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Toward the Access 200,000

Access200,000

久しぶりのトラブルネタで盛り上がっている?うちに、気がつけば200,000アクセスが近づいて来ました。
早いもので足掛け3年にもなるこんなブログでもご愛読いただく方が日増しに増え、今や毎日300人以上の方に読んでいただけるようになりました。書いている張本人ですら、「一体どこが面白いのか…?」と思うような内容ですのに、皆さんが楽しみにしていただいているのは本当に励みになります。

最近はイベントに出かけるとお目にかかったことのない方からも、
「いつも楽しみに見てます」
と声をかけていただけるようになりました。それだけならまだしも、
「このブログを読んでアルファ・ロメオを買いました」
などと言われると、善良な市民を悪の道に引き込んだようで、申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまいます(苦笑)

以前にも書きましたが、何かを発信するということは、その内容に関する間違いはともかく、ウソを発信しないように、またヒトを傷つけないように細心の注意を払っているのですが、それでも知らぬ間に誰かを傷つけたりしているかも知れません。
特に評論めいたことを書くと、それがあくまで私の私見であったとしても、不快に思う方がいらっしゃるかも知れませんし、またそう思われてしまうのは私の本意ではありませんから、この場を借りてお詫びしておきたいと思います。

さて、恒例のAccess Awardですが、素直に200,000のカウンター画像をメールで送っていただいた方に記念品を差し上げたいと思います。

そして、その記念品ですが・・・

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これまた素直にシフトノブにすることにしました。このZender製のシフトノブは最近めっきり見かけなくなってしまいましたので、ひょっとしたらレア物なのかも知れません。
素材はアルミの削り出しで、サイドにはカーボンのパネルが付いています。ヘッドにはアルファ・ロメオのロゴが入っており、ガングリップタイプのノブはその握り具合も良好です。
唯一の欠点はその素材であるアルミニウムで、夏場は熱くて不意に触ると火傷しそうになるほどですし、一方で冬場は冷たくなってしまう・・・という季節感溢れるところですが、それを除けばその重さといい、握り心地といい、さすがZenderと唸らせてくれる一品だと思います。

もちろん(笑)、中古品ではありますが、ちゃんとイモネジやヘックスレンチなども付けておきますので、届いたその日に交換して楽しんでいただけけます。

さらに、複数の方が達成された場合には、この記念品は恒例のメールジャンケンで争奪していただき、惜しくも敗退された方には、勝った方が、えっ?そっちのほうが・・・と思うような?記念品を用意したいと思いますので、どしどしとご応募いただければと思います。

いつものアナタだけでなく、ずっとロムっているだけのアナタ、最近になってネットサーフィンで見つけて、読むようになったアナタにも等しくチャンスがありますので(笑)、多くの皆さんのご応募をお待ちしております。
送り先は・・・

510190@alfa164.com

です。

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大阪のタイムマシン

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私にとってそこはアルファ・ロメオに関わることになった原点とも言える場所で、最後に訪れてから30年近くが経っていました。
最初にここを訪れた当時、まだ私の愛車はジェミニで、私の後輩のGiulia2000GTVの助手席に乗って連れて行ってもらったのを覚えています。

「凄いクルマがありますよ」

と後輩に誘われて初めて足を踏み入れたこの工場は、お世辞にも綺麗とはいえず、それでもそこに入庫している見たこともないフェラーリやアルファ・ロメオなどに目を奪われたものです。

柳原メンテナンスという名前のこの工場は伊丹空港の近くにありました。社長の柳原さんは伊藤忠オート時代からずっとアルファ・ロメオのメンテナンスを手がけてこられ、伊藤忠オートがアルファ・ロメオの販売から撤退した際に独立され、それ以来ずっとイタリア車を中心にメンテナンスしてこられた日本で最も有名なアルファ・ロメオの職人の一人です。

昨晩、ローダーの運転手に江坂という地名を聞いた途端、修理してもらうのであればここしかない!と思い出したのがこの柳原さんで、翌朝早々に電話をしたところ快く受け入れて下さったのです。
朝一番でローダーでの廻送を手配し、向かった柳原メンテナンスは30年前と変わらぬ場所に変わらぬ佇まいでありました。

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中を覗いて見ると、驚いたことにそこはまるで時間が止まっているかのような光景で、まるでタイムマシンに乗って時空を遡ったように、建物も入庫しているクルマも30年前と何も変わっていないのです。

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工場の皆さんは親切にもリフトを開けて待っていてくださいました。早速Spiderをローダーから降ろし、リフトに載せてチェックしてみたところ、ようやくトラブルの原因が明らかになりました。

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それはプロペラシャフトのサポートベアリングという部品でした。

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このベアリングが焼きつきを起こし、プロペラシャフトの回転によって揺さぶられ、最後はサポートを止めているネジが吹き飛んでしまい、プロペラシャフトと一緒に回ろうとして大きな音と振動が出たのです。

サポートベアリング部品図

部品図で構造を見てみましょう。
プロペラシャフトはエンジンの回転をリアのデファレンシャルギアボックスに伝えるためのものです。トランスミッションとの間はゴム製のカップリングというクッションを介して繋がっており、リアのサスペンスションの上下動に対応するために前後2箇所のユニバーサルジョイントにより、フレキシブルに動くようになっています。そしてそのままではプロペラシャフトが回転する際に暴れてしまうために、このサポートにより、動く必要のないプロペラシャフトの前部分をシャーシーに固定しているのです。

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そして原因は不明ですが、そのベアリングが焼きついてしまったために、プロペラシャフトがスムーズに廻らなくなり、ブレーキを引きずるような異音が出ていたのでしょう。まさかあの異音がこんな原因とは思いもしませんでした。
柳原さんによると非常に珍しいトラブルとのことですが、一歩間違えばプロペラシャフトがフロアを突き破り、大事故になっていたかも知れませんので、怪我がなかったのは幸運と言えるのかも知れません。

そうと分かれば、このサポートベアリングを交換すれば良いのですが、残念ながら柳原さんのところには予備部品がありませんでした。やはり預かってもらうしかないか・・・とアキラメかけたときに、これまたアルファ・ロメオの部品卸で有名な大阪藤栄商会という存在を思い出し、ものは試し・・・と聞いてもらうことにしました。すると有難いことに部品の在庫があったのですが、やはり配達してもらうには時間がかかってしまうとのことでした。
万策尽きたか・・・と今度こそアキラメかけたとき、天の助けか柳原さんが直接交渉してくださり、午後一番に届けてもらえることとなりました。

こうなると残りは作業時間の問題だけですが、そこは匠の技で、午前中にテキパキと交換の邪魔になるマフラーとプロペラシャフトを取り外してしまい、部品が届いたときには取り付けるだけとなっていました。

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かくして、入庫してから4時間足らずという驚異的なスピードでSpiderの修理は完了しました。仮に部品の在庫があったとしても、プロペラシャフトを脱着しなければならないことを考えると、預かり作業になってしまい、再度大阪までクルマを引き取りに行かねばならないのが当たり前だと思います。

たまたまクルマが止まってしまったのが大阪だったことが幸いして、久しぶりに柳原さんのところにお邪魔したのですが、夜中に柳原さんの電話番号を調べてくれたアルファ164オーナーズクラブの関西メンバーや親切に対応していただいた工場の皆さん、そして部品を届けてくださった大阪藤栄商会の担当の方を含めて、様々な皆さんに助けられて、奇跡的とも言える修理をすることができました。
アルファ・ロメオに関わるこういった人々のネットワークは本当に素晴らしいと思います。
しかも、待っている時間に工場に入庫しているクルマの探検や、柳原さんからもアルファ・ロメオにまつわる思い出ハナシを聞くことができましたので、これらについてはまたご紹介したいと思います。

それにしても今回の四国へのツーリングはアルファ・ロメオの素晴らしさと、アルファ・ロメオに関わる人々の素晴らしさの両方を改めて体感した本当に濃密な旅行でした・・・。

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床下の縄跳び

単独ドライブで東京まで帰ることにしたのは良いのですが、流石に全くメンテナンスしないワケにはいかず、取りあえずオートバックスに寄りエンジンをチェックすることにしました。先日オーバーホールをしたエンジンは快調で、オイルの減りも殆どありませんでした。唯一冷却水が減っていたので、補充してロングドライブの準備は完了です。

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高松の方は人懐っこいのか、オートバックスの駐車場でも「格好いいクルマだねぇ」と声をかけられました。都内ではまだ結構見かけることのある115Spiderですが、全国規模で見るとやはり稀少車なのでしょう。

気になる異音はまだ少し残っていますが、それが聞こえるのは低速時で、一旦走り出してしまえば聞こえません。と言うか、他の音にかき消されてしまっているだけなのかも知れませんが、先ほどチェックした通り、一番恐ろしかったブレーキの引きずりでないことが分かったので、私自身は結構お気楽に構えていました。

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帰路は高松自動車道に乗り、鳴門大橋を経由して淡路島に渡ることにしたのですが、天候は悪く、かろうじて明るい内に四国を抜けることができました。

そのまま高速道路で淡路島を縦断し、明石海峡大橋を渡るころにはすっかり暗くなってしまいました。

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どこかで橋の撮影を・・・と考えても雨脚はどんどん強くなり、綺麗な写真を撮ることなぞできません。
それにしても四国からこのルートで神戸に行くことができるとは便利になったもので、昔のフェリーと比べると隔世の感があります。
これらの橋の建設費用に関しては、様々な意見があるとは思いますが、地元のヒトにとっても私のような観光客にとっても、四国・淡路島・本州との距離が近くなったのは確かで、その経済効果は長い目で見るべきでしょう。

明石海峡大橋を渡ると本来ならば山陽自動車道経由で中国自動車道から名神に入るのが順当なルートなのですが、案の定、宝塚で渋滞していたので、第二神明経由で阪神高速を通り西宮から名神に入ることにしました。そして途中で軽い夕食を済ませ、雨の名神を快調に走行していたときのことです。

「ピキッ!」

何か金属物を踏んだか、車体から何か外れた音がした途端、ものすごい振動と音がクルマから伝わって来ました。
明らかにプロペラシャフトからの異音です。フロアパンをプロペラシャフトが叩いているためにとても高速での走行などできる状態ではありません。しかもその振動と音はどんどん酷くなって行きます。

雨の高速道路、しかも夜間という状況でいきなりスピードを落とすのはかえって危険です。後方に注意しながらハザードランプをつけ、ギアをニュートラルにすることにより振動を消して、何とか路肩にクルマを寄せました。そっとDレンジにギアを入れてクルマを動かして見ると、やはりその回転数に比例して振動と音が酷くなって行きます。
それは誰かが床下で縄跳びをしているようで・・・、

パンパン・・・パパパパパパ・・・ダダダダダ・・・

とスピードを上げるにつれ音が速くなりその音質も鈍くなって行くのです。

こうなると走り続けることは不可能です。しかも停めた路肩はあまりスペースがなく、クルマから降りることすら危険でした。無情にも目の前には吹田SAまで1kmの看板が出ています。
仕方なくゆっくりと路肩を走行することにしたのですが、高速道路の路肩は路面の状態が酷い上に、あちこちに水溜りが出来ており、走りにくいことに加えて後方から大型トラックが猛スピードで走行して来ます。
振動をなるべく出さないようにゆっくりと走行すれば追突されるリスクが増え、速く走れば振動でクルマが傷む・・・というジレンマの中、それでもハザードを点灯し後方に細心の注意を払いながら何とか吹田SAに入ったときには精根尽き果ててしまいました。

クルマから降りて下回りを確認しようにも雨が酷く、とてもチェックできるような状態ではありませんし、仮にチェックできたとしてもその場で修理できるレベルのトラブルではありませんから、仕方なく保険会社に連絡してローダーを手配してもらうことにしました。
ローダーを待つ間、何が起こったのか推論をして見たのですが、振動と音から分かることはカップリングが千切れたか、ユニバーサルジョイントの異常かと考えられました。不動になっていないことからすると、カップリングが千切れてそのゴムがボディを叩くものの、プロペラシャフトはボルトで接合されているために動力はリアに何とか伝わった・・・というセンが有力に思えました。

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あちこちに電話しているウチにローダーが到着しました。何とか自走でローダーに載せることができるのは助かりましたが、ローダーに載せたのを幸いに下回りをチェックして見ることにしました。

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カメラのフラッシュを利用して下回りを撮影して見ると、私の仮説は見事に裏切られました。

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見ての通り、カップリングのゴムはまったく無傷でした。では、あの異音の原因は何だったのでしょうか?謎は深まるばかりですが、それはさておき、これからどうしようか・・・と考えてしまいました。
このままローダーで東京へ持って帰るのはナンセンスで、そんなことをしたら10万円以上かかってしまいます。どちらにせよ一晩クルマを預かってもらい、改めてどうするか考えることにして、最悪はレンタカーでローダーを借りて東京へ持って帰るか・・・と、何気なく来てくれたローダーの基地の場所を聞けば、豊中の江坂という答えが返って来たのです。

豊中・・・江坂・・・!!!

様々な記憶がアタマの中を駆け巡りました。
私はどうやらアルファ・ロメオでトラブるのであればここしかない!という場所でトラブルに逢ったようです。

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