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走ってナンボ

アルファ・ロメオを始めとする「ちょっと旧いイタ車」を一生懸命維持する中での天国と地獄をご紹介します。

メディアの視点

恐らく今年書く最後のブログになるかと思います。
11月に晴れて一周年を迎えてからと言うもの、イッキに更新のペースが落ちてしまいました。各方面からお叱りやら励ましやらを多く頂戴し、この能書き満載のヘンなブログを楽しみにしていただいている方が多いことを実感しました。
さすがに、また毎日・・・というのはムリにしても来年はもう少し更新していこうと思っていますので、引き続きご愛読をお願いします。

さて、11月に行われた、アルファ164オーナーズクラブ主宰の「アルファ164生誕20周年記念パーティ」ですが、その企画から実施にいたるまで係ったために、このイベントの評価はどうだったのか気になっていました。もちろん参加していただいたメンバーの方が楽しんでいただけたのはその場にいれば実感できたのですが、一方でこういったイベントを数多く取材するメディアの記者の皆さんに、私達のイベントはどのように映ったのかずっと気になっていました。
「そんなの関係ねぇ~(笑)」と思えば良いことかも知れませんが、イベントを主催する側からすると、目の肥えた?メディアの記者の皆さんが私達のイベントをどのように感じていただけたのか?は気になるところではあります。

三誌

そして、ようやくこのイベントを取材していただいた各メディアの記事が出揃いました。
一番誌面を割いていただいたのが、Car and Driver誌でした。また掲載時期が一番早かったのもこの雑誌で、取材していただいた編集のM氏は、今年の春に916SpiderのオーナーズクラブであるClub the Spiderの取材にもお越しになった方でした。
M氏によると、この二つのクラブは全然印象が異なるそうで、同じアルファ・ロメオでもオーナー像がこんなに違うのですね・・・と感慨深げに仰っていたのが印象的でした。どちらがどうか・・・という点は敢えて伏せますが(苦笑)、今回のイベントでは参加したメンバーが「よそ行き」の格好をしていたために、少しオトナに見えたのかも知れません。

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次に発売になったのがROSSO誌でしたが、こちらはイベントの模様を少ない誌面で伝えた内容でした。そして、先ほど発売になったCAR GRAPHIC誌も同様のスペースで取り上げられていました。

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面白いことに同じイベントの取材であってもそれぞれの雑誌で取り上げ方が異なります。Car and Driver誌はどちらかと言うと、参加したオーナー像にフォーカスを当てた記事ですし、ROSSO誌はイベントを全般的に紹介したものでした。そしてCAR GRAPHIC誌の記事はエンリコ・フミアさんの講演をメインに紹介していたのが各誌の性格の違いを表していました。
当日はミニカーファン誌も取材に来て頂いていましたので、そのうち誌面を飾ることになると思うのですが、自動車雑誌の3誌はこれで記事が出揃ったことになります。

これからはアルファ164が自動車雑誌で取り上げられることは殆どないと思います。中古車としての賞味期限も終わり、ヒストリックカーとしてその人気が再燃することもないでしょう。
道具としてのセダンはその商品としての寿命を全うし、静かに忘れられていくのがその本来の姿なのかもしれません。
しかし、私達はメディアに対してはこれからも協力を惜しまないで行こうと思います。何かのときに「そう言えばアルファ164ってのもあったよな」と、取材を検討したときのコンタクト先として、このオーナーズクラブの存在を覚えておいて頂ければなぁと思うのです。

オーナーズクラブの活動こそが、その名車の歴史を作り続けていけるのではないでしょうか。

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今さらのアルファ156試乗

年末の仕事の忙しさにかまけて更新をサボってしまいましたが、ネタはイロイロと溜まって来ていますので、ご安心ください(苦笑)

さて、アルファ・ロメオの歴史上最多販売車種が、アルファ156であることは皆さんご存知のことだと思います。

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アルファ156は1997年にフランクフルトモーターショーで発表されたアルファ155の後継モデルです。
このDセグメントと呼ばれる中型車のマーケットは、BMWの3シリーズ、メルセデス・ベンツのCクラスを始めとする最もライバルの多い、ローカルでもグローバルでもホット・マーケットです。そのマーケットに投入されたアルファ156は先代の不人気であったアルファ155から完全に脱却した新モデルでした。

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そもそもアルファ75→アルファ155というDセグメントセダンの流れの中で、このアルファ155はフィアット・ティーポとシャーシーを共有したがために、アルファ・ロメオらしさがなくなったと、イタリアを始めヨーロッパのマーケットで不人気であったのですから、その失敗から、このアルファ156は完全にアルファ・ロメオの新設計によるシャーシーを持っていました。
ボディデザインはアルファ・ロメオのデザインセンターのチーフデザイナーに就任したワルター・デ・シルバによるもので、その美しいスタイリングは発表と同時に大好評となり、ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤー受賞を始め、日本でも1998年にグッドデザイン賞を受賞しました。

アルファ156の最大の特徴は、その設計品質、製造品質ともにようやくグローバルカーとしてのレベルに到達したことです。それまでのアルファ・ロメオはそのスタイリングや走行性能はともかくとして、設計、製造ともにグローバルスタンダードから10年遅れていると言っても過言ではなかったと思います。それがようやくフツーになり、しかもユーザーがアルファ・ロメオに求める魅力が殺がれることなく、散りばめられていたのですから、日本でも他人と違うコダワリを持ったユーザー(そう見てもらいユーザーも)が飛びつき、ビッグセールスを記録したことは、記憶に新しいところです。
東京に限って言えば、一時はアルファ156はBMWの3シリーズに匹敵するほど、頻繁に見かけるアルファ・ロメオでした。事実、「イタリアでもこんなに走ってない・・・」とイタリア人に言わしめたほどだったのですが、最近は少し落ち着いたように思います。

そして、かく言う私も発表時にコーンズ・モータースのセールス氏からアルファ155の買い替えとして薦められたのですが、ショールームで試乗し、少しがっかりしたことを覚えています。
私のセダン選びの基準は、自分が運転席に乗ってポジションを合わせ、その後席に私自身がちゃんと乗れるスペースが確保されていることなのですが、アルファ75、155はこの過酷な?テストに合格したにも係らず、アルファ156は後席が狭く、とても乗れたものではなかったのです。

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理由はそのデザインで、スタイリッシュに見せるために、わざわざ後席のドアノブをブラックアウトしてまでクーペっぽく見せようとしたスタイリングにありました。
そして、新車への乗換えをアキラメた私は、その後にナニを思ったかアルファ164Q4に乗り換えてしまったのですが、このような経緯から私自身はアルファ156に関してはどうも「食わず嫌い」のところがあり、恥ずかしながら友人のクルマのチョイ乗り以外は殆どマトモに試乗したことがありませんでした。

しかし、中古車価格がこなれてきたこともあり、最近は私の周囲にアルファ156が集まってくるようになりました。あの奈良スパオーナーのオーナーズクラブの友人も、最近になってアルファ156を購入してしまったのですが、その原因の一端は私にもあります。
彼の許に新しくやってきたアルファ156は、1999年モデル(初年度登録は2000年)の2.0T/Sのセレスピードなのですが、そもそもはご両親のアシクルマとしての購入でした。先代のアシクルマはスバルのフォレスターで、そのホワイトのボディを私が「下品だ・・・」とか「悪趣味だ・・・」とかコキおろしてしまったために、車検を良いことに買い換えてしまったのです。

それでは…と初期化が終わったアルファ156を早速借り出して、3日ほど乗ってみたのですが、その印象は発表時の試乗とは大きく異なっていました。普段の彼は、「へっぽこドライバー」なのですが(笑)、クルマの趣味はナカナカのものです。
なぜならこのアルファ156はスポルティーバパッケージと呼ばれた強化サスペンスションと16インチホイールの組み合わせではなく、本国と同様のノーマルサスペンスションのモデルだったのです。しかも内装もオプションのレザー仕様ではなく、肌触りといい乗り心地といい最高のスエード調モケット地のシートです。
そして、購入時に履いていた16インチホイールを惜しげもなく捨て去り、本国と同様の15インチホイールに185-65という細いサイズのタイヤを組み合わせて装着したのです。
さすがに彼は永年アルファ・ロメオに乗ってきただけのことはあります。ちゃんと本国でノーマルの組み合わせが最高だということを知っていました。

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そしてイザ試乗して見ると、彼が考えたとおりそのドライブフィールは素晴らしいものでした。シャーシーに足回りが見事にマッチしており、高速の乗り心地もステアリングの応答性も良く、記憶に残るスポルティーバの少しドタバタした足回りとは全く異なっていたのです。
運転しているとアルファ75を思い出す、ちゃんと足回りがシゴトをしてロールしながらコーナーに入っていくそのドライブフィールは、他のどのクルマとも異なるアルファ・ロメオ伝統のそれでした。

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ただ、問題はこのセレスピードと呼ばれるセミATで、3日間の運転でかなり慣れたとは言え、全然好きになれませんでした。特にこの初期型のセレスピードはまだ未完成の部分があり、都内の渋滞などのゴーストップでは1速と2速の切り替えでギクシャクした挙動を示します。またブレーキも止まる寸前に、シフトダウンの制御と相まって「カックンブレーキ」となり、乗り心地が悪いことこの上ありませんでした。
主治医に聞けば、セレスピードもどんどん改良が進み、アルファ147のものなどは全くそういったことがないとのことですが、それでも人間がする操作をわざわざ機械にさせているという感覚が拭えない、私にとってはどうも落ち着かないシステムでした。

中古でお値段もそこそこになったアルファ156のノーマルがあれば、私自身もアシクルマに欲しくなってしまいました。でも・・・5MTが大前提ですが(笑)

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アルファ164Q4のメンテナンス・・・その四

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アルファ164Q4の最大の魅力である4WDシステムViscomaticの前後トルク配分は、各センサーから入力される信号によって行われるのですが、そのセンサーは可変ダンパーにも付いています。従って、アルファ164Q4に関しては純正のダンパー以外への交換はできません。また、スプリングを社外品に替えて車高を下げるのも、センターデフの破損を考えると残念ながらオススメできません。
Viscomaticによる前後のトルク配分は、完全にFFにもFRにもすることができる一方で、その制御は全てコンピュータで行われるため、マニュアルでのトルク配分設定をすることはできません。ですので、一説によるとコンピューターの誤作動により当初の設定が狂っている可能性があるそうです。テスターで初期化ができるのかどうかは分かりませんが、そもそもデフォルトの設定を知らない以上、仮にそのトルク配分が狂っていたとしても、それを知る由がありません。
私はこのハナシを聞いたときに即座に、「気にしない」ことにしました(笑)

しかし、それにしてもセンサー類は誤作動が多く、仮にインパネの警告灯が点いても、それが即異常とは限りません。
しかも、センサーをリセットし警告灯を消すためには専用テスターが必要で、現在ではそのコンピュータを持っている修理工場は限られてしまいます。
私も、4WDの警告灯に始まり、ABS、AIRBAGと異常点灯が続発し、最後にはインパネを開けて警告灯の電球を抜いてしまいました。神経質な方はともかく、このほうが精神衛生上も良いかと思います。

ゲトラグ製のミッションは製造実績からしても何の問題もありませんが、6速ミッション故のケースの大きさから、エンジンルームはノーマルのアルファ164に比べるとかなりスペースが限られてしまっています。そのため、クラッチ交換にはエンジンを降ろさなければならず、またクラッチレリーズシリンダーも、その取り付け位置が悪く、動作ストロークが斜めになっており、ブーツが破れやすくなっています。

クラッチ交換

総じて言えば、アルファ164Q4はアルファ164のウイークポイントをそのまま引き継いだクルマだと言えます。
その希少性からトラブル情報が少ないため、トラブルの際には遠回りしてしまうことが多く、結果として工賃が高くなってしまうために、「整備にカネがかかる・・・」という汚名を着てしまったのではないかと思います。もっともノーマルのアルファ164も整備にはそれなりの費用がかかるのですが…(苦笑)
確かに、アルファ164Q4の部品代は決して安くはありませんが、一方で殆どワンオフのクルマとして考えると格安とも思えます。
このクルマをどう捕らえるかによって、維持費に対する価値観は異なるのではないでしょうか。

アルファ164Q4の功罪は、それがアッパーミドルセダンであるアルファ164をベースにしていたことにあると思います。もし、このクルマがプロテオのスタイリングを身に纏っていたならば、SZ(ES30)のように大切にされ、生き残った個体も遥かに多かったのではと思います。
一方でアルファ164であったが故に、親会社のFIATの意向に沿わない、このViscomaticという革新的な4WDシステムを、それほど目立つこともなく(苦笑)実用化することができ、結果、稀代のスポーツセダンとして、この独特のドライブフィールを楽しむことができたのです。

現在、アルファ164Q4を所有されている方は、どうか「乗り倒して」頂きたいと思います。
このクルマほど「乗ってナンボ」のクルマはありません。そのドライブフィールは自分自身のクルマ観を確実に変えてしまう魅力を持っています。
私の場合、降りてしまっても尚、その感覚はカラダに染み付いています。

これからアルファ164Q4を購入しようと考えている方は、自己流のモディファイの前に、出来得る限りの初期化を行うことをオススメします。このクルマは奥が深く、まずはノーマルでアルファ・ロメオがナニをしたかったのかを感じてからでも遅くないと思います。

思えば、私が所有した8年間のメンテナンスは、乗り倒した結果であったと思います。
オーナーズクラブに伝わるアルファ164の掟にある、
「壊れたら治す。治したら乗り倒す。」
を実践しただけで、決してレストアをしようとしたワケでも、神経質にメンテナンスに拘ったワケでもありませんでした。
ホンキでそのクルマと付き合おうとしたならば、いい加減なメンテナンスも取り敢えずのメンテナンスもあり得ないと思います。
クルマの部品には全てその役割のための機能があり、「取り敢えず」のメンテナンスは確実にドライブフィールを殺いでしまったり、他の部分の消耗を早めてしまうものです。
それを身をもって経験したからこその予防保全であり、自分なりの部品交換インターバルであったと思います。

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私の場合、アルファ164Q4はファーストカーで日常のアシでした。アシが突然使えなくなると日常に支障を来たしますので、突然の不動状態を避けるべくメンテナンスに気を配った結果、膨大なメンテナンス記録を積んでしまったのですが、そのひとつひとつの項目には納得しています。
しかも、このクルマは部品を交換すると確実にそれを実感することができるのです。何度も、「そうか。新車はこうだったんだ・・・」という経験をしたために、メンテナンスに際してはいつもその結果にワクワクしながら臨んでいました。
これも、最近の国産車にありがちな、「ナニを交換したのか良く分からない」クルマと違う魅力ではないかと思います。

果たしてこれから、こんなクルマに出会うことがあるのだろうか・・・とも思いますが、恐らく暫くするとまたどこかから地獄クルマを探してきて、嬉々として乗り倒しているのでしょう。

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アルファ164Q4のメンテナンス・・・その参

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2回に亙ってアルファ164全般のメンテナンスについてオハナシして来ましたが、今回はアルファ164Q4特有のメンテナンスに関してオハナシしたいと思います。

アルファ164Q4が他のアルファ164と異なる部分は大別すると3箇所となります。
まずはエンジンのエミッションで、エアインテークを大径化し、ECUチューンにより232hpを発生させています。従って、エンジンの基本的な機構は同じですが、細かい仕様はノーマルのSuper24Vとは異なります。

そして、最大の特徴であるViscomaticシステムです。この4WDシステムは他のモデルに使用されることのなかった特有の機構ですので、トラブル情報もアルファ164Q4のものしかありません。またその機構は制御系を含めて非情に複雑?で、万が一故障するとその原因の究明を含めて、オオゴトになってしまいます。

最後はゲトラグ製の6速ミッションです。このミッションもアルファ164Q4独特のもので、そのミッションケースの大きさからエンジンルーム内のスペースはかなり厳しくなってしまっています。

しかしながら結論から言いますと、Q4特有のこれらのシステムに起因するトラブルは驚くほど少なく、むしろViscomaticと6速ミッション搭載による重量増に起因する部品の消耗の速さのほうが顕著だったと思います。
その重量のためか、ノーマルのアルファ164に比べてブレーキの磨耗劣化は速いと思います。特にリアのブレーキパッドは純正相当品(Ferodo製)だと5万キロが限度でした。フロントは最終的には社外品のハイパフォーマンスパッドに交換してしまいましたので、交換インターバルに関しては何とも言えませんが、その重量負担を考えるとリアと同等程度ではないでしょうか。
アルファ164Q4のリアブレーキはノーマルのアルファ164と異なり、ベンチレーテッドとなっています。従ってキャリパーの形状が異なり、このサイズのキャリパーは製造中止となっています。シールキットは設定がありませんので、同径のピストンのシールを探すか、中古キャリパーを持っておくしかありません。

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エンジン関連ですが、ECUチューンがメインのためエンジンそのものの耐久性は他のアルファ164に準じ、基本的には丈夫なエンジンだと言えます。タイミングベルト関連の交換インターバルにさえ注意を払えば、日常のオイル交換などの定期メンテナンスでアルファ・ロメオのV6エンジンを堪能することができます。
ただ、最近はハーネスやセンサーの劣化による、エンジンのアイドリング不良が発生しています。BOSCHのエンジンテスターでチェックしても原因が特定できないケースもあり、対処療法的にO2センサーやらエアフロメーターやら交換しても治らないケースもあるようです。

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実際、Super12Vの例で、その辺を手当たり次第に交換しても結局治らず、最終的に主治医のところにやってきた個体は、最後にコンピュータを交換して完治したのですが、このように原因を特定しないままに部品を交換して行くと、結果として結構な整備コストになってしまいます。
私の場合はアイドリングのバラツキが発生して、主治医にテスターでチェックしてもらったのですが、テスターでは原因が分からず、イグナイターを差し替えてみたりしながら確認していったところ、結局メインハーネスの劣化による電気リークというのが原因だと分かりました。

Viscomaticシステムに関しては、他車への搭載例がないために、トラブル情報はこのアルファ164Q4に限定されてしまいます。実際、私も購入時に随分脅かされましたし、そのトラブル情報を得るためにオーナーズクラブに入会したくらいです(苦笑)
仮にViscomaticシステム全体を交換するとなると、ePERで調べるとその総額は250万円にもなってしまい、すなわちそれは廃車を意味します。
ところが実際に乗ってみると、このViscomaticそのもののトラブルは皆無と言ってよいほどありませんでした。
Viscomaticの構成システムはそのメカニカルパーツに加えて、制御系のオイルラインと信号コンピュータ系とに分かれるのですが、メカニカルパーツは本当に丈夫だと思います。トルクを伝達するシリコンオイルも全く交換の必要はありませんでした。

一方で制御系のオイルラインはパワーステアリング系と共用しているため、オイル漏れを起こしたりする場合があるようです。パワーステアリングポンプは2層構造になっておりパワーステアリングに供給するオイル圧と4WDアクチュエーターに供給するオイル圧を変えています。
オイルに関しても諸説ありますが、純正指定は通常のオイルより粘性のないもののようですので、明らかに4WD用の細いラインをオイルが流れることを想定しているのだと思います。
ボディ下を通り、リアのアクチュエーターまで繋がるオイルラインのパイプは一部欠品となっていますので、心配な方は予備部品を確保しておいたほうが良いと思います。

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書いていると結構な文章量になってしまいましたので、続きは次回に・・・ということにさせてください。

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アルファ164Q4のメンテナンス・・・その弐

前回に引き続き、アルファ164共通のメンテナンス上の注意項目についてオハナシしたいと思います。

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③コントロールパネル
インテリアの最大の問題は、後期型の液晶パネルです。液晶が欠けてしまい、最終的には文字が見えなくなってしまいます。
バラしてみて分かった原因は、液晶表示部と基板をつなぐケーブルで、このケーブルはフレキシブル板で、フィルムテープに導線がプリントされたものなのですが、その導線が熱で溶けて断線してしまうために表示が見えなくなるというものです。液晶のバックライトが消えてしまう例もあるようですが、大半の表示欠けの原因はこのテープの断線によるものです。
ということは新品に交換してもいずれは同じ運命…ということになります。
以前、なんとか補修ができないか?とプリント配線板を製造しているメーカー等に当たってみたことがあるのですが、その手間を考えると現実的ではありませんでした。しかし、最近は国内外で補修してくれるルートが出てきましたので、修理は可能です。

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④エアコン関連
前期型のアルファ164に関してはエアコンが効かない…というハナシを良く聞きますが、個人的な経験から言えば、私の所有したアルファ75以降のモデルでエアコンの効きに不満を持ったことはありませんでした。ちなみに、私自身はめちゃくちゃ暑がりです(苦笑)
エアコンの効きが悪い…と感じるのは2種類の原因が考えられます。初期のアルファ156のようにそもそもの設計が悪く、室内をうまく冷やせないというものと、何らかのトラブルによるものです。
聞いたハナシですが、日本人は自動車の場合は、局所冷房的なエアコンの冷風が直接カラダに当たるのを好み、欧米人はむしろ室内全体を冷やすのを好むそうです。そんな理由もあり、「ヨーロッパ車のエアコンは効きが悪い」というイメージを植えつけてしまったのかも知れません。
いずれにせよ、後期型のアルファ164のエアコンはちゃんと効きますし、その容量も充分だと思います。コンプレッサー等のハードウェアの耐久性も普通ではないでしょうか。
ただ問題は、ブロワーファンの品質で、ファンの偏心により異音が出たりします。このブロワーファンを交換するとなるとバルクヘッド部を全て外さなければならないため大工事となってしまいます。

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通称「鈴虫」と言われているブロワーファンから出る鳴き声は、風流と受け流すか、ガマンするしかないと思います。
次に、ステッパーギアと呼ばれる室内風の出る場所を調整する機構ですが、その材質がお粗末で部品がプラスチックで出来ており、経年劣化で折れてしまいます。ギアは金属製のものが海外でありますが、交換そのものはこれまた面倒な作業です。ダンパーのリンケージも折れてしまうと空調の切り替えができなくなってしまいます。

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残念ながら予防措置はないのですが、メンバーの中にはダンパーの支持部に届く長さの棒を積んでおき、切り替えたいときはボンネットを開けて棒で上から突いて切り替えたりしています(苦笑)

⑤足回り
トラブルの主因は可変ダンパーを装備したモデルです。また一部にオプションだった車高調整機構が付いたものもありますが、この辺りがトラブルの原因となるようです。可変ダンパーはセンサーによりハードとノーマルを自動選択する機構と、手動により強制的に切り替える機構の両方が装備されています。ただセンサーは不良を起こしがちで、ダンパーの減衰がハード側に固定されています例が多々あります。そうなると街中ではリアがポンポンと跳ねて乗り心地が悪くなってしまうのです。
アルファ164用のテスターを用いてダンパーのリセットをすれば回復するのですが、最近はそのテスターを持っている整備工場が激減しています。

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可変ダンパーそのものはそれほど緻密な制御をしているワケではありませんので、Q4以外の可変ダンパー装備車は可変ダンパー機構をアキラメて、社外品のダンパーに交換してしまうのが一番安全な方法だと思います。

総じてアルファ164の整備インターバルは5万キロが一つの目安だと言えます。タイミングベルト関係、リアブレーキパッドなどは5万キロ、さらに状況によってはクラッチレリーズシリンダーなども5万キロでオイル漏れを起こします。そして10万キロになると加えて、ダンパー、ブレーキディスク、クラッチマスター、ブレーキマスターなどの部品交換がやって来ます。
自分の年間走行距離から逆算して、5万キロ走行を目標に重整備計画を立てておくと安心だと思います。

次回はQ4特有のメンテナンスポイントについてオハナシしたいと思います。

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アルファ164Q4のメンテナンス・・・その壱

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オーナーズクラブには幾つかの掟があります。この掟はアルファ164と一緒に暮らすための大変有益なものなのですが、その中の一箇条に、
「メンテナンス記録は全て保管しておくべし、ただし決して費用を合計してはならない」
というものがあります。メンテナンス記録は交換部品のインターバルを掴んだり、部品の弱点に何らかの対策を講じたりする場合にはとても参考になるのですが、確かにその費用を累計したりすると、暗澹たる気分になってしまうのも確かです。

それでも愛車との別れに際して、改めて整備記録を整理してみると、イロイロと気づかされることがありました。
アルファ164Q4のメンテナンス上の注意点は、アルファ164共通のものとQ4独特のものに分類されます。

1.アルファ164共通のもの
アルファ164は、その当時ではアルファ・ロメオの中でも最も大型のセダンでした。FF形式もALFASUD、アルファ33という中小型車では実績があったものの、大型車では始めての経験だったと言えます。
FFに不慣れであったことに起因する、設計上の弱点はアルファ164に散見されます。
その最たるものがパワーステアリングではないでしょうか。

①パワーステアリング関連
国産車に比べるとパワーステアリングのポンプは明らかに能力不足です。国産車のように据切りを行うと、ポンプのシールからオイル漏れを起こしてしまいます。通常の使用ではポンプそのものの耐久性は10万キロ以上あると思います。
但し、ステアリングラックはシールの材質が悪く、すぐにオイル漏れを起こします。特に前述の据切りを行うとテキメンで、シール部分からオイルが漏ってきてしまいます。
また、ブーツ(ゴムの蛇腹)も純正品は材質が悪く、すぐに劣化によって破損します。

少しでもステアリング関連の部品を長持ちさせるためには…、
・据切りをしない
・フルロックまでステアリングを切らない
・駐車するときにはステアリングを正位置にする
・片輪の乗り上げ駐車はしない

といった配慮が必要です。

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②エンジン関連
基本的にアルファ・ロメオのV6エンジンは丈夫なエンジンだと思います。唯一の問題はタイミングベルト関連で、特に24Vのエンジンはそのプーリーへのベルトの「架かり」が甘いために、コマ飛びをし易いと言われています。私もタイミングベルト交換直後にコマ飛びを経験しました。
タイミングベルトの交換インターバルは諸説ありますが、最近のアルファ156V6などでは8万キロ走って点検したところ、全く問題がなかった例もあります。
一般的には5万キロを目安として交換されている例が多いようですが、年に2度程度はベルトの劣化を点検しておくほうが良いと思います。ちなみに私の交換インターバルは5万キロでしたが、予想外のエンジンオーバーホールを行い、結局都度交換となりましたので、定期交換と呼べるようなタイミングで交換作業を行ったのは1回キリでした(苦笑)

タイミングベルト交換の際には、テンショナーベアリング、プーリー、ウォーターポンプ類も併せて交換すべきだと思います。特にテンショナーベアリングは必ず交換しておかないと、折角テンショナーベルトを張替えても正しく張力がかからずに、コマ飛びやベルト切れの原因となります。
また、ベルト交換時にはSSTと呼ばれる専用工具を用いてカムの位置合わせを正確に行わないと、エンジンの調子を崩したり、同じくコマ飛びの原因となります。

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③エレクトロニクス
エンジン制御はBOSCHのコンピュータですので基本的には同時代の他のヨーロッパ車と同じです。ECUそのものは丈夫ですが、取り付け位置の関係からヒーターコアなどが破れたりすると、漏れたクーラントにより接触不良を起こしたり、誤作動の原因となったりします。
最近よく聞くエレクトロニクス関連のトラブルは、その原因の殆どがハーネスやセンサー類の経年劣化による接触不良や抵抗増加で、こればかりは製造年を考えると止むを得ないのかも知れません。
また、電気は目に見えないために原因の特定が困難で、テスターで順に追いかけていくしかないのが現状だと思います。修理工場を含めて、過去のトラブル経験の大小が最も影響する部分ではないでしょうか。

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それでは次回も引き続きアルファ164のメンテナンスに関して書いてみたいと思います。

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