
こ~んずさんと初めてお会いしたのは昨年の4月だったと思います。アルファ164オーナーズクラブのイベントで那須ツーリングを企画した際に、お友達のアルファ164Q4オーナーの方とご一緒に参加されたのが初めての出会いでした。
その後、茂木の12時間耐久でお会いしたりと、距離の割には接点が多く(笑)、バーチャルとリアルの両方でお付き合いさせていただいている方です。
この方のブログは私と違い「正統派」のブログで、日々の出来事や社会問題などにも言及されており、本当に面白く拝見しているのですが、そこに書かれていた様々なワゴン改造車のハナシを読んで思い出したのが、このシューティングブレークのことでした。
以前の私のブログでご紹介したGMC Typhoonを買っていただいた方の次のクルマ選びの際にご紹介したのが、LYNX社が製造していたジャガーXJ-Sをベースに改造された、シューティングブレークでした。

おおよそ、ワゴンと呼ばれる車種には各国で歴史と伝統があります。
それはその呼び方に表されているのですが、アメリカでは荷物とヒトを運んで大陸を横断した駅馬車にちなんで、「ステーションワゴン」と呼ばれます。この「ワゴン」という呼名が一番一般的で、やはり馬車の時代からの名残です。
一方、ヨーロッパのフランスでは「ブレーク」と呼ばれます。バカンスの国ですので、日常を「ブレーク」し荷物を積んでバカンスに出かけることから付けられた名前です。そしてイタリアでは「ジャルディネッタ」と呼ばれています。
イギリスはさすが貴族の国で、「エステート」が一般的でした。もともとは「地所」という意味で、やはり領地を見回る・・・という意味から名付けられた名前です。
ところが、更に趣味性を高めたのが、アストン・マーチンを改造した「シューティング・ブレーク」です。これは貴族が狩りをするためのクルマとしてオーダーしたことによるもので、猟犬と猟銃を積んで移動するためのクルマに特別に名付けられたものです。
さて、例のTyphoonオーナーから、そろそろ次のクルマという相談を受けたときに思いついたのが、このシューティング・ブレークでした。この方は八ヶ岳に別荘をお持ちで、さらにその時期に大型犬を飼い始めたこともあり、別荘への移動にこのシューティング・ブレークはうってつけだと思い、「こんなクルマもあるんですよ~」と軽い気持ちで紹介したのです。
もちろん、本当に買うとは思ってもいませんでしたから、まずは日本の方にありがちな、ステーションワゴン=バンといったイメージを取り除いた後に、シトロエンのXMブレークとか、ランチア・テーマ・ワゴンなどをオススメするつもりでいたのです。

しかし、この方はシューティング・ブレークというロマンチックな名前の由来と、このLYNXのスタイリングに参ってしまいました(苦笑)
さて、ホンキで探すことになってしまったこのLYNXですが、正しくはLYNX Eventerと呼ばれています。このイベンターという名前は馬術競技の馬場馬術、耐久、障害の三種混合の競技名に由来する名前で、やはり貴族の使うクルマとして意識されたネーミングです。そしてかのチャールズ皇太子もオーナーの一人だったと言われているクルマなのですが、最大の問題はその生産台数で、LYNX社はXJ-Sをベースとしてはいるものの、その全てが受注生産で、67台を製作したのみなのです。
しかし日本には既に3台輸入されていることを突き止め、その輸入を手がけたガレージ日英の白鳥社長に相談に行きました。
当然、日本のオーナーは手放すワケはありませんので、イギリス国内で探すことになったのですが、ひょんなことからその売り物が出てくることになりました。それはイギリスのジャガー・オーナーズクラブの方からの情報で、オーナーの方はすでに他界されており、その未亡人の方から…、
「イギリスで他のオーナーの手に渡るのは忍びないが、日本で大切にしてくれるのだったら…」
という売却OKの情報だったのです。その気持ちは良く分かりましたし、おそらく生前のオーナーは大切にしていたのでしょう。しかも何台も見比べて買うようなクルマではありません。白鳥社長と送られてきた写真を見ながら、日本の道路事情に合わせたラジエーターのコア増しやら電気系統の強化策などを相談していたのですが、残念なことにキャンセルとなってしまいました。やはり中古の英車は不安ということで奥様のお許しが出なかったとのことなのですが、私も白鳥社長もこの縁をアキラメたくはありませんでした。
私たちは経験上、このようなクルマがおいそれと欲しいときに売りに出ることなどないことを良く知っていますし、その程度が素晴らしいとなると尚更です。
そして、このLYNXは日本に輸入されました。新しいオーナーは英車好きで有名な俳優F氏の関係者でした。F氏の息子さんはミュージシャンで、有名なグループのリードボーカルを担当されているのですが、その所属する音楽事務所の社長さんがF氏に感化されて購入することになったのです。
こうして無事に海を渡ったLYNX Eventerは白鳥社長のもとでリフレッシュされ、素晴らしいオーナーの許で元気に都内を走っています。私もたまに青山界隈で見かけるのですが、その姿を見かける度に、その縁を取り持つお手伝いができたことがちょっと嬉しいクルマです。
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