走ってナンボ

アルファ・ロメオを始めとする「ちょっと旧いイタ車」を一生懸命維持する中での天国と地獄をご紹介します。

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木綿のTシャツ

メーカー名を超えてそのモデルが一つのブランドとして確立したクルマがあります。一般的にそれはMiniとBeetleだと言われていますが、私はPandaもその一つだと思います。

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これらのクルマはそのモデルが独立して一つのクルマの形として存在しており、VOLKSWAGEN社の一品種としてのBeetleではなく、「Beetle」として認知されていますし、同様にMiniも歴史的に次々と変ったメーカー名を飛び越えて、Miniとして認知されて来ました。その理由は、クルマのコンセプトが明確で、そのコンセプトに忠実に具体化したクルマであったことで、そのコンセプトそのものが支持されると、そのクルマは当に「それ以外には考えられない」モデルとなったからではないかと思います。

これほど「鉄板」のモデルが世に出ると、メーカーとしてはベストセラーモデルを持つと同時に、新しいジレンマを生むことになります。それは後継モデルの問題で、コンセプトが同じであればすでに「正解」が世に出ているのですから、次のモデルは先代を超えることができず、優れた実績のあるコンセプトを変えてしまうと、そのコンセプトそのものが支持されなければ全く売れない・・・というジレンマなのですが、案の定、MiniもBeetleもこのジレンマに陥ってしまいました。現在のMiniはオリジナルのMiniのコンセプトとはまったく別の、単にルックスだけを似せたものですし、New Beetleも同様です。唯一、違った方程式でその同じコンセプトを解くことに成功したのがGolfであったと思うのですが、残念ながらそれ以外のモデルは、その初代が唯一無二のモデルとして今尚、「正解」であり続けているのですから、名車を世に出したメーカーが必ずしもビジネスとして成功したワケではないことは、マーケティング論のケーススタディとして取り上げる価値のある実に皮肉な現象ではないかと思います。

そしてFIATのPandaもその「正解」の一つだと思っているのですが、このPandaの魅力は「安物」であることだと思います。生活の道具としてのPandaのコンセプトは実に明確です。そしてその明確なコンセプトを具体化したのは巨匠ジゥジアーロで、彼は同時に初代のGolfのデザイナーでもありますので、この実用生活車というコンセプトを具体化する名人であると言えるでしょう。

Pandaはそのコンセプトである「安物」を全く隠そうとしないクルマでした。徹底的にコストダウンされたパネルは簡単なプレス型で製造でき、フロントガラスは全くアールのない平板なものでした。また、通常は左右別に製造される樹脂パーツは左右対称になるようデザインされており、天地を変えれば左右のパーツを共用することができます。室内は鉄板剥き出しで、樹脂パーツには平気で成型時のバリが残ったままのものもありました。
しかし、このPandaは絶大な支持を受けることになります。その理由は「安物」であることが「貧乏臭く」なかったことで、あたかも日用雑貨のように安心して気を使わずに使い倒すことができたからだと思います。

同様の実用生活車というコンセプトを持つのが日本の軽自動車だと思うのですが、これらの軽自動車とPandaとの決定的な違いはこの「貧乏臭さ」だと思います。つまり少しでも高級感を出すために、樹脂パーツにレザーのような表面加工を施したり、安物のシートに無理をして高級感のあるファブリックを使ったりした内装は、知恵と技術の結晶ではあると思うのですが、それはどこまで行っても「もどき」でしかなく、そんな薄っぺらな「高級感」は、ショールームで見るときはともかく、いざ手に入れて使い始めるとユーザーに惨めな「貧乏臭さ」を感じさせてしまうのです。
しかし、一方のPandaは堂々と安物感を前面に押し出して来ますが、それは安物であることを前提としたデザインであるために、最初からその素材の持ち味を最大限に生かしており、結果としてPandaを一つのブランドとして成立させていました。

こんなPandaは様々なユーザーにアピールしました。それは経済的な理由から、本当はもっと高級なクルマが欲しいのに、やむを得ずPandaしか買うことができないからではなく、Pandaに乗ることに積極的な理由を持つユーザーで、私の周囲にはセカンドカーとしてPandaを買う仲間が多くいました。それらはアルファ164のような、ある種神経を使うことの多いクルマを持つユーザーであったり、フェラーリやマゼラーティ、ポルシェといった高級車をファーストカーに持つユーザーで、彼らにとってPandaはそのファーストカーとの対極にある、全く気を使わずに乗ることのでき、しかも貧乏臭さの全くない「癒しのクルマ」であったのです。

そんな初代Pandaも齢を重ね、だんだんとメカニカルな面で全く気を使わずに乗ることができなくなってしまったのですが、最近になってようやく初代Pandaユーザーにとっても二代目のPandaが気になるようになって来ました。その理由は中古車となってこなれてきた値段で、国産軽自動車の新車と勝負できる中古車価格により、ようやく二代目Pandaもその車格と値段のバランスが取れて来たのではないかと思います。

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この二代目Pandaは名前こそPandaと名乗ってはいるものの、初代のPandaとは全く似ても似つかないクルマです。初代のデザイナーがジゥジアーロであったことに対して、二代目はFIATの社内デザインですし、初代の持つ安物感は二代目にはありません。ボディも一回り大きくなり、オトナが4名乗車できる室内スペースが確保されています。

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最初に二代目Pandaが発表されたときに、初代Pandaのオーナーはそのデザインに眉をひそめたのですが、二代目がPandaと名乗る理由は実際に乗って見ると良く理解することができました。
FIATが二代目のPandaに引き継いだコンセプトは「尖ったところのない、全く気を使わずに乗れるクルマ」という生活車の基本でした。

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チョイ乗りで試乗させていただいた二代目Pandaの乗り味は、何の変哲もないものでした。全ての操作系はあくまでも素直で自然な位置にあり、初めて乗ってもコクピットドリルなど必要とせず、オーナーズマニュアルも不要なほどです。エンジンもこれまた自然で、ドライバーの感覚を全く裏切りません。このくらいアクセルを踏めばこのくらいスピードが出るよな・・・と思えばその通りとなり、この位ブレーキを踏めば・・・と思えばちゃんと止まります。唯一気になったのが電動アシストのステアリングくらいで、私自身が慣れていなかったこともあり、最初はステアリングの反発力の変化に戸惑いましたが、こんなものはすぐに慣れてしまうのでしょう。そのステアリングも新しいオーナーによりレザー巻のグリップが太いものに交換されたのですが、それだけでも随分とステアリングフィールは改善されたのではないかと思います。

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リアウィンドウの開閉は電動ではありません。今どき軽自動車にも当たり前に装備されているパワーウィンドウすらないのですが、リアのパッセンジャーがハンドルを廻して窓を開ける・・・という運動とボタンを押すという運動の違いに何ほどの価値があるのかと突き詰めれば、手動でも何の問題もないことが分かります。
Pandaの魅力の一つがこの「当たり前」で、全く無理をしていないクルマを日常のアシにすることにより、ドライバーも肩の力が抜け、日常のストレスから解放されるのではないかと思います。

ストレス解消には様々な方法があると思います。スポーツで汗をかくことによってストレスを解消する方にとってスポーツカーはその手段となり得るでしょう。また、静かなバーで美味しい酒を飲むことがストレス解消になる方にとって、どこまでも静かな高級車を運転することはその目的に適ったクルマだと思います。
そしてこのPandaは、当たり前の日常を自然体で過ごすことを欲するドライバーにとって最も適したクルマではないかと思うのですが、そのPandaを今回新たに購入したZAGATORさんにとって、Pandaは当に癒しのクルマで、もう一台の愛車であるAlfa RZとは対極にある実に良い組み合わせだと思います。

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そんなPandaの納車に際して何かワンポイントとなるアクセントを考えて・・・との依頼で、私が提案したのがサイドのピンストライプでした。
これは往年のロールス・ロイスやベントレーのボディにハンドペイントで入れられたピンストライプからインスパイアされたものなのですが、上下二本のピンストライプは上が細く、下が太いもので、その二本をサイドのプレスラインを跨いで貼ることにより、カクテルブルーというボディカラーでトールキャビンのPandaを少しシックに見せ、かつボディの上下を分離することにより、デザイン上のアクセントとなっているルーフラインを際立たせようと目論んでのものでした。

サイドショットの写真を送ってもらいPC上で様々な色を試してみたのですが、結局落ち着いたのが少し暗めのシルバーで、色見本からこのシルバーを指定して、COLLEZIONEでその施工をお願いしました。
施工していただいたのはリッコ ファブリカの笹川氏で、たかがストライプと思いきや、その丁寧で緻密な施工はさすがプロの仕事でした。

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さて、出来上がりはいかがでしょうか。これは予想外だったのですが、プレスラインを跨ぐことにより上のラインと下のラインの光が当たる角度が変り、光線のあたり具合によって色が変わって見えるという嬉しい誤算もあり、オーナーであるZAGATORさんにも大変気に入っていただきました。

この木綿のTシャツのようなPandaは、何も気を張らず、楽に着こなすことのできるクルマで、スーツにネクタイという日常の服装から着替えるように、ドライブすることによって日常生活で張り詰めて疲れてしまった気持ちをゆっくりとほぐしてくれるのではないかと思います。

木綿のTシャツは洗うたびに味が出てくるものですから、どうかZAGATORさんにはこのPandaを素のままで使い倒していただきたいと思います。

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アルファ・ロメオのアイデンティティ

アルファ・ロメオほど何度も「死んだ」自動車メーカーはないでしょう。

それはいつの時代にも存在し続けている熱烈なアルファ・ロメオファンによって「殺された」のですが、私が知る限りではアルファ・ロメオは100年の歴史の中で4度死んでいます(笑)。
最初は戦後にそれまでの高級少量生産車メーカーから量産車メーカーに転進したときで、それまでのアルファ・ロメオオーナーは、「これで自分達の知るアルファ・ロメオは死んだ」と言いました。
そして二度目は国策でナポリに工場を新設してアルファ・スッドを生産することになり、エンブレムから「MILANO」の文字が消されたときで、「アレーゼ以外でもクルマを製造することになったアルファ・ロメオは最早アルファ・ロメオではない」と言われました。
そして、三度目はFIAT傘下に入り、Tipoシャーシーを共有したFF車を生産することになったときで、「FR車ではないアルファ・ロメオなんて最早アルファ・ロメオではない」と言われました。
4度目は、アルファ・ロメオ独自の設計によるV6エンジンの製造が終了し、GMとの技術提携によるエンジンがアルファ159に搭載されたときで、「独自のエンジンを持たないアルファ・ロメオはもはやアルファ・ロメオではない」と言われました。

このように4度も死んだアルファ・ロメオが現在も存在しているのは、それぞれの時代でアルファ・ロメオをアルファ・ロメオたらしめている要素が異なっており、アルファ・ロメオというブランドの何をファンが支持しているかが時代と共に変遷を遂げてきたからなのではと思います。

今回、日本に上陸したTZ3を見たことにより、自分にとってアルファ・ロメオとは一体何だろうと今一度考えて見るきっかけになったのは、このTZ3が紛れもないアルファ・ロメオでありながら、アルファ・ロメオとは全く縁がないクルマであったからに他なりません。

このクルマをご紹介するためにはアルファ・ロメオのTZというモデルについて説明しなければなりません。多くの読者の方にとっては説明なぞ不要かと思いますので、もう一度おさらいという意味で、過去の記事でご紹介したアルファ・ロメオTZ1TZ2の記事をお読みいただければと思いますが、そもそも最初のTZ3は2010年のヴィラ・デステで行われたコンクール・デレガンスに出品されたクルマです。

デザインを担当したZAGATOはPININFARINAと並び、アルファ・ロメオと最も関係の深いカロッツェリアだと言えます。歴史的にはZAGATOはその軽量化技術と空気力学に優れたデザインにより、コンペティションモデルを得意として来ました。しかし、このTZ3はアルファ・ロメオからのオーダーに基づいて製作されたクルマではなく、オーナーからのオーダーによりコンペティションモデルとして製作されたクルマでした。エンジンはマセラーティのV8エンジンを搭載しており、シャーシーもカーボンファイバーのオリジナルでしたので、アルファ・ロメオのエンジニアはこのTZ3には一切関与していないのです。
アルファ・ロメオの100周年を記念する意味も込めて製作されたこのTZ3が、アルファ・ロメオのパーツや製造技術とは何の関係もないクルマであったことは物議をかもしました。
多くのアルファ・ロメオファンにして見れば、どこから見てもアルファ・ロメオTZ2の流れを汲むデザインでありながら、クルマとして見ると全くアルファ・ロメオではないこのクルマを何と呼ぶべきなのかを断じかねていたのです。

しかし、個人オーナーが自らの意思でオーダーしたのですから、このTZ3に文句をつける筋合いは誰にもなく、オーナーがこれをアルファ・ロメオであると思えば、それで良い話であったのですが、このTZ3はこれだけでは終わらなかったのです。
それはこのデザインの素晴らしさで、アルファ・ロメオファンの多くは現行モデルの貧弱なモデルバリエーションとデザインインパクトの乏しさにうんざりしていました。確かに8C Competizioneは素晴らしいクルマでしたが、このクルマもアルファ・ロメオの現行モデルとは何の関連性もないモデルであったのですから、このTZ3のようなデザインのクルマがアルファ・ロメオと名乗ったとしても、それは許されることであり、このTZ3を支持した理由は、むしろこんなモデルをアルファ・ロメオに造って欲しいというメッセージであったのでしょう。

かくして、TZ3はさらに9台が製造されることとなりました。しかし、当初のTZ3のようなコンペティティブなものではなく、ロードゴーイングモデルとしてもっと「お手軽」に乗ることのできるモデルとして製造されることになったのです。
しかし、残念なことにこのTZ3のデザインを受け止めることのできるシャーシーもエンジンもアルファ・ロメオにはありません。そして選ばれたのが親会社であるフィアットと新しく提携することとなったクライスラーブランドのダッジ・バイパーだったのです。

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9台製造されるうちの2号車であるこのTZ3は、南青山の路地の一番奥にひっそりと佇んでいました。恐らく誰も通りすがることはなく、このTZ3を見るために訪れる人しか踏み入れることのないであろうこの空間は、TZ3を展示する場所としては相応しい場所のように思えました。実際に表からちらりと見えたTZ3はアルファ・ロメオを知る人にとっては充分すぎるオーラを放っていました。

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TZ3はサイズ的にはダッジ・バイパーと同じなのですが、バイパーと比べると印象的には小さく見えました。

最初に一回りして見たときの印象は・・・「造りが良い!」というもので、最近面倒を見ている同じくZAGATO製造によるAlfa RZ(ES30)の立て付けの悪さ(笑)と比較すると天と地ほどの差があり、このTZ3のボディワークは素晴らしいものでした。尤も、そのお値段と9台という製造ロットを考えるとその全てが手作業で、徹底的にスリ合わせを行うのでしょうから当たり前と言えば当たり前なのかも知れません。

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フロントマスクはTZ2のイメージをうまく残しており、2号車特有の装備であるフォグランプも良いアクセントとなっていると思います。

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特徴的なのはリアウインドウの処理でフラットサーフェス化された上に、クオーターウインドウから連続してラウンドされた処理はこれからのスポーツモデルのデザインに応用されそうな気がします。

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ルーフはABARTHのようなダブルバブルとされており、ヘッドクリアランスの確保にも効果があると思われます。

もう一つのデザイン上の特徴はリアのコーダ・トロンカで、歴代のTZシリーズの特徴を引き継いだものとなっています。それを強調するためにブラックアウトし、さらにリアの視界を確保するために上部をガラス化しているのですが、それでもルームミラーからの後方視界は殆どないと思われます。

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その劣悪な後方視界を補うのがサイドミラーで、デザイン上も工夫されていますが、特徴は何よりもその位置と大きさで、このクルマが実際に公道を走行することを前提としていることがうかがわれます。

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エンジンルームからの放熱は重要な問題なようで、エンジンフードには左右に大きなスリットが開けられています。しかし、それは単なる機能的なものではなく、ちゃんとデザインされており、中心部の盛り上がりを生かすためのデザインとなっています。

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サイドも同様で、スリットの中にマーカーを埋め込む手法は一般的ではありますが、エンジンフードのつなぎ目をうまく利用してデザインされています。そして輝く「Z」のエンブレムがマニアの心をくすぐります。

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ホイールはヘアライン仕上げで、これまたTZ2へのオマージュが見て取れます。

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マフラーはサイド出しとされています。これもTZ2のイメージを残したかったからだろうと思うのですが、保安基準上では問題があるかも知れません。

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インテリアは2号車特有のもので、CoSTUME NATIONALのチーフデザイナーであるエンニョ・カバサ氏のデザインによるものだそうです。他のモデルの内装との違いが分かりませんが、コンベンショナルなデザインながら質感に拘った上質な造りでした。

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さて、私自身は何らかの結論を出さなければなりません。
ZAGATOのデザインにより往年のTZシリーズのデザインの延長線上にある、紛れもない現在のTZと言えるこのTZ3。しかし、その中味はバイパーであり、アルファ・ロメオのエンジニアがエンジンをチューンしたわけでもなければ、サスペンスションのセッティングに関与したわけでもないこのTZ3は、アルファ・ロメオの単なる「そっくりさん」なのか、それとも「異母兄弟」なのか・・・。

恐らくその答えはこれからの自動車メーカーがどのような生き残り方をして行くのか・・・という課題と密接に関係しているのではと思います。
内燃機が終焉を迎え、電気、水素・・・と従来の自動車メーカーの持つ技術が意味を持たなくなってくる近い将来において、自動車メーカーの歴史的な独自性を唯一保つことの出来る、すなわち差別化することのできるものが、このブランドでありデザインではないかと思います。

今の私にとってはこのTZ3をアルファ・ロメオと呼ぶには抵抗があります。しかし、実車を前に佇んでいると、街中で見るMiToやGiuliettaよりもアルファ・ロメオらしいのがこのTZ3であることも事実なのです。

恐らくこの答えは皆さんの一人一人の中にあり、その答えがこれからのアルファ・ロメオの行く末を決めることになるのかも知れません。

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イタリア中古車の「今、そこにある危機」と将来

震災の影響から少し脱した感があるとは言え、依然として日本国内の自動車業界は危機的な状況にあると言えるでしょう。
それは国内の景気の影響や少子高齢化による人口の減少によるものだけでなく、多くの人々が自動車という機械そのものに魅力を感じられなくなって来ているのではと思うのですが、実際に自動車メーカーが莫大な広告宣伝費を使って自社の自動車の宣伝をするのではなく、「免許を取ろう」とアピールしていることからも明らかで、警察庁が公表している平成23年度版の運転免許統計によると免許人口(何かしらの運転免許証を保有している人)は頭打ちとなっていることに加えて、30歳未満の免許人口は対前年に比べて軒並みマイナスであることも国内の自動車販売に明るい未来を思い描けなくしています。

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それでは実際に国内の自動車販売はどのように推移しているのでしょうか。
以下は自動車販売連合会(JADA)日本自動車輸入組合(JAIA)が発表している統計データを基にその推移をグラフにしたものです。

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昨年度の乗用車(商用車やトラックを除く)の新車と中古車の登録台数は597万台弱と、その前年度の664万台を大きく割り込んでいますが、これは東日本大震災の影響によるものでしょう。しかし、一方でその前年度の664万台は減税や補助金の効果で「カサ上げ」されたものであり、それまでの各年度は前年度割れが続いていたことが見て取れます。
特筆すべきは自動車販売全体に占める中古車の割合で、過去5年間全ての年度で新車販売を上回っています。グラフを良く見れば気がついていただけるかと思うのですが、2010年度において新車購入が増えたのは減税、補助金の効果で、結果として全体に占める中古車の割合は51%になっていますが、それ以外の年度においては安定して53%から54%をキープしており、どちらかと言うと需要の総数の中で、新車販売の落ち込みを中古車販売が支えていると言えます。
つまり、自動車そのものの需要が縮小する中で、さらにその需要が新車から中古車にシフトしていることが見て取れます。

さらにその中で外国車の占める割合を見ると、新車・中古車を合わせた市場全体の中でそれまで外国車の占める割合は10%台で推移していたのが、2012年度はイッキに12%に増加しています。これは震災の影響で国産車が減産を余儀なくされたことによるものだと思うのですが、その内容を見て見ると、中古車全体の中に占める外国車の割合はそれまでの13%台から14%に増加しています。
すなわち、国産新車を購入しようと考えていた購買層は、グレードを下げて同じ価格帯の外国製新車を買うだけでなく、この際だからと、同じ予算で買えるグレードの高い外国製中古車にシフトしたのではないかと思われるのです。

しかしながら、その恩恵を受けたのはドイツ車ばかりで、イタリア車の販売増加には残念ながら寄与してはいませんでした。
以下のグラフは過去10年間に登録された外国車新車(商用車を含む)の内訳です。

外車新車登録推移

昨年度においてはアルファ・ロメオからフェラーリまで全てのイタリア車が束になってもAUDI一社の半分にも達していないのですが、一方で10年前の2002年度はイタリア全メーカーとAUDIはほぼ同数であったのですから、AUDIがいかに日本で販売を伸ばしたかが分かります。と言うか、この10年間はイタリア車の販売は総数において殆ど横ばいで、安定していると言えばそうかも知れませんが、全く成長していないと考えるほうが自然だと思います。
しかし、その新車登録数に中古車の登録数を加えて見てみると興味深い特徴が見えてきます。

2011外国車登録数ブランド別

外国車登録数全体の中で中古車が占める割合は62.9%と国産車よりも高いのは理解できるのですが、イタリア車は中古車が多く、その割合はイタリア車登録数の中で69.6%となっています。

イタリア車の中でもブランド別に見て見ると、かろうじて新車販売が中古車を上回ったのがフィアットだけで、これはFIAT500の新車効果で、アルファ・ロメオに至っては売るタマがなかったことから圧倒的に中古車の登録台数が新車を上回っています。

2011イタリア車登録数ブランド別

イタリア車全体の傾向を見ると、どうやらイタリア車は「新車で買ってはいけないクルマ」となっているようで、良くもこれだけ中古車のタマがあるなと思うほど中古車の販売が堅調であることが分かります。
特筆すべきはアルファ・ロメオの人気で、新車が年間1800台程度しか売れないにも関わらず、中古車は10,000台近くも売れているのです。
アルファ・ロメオに限らずイタリア車全般に言えることだと思うのですが、それは国産中古車とは異なり、そのブランド若しくはモデルを狙って購入することが多く、それはすなわち、アルファ・ロメオのブランド力が新車、中古車を問わず年間で12,000台規模で存在していることを表しています。この12,000台という規模は、アルファ・ロメオが日本で過去最大の新車セールスを記録した2002年の7,426台と比較するとどれほどのものかが分かるでしょう。そしてこの12,000台とはVOLVOの新車販売と同規模の大きさなのです。

現在のFIAT500を見る限り、イタリア車が魅力的なモデルを投入して、適切な購買対象に効果的な広告宣伝を行えば、まだまだシェアを拡大する余地があることが分かります。
狙うべきマーケットはVWやMBなどのドイツ車の牙城ではなく、エコだの燃費だのでクルマ本来の魅力を失いつつある国産車のユーザー層で、クルマを移動の道具として「仕方なく」乗らざるを得ないと考えている購買層ではなく、クルマにプラスαの魅力を求めている購買層をターゲットにして広告宣伝を戦略的に展開して行くことではないかと思います。

一方でイタリア車にこれだけの中古車マーケットがあるということは、イタリア車そのものに魅力はあるものの、その価格に割高感があるということで、以前の記事で書いたように、その価格さえ適正になれば消費者には充分な購買動機があることが分かります。
ところが問題は中古車のタマ数で、中古車とは新車で売れなければ市場には出てこないのです。
現在の10,000台のアルファ・ロメオの中古車市場は過去に好調であった新車のセールスの結果であり、そのタマが尽きたときにこの潜在需要をどうやって維持して行くかが、「今、そこにある危機」としてイタリア中古車販売店が考えなければならないことだと思います。

しかし、私はこれまでの統計分析から、ここにイタリア車を扱う中古車販売店のビジネスチャンスがあるのではと思います。

つまり現在の有利な円高という為替環境を利用して、質の高い中古車を輸入して販売することにより、中古車市場でのタマ数を補うのです。
もちろんこの中古車は国内での仕入れ車のように右から左に売ることはできないでしょう。日本基準でのメンテナンスと日本の道路法規に合わせた改造も必要だと思うのですが、これらのコストは為替差益で充分カバーできるでしょうし、中古車販売業者が合同で中古車の初期化PDIを行うことにより、コストダウンを図ることもできるでしょう。
また、日本仕様にない魅力的な本国モデルを輸入することも、イタリア車を購入しようと考える購買層や、買い替えを考えている現ユーザー層にアピールできるのではと考えます。

これまでは、「中古並行」というどちらかと言うとネガティブなイメージしかなかったと思うのですが、それを逆手にとって、魅力的な本国モデルを日本で丁寧に初期化し、上質な中古車として割安な価格で市場に投入すれば、新車を含めたイタリア車全体の市場も活性化させることができると思うのですがいかがでしょうか。

国内の新車・中古車販売台数全体の僅か0.48%しかないイタリア車ではありますが、それが新車であれ中古車であれ、とにかくシェアを伸ばすことがイタリア車の日本からの撤退や縮小を防ぎ、かつて経験したインポーターがないという冬の時代が再来することを防ぎ、私たちがいつまでも魅力的なイタリア車と暮らすことができるのではないかと思います。

余談になってしまいますが、この記事を書くに当たってWebで発表されていた(記事内のリンク)統計資料に関して警察庁に問い合わせの電話をした際に、受付担当の女性に随分親切に対応していただきました。しかし、残念ながらそれは「最後には」と付け加えなければならない状況でした。

最初に私が、
「警察庁が発表している統計資料について不明の点があるので担当者に取り次いで欲しい」
とお願いしたところ、返ってきた答えは、
「警察庁への問い合わせは各都道府県の警察本部経由で行ってください」
という答えだったのです。
呆れた私は、
「Webで市民に公開している統計資料に関する問い合わせを直接受けられないというのはおかしいと思いませんか」
と尋ねたところ、意外にも、
「そう思います」
という答えが返って来たのです。おそらくこの受付の女性は民間企業によく見られる専門のオペレーターではなく、警察庁の正職員だったのでしょう。そして続けて、
「私に答えられるとは思えませんがどんな質問でしょう」
と聞かれたので、私の統計資料に関する疑問点を伝えました。すると、彼女は自分でもその統計資料を見ながら私の疑問点を確認してくれただけでなく、それを自分自身の疑問として受け止めてくれ、
「確かに変だと思いますが、庁内のルールでは取り次げないので私が聞いてお答えします。」
と内線電話で担当者に確認してくれたのです。

警察庁という組織の性格から、外部からの電話を何でもかんでも取り次ぐことは問題があるとは思いますが、このような理論的な問い合わせに対しても同様な対応をすることはちょっと問題があると思います。しかし、彼女の対応はそのルールを守りながらも柔軟な対応でしたので、私は警察庁に失望することなく本当に感謝をして電話を切ることができました。

以前に国土交通省にも問い合わせの電話をしたのですが、そのときの国土交通省の応対は素晴らしく、受付を含めて3人の人間を経由してやっと答えられる担当者に到達したのですが、ちゃんと質問事項も申し送りされ、何度も同じ話をせずに済んだだけでなく、最後に出た担当者は手許に資料を用意して電話に出てくれました。しかも最後に「他に質問されたい事項はありませんか」とまで聞いてくれたのです。

本当に少しずつではありますが、日本の官公庁も変わりつつあることを実感することができました。

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4キャラットの希望

現在のアルファ・ロメオは低迷していると言って良いでしょう。このブログの読者の方はご存知の通り、アルファ・ロメオはその100年に及ぶ歴史の中で幾多の経営危機を経験して来ましたので、現在の状況は決して目新しいものではないのですが、アルファ156以降でアルファ・ロメオのオーナーになった方からすると、現在の状況は初めての経験で、心配で仕方ないのではないでしょうか。
特にディーラーにとっては「売るタマ」がないのが実情で、クルマの魅力以前の問題で、経営を考えると単に「冬の時代」などとは言っていられないと思います。

アルファ・ロメオの魅力はその歴史に裏付けられたスポーティイメージと独特のハンドリング、そして他の何物にも似ていないアルファ・ロメオと人目で分かるスタイリングだと思うのですが、それらのどれ一つも欠けることなく高度にバランスしたモデルこそが、アルファ・ロメオを復活させることができるのではないかと思います。

日本における最初のアルファ・ロメオ冬の時代は伊藤忠モータースの販売撤退でした。当時のアルファ・ロメオは製造品質に問題があり、上記の三点を満たすどんなに魅力的なモデルがあったとしても、クルマとしての信頼性がなければ競争力なぞあるワケもなく、マニアの指名買いのみではディーラーとして経営ができない事態となっていました。どんなに魅力的なクルマであっても、国内に正規ティーラーがなくなるということはメンテナンスや部品供給の問題から販売が先細りになることは必至で、後にアルファロメオ・ジャパンが設立され大沢商会やコーンズ・モータースが販売に乗り出すまでの間、日本ではアルファ・ロメオは死んだも同然の状態となったのです。

東日本大震災の影響で国産車が減産を余儀なくされた一時期、即納状態で販売できるアウディやVW、そしてBMWなどのドイツメーカーは販売を伸ばしたのですが、その恩恵にもフィアットは殆ど預かることができませんでした。
それは単にフィアットも売るタマが無かったからで、ドイツメーカーのコンパクトクラスのモデルに比べて、フィアットやアルファ・ロメオが製造品質において劣っていたわけではないと思います。

アルファ・ロメオはその危機的な時期にあって、いつもスペシャル・モデルを発表しそれを販売の起爆剤として来ました。それはSZ(ES30)では成功した?のですが、残念ながら8C Competizioneではそのイメージを他のモデルに引き摺りすぎて失敗しているような気がします。
しかし、次に発表された4C Conceptではその8C Competizioneのイメージが見事に昇華されています。

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この4C Conceptはまず商品企画が優れています。私はアルファ・ロメオのスポーティモデルにとって重要なポイントはそのサイズと軽さだと思っています。歴代のアルファ・ロメオのスポーティモデルは決してマルチシリンダーエンジンを使った高出力とそれを受け止める強靭なシャーシーの組み合わせではありませんでした。もちろんTipo33のようなモデルもありましたが、それでも現代の基準で見たときにはそのコンパクトさに驚くことでしょう。
むしろ販売やスポーツイメージに寄与したのは、一連のZAGATOデザインのモデルやGiulia Sprint GTAなどで、これらは軽量なボディに4気筒DOHCエンジンを搭載したモデルでした。しかもそのStradaleモデルは過度なチューニングは為されておらず、オーナーのドライビングテクニックと資金力によりチューンアップの余地が充分に残されていたのです。

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さて、今年の3月のジュネーヴで発表されたこの4C Conceptですが、8C Competizioneのときとは異なり、発表当初から市販化を前提としていました。
ミッドに搭載するエンジンも「現実的」な三代目Giuliettaに搭載されている1.7リッター直列4気筒ターボで、そのパワーは200hp以上というのが公式発表ですが、実際のGiuliettaのエンジンは235hpを発生していますので、現実的には「それ以上」と見て間違いはないでしょう。一方で車重は、8C Competizioneで採用されたカーボン・ファイバー製のシャシーにアルミニウムで作られたサブフレームの組み合わせから、850kg!と言われていることから、素晴らしい走行性能を予感させることができます。実際、設計予測値では0-100kmの加速を5秒で達成し、最高速度は250km/hとのことですので、立派なスーパースポーツモデルと言うことができます。
もちろん実際に市販化される場合に、この高価なシャーシー形式が採用されるかどうかは定かではありませんが、仮に車重が1t前後になったとしても「必要にして充分」で、この4Cを見かけだけのコスメクルマになることはないでしょう。

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サスペンスションはコンベンショナルなフロントがダブルウィッシュボーン、リアがマクファーソン・ストラットで、重量配分は40:60とのことですので、これが電子制御デバイスなしの制御系であれば随分と乗り手を選ぶモデルになると思うのですが、アルファ・ロメオはこのモデルにアルファTCTと呼ばれる乾式のデュアル・クラッチ・トランスミッションを採用し、例のD.N.A.システムも採用するとのことですので、一般のドライバーにも充分乗りこなすことのできるモデルになるのではと思います。
ちなみにD.N.A.システムとはエンジンや電子制御系装置の特性を統合的に「D=ダイナミック」「N=ノーマル」「A=オール・ウェザー」の3種類に切り替えられるシステムで、ダイナミックな動力性能と、環境適合性や効率性、さらに高い快適性を合わせ持つことが可能で、なおかつあらゆる路面状況下において安全にクルマをコントロールできるという、現代のアルファ・ロメオ自慢の技術です。私にはさっぱり理解ができないのですが、すでに「MiTo」などの市販モデルに採用されているこのシステムは電子制御であるが故に、そのプログラミングを変更して発展させることが可能で、どうやらこの4C Conceptではさらに進化したバージョンが搭載されるということです。
願わくば、電子デバイスなしの6MTバージョンなんかも検討して欲しいのですが、それはこのご時世では「ないものねだり」でしょう。

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3月のジュネーヴで発表されたこの4C Conceptですが、更に9月のフランクフルトでもさらに煮詰めたモデルが展示されていました。外見上の違いは発表時に身に纏っていた「ラーヴァ(溶岩)・レッド」と名付けられたマット・レッドから今度は「液体金属(Fluid Metal)」という名前のシルバー・グレイに変更されていたのですが、敢えてSpiderモデルなどのボディ形式を変更して来なかったのは単なる開発資金不足ではなく、市販化へ向けた開発に集中したためだろうと思うことにしましょう(苦笑)
ボディデザインはカロッツエリアではなく、アルファ・ロメオの社内デザインセンターであるCentro Stileだそうですが、そのデザインは伝統のレッドよりもこのシルバーの方が映えるのではと思います。

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8C Competizoneは一般ユーザーには「高嶺の花」であり、事実イメージリーダー的要素が強いモデルであったと思うのですが、この4Cはその全長4m以下、ホイールベース2.4m以下というサイズといい、Giuliettaと共通のエンジンといい、当に「手の届く」スペシャルモデルであって欲しいと思います。
可能であれば、ある程度重量を犠牲にしても販売価格をあまり上げずに、限定モデルではなくカタログモデルとして販売して欲しいと思いますし、この4Cがアルファ・ロメオ復活の起爆剤になって欲しいと心から願っています。

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腐っても鯛

「腐っても鯛」というのは高級なものはどんな状態でも何らかの価値があるという意味ですが、もう一説には鯛は外観がちゃんとしていても内臓が痛んでいる場合があることから、外観だけで判断してはいけないという戒めの意味があるそうです。クルマ趣味の世界では「腐ってもベンツ」とか「腐ってもポルシェ」とか言われ、これらのクルマは例えその程度が悪くても価値があるという意味で使われていますが、クルマももう一つの説の戒めのほうが説得力があるのではないでしょうか(苦笑)。

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最初にこのクルマを見かけたときには本当にびっくりしました。それは幹線道路の路肩のジャンクヤードで反対車線を走っている際にナニゲなく目をやって見つけたのです。我ながらその動体視力にもびっくりしてしまったのですが、実際にその一瞬でもこのクルマから放たれるオーラを感じることができたのです。
後日、今度はじっくり見るために改めて訪れたのですが、やはりそれはマゼラーティカムシンでした。

カムシンは1972年のトリノショーでそのデザインスタディが発表され、翌1973年のパリショーで発表されたマゼラーティの4シーターGTです。発表当時のマゼラーティはその経営がオルシファミリーからシトロエンに移り、新たな時代を迎えようとしていましたが財政的には苦しく、ようやく初代キブリの後継モデルとしてこのカムシンを発表することができたのです。カムシンのデザインはBertoneのチーフデザイナーであったマルチェロ・ガンディーニで、彼の油の乗った時代のガンディーニ節?が炸裂しています。それはナイフで切り取ったようなシャープなボディラインとスリークな造形で、後のガンディーニデザインの特徴を備えたものでした。

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ボディは鋼管サブフレームにスチールパネルを組み合わせたもので量産性は決して良くはなかったのですが、もとよりカムシンのマーケットを考えたときにそれほど量販が望めるはずもなく、このクラスのクルマとしては至極マトモな?構造でした。エンジンはマゼラーティオリジナルの排気量4930ccV8エンジンで、このエンジンをフロントに搭載するコンベンショナルなFRレイアウトのために、同時期に販売されたメラクやボーラのようなミッドシップレイアウトのスーパーカーとは異なり、あまり脚光を浴びることはありませんでした。

最大の特徴は親会社シトロエンのハイドロシステムを採用したことで、この油圧システムでブレーキ、クラッチ、リトラクタブルヘッドライト、パワーステアリング、シート・ヘッドレストリクライニングを作動させていました。一見すると最先端のシステムとも言えるのですが、これらは全て機械式で充分で、サスペンスションのように油圧で制御する必然性はなく、このハイドロの油圧がなくなると全てダメになるために、著しく信頼性のないクルマになってしまいました。事実、新車でもハイドロのオイル漏れを起こしていたそうですので、ただでさえ売れないクルマが更に売れないという悲劇的な末路を辿ることになります。カムシンの設計段階で親会社であったシトロエンは早々に経営から撤退し、実際に製造販売していた時代にはその経営はデ・トマソに引き継がれていたのですが、デ・トマソこそ良い迷惑で、いくら売るタマがないとは言え、こんな厄介なモデルを押し付けられたのではたまったものではなかったでしょう。

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このようにカムシンはそのデザインは素晴らしかったにも関わらず、FRというレイアウト故にスーパーカーブームに乗れず、第一次オイルショックのためにそのマーケットは縮小してしまい、ハイドロシステム故にクルマとしての信頼性を保てないという、いかにもマゼラーティらしい悲劇が凝縮されたモデルなのですが、そのデザインは今でも全く色あせておらず、こうしてジャンクヤードにあってもオーラを放ち続けているのです。
この世に430台しか生を受けなかったカムシンの一台がどういった経緯で日本のジャンクヤードにこうして屍を晒すことになってしまったのかは定かではありませんが、そのボディフォルムは充分「腐ってもカムシン」と言って良いでしょう。

でも…こうなってしまうとやっぱり「腐ったら鉄屑」でしょうね(苦笑)

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