走ってナンボ

アルファ・ロメオを始めとする「ちょっと旧いイタ車」を一生懸命維持する中での天国と地獄をご紹介します。

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究極のDIY ~その弐~

いよいよ新しいクロスをボードに貼りこんで行くのですが、ここからK君の職人芸が爆発します(笑)

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今回用意したクロスはエクセーヌ(アルカンターラ)という人工スエードです。この素材は1970年に東レによって開発されたもので、髪の毛の1/400という細さの原糸を用いて作られた生地は耐久性、対光性、難燃性に優れていることから、ヨーロッパで天然皮革に替わり自動車の内装材として利用されるようになったものです。

よく東レのエクセーヌとイタリアのアルカンターラは別のものと思われていますが、もともとは東レの技術で作られたもので基本的には同じです。ファッション用としてのブランドがエクセーヌで、自動車用のブランドがアルカンターラと理解するのが正解で、最近はアルカンターラのほうが有名?になってしまったようです。生地そのものはネットショップで購入したり手芸材料店などで量り売りで購入することが可能です。
色味にこだわるのであればやはり現物を見て購入するのが一番で、どうしてもネット経由だと色味が分かりづらいのでいざ届いてみると想像した色と違う…などということがあるかも知れません。今回の笹本氏のイメージはテラコッタ(レンガ色)ということで、シートのライトページュとのコントラストを考えて決めた色だそうです。

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実際の貼り込みに使用する糊はこの3Mの99というスプレー糊とクリヤーボンドです。スプレー糊は決してケチってはいけません。安いものも出回っていますが、この3Mのものが一番使いやすく耐久性にも優れているそうです。折角張り替えた天井が糊をケチったせいでまた垂れて来たりしたら目も当てられません。

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こうした作業をしたことがある方はご存知だと思いますが、貼る面積の大小の差こそあれ、皴にならない貼り方は真ん中から周囲に向かって貼っていくのが基本です。長年の経験から何か秘密兵器を開発したかと思ってK君に尋ねてみたのですが、人間の手のひらに優る道具はないそうで、手のひらで少しづつ貼ってやるのが一番だそうです。しかもこの糊は貼ってすぐであればやり直しができるそうですので、怖がらず最初は練習のつもりで貼ってみると慣れてくると思います。

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殆どの箇所は平らですので問題なく貼れると思いますが、サンバイザーを収納するために窪んだ部分は注意が必要です。どうしても皴はできますので、如何に目立たない場所にその皴を持ってくるかが工夫のしどころでしょう。
ボードの端はクロスを織り込んで接着するのですが、この部分の殆どは内装のプラスチックカバーで隠れてしまいますのでそれほど神経質になる必要はありません。適当な大きさに切って布や皮用のクリヤーボンドを使って接着して行けばOKです。

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ある程度乾燥した段階で、取り外した部品を再度取り付けて行きます。天井の張り替えに限ったことではありませんが、ネジを失くさないようにすることと、どこにどのネジを使っていたかをちゃんと覚えておくことが重要です。自信がない場合は写真を撮っておくか、あらかじめ封筒を用意して取り外す度にどこのネジかを書いて別々の封筒に入れておくと間違いをなくすことができます。シロートが失敗するのがこのネジで、どうしても足りなくなったり余ってしまうものなのです(笑)

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内張りをルーフに取り付ける際にはさらに一工夫します。それは人工芝用の強力両面テープでホームセンターなどで購入することができます。この両面テープは厚手で粘着力が強力なのが特徴ですので、このボードとルーフの接着には最適です。ルーフには十字にリブがありますので、そのリブに沿ってこの両面テープを貼り付けておきます。
もともとのマジックテープにこの両面テープを加えて内張りの接着力をアップさせようという魂胆なのですが、あまりやりすぎてもいけないようです。その理由はボディの撓みで、こうした内装材はある程度ボディの撓みに合わせて緩くしておかないとかえって軋み音が発生してしまうのです。

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天井を取り付けたら今までの作業とは逆に各プラスチックパーツを取り付けて完成となるのですが、匠の小技?でK君はリアの天井を留めるプラスチックカバーに余りのアルカンターラを貼り込み目立たないようにしていました。
だから?と言われればそれまでの自己満足なのですが、折角自分でやる作業ですからこうした工夫を凝らすのも面白いと思います。

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さて、完成した天井ですが思った以上に格好良く、笹本氏が言うように「ちょっとエッチ」な雰囲気になりました。
往年のマゼラーティの内装よりも品が良く、ウッドパネルがない分だけ淫靡な雰囲気が薄まって、なかなかインテリジェントな内装だと思います。詳しくはオーナーである笹本氏のブログでご確認いただければ、氏の満足度も伝わってくるでしょう。

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事前にK君が予想していた作業時間は4時間だったのですが、休憩時間を除けば実質5時間と言ったところでしょうか。とにかく一日仕事になったことは確かですが、考えようによっては一日で見違えるようにリフレッシュできると考えればちょうど良い作業時間なのかもしれません。
ただし、これで許してくれないのがアルファ・ロメオで、作業が終わっていざ出発となった時点で、どうしたものかインパネのイルミネーション、左前のスモール、右後ろのスモールが点灯しないというトラブルに見舞われました。この組み合わせだと単なる球切れとも思えませんので、マニュアルをチェックしてみたところどうやら助手席のサンバイザーに組み込まれたバニティミラーの照明の配線がリークしているようです。
事実、ヒューズボックスをチェックして見ると該当するヒューズが切れてしまっています。後日、配線をチェックすることにし、今回はバニティミラーのソケットを外して応急措置を完了しました。
ただ配線を外して元に戻しただけなのですが、さすが恐るべしアルファ・ロメオです(笑)

今回の記事では見学者である私から見た作業のポイントを書き連ねましたが、後日K君による作業解説をオーナーズクラブのHPに掲載する予定ですので、作業をされる方はそちらをご覧いただいてからチャレンジされたほうが安全かと思います。

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究極のDIY ~その壱~

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クルマ趣味におけるメンテナンスについて言えば、おおよそ三種類のタイプが存在すると思います。
まずは「何でも自分でやってみるタイプ」で、器用、不器用を問わず好奇心や探究心が旺盛で面倒をいとわないタイプです。このタイプはともすればヲタクっぽく見られる可能性もあるのですが、基本的にはお人好しが多く、頼まれれば誰のクルマでもメンテナンスしてしまう方が多いように思います。
次に「理論探求派」で理屈そのものには興味があるものの、自ら手を動かす(汚す)のはあまり好きではなく、もっぱら人任せにするタイプです。しかしその知識は半端ではなく、自らがクルマを触るわけではないので軽く見られてしまいますが、メンテナンスマニュアルを始めとする様々な資料を持っているので、知恵袋として重宝するのが特徴です。
最後は「動けばいいやタイプ」で、トラブルや故障に関しては敏感ではあるものの、その修理に関しては完全にプロ任せで無事に治ったのであれば、もはや原因などどーでも良いと感じるタイプです。しかし、感性がいちばん鋭いのがこのタイプで、クルマに対するセンスは抜群なので購入する際やモディファイする際の「見立て役」としては実に良い仕事をするのです。

オーナーズクラブの魅力はこの三種三様のタイプがいることで、特に私が所属しているアルファ164オーナーズクラブにはこの三種のタイプがお互いの長所を尊重し合って、技術と情報を分け合っているのが素晴らしいことだなと思っています。
さて、親友でありこのアルファ164オーナーズクラブのメンバーでもある笹本氏が、自らの愛車であるアルファ164Q4の大リフレッシュ計画を進めていることは氏のブログをご覧の方はご存知のことと思います。
車検を機に様々な整備メニューをこなした後に手をつけた、氏のクルマに対するセンスが凝縮された内装リフレッシュの成果は私も見せてもらい感激したのですが、彼はどうしてもそのリフレッシュ計画の最後に手を付けたい部分がありました。それは天井の内張りで、アルファ164に限らずイタリア車の多くは10年選手になると経年劣化によりこの天井が垂れ下がって来るのです。

通常は業者にお願いして天井を張り替えてもらうのですが、オーナーズクラブにはこの天井を張り替える職人芸を持ったメンバーがいました。K君はアルファ164、Fiat Panda、アルファGTVなど様々なクルマの天井を張り替えて来たのですが、これらは決して商売ではなく自分のクルマであったり友人のクルマであったりと、オーナーに頼まれて施してきたというのが実態でした。
私も過去にK君がアルファ164QVの天井を張り替えるのを手伝ったことがあるのですが、劣化して外すときに粉々に割れてしまった室内灯のプラスチック部品をK君が半田コテを使って器用に貼り合わせるのを見て感心したものです。
今回は笹本氏の求めでK君の職人芸を改めて見せてもらえることになったのですが、その作業手順はその後に台数をこなしてきたこともあり、どんどん洗練され無駄が無くなっていました。

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作業場所に指定されたのはK君の行きつけの整備工場でした。自宅の駐車場でも作業はできるのですが、できれば整備工具など環境が整った場所でやるほうが何かと便利です。快く場所を貸して下さった工場に感謝です。それにしてもポルシェの専門工場でアルファ・ロメオの天井を張り替えるというのは少し気が引けたのも確かです(苦笑)

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さて、笹本氏のアルファ164Q4の天井ですが、確かに少し垂れて来ています。垂れて来たおかげでクロスの材質が良く分かるのですが、想像以上に非常に薄い布地であることが分かります。実際に芯になるボードに布を貼る際にはこの布の厚みも重要で、薄すぎると皴が出来やすいのに対して厚いと布が重くなり垂れ易くなってしまうのです。

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まずは天井のクロスが張ってあるボードを外すために、内装のプラスチック部品を外して行きます。外すのはルームランプユニット、サンバイザー(左右)、ルームミラー、Aピラー(ハンドグリップ)、Bピラー(上部のみ)、Cピラー(上部のみ)、リアロールスクリーンクリップです。
と、文章で書くと簡単ですが、これらは全て上を向いて取り外さなければならないために無理な体勢を強いられます。またアルファ164に限らず、殆どのイタリア車のプラスチック部品は経年劣化が早く、特に1980年代から1990年代に製造されたクルマの内装部品は紫外線に弱く、表面が劣化してベタベタになってしまいます。
実際にアルファ164でもこのプラスチック部品については前期型と後期型で明暗を分けることになります。前期型のヘッドコンソールはほぼ必ず劣化してベタベタになります。そしてそれは同時に材質が脆くなっていることを意味し、外そうとするとボロボロに砕けてしまうのです。新品の交換部品は手に入らず、入ったとしても材質は同じですし、仮に部品取り車があったとしても、これまた外すときに粉々になってしまうという地獄で(笑)、基本的には触ってはいけない部品です。しかし、天井の内張りを貼りなおすためには外さざるを得ず、それは同時に粉々になることを覚悟しなければならない作業でもあるのです。

前期型のアルファ164の天井を張り替える場合は、ヘッドコンソールの周囲を養生してから外してください。万が一粉々になってもそれらをつなぎ合わせて復元することが可能ですが、その破片がなくなってしまったらそれも出来なくなってしまいます。粉々になった破片はエポキシ系の接着剤(二液混合タイプ)や半田コテを使って再度接着し、表面をペーパーで均すとベタベタも取れてなんとか修復することができます。ただし、元の強度は全くありませんので以降の取り扱いには細心の注意が必要となります。

後期型の場合はこの破片地獄に見舞われることはないようですが、油断は禁物です。あくまで取り扱いは慎重にそっと外して行きます。

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Aピラーのカバーは比較的簡単に外すことができるはずです。ハンドグリップの取り外しも問題ないでしょう。しかし、Bピラーはちょっと難物です。前後ドアの上部カバーはこのBピラーで挟み込むように固定されていますので、このBピラーのカバーを外さなければその周囲のカバーも外れません。このカバーを外すためにはフロントのシートベルトのアンカーボルトを外す必要があります。ソケットレンチでもハンドル長の長いものでないと力が加わらないかもしれません。もちろんエアーレンチがあれば何の問題もありませんが…。

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さらに、Bピラーカバーの先端は折れやすくなっていますので、慎重にめくってください。
天井の張替えにはBピラーカバーを完全に取り外してしまう必要はありません。上部の先端が浮いてその左右のカバーを抜くことができれば良いのです。同様にCピラーカバーも上部が浮けばOKです。

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後部天井部は三箇所のピンで固定されています。このピンは一見すると抜くだけに見えるのですが、中はタップが切ってあり、回して緩める必要があります。ムリにドライバーでこじると壊してしまいますので要注意です。

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さてこれらの部品を外すと、唯一天井はボードとスチールパネルに取り付けられたマジックテープで繋がっている状態となります。これからこの天井を車外に引き出すのですが、運転席と助手席の椅子を倒して、前のドアから斜めに引き抜くように車外に出します。イロイロ試した結果、このルートしか車外に出す方法はないそうです。一人が車内で天井を支えながら、もう一人が車外から引き出すのが一番効率の良い出し方ですが、一人でやることもできるそうですので、サポートのない方でも大丈夫です。

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引き出した天井には前部にルームランプ用のスチールベースと後部にはロールスクリーンを止めるピンが四箇所についています。ルームランプ用のスチールベースは前期型と大きく異なる部分で、改良されてネジの数が増えています。また後部のロールスクリーン用のピンはご丁寧に各二箇所でネジ留めされています。

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これらを全て外すとようやくボードからクロスを剥がせるようになります。この剥がし作業は一番汚れる作業ですので、ガレージの中などで行ってはいけません。できれば風通しの良い屋外で作業することをオススメします。

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まずは一番のハイライトであるクロス剥がしですが、比較的簡単にベリベリと剥がれると思います。問題はその後のボードの処理で、クロスとボードの間には薄いスポンジが挟み込まれています。このスポンジが劣化するためにクロスが浮いて垂れてくるのですが、このスポンジをきれいに取り除かなければなりません。

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必要な道具は「亀の子たわし」でこのタワシを使ってボードをこすると劣化したスポンジは粉状になり飛散します。このために風通しの良い屋外での作業をオススメしているのですが、こんなことをガレージの中でやればガレージ中がスポンジの粉だらけになってしまいます(笑)

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ボードは吸湿性がありますので、水を使うことは禁物です。つい水で洗ってやりたくなるのですが、乾燥に恐ろしく時間がかかるのと、ボードが劣化して割れる可能性があるそうです。新しいクロスを貼る際にはこのボードに直接接着剤を塗りますので、とにかくタワシで綺麗にスポンジを削ぎとってください。

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ここまでの作業でクロス貼りの準備完了です。
いよいよ次回は新しいクロスの張り込みの模様をお届けしましょう。

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第三期クルマの魅力

しばらくDUCATI900との格闘記をお届けしていると、だんだん何のブログだか分からなくなって来ました(苦笑)ので、本来のテーマに戻りましょう。
中古車の流通パターンはそれがどのクルマであってもほぼ同じプロセスを辿るのではないかと思います。

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初期の段階(勝手に「第一期」と呼びます)は新車で販売されている時期の中古車で、まだタマ数が多く、しかも中古車となって値段が安くなるために、新車で手が出なかったユーザーがこぞって買い求めるために安定したマーケットを形成します。クルマの程度もまだ新車が販売されているのでワンオーナーものが多く、ある程度のバラツキはあるものの、それほど大きな程度の差は見られません。

そしてもう少し年月が経ち、ちょうど新車での販売が終了する辺り(「第二期」)になると、そのクルマの人気に応じてマーケットは大きく二分されて行きます。
人気車の場合は需要がまだ多いにも係わらず、供給(中古車)が少なくなって行くために高値安定という状態になるのに対して、人気が落ちて来たクルマはどんどん底値になって行き、それが下取りの値段にも影響するため連鎖的に値段が落ちて行きます。しかし、一方で悪いことだけではなく、人気中古車が売れるが故にその程度が悪いクルマですら販売されてしまうのに対して、不人気車の場合は程度の悪いものは淘汰され始め、まだ玉石混交状態ではあるものの、徐々に市場に出回るクルマはその厳しい選択の目をパスした個体が主になって来ます。一時期こうして流通台数が減ることにより、流通価格が反転して上がる場合があります。それは需要が供給を上回ることによるものですが、それもある程度までで価格は低価格で安定して行きます。

そしてさらに年月が経つと、価格は第二期と違った意味で二極化(「第三期」)して行きます。それは製造から10年が経過した頃で、人気車も不人気車も仕入れたままではなかなか販売することが難しくなって来ます。どこまで整備に予算を割けるかによって販売価格は大きく異なってくるのですが、一方で市場が求める値段はそのクルマに満足な整備をさせてくれる値段ではなくなって来ます。
「バリモノ」と呼ばれるごく少数の低走行車は高値で売られる一方で、標準的な状態のクルマはほぼ底値状態となります。
こうなると、第二期に始まった淘汰は単に不人気車だけではなくほぼ完全となり、本当に欲しい少数のユーザーとそのためにきちんとメンテナンスされた少数のクルマとがバランスされた市場を形成するようになるのですが、この状態になると一般の中古車店では手に負えず、スペシャルショップと呼ばれる専門店での扱いが主になります。

一般的なクルマの中古車市場はこの第三期を最後にフェードアウトして行くのが普通です(「第四期」)。そこから先は市場というより希少車という名前の相対に近い取引となり、もはや相場を形成するような流通量ではなくなります。
そのクルマがどうしても欲しいユーザーは個人売買で熱心に探し続けるか、スペシャルショップがようやく手に入れた個体に初期化投資を自らが行い手に入れることになります。

ここから先はレストアを伴うクルマですが、全てのクルマがレストアの対象になるワケではなく、それはもはや市場と呼べる規模ではありません。あるときは為替の変動により、国内にあるクルマが海外に流出したり、また一方で海外から流入することによりそのタマ数は変化しますし、マスコミが取り上げたり、ドラマの劇中車として使用されたりするとその需要が増えたりもしますが、それも一時的なもので市場という観点から見るともはや無いも同然と言えるでしょう。

さて、愛するアルファ164の現状は第三期の末期から第四期で、以前にご紹介したアルファ164Q4のように前オーナーのもとできちんとメンテナンスを受けたクルマにはある程度の値段がつくのですが、一方で第二期から第三期を経ているため素材としては淘汰後であるものの、初期化を行わなければクルマとして乗り出すことのできない個体は、その投資を業者が販売前に行うことはなく、事実上値段の付かない底値となっています。

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この個体はアルファ164QV(Quadrifoglio)で、私が1年前に好奇心から見に行ったものでした。この時点で1年近く在庫しており、乗り出しには初期化費にある程度の投資が必要でしたが、残念ながらその費用を加味するとこのお値段は高く、「ここまで下げてくれたら・・・」という価格を提示して見送った個体でした。

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しかし、前述のように淘汰の後に生き残っている個体なので、その素材としての程度はなかなかのものでした。エンジンに関してはカムシャフトカバーがなかったりしていましたが、基本的にはオーバーホールが前提ですが、アイドリングも安定しており、12VのV6エンジン特有のタペット音も出ておらず、現状でも特段の問題はないように思われました。

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室内は残念ながらオリジナルのステアリングやシフトノブが交換されてしまっていましたが、シートの程度はまだ良いものでした。唯一の問題はファンルーバーのフィンが折れてなくなってしまっているもので、おそらくカップホルダーか何かを付けていたのでしょう。こうした室内パーツは欠品となっているために、中古部品を探して補修するのは結構大変です。

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必ずと言ってよいほど垂れてくる天井の内張りはしっかりしていました。恐らくボディカラーが白であったおかげで室内にあまり熱が篭らなかったせいかも知れません。またウインドウに貼られたUVカットフィルムもそれなりの効果があることが実感できました。

残念ながら値段が折り合わず、縁がなかったこの個体ですが、後に不思議な再会を果たすこととなりました。新しくアルファ164オーナーズクラブに入会したメンバーの愛車がナンと!このクルマだったのです。

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新しいオーナーの許でコツコツとリフレッシュされたこの個体は、店晒し状態で見たときに比べると遥かに素晴らしい状態となっていました。
私が素性が良いと思ったことに間違いはなかったことはとても嬉しかったのですが、ここまで仕上げるにはそれ相当の費用と熱意が必要だったでしょう。
この個体は私ではなく、この新しいオーナーの許に来て正解だったと思います。

アルファ164に限らず第三期以降のクルマを購入することは一見すると無謀に思われるかも知れませんが、その手段と部品があるのであれば、自分が納得できる「この世に一台のクルマ」を作り上げることができ、その愛着は単に「掘り出し物」を見つけるよりも強いのではないかと思います。
一方で、その過程のみを楽しむ方もいらっしゃり、底値で買ってきたクルマをコツコツ仕上げ、仕上げてしまったら欲しい方に売ってしまい、また対象となる底値クルマを探す・・・という真の変態道(笑)もアリで、個人的にも第三期以降のクルマに魅力を感じてしまうのは、きっと私も普通のクルマ選びができなくなってしまっているからなのかも知れません。

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一物一価

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クルマというのは不思議なもので、新車で販売されているときには値引きはあれども、基本的には基準価格をベースに販売されているのですが、それが中古車になった途端に、その価格設定は自由となり、需要と供給のバランスという経済の法則に晒されることとなります。
仮に新車価格が1000万円のクルマであっても、ユーザーにその価値無しと判断されてしまうと、走行100kmの新古車であったとしてもその値段はイッキに下がってしまいます。
それはある意味では、マーケット(ユーザー)が付けたそのクルマの価値そのものと言えるのですが、さらに中古車となると全く同じ個体は存在しなくなり、それぞれの個体によってその価格が異なる一物一価となってしまいます。
以前に「ヴィンテージフェラーリが○億円」というハナシをしていたら、全くクルマに興味のない方から、

「なんでエアコンもついてない40年前の中古車がそんなに高いの?」

と聞かれて返答に窮したことがあるのですが、中古車を単に輸送器具としてのクルマの価値で判断するとすると、10年オチ以前の中古車は全て価値なしとなってしまいます。

従ってアルファ・ロメオと言えども10年オチとなると、その価値判断は様々で、輸送器具として日常のアシとするならば、それがどんなモデルでも価値はないでしょうが、一方でそのクルマに輸送器具以上のものを求めるのであれば、実にコストパフォーマンスに優れた魅力的な中古車がアルファ・ロメオではないかと思います。

その10年オチ前後のアルファ・ロメオの中にあっても底値なのがアルファ164で(苦笑)、現在の中古車市場では売り物を見かけることすら少なくなってしまいました。オーナーズクラブのメンバーの所有車を見ても、限定車であったQV(Quadrifoglio)や限定生産であったQ4がその半数を占め、最近になって入会してくる新しいオーナーが購入したモデルも、通常の販売モデルであった164Aや164L、そしてFLやSuperといったモデルが殆どなくなってしまったのは、程度の良い個体を市場で見かけなくなってしまったためで、それは無理からぬことだと思います。

しかし逆に考えれば、現在市場に出ているアルファ164の程度は皆そこそこで、トラブルの連鎖で持ちきれなくなったような個体は廃車になり淘汰されたため、仮にも専門店でお値段が付いている個体は少なくとも見る価値はあると思います。

そんな中で緑スパを購入した埼玉のアウトピッコロというお店から連絡をいただきました。

「程度抜群のアルファ164Q4が入庫しているんですが見に来てくれませんか」

アルファ164Q4はかつての愛車であり、惜別したクルマですので、正直あまり気が進まなかったのですが、程度抜群とまで言われるとやっぱり見てみたくなり出かけることにしました(苦笑)

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このアウトピッコロはアルファ・ロメオを始めとしてマゼラーティやランチアなど、ちょっと旧いイタリア車を得意としているお店で、訪れたその日も相変わらずの品揃えでした。もし知らずに通りかかったとしても、思わずクルマを停めて覗いてしまうでしょう。

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そんな中に目指すアルファ164Q4がいたのですが、確かに程度抜群と言われるだけあってその佇まいはなかなかのものです。
1996年式のディーラー車で型式はK1Hという後期モデルであるこのアルファ164Q4は、走行も66,000kmと少なく、手入れも行き届いていました。
以前の愛車と同じ赤のボディカラーはオリジナルのままでしたので、当然ながら若干色焼けがありましたが、個人的には気になる程ではなく、製造から13年が経過していることを思えば充分許せる範囲だと思います。

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かつての愛車ですので、だいたいチェックするところは分かっているつもりです。むしろ冷静に客観的に見るように心がけけながら、順番に見て行くことにしましょう。

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まずはホイールです。このQ4ホイールも13年オチともなると表面のクリアが剥げ、痛んでくるものも多いのですが、このクルマのものは程度も良く、ガリ傷も殆どありませんでした。

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ディーラー車であるため、サイドマーカーは日本仕様の大型のものが付いていました。このマーカーには本来なら、”Designed by Pinifarina”と書かれているのですが、日本仕様ではマーカーを大きくしなければならず”Designed”の文字の部分がカットされ”by Pininfarina”だけになってしまっています(笑)が、日本仕様ではこれが正解です。もちろん本国仕様の正式なものは入手可能ですので、気に入らなければ交換してしまうと良いでしょう。

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マフラーはステンレス製のものに交換されていました。年数を考えるとこれも止むを得ないでしょう。
ワンオフか?と思って聞いて見ると、オーバーレーシング製とのことでした。アルファ164Q4のマフラーはその取り回しが複雑で、取り付けには細かい現車合わせが必要ですので、きっと大変だったでしょう(苦笑)

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エンジンルームにも特に気になる箇所はありませんでした。タイミングベルト、ウォーターポンプ、テンショナープーリーなどは一通り交換されており、クラッチも交換済みだそうです。エアコン関連もコンプレッサーを交換したとのことで、アイドリング時でもきちんと効いていました。

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室内ですが、ディーラー車ですので本国ではオプションであったレカロ製の電動シートが標準で付いていました。後部座席はあまり使われた形跡がなく綺麗な状態でしたが、問題は運転席で、ベース部分が割れたためテープで補修してありました。

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クライメイトコントロールパネルはやはり液晶カケが出ています。まだ文字が読める程度ではありますが、これからどんどん酷くなって行くでしょう。以前は交換しか方法がなかったのですが、最近はリペアするルートも見つかり、かえってオリジナルよりも耐久性に優れた部品に交換することができます。

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お約束の樹脂パーツのベタベタはこのオーディオスペースの蓋に顕著に出ていました。DIYで対策することもできますが、私の場合はカーボンルックシートを貼り付けて誤魔化していました。

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これまたお約束の天井の垂れは補修済みで、新しいクロスに張り替えてありました。

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それにしても、これほどちゃんと手の入ったアルファ164Q4の売り物は珍しいのではないかと思います。聞けばオーナーさんからの委託販売とのことで、やはり前オーナーの手入れが行き届いていたのでしょう。中古車店が仕入れてから後の整備ではここまで行き届かせることはできませんし、もしやったとしたらとんでもないお値段になってしまうでしょう。

さて気になるお値段は車検2年付きで乗り出し120万円とのことでした。安いか高いかはアルファ164Q4をどれだけ欲しいか・・・によって異なるとは思いますが、探している方は一度見てみる価値はあると思いますよ。

私はと言えば・・・死に別れた愛妻にウリ二つの女性と出会ってしまったような不思議な感覚でした(苦笑)

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メンテナンスの掟

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前回のブログでアルファ164の維持にはそれなりの心構えと環境が必要だと書きました。
よく考えてみると、私たちのように日常的にメンテナンスガレージと呼ばれる整備工場とお付き合いしているユーザーは数少ないと思います。
国産車外車を問わず、普通の自動車ユーザーは新車でディーラーからクルマを購入し、その購入したディーラーで点検整備を行い、そして買い替えて行くのですから、私たちのようにメンテナンスガレージとの接点はないでしょう。

メンテナンスガレージはクルマの整備により経営が成り立っています。中古車や新車を販売している店もありますが、あくまで整備が中心のお店です。一方で整備工場を併設している販売店もありますが、こちらは自社が販売した車両の整備が中心で、それ以外のクルマを整備する場合でも一般的にはクルマを買ってくれた顧客が優先です。
メンテナンスガレージは大別すると2種類あり、スペシャルショップと呼ばれる特定のメイクスや車種を中心に整備する工場と、国産車外車を問わず何でも整備する工場です。
アルファ164を中心として整備するスペシャルショップは残念ながらありませんし、もしあったとしても経営は成り立たないでしょう(笑)。ですので、一般的にはアルファ・ロメオやイタリア車を中心としたスペシャルショップに整備をお願いする例が多いようです。

スペシャルショップはどうも苦手・・・という声を聞くことがあります。それはマニアの客ばかりで、シロートが行くとバカにされるのではないか?という不安や、それまではディーラーで手厚いサービス受けていた経験をベースに訪ねると、意外にぞんざいに扱われたり(苦笑)するために、どうも苦手に思う方もいるようです。
前者に関しては全くの誤解で、確かに常連と言われるマニアックな客(私もか・・・)もいることは確かですが、こういったお店は常に新しいお客様に来てもらいたいと思っていますので、むしろヘンに知ったかぶりをせずに、そのまま門を叩いたほうが親切にしてもらえるものです。
一方で後者の場合は、オーナー側の理解の問題ではないかと思います。ディーラーは販売責任がありますから、定期点検のお知らせに始まり、営業担当からサービスフロントに至るまで組織体制によりサポートしてくれます。その環境に慣れたオーナーがいきなりスペシャルショップを訪ね、それまでのディーラーで受けたサービスを要求すると、スペシャルショップ側からすると居丈高な客に見えてしまうようです。

大都市圏ならともかく、地方にお住まいの方であれば、おいそれとアルファ・ロメオ専門のスペシャルショップなぞはないと思いますが、それでも面倒を見てくれるメンテナンスガレージはあると思います。見分けるポイントは様々なクルマが入庫している工場で、それはすなわちメカニックの方に得意不得意がないことを意味していますので、一度相談してみてはいかがでしょうか。反対に先入観がない分、受け入れてくれるのではと思います(笑)

スペシャルショップであろうと市井の整備工場であろうと、アルファ164のサービスマニュアルを持っているところは少ないと思います。アルファ・ロメオから当時のディーラーに配布されたこのメカニック用のマニュアルはエンジンのOHから電気系統のカプラー形式まで、おおよそメンテナンスをするであろう箇所の全てについてその方法と調整データが記載されています。このサービスマニュアルがあるとないとでは、整備品質に天地の差があります。どんなに経験豊富なメカニックであったとしても、サービスマニュアルに記載されている全ての作業を経験した方はいないのです。また、専門知識があればこのサービスマニュアルを見る事により、作業手順が確認できるため遠回りをせずに済みます。
まれにオークションなどに出品されることがあります(私もそこで入手しました)ので、もし見かけたなら速攻で入手しておくべきです。
このサービスマニュアルとともにクルマを預けるだけで、メンテナンスガレージ側の反応は違うと思います。もし有難がらないメカニックでしたら、そこには預けないほうが良いでしょう。

前回のブログに書きましたように、アルファ164の部品は入手難です。それが理由で整備を断られたり渋られたりすることが多いと思います。そういう場合は部品持込で整備をお願いすることになります。こうすることにより整備工場の部品手配の手間を省くことができ、「部品待ち」にならずにすぐに整備に取り掛かることができるのですが、持込部品はお断り・・・という整備工場は結構多くあります。
それは決して不親切だからではなく、部品を持ち込む側にも問題があるのです。
正規のルートで入手できる部品を、安いから・・・という理由で海外やオークションで入手したり、OEM部品を持ち込むようなことは避けるべきでしょう。整備工場には整備責任がありますから、これらの部品が不良だった場合はトラブルの元になりますし、部品代と整備料の全体で利益を確保している場合は、整備工場の利益を薄くすることになってしまいます。
基本的に持込部品は自己責任です。明らかな整備ミスの場合はともかく、持ち込んだ部品が不良であったり、適合しないことによる整備の二度手間に対しては、工賃をきちんと払うという覚悟が必要です(もちろん相手との話し合いではありますが・・・)。

そして、できれば整備中に工場に足を運んで、実際に作業を見ておくべきだと思います。ディーラーで整備するのであれば、「あなた任せ」で全然構いませんが、メンテナンスガレージとの信頼関係は相手のシゴトに対する正当な評価と尊敬が基本だと思います。そしてその信頼関係を築くことができ、理不尽なクレームをつけない客だということが分かれば、持込部品の問題も自然と解決されると思います。

オーナーズクラブの新メンバーから良く聞かれる質問に、この整備工場の紹介がありますが、これが答えるのに難しい質問であることが、ここまで読むとお分かり頂けると思います。その方にどこまでの心構えがあるかどうか分かりませんし、信頼関係の築き方も各人各様です。また、メカニックの方との相性もあるでしょう。ですので、個人的には余程のことがない限り、メンテナンスガレージの紹介はしないようにしています。
そして困ってしまうのは、「紹介だと安くなりますか?」と言われることですが、これに至っては論外で、こんなヒトにはどこも紹介したくはありません(苦笑)

さて、肝心のアルファ164の部品ですが、よほどヘンなものでない限り、また潔癖なオリジナル嗜好でなければ、その交換部品の殆どを私の地下組織ルートで入手することができます。ただし、現在のところは・・・ですが(苦笑)
今回もアルファ164QVのカムシャフトやガスケット・シール類を手配しましたが、純正部品が全て欠品であるにも係らず全て揃えることが出来ました。これらの部品はアメリカ、カナダ、ヨーロッパで捜索するのですが、アルファ164は北米でも販売されていたために、アメリカでのOEM部品はまだまだ入手が可能です。また機能部品でなければ、解体車から予備パーツとして入手しておくことができますので、他の同年代のクルマに比べても、特段部品供給が悪いわけではないと思います。むしろ80年代の国産車の状況のほうが悲惨ではないでしょうか。

新車を乗り継いで来られた方やアルファ・ロメオが初めてといった方が、いきなりアルファ164を欲しいと思うと、心配や不安が数多くあると思います。そしてそれらの心配や不安はこの心構えと環境でかなりの部分が減るのではと思います。
国産車に乗っているときは、そんなふうに思いもしなかったのですが、アルファ・ロメオは自分が走らせているのではありません。走り続けてもらおうと様々な工夫をしてくれるメカニックの方や、お互いに助け合おうとする仲間に支えられて走り続けることができるのです。この環境がなければクルマの寿命はとっくに尽き果てていることでしょう。

クルマを移動の道具と考える方にとって、これらの心構えや環境はナンセンスで無意味なことだと思いますが、クルマを人生を楽しむための道具と考えれば、大好きなクルマに乗って、様々なヒトと出会えるオマケがついてくるのですから、かえってお得だと思いませんか?

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テーマ:アルファロメオ - ジャンル:車・バイク

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