走ってナンボ

アルファ・ロメオを始めとする「ちょっと旧いイタ車」を一生懸命維持する中での天国と地獄をご紹介します。

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Spider for Sale

困った友人であるR君が新たな地獄クルマであるAlfa RZを手に入れたことは先日来のブログ記事でお伝えしているのですが、そうなると現在の彼の愛車であるSpiderを里子に出さねばなりません。

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彼がこのSpiderを手に入れるまでの経緯は先日のブログ記事を参照していただければと思いますが、彼の許にやってきてからは徹底的とも思える初期化と往年の乗り味を追求したモディファイを行い、素晴らしいコンディションとなりました。ようやくこれからナニゴトもないSpiderを楽しめるところだったのですが、R君の性格からするとどうやらナニゴトもなくなると飽きてしまうようです(苦笑)。
彼の許にやって来てからの初期化作業に関しては、過去のブログ記事で詳細にレポートしましたので、以下にその記事をご紹介しておきましょう。

Spiderの初期化準備
Spiderの初期化準備~その弐
Spiderの初期化準備~その参
Spiderの初期化準備~その四
主治医への嫌がらせ?
経年劣化との戦い
見てはイケナイもの
マフラーの悪夢
115Spiderの部品調達
チューニングの方向性

一通りお読みいただければ分かっていただけると思いますが、中古車業者が販売するSpiderでここまで初期化をしている個体はないでしょう。また初期化の方向性も新車の乗り味を追求したもので、かつてこの115Spiderを「新車からボロかった」と書きましたが、これらの初期化を終了するとクルマ全体がシャキっとし、そのボロさを感じなくなりました。

それでは、「佇まい評論家」の視線で(笑)改めてこのSpiderを見ていきましょう。
まずは外観ですが、アルファ・ロメオ定番のRossoの塗装はその保管状態が良かったこともあり、退色やクリアぼけなど一切ありません。この個体はヨーロッパ仕様のため、北米仕様(日本正規輸入車)のサイドマーカーがなく、ターンシグナルもこのように小さいタイプが付いています。

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北米仕様最大の特徴はリアのハイマウントストップランプで、これは北米の車両基準に基づき装着されていたものですが、ヨーロッパ仕様のオリジナルは装備されておらず、スッキリとしたリアとなっています。またこのハイマウントストップランプユニットはその材質のせいで表面の塗膜が紫外線で傷みやすいため、できれば無いほうが良い装備です。

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リアのランプユニットもヨーロッパ仕様のものが装着されています。

ホイールも日本正規モデルでは本国オプションであった15inchのホイールであったことに対して、このモデルは標準であった14inchホイールが装着されています。

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そしてコダワリのタイヤサイズは165-80-14サイズで、Spider本来のしなやかな身のこなしとボディに優しい乗り心地を提供しています。タイヤの残溝は6分山といったところでしょうか。

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マフラーはセンターが純正OEMでリアはANSAのスチール製を装着しています。個人的な見解ですが、Spiderにステンレスマフラーやストレートマフラーはちょっとオーバーかなと思います。このANSAはリプレイスマフラーではベストマッチで、その音量も控えめながら音質は重厚でSpiderに良く似合っていると思います。

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ソフトトップの状態も良好です。Spiderのソフトトップはキャンバス製からビニール製まで各種あるのですが、この個体のものはキャンバス製の中でも薄手のものが装着されています。もちろん対候性には問題はなく、厚手の幌に比べるとむしろ軽いために開閉が楽に行えます。

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傷がついたり破れたりするリアのビニールスクリーンも綺麗な状態です。ここは日常の扱いで大きく差が出るところですが、R君の扱いは丁寧だったためにこの状態をキープできています。
916Spiderと異なり115Spiderのリアスクリーンは幌に直接縫い付けられていますので、冬場の寒い時期に幌を開閉するときには注意が必要で、ビニールのスクリーンを割ってしまうと最悪は幌全体を交換しなければなりません。
室内のヒーターを全開にして温風をリアスクリーンに当てて柔らかくしてから開けるようにすると長持ちします。

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ショックアブソーバーはKONI CLASSICを装備しています。通称「赤コニ」と呼ばれるこのショックは、アフターパーツで入手できるショックの中でも一番ソフトなタイプです。Spiderの佇まいを決める車高も写真のとおり理想的な状態です。

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エンジンルームはご覧の通りです。プラグコードは永井電子製のものに交換している以外は特にチューンアップはしていません。ただし、整備記録をご覧頂いたとおりゴム類は徹底的に交換しています。
次の課題はエンジンのOHで、他の部分の初期化が終了しましたので相対的にエンジンがくたびれているように思えます。ご存知のように基本的にはタフなエンジンですので、各部のガスケットやピストンリングの交換に加えてクランクシャフト周りをオーバーホールすれば見違えるようになると思います。

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インテリアはご覧の通り良い状態だと思います。残念ながらダッシュボードポケットの蓋は変形しています。これはSpiderの弱点ですので、どうしても気になる方は部品が手に入りますので交換できますが・・・また反ってきます(苦笑)。同じく弱点であるダッシュボード上部のひび割れは、一箇所小さなヒビがある以外は綺麗な状態を保っています。
ステアリングは当時のオプションであったエアバッグを装備していますが、あまり格好はよろしくありません(笑)。聞くところによるとエアバッグの動作保証期限は10年とのことですので、いっそのことお好みのステアリングに交換しても良いでしょう。

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オーディオは後付でアルファ・ロメオの純正カセットデッキに交換されており、10連装のCDチェンジャーが装備されています。

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一番ヤレる運転席のシートです。Sr.4のシートはビニールレザーとアルカンタラのコンビネーションで、なかなか張替えが効かないのですが、破れやほつれはありません。ビニールレザーはクリーニングで随分と綺麗になると思います。

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走行は62,700kmですが(撮影時から少し延びています)、初期化をここまで行うと走行距離はあまり問題ではなくなることはお分かりいただけると思います。
3速ATはスリップもなく良い状態です。扱う注意点としてはRへのエンゲージで、必ずクルマが停まってから入れるようにしてください。現在のATでは当たり前の操作かも知れませんが、車庫入れなどでまだクルマが前に進んでいる状態のままRに入れるのは禁物で、ATを痛めることとなってしまいます。またパワーステアリングを装備していますが据え切りも禁物です。

このような初期化とモディファイを行いながら好調を維持して来たSpiderですので、飾りとしてガレージにしまい込むのではなく、ある程度は普段使いをして乗り倒していただければと思っています。

さて、一般的な中古車としての情報ですが・・・

車名:アルファ・ロメオ Spider Veloce Sr.4
型式:E-115(車検証上では不明と記載)
エンジン:1.96L
MT形式:3速AT
車検:平成25年7月24日まで
走行距離:62,700km
装備:AT、PS、AC(クーラーです)、PW、CS(CDチェンジャー)、ETC、ABG

そして価格ですが85万円という設定をしました。加えてリサイク券(12,880円)と自動車税の月割り負担はお願いします。個人売買ですので消費税はかかりません。また当然のことながらノークレーム・ノーリターンでお願いします。
ご存知のようにSpider Sr.4の相場は100万円~120万円といったところかと思います。個体差もあるとは思いますが、今までの経験からこのお値段で買ったとしても初期化作業は必要となります。ですので、その相場より安く設定し、できれば次のオーナーにはエンジンOHの予算を捻出していただければと思います。

どこかを我慢したり妥協したりするのではなく更なる初期化を追及していただき、アルファ・ロメオのオープンに対する哲学が凝縮されたこのSpiderを「古いから」とか「ボロだから」とか言い訳せずに思う存分楽しんでいただければと願っています。

同時にエンスーの杜にも掲載をお願いしておりますので、併せてご覧いただければと思います。購入に関するお問い合わせや実車見学のご連絡はエンスーの杜を経由していただいても直接このブログのメール経由でお問い合わせいただいても結構です。責任をもってオーナーに転送させていただきます。

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Spiderは雨が嫌い?

さてもう一台の115Spiderですが、こちらも決して完調とは言えない状態が続いていました。
それは例のエンジンの息継ぎで、ディストリビューターキャップを交換しても完治しなかったのです。しかも土砂降りの雨の日や、その翌日になると必ずと言って良いほどエンジンが息継ぎを起こし、ついには全くかからなくなってしまったのです。
こうなると最早「様子を見る」状態ではありません。しかも性質が悪いことに晴天になるとナニゴトもなかったかのようにエンジンは始動し、快調に走るので主治医のところでチェックしてもらおうにも症状が出ないのです。

雨が降るとエンジンが始動しないので主治医のところに行けず、ようやく主治医のところに行けるようになったときにはエンジンがかかっているのですから、その症状は出ていないためチェックしても原因が分からない…という悪循環?で、最早打つ手はないか…と思われていたのですが、ようやくチャンスが巡って来ました。

それはやはり朝から土砂降りの雨の日で、その日は朝から全くエンジンがかからないという連絡を受けました。いつもは昼には雨が上がってしまい、私が点検に行ったときにはエンジンがナニゴトもなかったかのように始動するということの繰り返しだったのですが、この日は一日中雨が降り続き、私が点検しに行ったときにも確かにエンジンはかかりませんでした。しかし、「CHECK ENGINE」という警告灯は点灯せず、セルモーターは勢い良く回っています。
ということは二次側の点火系もしくは燃料系が原因で、センサー類の不具合ではないと想像できます。
点火系は前回ディストリビューターキャップを交換していますし、その後もエンジンは始動していましたからこの接点とは考えられません。

燃料系も考えて見たのですが、燃料ポンプが完全に止まってしまうことはあってもそれが復活したりまた止まってしまったりということも考えにくいですし、しかも仮に燃料ポンプのトラブルであると一瞬エンジンは始動してガス欠のような症状で停止するのが一般的です。

さてそうなるとディストリビューターに電気が来ていない…というのが有力な原因として考えられます。そして電話で主治医とこれまでの症状と原因に関しての類推を話し合って出した結論は…

「イグニッションコイルに繋がっているコードの接触不良じゃないか」

というものでした。確かに、イグニッションコイルからの電気がディストリビューターキャップに届いていないとすると、そもそもプラグに点火していないのですからエンジンが全く始動しないのは当然です。
しかも、湿気や雨によりその接触が悪くなったり断線したりするのだとすると、今までの症状についても合致します。加えて、アクセルを踏み込んだときに吹け上がりが悪くなるということは、電圧がかかった際にリークしてしまい充分な電気がハイテンションコードに流れなくなったのであろうと想像することができます。
こうして状況証拠は揃いました。

それでは…とイグニッションコイルに繋がっているコードを抜いてチェックして見ると、やはりそこに犯人が潜伏していたのです。
シリコンのカバーをめくってみると案の定コネクターが錆びていました。さらにイジっているとコネクターについている二箇所のピンの内、一箇所が千切れてしまいました。
こんな状態だと確かに接触が悪くなり電気が流れたり流れなかったりするのも当然です。

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応急処置として接点のサビを取って綺麗にし、接点復活剤をたっぷりと吹き付けてからもう一度コードを差し込むと、エンジンはナニゴトもなかったかのように始動し、アイドリングも安定するとともに回転もスムーズに上がって行きます。
このハイテンションコードは永井電子製で、修理ができるとのことですので、早速一旦主治医から何か替わりになるようなコードを借りて修理に出すことになりました。

かくして私たちを悩ませたこの謎は原因が発見され解決することができたのですが、一時は…

「やっぱりSpiderだから雨が嫌いなんだよ」

と考えて、当面はアキラメようとまでしていたのですから、実際に原因が分かってみるとなぜもっと早くチェックしなかったのかと悔やまれることしきりです。

しかし、今回の件ではこうしたトラブルシューティングでもLogical Thinkingが重要であることを再認識させられました。起こった現象から原因を仮定し、仮定した原因から起こる現象について実際の現象と比較してみながら順番にチェックして行くという作業は、決して修理工場だけで行われるものではなく、こうして主治医と離れていたとしてもオーナーが的確にその症状を伝えることができれば充分機能するのです。
問題はお互いがこうした考え方に基づいてこの検証作業ができるかどうかで、ともすれば、「取りあえず持ってきてください」で終わってしまい、結局ローダーを手配して運ぶことになるのでしょう。
日常から自分の手でメンテナンスをされている方にとっては当たり前のことかとは思いますが、私のようなシロートにとっては考えさせられるトラブルでした。

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私説Spiderの時代 ~115の終焉~

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身近にある115Spiderと916Spiderという2台のSpiderは、名前こそ同じでも技術的には全く共通点のないクルマです。
それは方や1966年に発表されたSpider Duettoから連綿と作られ続けた最後のモデルである115Spider Sr.4と、Fiat Tipoのシャーシーをベースにエンジンまでもが新設計され、横置きFFとして今までのアルファ・ロメオから完全に決別した916Spiderの初期型2.0TSなのですが、この限りなく製造年が近い2台を見たときに、この新旧Spiderの過渡期のことを思い出してしまいました。

当時の私はボロい、旧い、高いと言われながらそれでも製造され続けた115SpiderのSr.4がようやく製造を終了し、新たにTipoシャーシーをベースにした新型SpiderがFFで発売されると聞いたとき、これでいよいよアルファ・ロメオは全車種がFFとなることに何とも言えない寂寥感を覚えたことを記憶しています。

そもそも115Spiderはシーラカンスのようなクルマで、北米の衝突安全規制や排気ガス規制の強化に伴いライバルであるイギリス製のオープン2シーター車が絶滅し、この車種のマーケットそのものが縮小される中にあって、結果として選択肢がないために生き残ったモデルであると言えます。
もちろん後になってエバーグリーンなピニンファリーナデザインやらアルファ伝統のDOHCエンジンにFRレイアウトといった魅力が多く語られますが、当時のマーケットでの評価は「もういいんじゃない?」というもので、マツダ・ミアータ(ユーノス・ロードスター)の登場により、にわかに脚光を浴びたこのマーケットではとても同列で比較されるようなクルマではなかったと思います。
もちろんだからダメクルマかと言うと全然そんなことはなく、オープン2シーターなどという実用性とは対極にあるクルマのカテゴリーにあっては、単に性能や装備だけで比較されるのではなく、そのクルマが持つ「味」というのも重要な要素で、だからこそユーノス・ロードスターにはないその「味」を持つSpiderも同様に評価が上がったのは面白い現象だったと思います。

さて、もはや死滅したと思われていたオープン2シーターのマーケットに新型車として投入されたユーノス・ロードスターはユーザーに大歓迎されただけではなく、同様のクルマをもともと製造していたユーロッパの各メーカーを驚愕させました。なぜなら彼らがマーケティングリサーチにより、「ない」と考えていたマーケットがユーノス・ロードスターの出現により掘り起こされ、しかもその刺激により需要が喚起され、もはや死にかけていたSpiderのような既存のモデルの販売までもが息を吹き返したのです。

ヨーロッパのメーカーが「どうせそんなニーズはない」と思い込んでいたマーケットに実はこれほどまで潜在需要があり、自動車という成熟商品にもまだプロダクト・アウトという手法に可能性があることの証明が、このユーノス・ロードスターの成功だったのですが、一方でアルファ・ロメオにとってこの115Spiderを製造し続けたのは別に企業戦略でも何でもなく、単に製造を止める理由がなかったからと、アルファ・ロメオにとってSpiderというモデルが常にラインアップの中にあるのは「当たり前」であったからに他なりませんでした。

もちろんそれはユーノス・ロードスターとは異なり、伝統的に専用シャーシではなく、中型のベルリーナやスプリント用のシャーシを流用したものであったため、これらがモデルチェンジされなければ当然Spiderも新型になれなかったのは言うまでもないでしょう。
従って、1989年に発表されたユーノス・ロードスターの大反響に対して、アルファ・ロメオにできたことはデザイン的に不評だったSr.3をフェイスリフトすることしかなく、アルファ75の後継モデルであるアルファ155の開発に注力せざるを得ない経営環境では、新型Spiderの開発スケジュールは後回しにせざるを得なかったのです。
当時のピニンファリーナのチーフデザイナーであったエンリコ・フミアさんは早くにこの新型Spiderのプロジェクトに係わり、デザイン段階は既に終了していたにも関わらず、新型Spiderのプロジェクトは延期されてしまいます。
そしてその代わりに依頼されたのが、現行の115Spiderのフェイスリフトだったのです。

エンリコ・フミアさんは不評であったSr.3の空力パーツを全て取り除き、発表当時のDuettoをモチーフにフロントフェイスとリアをデザインし直します。そしてそれは厳しいコスト制約の中でのリデザインで、当時のアルファ・ロメオには明らかにモデル末期の115Spiderのために注ぎ込む資金はありませんでした。

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しかし、エンリコ・フミアさんは最低限のパネル変更のみで115Spiderを蘇らせることに成功します。そのスタイリングは最初からのデザインであるかのように全く違和感がなく、特にリアのデザインはアルファ164のデザインで成功した一本のライン上にライトをまとめることにより、アルファ164、33と共に当時のアルファ・ロメオの共通したデザインアイコンを形成していました。

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そして北米のディーラーからの強い要望に答え、ようやくパワーステアリングとATミッションを搭載し、衝突安全対策のためにエアバッグまで装備したSr.4と呼ばれるモデルは、その24年という長寿の末に画期的な販売台数を記録することとなります。

ここからは想像なのですが、これらの経緯を見る限り、アルファ・ロメオにはもともとSr.4という企画はなかったのではと思うのです。アルファ・ロメオは本来の計画では1991年から1992年頃に新型Spiderの発表をするつもりだったのではないでしょうか。ピニンファリーナに依頼された新型Spiderのデザイン案は1987年に完成していたことからも、このスケジュールは現実的です。
ところがこのプロジェクトは延期されてしまいます。そもそもの計画がFiat傘下への経営統合とは無関係で進められていたために、実際にFiat主導により進められた新型ベルリーナの155プロジェクトによって、アルファ・ロメオの既存のプロジェクトは全て白紙となってしまったのですから、この延期は仕方なかったと思いますが、一方で延期されたピニンファリーナはたまったものではなく、「じゃあ何か仕事をくれ」ということになり、急遽発注されたのがこのSr.4ではなかったでしょうか。
1990年というSr.4の発表時期を考えると、アルファ・ロメオがユーノス・ロードスターの発表に刺激されて計画したとは思えず、むしろピニンファリーナを宥めるための臨時プロジェクトであったと考えると得心ができます。それに、アルファ・ロメオはそもそも他社の動向を気にするような状態ではなかったでしょう(笑)

ところが結果としてユーノス・ロードスターに対抗するタマとして、世の中にはこのSpiderしかありませんでした。しかも相手は5MTの設定しかなく、「ATだったら」という潜在顧客にAT仕様のSr.4Spiderはアピールし、北米での販売だけでなく、日本を始めとする販売国全てにおいて販売台数が急上昇することとなります。とは言ってもそれはあくまで「ある程度」といったレベルであることには変わりなく、115Spiderの歴史の最後の花道を飾ることにはなっても、さらなる延命とはなりませんでした。
結果として115Spiderは1966年の誕生から1993年まで27年間に亘り製造されました。その全ての時代において必ずしもトップセールスを記録したわけではありませんが、いつの時代でもアルファ・ロメオがアルファ・ロメオであり続けるためにSpiderは必要で、アルファ・ロメオからSpiderが販売されているだけでファンは安心したことも確かです。

クルマとして見たときに115Spiderはその欠点ばかりが目に付きます。NAのDOHCエンジンを縦向きにフロントに置き、リアを駆動するというコンベンショナルなレイアウトはユーノス・ロードスターと共通であっても、ボディ剛性はオープンであることを割り引いても劣悪ですし、内装のクオリティはとても新車とは思えないレベルでした。後付のエアコンもマニュアルエアコンで効きは悪く、ライバルにない頼みのATも原始的な3ATと時代遅れの感は否めないものでした。
しかし、このクルマは間違いなく1990年代に新車として生産され、ユーノス・ロードスターと同じ時期に販売されていたのです。そして同じく製造から20年が経過しようとする現在、中古車価格は完全に逆転し、115Spiderの価値は下がることはありません。
クルマとしての価値は20年オチの中古車は限りなくゼロで、どちらも敢えてそれを買うような価値はないにも関わらず、それでも115Spiderが高値で流通しているのは、新車のときからボロかった115Spiderがその新車当時から現在に至るまで、比較対照してクルマを選択するという尺度では測られなかったからなのかも知れません。

しかし、一方でユーノス・ロードスターをベンチマークにしたオープン2シーターのマーケットは厳しい比較対照の時代に突入して行くことになります。

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CAR DISC

自分で直接メンテナンスを行わなくても、愛車の構造がどうなっているのかや部品の調達のためにメンテナンスマニュアルは持っていて重宝するものだと思います。
以前にも書きましたが、スペシャルショップがない地域であってもこうしたマニュアルや交換部品とともにクルマを持ち込むことによって、ある程度の重整備も可能になるのですから機会があれば入手しておいて損はないと思います。
しかし、メンテナンスマニュアルは本来正規ディーラーの整備部門のために編集され配布されたものですから、一般に出回るようなものではありませんし、自動車関係の書籍の専門店などでたまに見かけても、おいそれと手が出るようなお値段ではないのです。

そんな中にあって心強いのがCar DiscというCDで、これには英語版ですが旧いアルファ・ロメオのサービスマニュアルが納められています。このCDにはパーツリストも含まれているために、ePERで検索できないアルファ33以前のアルファ・ロメオのパーツNo.を調べることも可能です。

今回私が入手したのはSr.4のSpiderのものなのですが、部品に関してはePERで対応できるために、マニュアルについては後回しにしていました。
さて、その内容ですが…まずはワークショップマニュアルです。

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これはメンテナンスメカニックのためのマニュアルで、そのクルマの整備手順や注意事項から使用する工具に加えてセッティングデータなどが詳細に記載されています。
もちろん記載はあくまでプロの整備士用ではありますが、整備士の資格にグローバルスタンダードはありませんので、その内容はかなり丁寧に書かれています。中には「馬鹿にしてるのか?」と思われるような記述もあるのですが、それでもあるベテランメカの方は、サービスマニュアルが手許にあれば必ず目を通すそうです。その理由は気がつけば我流でやっているようなところもあるし、自分の経験と知識のおさらいが出来るからとのことでした。

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ワークショップマニュアルは482ページからなり、それがPDFファイルで収録されています。確かにこれをハードコピーで持つとなると嵩張りますし汚損の可能性もありますから、電子データになっているのは有難いものです。
しかし、このデータのソースはあくまで紙のマニュアルで、それをスキャナで読んでいるのですが、どうやら中古品を基にしているようで、ところどころにメカニックの落書きがあるのがご愛嬌です。
参考までに一部その内容をご紹介しましょう。どの部分にしようかと思ったのですが、やはり思い出深い(笑)プロペラシャフト部分にしました。

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続いては電気ユニットの説明ですが、何のことはない単にリレーやら制御ユニットがクルマのどこにあるかを説明しただけのものです(笑)。しかし、知らないといざと言う時に探し回るのも確かですから、こうした説明は結構有難いものです。

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さらに収録されているのは2.0Lエンジンのオーバーホールマニュアルです。仔細に観察するとどうやらこれは北米のアルファ・ロメオが独自に制作したもののようで、その記述は実に細かく丁寧に説明してあります。

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うがった見方をすると、北米のアルファ・ロメオのディーラーメカニックの技術レベルはイタリア本国で制作されたワークショップマニュアルの記述だけでは難し過ぎたのかも知れません(苦笑)
この想像は同じく北米で制作されたソフトトップのマニュアルを見たときに確信に変わりました。

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エンジンオーバーホールマニュアルと同様に、このソフトトップマニュアルはDIYでソフトトップを張り替えるユーザー向けかと思われるほどの懇切丁寧なマニュアルだったのです。

このCDには更にメンテナンスビデオが収録されており、それはエアバッグの脱着及びリセットの方法と、雨漏りのチェック及び対策の2編なのですが、雨漏りのチェック偏は大真面目なだけに結構笑えます。
このビデオは同じく北米のアルファ・ロメオがディーラー向けに制作したものなのですが、前述したマニュアルと同様に実に細かいと言うかクドいと言うか、まるで深夜の通販番組を見ているようなのです(笑)。
北米のアルファ・ロメオが自主?制作したこれらのマニュアルやビデオは、英語であることは言うまでもないのですが、その言葉の問題を補って余りあるほどの内容で、中途半端に書かれた日本語のマニュアルよりはるかにシロートには分かりやすい内容です。

興味がある方は購入してみてはいかがでしょうか。

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タイヤの賞味期限

この記事は下書き状態で準備していたものですが、いつまでも病気のお断りネタが最新記事というのもあまり気分の良いものではありませんので(苦笑)、病院内のネットカフェからアップさせていただきます。

どんなクルマであれ、それを日常のアシとして使っている場合は、ナニゴトもないという状態は理想です(笑)
しかし、ナニゴトもない状態を維持するためには最低でも消耗品のメンテナンスは必要なのですが、そんな消耗品の中にあってオイルとタイヤは結構間違ったメンテナンスをされているのではと思います。
実はこのどちらにも賞味期限があるのですが、エンジンオイルに関して言えば、通常はその賞味期限が到来する前に交換のタイミングが来るためにさほどの問題はありません。例えばイタリア車の場合は一般的に走行5000km毎にオイル交換が推奨されています。平均的なドライバーでそのクルマがファーストカーである場合は、年間の走行は10,000km程度でしょうから、最低でも1年に2度はオイル交換をすることになります。
しかし、それが趣味クルマで1年間に1000kmしか走行しないとすると、オイル交換は5年に1度ということになります。オイルは酸化をするために永年の間に性能は劣化して行きますので、仮に走行距離が規定に達していなくても、5年もオイルを交換しないでいるとそのオイルは当初の性能を発揮はしないのです。最近の化学合成油の場合はそれでも劣化が遅いらしいのですが、個人的にはいくら走行距離が少なくても5年間オイル交換をせずに大切な趣味クルマを走らせる気にはなれません。

同様にタイヤもゴム製品である以上、オイルと同様に賞味期限があり、いくら磨耗が少なくても製造から年数が経ったタイヤはその性能が劣化してしまいます。私のクルマのタイヤの主治医であるタイヤサービスの鵜沢社長に言わせると、仮に新品のタイヤであってもその保管状況によって雲泥の差があるそうで、実際に安売りタイヤの中には売れ残りで在庫年数が経ったものが多く、その性能は保証できるものではないそうです。

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私が管理している緑スパなのですが、昨年偏磨耗によりタイヤを2本交換したのですが、その後やはりもう2本の劣化が目立ってきました。確かに残溝はまだ十分なのですが、ゴムが硬化しておりノイズに加えてコーナーでのグリップが明らかに劣るようになってきました。また雨天時のハイドロプレーニングも頻発するようになるに至っては安全を考えるともう2本も交換するしかなく、タイヤサービスにその交換をお願いすることにしました。

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交換するタイヤは2本のため、銘柄を選択する余地はなく当初のタイヤと同じピレリのP6です。このP6は往年のP6とは全く異なるタイヤですが、その性能は115Spiderには必要にして十分で、特に突出したところのないバランスの取れたタイヤだと思います。

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実際に硬化したタイヤを外して見ると、残溝は十分であることが分かります。仮にこの状態が4本共同じであるならば我慢しても良いのかも知れません。しかし調べてみるとすでに製造から5年が経過していました。これは流石に賞味期限を過ぎたタイヤと言わざるを得ないでしょう。

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例によってタイヤサービスではホイールを外した際に、その内側を丁寧に洗ってくれます。タイヤ屋さんでこんなことをしてくれるところは他にはないでしょう。この寒空の下で本当に申し訳ないのですが、日常の洗車では行き届かない部分ですので本当に有難いことです。

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また、ホイールを外した際にはブレーキのチェックをするには良い機会です。ディスクの磨耗状態やパッドの残量を目視でチェックするのですが、フロントは約1mmほどディスクが磨耗していました。

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フロントに比べるとリアのディスクは磨耗が少ないことが分かります。いずれにせよ走行距離から考えるとこの状態は健全で、ブレーキには何も問題はありませんでした。

そしていよいよタイヤを組み付けて行くのですが、ここでもタイヤサービスの丁寧な作業を見ることができます。

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古いタイヤを外したホイールの内側の汚れを丁寧に拭き取ってから新しいタイヤを組み付けます。

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最初は標準的な方法で、タイヤ側に付けられたマークとホイール側のエアバルブの位置を合わせて、タイヤをホイールに組み付けてバランサーでチェックします。仮に、タイヤとホイールが共に真円であればこの状態でバランスは取れるのですが、そんなワケはなく、御覧のように重心がズレてしまっています。
そうすると再びホイールからタイヤを外して、少しづつ組み付ける位置をズラして行きながらバランスの良い場所を見つけて行くという作業を繰り返すのです。

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これをマッチングバランスと呼ぶのですが、そこには数値の指示があるワケではなく、経験と勘によりどの程度ズラすかが決められます。今回も一度でバランスが合いました。

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そして指示されたとおりウエイトを打ち込んで作業は終了です。

この手間がかかる作業の効果を体感できるドライバーが一体どれほどいるのか…とも思いますが、正しく装着されたタイヤはその初期性能をちゃんと発揮するだけでなく、偏磨耗や過大なロードノイズといったタイヤによる乗り心地にも確実に影響しているハズです。
しかし残念ながら、昨今のタイヤを取り巻く環境はとてもこうした作業のコストを吸収できるような利益構造ではなくなっているのが現状です。

何でも安ければ良いのではなく、自分が必要だと考えるものに対しては、正当な報酬を払うこともこのデフレ・スパイラルを脱出するきっかけになるのではと思います。

まぁ、そんな大上段なハナシはともかく、硬化したタイヤを履き替えた115Spiderはずいぶんとハンドリングが改善されました。
残溝のチェックだけでなく、一度ゴムの劣化を含めてタイヤをチェックして見てはいかがでしょうか…。

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