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走ってナンボ

アルファ・ロメオを始めとする「ちょっと旧いイタ車」を一生懸命維持する中での天国と地獄をご紹介します。

ALFA ROMEO Sport Collection 45

本日ご紹介するのは、アルファ・ロメオが本業そっちのけでレースに没頭していた時代の代表作、Tipo33TT12です。

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Tipo33というネーミングはその美しいストラダーレモデルで有名ですが、もともとは世界スポーツプロトタイプ選手権がかけられたグループ6のレギュレーションに適合したレーシングモデルです。
開発当初の1965年は4気筒1.6Lエンジンをミッドシップに搭載してデザインされたTipo33でしたが、そのパワー不足は当然で、すぐに新開発のV8の2Lエンジンに換装されることになります。それでもクラス優勝がやっとで、総合優勝したいアルファ・ロメオは排気量を拡大して1969年に3Lとして総合優勝を狙いに行きます。しかし、ライバルのフェラーリ512やポルシェ917はご存知のように排気量は5Lとパワーの差は歴然としていました。遥か前方で歴史に残るバトルを繰り広げているフェラーリとポルシェを見ながら、悔しい思いをしていたアルファ・ロメオに朗報が届きます。それは1972年からレギュレーションが3L以下に変更されるというものだったのです。

アルファ・ロメオは色めきたちます。ついに自分達の出番がやって来たのです。ライバルは大排気量のモデルばかりですから、そう簡単にレーシングエンジンを開発できるワケがありません。
ところが、新レギュレーション初年度の結果はフェラーリの圧勝でした。フェラーリはレギュレーション変更にすぐに対応できるエンジンラインアップと技術を持っていたのです。
本来ならばここでアキラメるところなのですが、アルファ・ロメオにとってフェラーリは「自分達から巣立った息子」ですから、親としてはそう簡単に引き下がるワケにはいかなかったのです。

アルファ・ロメオは急遽より強力な水平対向12気筒エンジンを開発し、シャーシーも一新しチューブラーフレーム構造としたTipo33TT12を実戦に投入しますが、そこには思わぬ伏兵が待っていました。それはライバルと目されていたフェラーリでもポルシェでもなく、フランスのマートラだったのです。
結局、1973年、74年のタイトルはマートラに奪われてしまうのですが、この2年でマシンの信頼性も向上したアルファ・ロメオは1975年にようやくタイトルを手にします。
しかし、この勝利もアルファ・ロメオにとっては不本意なものだったでしょう。なぜなら、ライバルのマートラが資金の面から欠場した年だったからなのです。

もちろん企業によって様々な事情があったのでしょうが、常識的な判断として…、

「そんなことやってる場合じゃない」

とレースを中断したマートラが結果として自動車ブランドとしては消えてしまい、経済的な状態なぞ全く意に介さず、レースにうつつを抜かし、会社経営を危機的状況に追いやったアルファ・ロメオが現在も自動車メーカーとして存続しているのは皮肉なものです。

この後、アルファ・ロメオは事実上倒産し、国有管理会社となるのですから、レース活動が、「広告宣伝となり販売に結びつく」だの「サーキットは走る実験室」などというセオリー通りの言い訳?は意味を成しません。どんな論理的な思考も吹っ飛ぶ、「本能」としか言いようのないアルファ・ロメオのレース活動が結果として、企業の存続に繋がっているのは、どんな経営学も太刀打ちできない紛れもない事実なのです。

是非、ハーバード大学やシカゴ大学のMBAコースの中でテーマとして取り上げて欲しいケーススタディだと思います。(もうやってるかも知れませんが…)

付属するミニチュアモデルは1974年のモンツァ出場車です。この年代のレーシングカーはその出来がどーこう言うより、その時代の背景やドライバーに思いを馳せながら眺めるのが一番だと思います。

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テーマ:ミニカー - ジャンル:車・バイク

コメント

今回もまた 良いお話で・・・。
このやんちゃで車馬鹿なイタリア人気質が 日本のメーカーには なかなか真似のできない魅力なのでしょうね。

  • 2007/09/09(日) 23:30:50 |
  • URL |
  • fujiyama #-
  • [ 編集]

>fujiyamaさん
やはりビジネスにもパッションが必要・・・ということなのでしょうか。でも、この時代にもうちょっとマジメにシゴトしてくれてたら、トラブルも少ないクルマになってたでしょうね(苦笑)

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